L 0204-2:2020
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 用語及び定義 ··················································································································· 1
附属書JA(参考)その他の化学繊維の名称,化学繊維の分類などを表す用語 ·································· 4
附属書JB(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 5
L 0204-2:2020
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,日本化学繊維
協会(JCFA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を改正す
べきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格である。
これによって,JIS L 0204-2:2010は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS L 0204の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS L 0204-1 第1部:天然繊維
JIS L 0204-2 第2部:化学繊維
JIS L 0204-3 第3部:天然繊維及び化学繊維を除く原料部門
日本産業規格 JIS
L 0204-2:2020
繊維用語(原料部門)−第2部:化学繊維
Glossary of terms used in fibre-Part 2: Man-made fibres
序文
この規格は,2013年に第6版として発行されたISO 2076を基に,技術的内容を変更して作成した日本
産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JBに示す。また,附属書JAは対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,繊維工業において原料部門の術語として用いる用語のうち,化学繊維の名称を表す用語に
ついて規定する。
注記1 化学繊維とは,繊維質の形で自然界に生成する材料とは全く異なる製造過程で得られる繊維
をいう。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 2076:2013,Textiles−Man-made fibres−Generic names(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
用語及び定義
化学繊維の名称を表す主な用語及び定義は,次による。
なお,対応英語を参考として示す。
注記 定義の記述で,“基”,“結合”及び“単位”という用語は,次を意味する。
− “基”という用語は,化学で用いる“基”を意味し,例えば,アセテートのヒドロキシ基
(水酸基)を表す。
− “結合”という用語は,化学結合を表す。
− “単位”という用語は,繰返し単位を表す。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2001
レーヨン
ビスコース法で製造されたセルロース繊維。
rayon,
viscose
2002
ポリノジック
平均重合度が450以上の結晶化度が高いレーヨンの一般名称。
polynosic
2003
モダル
高強度及び湿潤時高弾性率のセルロース繊維。
調湿時の引張強さBC及び湿潤状態で伸び率が5 %となるのに要する
強さBMは,次による。
t
M
t
t
C
5.0
2
3.1
T
B
T
T
B
≧
,
+
≧
ここに,Tt:線密度(単位長さ当たりの質量)(dtex)
modal
2
L 0204-2:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2004
リヨセル
有機溶剤紡糸法によって得られるセルロース繊維。有機溶剤とは,
有機化合物と水との混合溶液をいい,溶剤紡糸法とは,セルロース
を誘導体を経ずに直接溶解させて紡糸する方法をいう。
lyocell
2005
キュプラ
銅アンモニア法で製造されたセルロース繊維。
cupro
2101
アセテート
モル比で水酸基の74 %以上92 %未満が酢酸化されている酢酸セル
ロース繊維。この場合,エステル化度は,2.22以上2.76未満とする。
acetate
2102
トリアセテート
モル比で水酸基の92 %以上が酢酸化されている酢酸セルロース繊
維。この場合,エステル化度は,2.76以上3.00以下とする。
triacetate
2103
プロテイン繊維
化学反応によって再生させ,安定化させた天然たんぱく質成分から
成る繊維。
protein fiber
2104
プロミックス
たんぱく質を質量比で30 %以上,60 %未満含み,その他の単位とし
て主にビニルアルコール単位を含む長鎖状合成高分子から成る繊
維。
promix
2201
ビニラール
アセタール化の水準の異なるポリビニルアルコールの長鎖状合成高
分子から成る繊維。
vinylal
2202
ビニロン
ビニルアルコール単位を質量比で65 %以上含む長鎖状合成高分子
から成る繊維。
vinylon
2203
エチレンビニルア
ルコール繊維
モル比で50 %以下のエチレン単位,ビニルアルコール単位などを含
む長鎖状合成高分子から成る繊維。
ethylene vinyl
alcohol fiber
2204
ポリ塩化ビニル
塩化ビニル単位を主成分として形成された長鎖状合成高分子から成
る繊維。
polyvinyl chloride,
chlorofiber
2205
ビニリデン
塩化ビニリデン単位を主成分として形成された長鎖状合成高分子か
ら成る繊維。
polyvinylidene
