L 0204-1 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。これによって,JIS L 0204-1972は廃止され,この規格並びにJIS L 0204-2及びJIS L
0204-3に置き換えられる。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
L 0204-1 : 1998
繊維用語(原料部門)−
第1部:天然繊維
Glossary of terms used in fiber−Part 1:Natural fibres
序文 この規格は,1984年に第1版として発行されたISO 6938, Textiles−Natural fibres−Generic names and
definitionsを翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。
1. 適用範囲 この規格は,主要な天然繊維の名称と定義について規定する。
2. 繊維のタイプ
2.1
天然繊維 天然繊維は,天然に生じた繊維とし,それらは,その起源によって,動物,植物及び鉱
物に分類する。
2.2
動物繊維 これらには,次のものを含む。
a) 絹せん(腺)からの繊維:フィブロインの二つのフィラメントがセリシンで一緒ににかわ(膠)つけ
された形態をした,幾つかの昆虫,特にちょうが(蝶蛾)類りんし(鱗翅)目の幼虫が分泌する絹せ
んからの繊維。
b) 毛のう(嚢)からの繊維:ある種の動物の外被状の毛,外被,頭髪又は尾を形成する,ケラチン(角
質)から成る,多細胞性構造の毛のうからの繊維。
2.3
植物繊維 これらには,次のものを含む。
a) 種子からの繊維:ほとんど全体がセルロースで形成された,種子の表皮細胞によって生み出された単
細胞構造のもの。
b) じん(靱)皮からの繊維:主にセルロースから成り,外皮と細胞間物質(ペクチン体,リグニン,ヘ
ミセルロース)を伴う,ある種の植物のじん皮から得られる複合繊維。
c) 葉脈からの繊維:細胞質とリグニン,ヘミセルロースから成り,外皮と細胞間物質を加えた主にセル
ロースから成る,葉脈から得られる複合繊維。
d) 果実からの繊維:細胞質とリグニン,ヘミセルロースから成り,外皮と細胞間物質を加えた主にセル
ロースから成る,果実から得られる複合繊維。
2.4
鉱物繊維 鉱物繊維は,主にけい素から成る繊維状構造の岩から得られる。
3. 繊維の一般名称
3.1
動物繊維
3.1.1
絹せんからの繊維
2
L 0204-1 : 1998
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番号
用語
定義
対応英語及びフランス語(参考)
3.1.1.1
絹
蚕 (Bombyx mori) から吐出された繊維
SILK, Soie
3.1.1.2
野蚕絹(1)
山蚕 (Antheraea mylitta, Antheraea pernyi,
Antheraea yama-may, Antheraea roylei, Antheraea
proylei) から吐出された繊維
TASAR, Tasar
3.1.1.3
野蚕絹(1)
山蚕 (Antheraea assamensis) から吐出された繊維
MUGA, Muga
3.1.1.4
野蚕絹(1)
山蚕 (Phylosamia ricini) から吐出された繊維
ERI, Eri
3.1.1.5
アナヘ(1)
アナへ蚕 (Anaphe) から吐出された繊維
ANAPHE, Anaphe
3.1.1.6
バイサス
軟体動物 (Pinna nobilis) から吐出された繊維
BYSSUS, Byssus
注(1) 3.1.1.2〜3.1.1.5に関する名称は,“絹”という用語に含めてもよい。
3.1.2
毛のうからの繊維
番号
用語
定義
対応英語及びフランス語(参考)
3.1.2.1
羊毛
羊,ラム (Ovis aries) からの繊維
WOOL, Laine
3.1.2.2
アルパカ(2)
ラマ科アルパカ (Lama pacos) からの繊維
ALPACA, Alpaga
3.1.2.3
アンゴラ(2)
アンゴラうさぎ(兎) (Oryctolagus cuniculus) か
らの繊維
ANGORA, Angora
3.1.2.4
カシミヤ(2)
カシミヤやぎ(山羊) (Capra hircus laniger) から
の繊維
