L 0805:2005
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人スガウェ
ザリング技術振興財団(SWTF)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を
改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で
ある。これによって,JIS L 0805:1998は改正され,この規格に置き換えられる。
改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 105-A03:1993,Textiles−Tests for
colour fastness−Part A03 : Grey scale for assessing stainingを基礎として用いた。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS L 0805には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定)アダムス−ニッカーソンの色差式による色差
附属書2(参考)JISと対応する国際規格との対比表
L 0805:2005
(2)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 色票の色 ························································································································ 1
5. 構造,形状及び寸法 ········································································································· 2
6. 外観 ······························································································································ 3
7. 測色方法 ························································································································ 4
8. 検査方法 ························································································································ 4
附属書1(規定)アダムス−ニッカーソンの色差式による色差 ······················································ 5
附属書2(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ··································································· 6
日本産業規格 JIS
L 0805:2005
汚染用グレースケール
Grey scale for assessing staining
序文 この規格は,1993年に第4版として発行されたISO 105-A03 Textiles−Tests for colour fastness−Part
A03 : Grey scale for assessing stainingを翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変
更の一覧表をその説明を付けて,附属書2(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,染色堅ろう度試験の結果,白布に生じた汚染の程度を視感によって判定する
場合,その判定基準として用いる汚染用グレースケール(以下,汚染用グレースケールという。)について
規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修
正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 105-A03:1993,Textiles−Tests for colour fastness−Part A03 : Grey scale for assessing staining
(MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 8105 色に関する用語
JIS Z 8721 色の表示方法−三属性による表示
JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色
JIS Z 8730 色の表示方法−物体色の色差
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
a) 無彩色 色相をもたない色(JIS Z 8105を参照)。
b) L*a*b*表色系による色差(⊿E*ab) JIS Z 8722の5.(分光測色方法)又は6.(刺激値直読方法)によ
って測定し,標準の光D65によるX10,D65,Y10,D65,Z10,D65を用い,JIS Z 8730の7.1(L*a*b*表色系に
よる色差)によって求めた数値。
c) アダムス−ニッカーソンの色差式による色差(⊿EAN) JIS Z 8722の5.又は6.によって測定し,標準
の光CによるX2,C,Y2,C,Z2,Cを用い,附属書1(規定)(アダムス−ニッカーソンの色差式による
色差)によって求めた数値。
4. 色票の色 色票の色は,次による。
2
L 0805:2005
a) 図1における5号の色票a5,b5並びに4-5号〜1号の色票のうち,a4-5,a4,a3-4,a3,a2-3,a2,a1-2及び
a1は無彩色で,刺激値Y10,D65が(85 ± 2)%のものとする。
b) 4-5号〜1号の色票のうちb4-5,b4,b3-4,b3,b2-3,b2,b1-2及びb1は無彩色であって,それと対をなす
色票より反射率の小さいものとする。
c) 5号〜1号の各組の対をなす2枚の色票間には,表1又は表2の色差がなければならない。
d) 各号の色票は,蛍光がなく,かつ,光沢及び経時変化がほとんどないものとする。
e) 本体の色票面以外の部分及びマスクの表面の色は,JIS Z 8721の無彩色の記載方式による約N2.5のも
のとする。
表 1 各号色票の色差 表 2 各号色票の色差
(L*a*b*表色系による色差⊿E*ab) (アダムスーニッカーソンの色差式による色差⊿EAN)
色票(号)
色差
色票(号)
色差
5
4-5
4
3-4
3
2-3
2
1-2
1
0
2.00
+
2.3 ± 0.3
4.5 ± 0.3
6.8 ± 0.4
9.0 ± 0.5
12.8 ± 0.7
18.1 ± 1.0
25.6 ± 1.5
36.2 ± 2.0
5
4-5
4
3-4
3
2-3
2
1-2
1
0
2.00
+
2.0 ± 0.3
4.0 ± 0.3
6.0 ± 0.4
8.0 ± 0.5
