L 0804:2004
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人スガウェ
ザリング技術振興財団(SWTF)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を
改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で
ある。これによって,JIS L 0804:1994は改正され,この規格に置き換えられる。
改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 105-A02:1993,Textiles−Tests for
colour fastness−Part A02 : Grey scale for assessing change in colourを基礎として用いた。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS L 0804には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定)アダムス−ニッカーソンの色差式による色差
附属書2(参考)JISと対応する国際規格との対比表
L 0804:2004
(2)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 色票の色 ························································································································ 1
5. 構造,形状及び寸法 ········································································································· 2
6. 外観 変 ························································································································ 3
7. 測色方法 ························································································································ 3
8. 検査方法 ························································································································ 3
附属書1(規定)アダムス−ニッカーソンの色差式による色差 ······················································ 4
附属書2(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ··································································· 5
日本産業規格 JIS
L 0804:2004
変退色用グレースケール
Grey scale for assessing change in colour
序文 この規格は,1993年に第4版として発行されたISO 105-A02:1993,Textiles−Tests for colour fastness
−Part A02 : Grey scale for assessing change in colourを元に作成した日本産業規格であるが,対応国際規格に
ない規定内容(色票の色)及び規定(アダムス−ニッカーソンの色差式による色差)を加えている。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変
更の一覧表をその説明を付けて,附属書2(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,染色堅ろう度試験の結果,試験片に生じた変退色の程度を視感によって判定
する場合,その基準として用いる変退色用グレースケールについて規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 105-A02:1993,Textiles−Tests for colour fastness−Part A02 : Grey scale for assessing change in
colour (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 8105 色に関する用語
JIS Z 8721 色の表示方法−三属性による表示
JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色
JIS Z 8730 色の表示方法−物体色の色差
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
a) 無彩色 色相をもたない色(JIS Z 8105を参照)。
b) L*a*b*表色系による色差(ΔE*ab) JIS Z 8722の5.(分光測色方法)又は6.(刺激値直読方法)に
よって測定し,標準の光D65によるX10,D65,Y10,D65,Z10,D65を用い,JIS Z 8730の7.1(L*a*b*表色
系による色差)によって求めた数値。
c) アダムス−ニッカーソンの色差式による色差(ΔEAN) JIS Z 8722の5.又は6.によって測定し,標準
の光CによるX2,C,Y2,C,Z2,Cを用い,附属書1(規定)によって求めた数値。
4. 色票の色 色票の色は,次による。
a) 図1における5号の色票a5,b5及び4-5〜1号の色票のうち,a4-5,a4,a3-4,a3,a2-3,a2,a1-2及びa1は
2
L 0804:2004
無彩色で,刺激値Yが(12±1)%のものとする。
b) 4-5〜1号の色票のうちb4-5,b4,b3-4,b3,b2-3,b2,b1-2及びb1は無彩色であって,それと対をなす色
票より反射率の大きいものとする。
c) 5〜1号の各組の対をなす2枚の色票間には,表1又は表2の色差がなければならない。
d) 各号の色票は,蛍光がなく,かつ,光沢,経時変化がほとんどないものとする。
e) 本体の色票面以外の部分及びマスクの表面の色は,JIS Z 8721の無彩色の記載方式による約N2.5のも
のとする。
表 1 各号色票の色差(ΔE*ab) 表 2 各号色票の色差(ΔEAN)
色 票(号)
色 差
色 票(号)
色 差
5
4-5
4
3-4
3
2-3
2
1-2
1
0
0.8±0.2
1.7±0.3
2.5±0.35
3.4±0.4
4.8±0.5
6.8±0.6