CASHMERE, Cashemire
3.1.2.5
らくだ(2)
らくだ (Camelus bactrianus) からの繊維
CAMEL, Chameau
3.1.2.6
ガナコ(2)
ラマ科ガナコ (Lama huanaco) からの繊維
GUANACO, Guanaco
3.1.2.7
ラマ(2)
ラマ (Lama glama) からの繊維
LAMA, Lama
3.1.2.8
モヘヤ(2)
アンゴラやぎ (Capra hircus aegagrus) からの繊維
MOHAIR, Mohair
3.1.2.9
ビキューナ(2)
ビキューナ (Lama vicugna) からの繊維
VICUNA, Vigogne
3.1.2.10
ヤク(2)
ヤク [Bos (Poephagus) grunniens] からの繊維
YAK, Yack
3.1.2.11
牛毛(3)
雄牛 (Bos taurus) からの繊維
COW, Boeuf
3.1.2.12
ビーバー(3)
ビーバー (Castor canadensis) からの繊維
BEAVER, Castor
3.1.2.13
鹿(3)
鹿 (Genus cervus) からの繊維
DEER, Daim
3.1.2.14
やぎ(3)
普通やぎ (Genus capra) からの繊維
GOAT, Chevre
3.1.2.15
馬毛(3)(4)
馬 (Equus caballus) からの繊維
HORSE, Cheval
3.1.2.16
うさぎ(兎)毛(3)
普通うさぎ (Oryctolagus cuniculus) からの繊維
RABBIT, Lapin
3.1.2.17
野うさぎ毛(3)
野うさぎ(Lepus europaeus及びLepus timidus)か
らの繊維
HARE, Lievre
3.1.2.18
かわうそ(3)
かわうそ (Lutra lutra) からの繊維
OTTER, Loutre
3.1.2.19
ヌートリヤ(3)
沼たぬき(狸) (Myocastor coypus) からの繊維
NUTRIA, Myocastor
3.1.2.20
アザラシ(3)
アザラシ (Family pinnipedia) からの繊維
SEAL, Phoque
3.1.2.21
じゃこうねずみ(3)
じゃこうねずみ (Fiber zibathicus) からの繊維
MUSKRAT, Rat musque
3.1.2.22
トナカイ(3)
トナカイ (Genus rangifer) からの繊維
REINDEER, Renne
3.1.2.23
ミンク(3)
ミンク [Mustela (Lutreola) vison] からの繊維
MINK, Vison
3.1.2.24
てん(3)
てん (Mustela martes) からの繊維
MARTEN, Martre
3.1.2.25
黒てん(3)
黒てん (Mustela zibellina) からの繊維
SABLE, Zibeline
3.1.2.26
いたち(3)
いたち (Mustela misalis) からの繊維
WEASEL, Belette
3.1.2.27
くま(熊)(3)
くま (Ursus arctos) からの繊維
BEAR, Ours
3.1.2.28
おこじょ(3)
おこじょ (Mustela erminea) からの繊維
Hermine
3.1.2.29
アーティックきつね
(狐)(3)
アーティックきつね (Vulpus lagopus, Canisisatis)
からの繊維(北極狐)
ARTIC FOX, Renard Arctique
注(2) 3.1.2.2〜3.1.2.10に関する名称は,羊毛 (3.1.2.1) 及び/又はヘヤー (3.1.2.17) の用語に含めてもよい。
(3) 3.1.2.11〜3.1.2.29に関する名称は,ヘヤー (3.1.2.17) の用語に含めてもよい。
(4) 馬の尾及びたてがみは,ホースヘヤー繊維,馬の胴体からの毛はホースコート繊維。
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L 0204-1 : 1998
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3.2
植物繊維
3.2.1
種子からの繊維
番号
用語
定義
対応英語及びフランス語(参考)
3.2.1.1
綿
綿 (Gossypium) の植物の種子からの単細胞繊維