11.3 ± 0.7
16.0 ± 1.0
22.6 ± 1.5
32.0 ± 2.0
5. 構造,形状及び寸法 構造,形状及び寸法は,次による。
a) 汚染用グレースケールは,本体及びマスクで構成する。
b) 本体は,図1に示すとおり,5号〜1号の間を9段階に分け,各色票を台紙の上に示す。
c) 各号の色票は,各号a,bの色票を組にし,隣接して配置する。
単位 cm
図 1 本体
d) マスクの形状及び寸法は,図2による。
なお,目的に応じ,図3及び図4に示すものを用いてもよい。
3
L 0805:2005
単位 cm
図 2 マスク
単位 cm
図 3 同一寸法の窓を二つ並べたマスク(一例)
単位 cm
図 4 同一寸法の窓(円)を二つ並べたマスク(一例)
6. 外観 汚染用グレースケールには,次のような欠点があってはならない。
a) 各色票の色むらなど。
b) 各色票の表面状態の汚れ,こすれなど。
c) マスク表面の色及び表面状態の凹凸むらなど。
8
8
8
8
3
3
4
L 0805:2005
7. 測色方法 色票の測色は,JIS Z 8722の5.又は6.に規定する方法によって行う。
8. 検査方法 汚染用グレースケールは,4.,5.及び6.について検査を行う。
5
L 0805:2005
附属書1(規定)アダムス−ニッカーソンの色差式による色差
1. 適用範囲 この附属書は,アダムス−ニッカーソンの色差式による色差の求め方について規定する。
2. 色差の計算方法 アダムス−ニッカーソンの色差式による色差は,次の式(1)によって計算する。
⊿EAN=40〔[0.23⊿VY]2+[⊿(VX−VY)]2+[0.4⊿(VZ−VY)]2〕1/2 ・・・・・・・・・・・・・・・(1)
ここに,
⊿EAN: アダムス-ニッカーソンの色差式による色差
⊿VY: アダムス-ニッカーソンの色差式における明度指数の
差
⊿(VX−VY),
⊿(VZ−VY):
アダムス-ニッカーソンの色差式における色座標(VX−
VY),(VZ−VY) の差
VX,VY,VZの値は,標準の光Cを用い,JIS Z 8722に規定する三刺激値X,Y,Zを次の式(2)のAに,
1.019 98X,Y及び0.846 72Zを代入して求める。
V(A)=2.492 68A1/3−1.156 4−〔−0.985/[(0.107 3A−3.084)2+7.54]〕
+0.013 3/A2.3+0.008 4sin(4.1A1/3+1)
+(0.022 1/A)sin[0.39(A−2)]
−(0.003 7/0.44A)sin[1.28(A−0.53)](A>0.9のとき)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
ここに, V(A): XYZ表色系の三刺激値X,Y,ZにおけるVX,VY,VZ
6
L 0805:2005
附属書2(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS L 0805:2005 汚染用グレースケール
ISO 105-A03:1993,繊維−色堅ろう度試験−パートA03:汚染用グレースケール
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際規
格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目
ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線又は実線の側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
1.適用範囲
汚染用グレースケール
ISO 105-A03
1
IDT
2.引用規格
JIS Z 8105
JIS Z 8721
JIS Z 8722
JIS Z 8730
−
−
−
−
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
ISO規格は測色に関する引
用規格はないが,JISは引
用規格のそれぞれ4規格を
追加。
いずれも技術的差異は軽微である。
3.定義
a)無彩色
b)L*a*b*表色系による色差
(⊿E*ab)
c)アダムス-ニッカーソンの
色差式による色差(⊿EAN)
−
−
−
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
ISO規格は定義の項なし。
JISは明確にするため,定
義を追加。
ISO規格は定義の項なし。
JISは明確にするため,定
義を追加。
ISO規格にはアダムス−ニ
ッカーソンはないが,技術
的にJISの方が合理的。
構成の変更のため,技術的差異なし。
構成の変更のため,技術的差異なし。
ISOに提案。
4.色票の色
a)
b)
c)
2
2.1及
び2.3
−
2.4
原理
MOD/変更
MOD/追加
MOD/変更
JISは,ISO規格の2.原理を
4.色票の色として規定。
JISは数値がISO規格と若
干異なっているが,旧規格
どおりとした。
ISOに提案を検討。
7
L 0805:2005
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際規
格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目
ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線又は実線の側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
d)
e)
2.1
−
2.5
使用法
MOD/変更
MOD/追加
MOD/削除
JISは数値がISO規格と若
干異なっているが,旧規格
どおりとした。
表2を追加
JISでは,使用法はJIS L
0801で規定しているため削
除。
5.構造,形状
及び寸法
a)
b)
c)
d)
−
2.1
−
−
MOD/追加
MOD/変更
MOD/追加
MOD/追加
ISO規格は構造の規定がな
い。JISは具体的に規定し,
図1〜4を追加した。
(図1)
(図2〜4)
グレースケールを具体的に製作するた
めには構造,形状及び寸法は必要。国
際規格の見直しのとき,提案を検討す
る。
6.外観
2.5
MOD/変更 ISO規格は外観の項目がな
く,2.5で規定。JISは項目
を設けた。
国際規格の見直しのとき,提案を検討
する。
7.測色方法
2.2
MOD/変更 ISO規格は測色法を2.原理
の項で説明。JISは項目を
設け,具体的に記述。
国際規格の見直しのとき,提案を検討
する。
8.検査方法
−
MOD/追加 ISO規格は検査項目なし。
JISは常識的事項を具体的
に記述。
国際規格の見直しのとき,提案を検討
する。
附属書1(規
定)
−
MOD/選択 ISO規格はCIELAB色差
式,JISはアダムス−ニッ
カーソン色差式を追加し,
その詳細を附属書に規定し
た。
JIS方式について提案を検討する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
8
L 0805:2005
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
― MOD/選択……… 国際規格の規定内容と別の選択肢がある。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。