9.6±0.7
13.6±1.0
5
4-5
4
3-4
3
2-3
2
1-2
1
0
0.75±0.2
1.5 ±0.2
2.25±0.2
3.0 ±0.2
4.25±0.3
6.0 ±0.5
8.5 ±0.7
12.0 ±1.0
5. 構造,形状及び寸法 構造,形状及び寸法は,次による。
a) 変退色用グレースケールは,本体及びマスクで構成する。マスクは,グレースケール用及び試験片用
の2個とする。
b) 本体は,図1に示すとおり,5〜1号の間を9段階に分け,各色票を台紙の上に示す。
c) 各号の色票は,各号a,bの色票を組にし,隣接して配置する。
単位 cm
図 1 本体
d) マスクの形状及び寸法は,図2による。
なお,目的に応じ,図3に示すように,同一寸法の窓をもったものを用いてもよい。
0.2
0
+
0.2
0
+
3
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単位 cm
図 2 マスク
単位 cm
図 3 同一寸法の窓を2つ並べたマスク(一例)
6. 外観 変退色用グレースケールには,次のような欠点があってはならない。
a) 各色票のむらなど。
b) 各色票の表面状態の汚れ,こすれなど。
c) マスク表面の色及び表面状態の凹凸むらなど。
7. 測色方法 色票の測色は,JIS Z 8722の5.又は6.に規定する方法によって行う。
8. 検査方法 変退色用グレースケールは,4.,5.及び6.について検査を行う。
参考 変退色用グレースケールは,財団法人日本規格協会で販売している。
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附属書1(規定)アダムス−ニッカーソンの色差式による色差
1. アダムス−ニッカーソンの色差式による色差 アダムス−ニッカーソンの色差式による色差は,次の
式 (1) によって計算する。
ΔEAN=40[{0.23ΔVY}2+{Δ(VX−VY)}2+{0.4Δ(VZ−VY)}2]1/2 ·············· (1)
ここに,
ΔEAN: アダムス−ニッカーソンの色差式による
色差
ΔVY: アダムス−ニッカーソンの色差式におけ
る明度指数の差
Δ(VX−VY),Δ(VZ−VY): アダムス−ニッカーソンの色差式におけ
る色座標(VX−VY),(VZ−VY)の差
VX,VY,VZの値は,標準の光Cを用い,JIS Z 8722に規定する三刺激値X,Y,Zを次の式 (2) のAに,
1.01998X,Y及び0.84672Zを代入して求める。
V(A)=2.49268A1/3−1.5614−[−0.985/{(0.1073A−3.084)2+7.54}]
+0.0133/A2.3+0.0084sin(4.1A1/3+1)
+(0.0221/A)sin{0.39(A−2)}
−(0.0037/0.44A)sin{1.28(A−0.53)}(A>0.9のとき) ···················· (2)
ここに,
V(A): XYZ表色系の三刺激値X,Y,ZにおけるVX,VY,VZ
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附属書2(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS L 0804:2004 変退色用グレースケール
ISO 105-A02:1993 繊維−色堅ろう度試験−パートA02:変退色用グレースケ
ール
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際規
格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目
ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線又は実線の側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
1.適用範
囲
変退色用グレースケール
と規定
ISO 105-A02 1.
IDT
2.引用規
格
JIS Z 8105
JIS Z 8721
JIS Z 8722
JIS Z 8730
−
MOD/追加
ISO規格は測色に関する
引用規格はないが,JIS
は引用規格を追加。
技術的差異なく,問題なし。
3.定義
a)無彩色
b)L*a*b*表色系による色
差(ΔE*ab)
c)アダムス−ニッカーソン
の色差式による色差
(ΔEAN)
−
−
−
MOD/追加
MOD/追加
MOD/追加
ISO規格は定義の項な
し。JISは明確にするた
め,定義を追加。
ISO規格は定義の項な
し。JISは明確にするた
め,定義を追加。
ISO規格にはアダムス−
ニッカーソンはないが,
技術的にJISの方が合理
的。
技術的差異なく,問題なし。
技術的差異なく,問題なし。
ISOに提案。
4.色票の
色
2.
2.1
2.3
2.4
2.5
原理
使用法を記述
IDT
IDT
IDT
MOD/削除
JISは使用法は,JIS L
0801に規定。
技術的差異なく,問題なし。
技術的差異なく,問題なし。
5
L
0
8
0
4
:
2
0
0
4
6
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(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際規
格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目
ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線又は実線の側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
5.構造,
形状及び
寸法
−
MOD/追加
ISO規格は構造の規定が
ない。JISは具体的に規
定し,図示した。
技術的差異なく,問題なし。
6.外観
−
MOD/追加
ISO規格は外観について
の規定項目がないが,
JISは具体的に記述。
技術的差異なく,問題なし。
7.測色方
法
2.2
MOD/追加
ISO規格は測色法を2.原
理の項で説明。JISは項
を設け,具体的に記述。
技術的差異なく,問題なし。
8.検査方
法
−
MOD/追加
ISO規格は検査項目な
し。JISは常識的事項を
具体的に記述。
技術的差異なく,問題なし。
附属書1
−
MOD/追加
ISO規格はCIELAB色差
式,JISはCIELAB色差
式又はアダムス−ニッ
カーソン色差式とし,ア
ダムス−ニッカーソン
色差式を追加したため,
その詳細を附属書とし
た。
二つの色差式のいずれでもよいとし
ているので,問題なし。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
6
L
0
8
0
4
:
2
0
0
4
7
L 0804:2004
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
7
L
0
8
0
4
:
2
0
0
4