COTTON, Coton
3.2.1.2
アクンド
アクンド(Calotropis ginantea及びCalotropis
procera)の種子からの繊維
AKUND, Akund
3.2.1.3
カポック
カポック木 (Ceiba pentandra) の種子しょう(鞘)
からの単細胞繊維
KAPOK, Kapok
3.2.2
じん皮繊維
番号
用語
定義
対応英語及びフランス語(参考)
3.2.2.1
大麻
大麻 (Cannabis sativa) の茎からの繊維
HEMP, Chanvre
3.2.2.2
えにしだ
えにしだ(Cytisus scoparius及びSpartium junceum)
の茎からの繊維
BROOM, Genet
3.2.2.3
黄麻
黄麻(Corchorus capusularis及びCorchorus
olitorius)の茎からの繊維
JUTE, Jute
3.2.2.4
ケナフ
ケナフ (Hibiscus cannabinus) の茎からの繊維
KENAF, Kenaf
3.2.2.5
亜麻
亜麻 (Linum usitatissimum) の茎からの繊維
FLAX, Lin
3.2.2.6
ラミー
ちょ(苧)麻 (Boehmeria nivea,
Boehmeria tenacissima) の茎からの繊維
RAMIE, Ramie
3.2.2.7
ローゼル
ロセール (Hibiscus sabdariffa) の茎からの繊維
ROSELLE, Roselle
3.2.2.8
インド麻
インド麻(インド産たぬき豆:Crotalaria juncea)
の茎からの繊維
SUNN, Sunn
3.2.2.9
ぼんてんか
ウレナ(Urena lobata及びUrena sinuata)の茎から
の繊維
URENA, Urena
3.2.2.10
いちび
いちび(Abutilon angulatum, Abutilonavicennae及び
Abutilon theophrasti)の茎からの繊維
ABUTILON, Abutilon
3.2.2.11
パンガ
パンガ(Clappertonia ficifolia, Triumfetta cordifolia
及びTriumfetta rhomboidea)の茎からの繊維
PUNGA, Punga
3.2.2.12
青色バシクルモン
青色バシクルモン (Apocynum androsae,
Apocynum cannabinum) の茎からの繊維
BLUISH DOGBANE, Bluish
Dogbane
3.2.3
葉脈繊維
番号
用語
定義
対応英語及びフランス語(参考)
3.2.3.1
マニラ麻
マニラ麻 (Musa textilis) の葉からの繊維
ABACA, Abaca
3.2.3.2
アフリカハネガヤ
アフリカハネガヤ(Stipa Tenacissima及びLygeum
spartum)の葉からの繊維
ALFA, Alfa
3.2.3.3
アロエ
アロエ (Furcraea gigantea) の葉からの繊維
ALOE, Aloe
3.2.3.4
フィキュー
フィキュー (Furcraea macrophylla) の葉からの繊
維
FIQUE, Fique
3.2.3.5
ヘネケン
ヘネケン (Agave fourcroydes) の葉からの繊維
HENEQUEN, Henequen
3.2.3.6
マゲイ
マゲイ (Agave cantala) の葉からの繊維
MAGUEY, Maguey
3.2.3.7
ニュウサイラン
ニュウサイラン (Phormium tenax) の葉からの繊
維
PHORMIUM, Phormium
3.2.3.8
サイザル麻
サイザル (Agave sisalana) の葉からの繊維
SISAL, Sisal
3.2.3.9
タムピコ
タムピコ (Agave funkiana) の葉からの繊維
TAMPICO, Tampico
4
L 0204-1 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.2.4
果実繊維
番号
用語
定義
対応英語及びフランス語(参考)
3.2.4.1
ココヤシ
ココナツヤシ (Cocos nucifera) の外皮からの繊維 COIR, Coco
3.3
鉱物繊維
番号
用語
定義
対応英語及びフランス語(参考)
3.3.1
石綿
繊維状天然けい素
ASBESTOS, Amiante