chloride,
chlorofiber
2206
アクリル
アクリロニトリルの繰返し単位が質量比で85 %以上含む長鎖状合
成高分子から成る繊維。
acrylic
2207
モダクリル
アクリロニトリルの繰返し単位が質量比で35 %以上,85 %未満含む
長鎖状合成高分子から成る繊維。
modacrylic
2208
アクリレート
単量体がアクリレート基(酸型,金属塩型又はエステル類)を質量
比で25 %以上含み,並びにアクリロニトリルの繰返し単位が質量比
で10 %未満,及び架橋中の窒素含有量が質量比で15 %以下を含む
架橋された長鎖状合成高分子から成る繊維。
polyacrylate
2209
ナイロン
繰り返しているアミド結合の85 %以上が脂肪族又は環状脂肪族単
位と結合している長鎖状合成高分子から成る繊維。
nylon,
polyamide
2210
アラミド
2個のベンゼン環に直接結合しているアミド又はイミド結合が質量
比で85 %以上で,イミド結合がある場合は,その数がアミド結合の
数を超えない長鎖状合成高分子から成る繊維。
aramid
2211
ポリエステル
テレフタル酸と2価アルコールとのエステル単位を質量比で85 %以
上含む長鎖状合成高分子から成る繊維。
polyester
2212
ポリエチレンテレ
フタレート
テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル単位を質量比で
85 %以上含む長鎖状合成高分子から成る繊維。略称としてPETが用
いられる。
polyethylene
terephthalate
2213
ポリトリメチレン
テレフタレート
テレフタル酸と1,3プロパンジオールとのエステル単位を質量比で
85 %以上含む長鎖状合成高分子から成る繊維。略称としてPTTが用
いられる。
polytrimethylene
terephthalate
2214
ポリブチレンテレ
フタレート
テレフタル酸と1,4ブタンジオールとのエステル単位を質量比で
85 %以上含む長鎖状合成高分子から成る繊維。略称としてPBTが用
いられる。
polybutylene
terephthalate
2215
ポリアリレート繊
維
単量体が全て芳香族化合物で,その結合部分がモル比で85 %以上を
エステル結合とする長鎖状合成高分子から成る繊維。
polyarylate fiber
3
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
2216
ポリ乳酸
乳酸エステル単位を質量比で50 %以上含む長鎖状合成高分子から
成る繊維。
polylactide
2217
ポリエチレン
置換基のない飽和脂肪族炭化水素で構成する高分子で,長鎖状合成
高分子から成る繊維。
polyethylene
2218
ポリプロピレン
2個当たり1個の炭素原子にメチル基の側鎖がある飽和脂肪族炭化
水素で構成する高分子で,立体規則性があり,他に置換基のない長
鎖状合成高分子から成る繊維。
polypropylene
2219
ポリウレタン
ポリウレタンセグメントを質量比で85 %以上含み,張力をかけない
ときの長さの3倍に伸長したとき,張力を除くとすぐ元の長さに戻
る長鎖状合成高分子から成る繊維。
polyurethane,
elastane
2220
ふっ素繊維
脂肪族フルオロカーボン単量体の繰返しで構成する長鎖状合成高分
子から成る繊維。
fluorofiber
2221
ポリイミド
イミド基単量体の繰返しをもつ長鎖状合成高分子から成る繊維。
polyimide
2222
ポリエーテルエス
テルエラストマ
ー
エステル系熱可塑性エラストマーの一種であって,単量体がポリテ
トラメチレングリコールとポリブチレンテレフタレートとのブロッ
ク共重合体から構成された長鎖状合成高分子から成る繊維。
polyeterester
elastomer
2223
ポリフェニレンサ
ルファイド
単量体が主にフェニレンサルファイドから構成された長鎖状合成高
分子から成る繊維。略称としてPPSが用いられる。
polyphenylene
sulfide
2224
アルギネート
アルギン酸の金属塩から成る繊維。
alginate
2225
エラストジエン
天然又は合成のポリイソプレン又は1種以上のビニルモノマーと共
重合し合成されることもあるジエン共重合物から成る繊維で,張力
をかけないときの長さの3倍に伸長したとき,張力を除くとすぐに
元の長さに戻る繊維。
elastodiene,
rubber
2226
エラストオレフィ
ン
エチレン及びエチレン以外の1種類以上のオレフィンから成る部分
架橋させた高分子を質量比で95 %以上含み,張力をかけないときの
長さの1.5倍に伸長したとき,張力を除くとすぐ元の長さに戻る長
鎖状合成高分子から成る繊維。
elastolefin
2227
メラミン繊維
メラミン誘導体から成る架橋高分子を質量比で85 %以上含む長鎖
状合成高分子から成る繊維。
melamine fiber
2228
ポリカーボアミド
ウレイレン(NH-CO-NH)官能基の繰返し分子鎖をもつ直鎖状合成
高分子から成る繊維。
polycarbamide
2229
トリビニル
アクリロニトリルターポリマー及び塩化ビニルモノマー及びその他
のビニルモノマーをいずれも質量比で50 %未満含む長鎖状合成高
分子から成る繊維。
trivinyl
2230
ポリベンゾイミダ
ゾール
イミダゾール基を含む長鎖状芳香族高分子から成る繊維。略称とし
てPBIが用いられる。
polybenzimidazol
2231
キチン繊維
キチン及びその誘導体から作られる繊維。
chitin fiber
2301
炭素繊維
有機繊維のプレカーサーを加熱炭素化処理して得られる,質量比で
90 %以上が炭素で構成される繊維。
carbon fiber
2302
ガラス繊維
溶融ガラスを延伸して得られる繊維。
glass fiber
2303
金属繊維
金属から得られる繊維。
metal fiber
2304
セラミック繊維
アルミナ(Al2O3)を質量比で40 %以上含む繊維。
ceramic fiber
4
L 0204-2:2020
附属書JA
(参考)
その他の化学繊維の名称,化学繊維の分類などを表す用語
JA.1 一般
この附属書は,本体で規定していないが比較的消費量の多い化学繊維の名称,及び繊維の分類を示す名
称のうち,化学繊維に関するものについて,用語及び定義を記載するものである。この附属書は,本体の
規定に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
JA.2 その他の化学繊維の名称を表す用語
本体で規定していないが比較的消費量の多い化学繊維の用語及び定義を次に示す。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2801
黒鉛繊維
炭素繊維を更に高温度で熱処理した繊維。
graphite fiber
2802
スラグ繊維
製鉄のときに出る鉱さいから作った繊維。
slag fiber
2803
芳香族ナイロン繊
維
単量体が主に芳香族化合物で,その結合部分がアミド結合による長
鎖状合成高分子から成る繊維。
aromatic
polyamide fiber
2804
脂肪族ナイロン繊
維
単量体が主に脂肪族化合物で,その結合部分がアミド結合による長
鎖状合成高分子から成る繊維。
aliphatic
polyamide fiber
JA.3 化学繊維の分類などを表す用語
繊維の分類を示す名称のうち,化学繊維に関するものの用語及び定義を次に示す。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2901
化学繊維
繊維質の形で自然界に生成する材料とは全く異なる製造過程で得ら
れる繊維の総称。人造繊維ともいう。
chemical fiber,
man-made fiber
2902
再生繊維
セルロース,たんぱく質などの天然高分子材料を溶解し,繊維の形
態に再生した化学繊維。
regenerated fiber
2903
半合成繊維
セルロース,たんぱく質などの天然高分子材料に化合物を反応させ
たものを原料とし,これを繊維の形態にした化学繊維。
semi-synthetic
fiber
2904
合成繊維
合成高分子材料を原料とし,これを繊維の形態にした化学繊維。
synthetic fiber
2905
無機繊維
無機材料から成る化学繊維。
inorganic fiber
2906
有機繊維
無機繊維以外の化学繊維の総称。
organic fiber
2907
セルロース繊維
セルロースを主成分とした化学繊維の総称。
cellulose fiber
2908
フィラメント,
長繊維
実質的に無限の長さをもつ繊維。単独のフィラメントで構成される
ものをモノフィラメント,複数本のフィラメントで構成されるもの
をマルチフィラメントという。
filament
2909
ステープル,
短繊維
紡績用,詰わた用,不織布用などで使用される短く切断した繊維。 staple fiber
2910
複合繊維
複数の成分によって構成される化学繊維。複数の成分が長さ方向に
連続して張り合わされた芯さや(鞘)型,並列型及び海島型,一方
の成分が他方の成分中に分散するブレンド型などがある。改質成分
と未改質成分とを組み合わせた場合も複合繊維という。
5
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附属書JB
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS L 0204-2:2020 繊維用語(原料部門)−第2部:化学繊維
ISO 2076:2013,Textiles−Man-made fibres−Generic names
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
2 用語及び
定義
−
4
化学式の例
削除
JISでは化学式の例は不要なため
削除。
日本国内の事情によるもので,
ISOには提案しない。
2002 ポリノジック
2104 プロミックス
2202 ビニロン
2203 エチレンビニルアル
コール繊維
2204 ポリ塩化ビニル
2205 ビニリデン
−
追加
ISO規格にはないが,JISで追加
している。
日本国内で生産されている化学繊
維を追加している。必要に応じて
ISOへの追加提案を行う。
2207 モダクリル
アクリロニトリルの繰
返し単位が質量比で
50 %以上,85 %未満
変更
JISでは,アクリロニトリルの繰
返し単位が35 %以上,85 %未満に
変更している。
日本国内での生産品に合わせて修
正している。ISOには提案しない。
2208 アクリレート
2212 ポリエチレンテレフ
タレート
2213 ポリトリメチレンテ
レフタレート
2214 ポリブチレンテレフ
タレート
2215 ポリアリレート繊維
−
追加
ISO規格にはないが,JISで追加
している。
日本国内で生産されている化学繊
維を追加している。必要に応じて
ISOへの追加提案を行う。
2216 ポリ乳酸
乳酸エステル単位が質
量比で85 %以上
変更
JISでは,乳酸エステル単位が質
量比で50 %以上に変更している。
日本国内での生産品に合わせて修
正している。ISOには提案しない。
2
L
0
2
0
4
-2
:
2
0
2
0
6
L 0204-2:2020
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
2用語及び
定義(続き)
2222 ポリエーテルエステ
ルエラストマー
−
追加
ISO規格にはないが,JISで追加
している。
日本国内で生産されている化学繊
維を追加している。必要に応じて
ISOへの追加提案を行う。
附属書JA
(参考)
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 2076:2013,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
L
0
2
0
4
-2
:
2
0
2
0