令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標準化法の用語に合わ
せ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
日本産業規格 JIS
L 0202-1995
家庭用編機用語
Nomenclature of hand knitting machine
1. 適用範囲 この規格は,家庭用編機の部品及び操作の用語について規定する。
2. 分類 用語は,次の2分類とする。
(1) 部品
(2) 操作
3. 用語及びその定義 用語及びその定義は,次のとおりとする。
なお,参考として対応英語を示す。
(1) 部品
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1010
家庭用編機
主に家庭用として用いる編機(手編機ともいう。)。
hand knitting machine
1020
本体
キャリジ及び附属品を除いた機械を構成する部分。
machine body
1021
みぞ板
メリヤス針を前後に作動させるための案内になる,みぞ
のある板。
needle bed
1022
シンカ
シンカループをつくり,そのループを保つもの。くし歯
ともいう。
sinker post
1023
針押さえ
針の脱落や不要な動きを防止するもの。
needle retainer
1024
レール
キャリジ移動の案内となるレール。
carriage rail
1030
キャリジ
カム機構をもち,みぞの上を左右に移動して針を動かし,
編成する装置。
carriage
1031
カム
キャリジの往復運動によって,針を動かして編目をつく
る働きをするもの。
knitting cam
1032
ハンドル
キャリジを移動させるための握り。
carriage handle
1033
編目ダイヤル
編目の粗密を調節する装置。
stitch dial
1034
選針装置
模様を編むために,作動させる針を選別する装置。
needle selector
1040
編地押さえ
編目のべら越しを助け,編地を押さえる装置。
fabric presser
1041
糸口
針に糸を供給する部分。
yarn feeder
1042
べらブラシ
べらを開くブラシ。
clearing brush
1050
メリヤス針
ニードルループをつくるべらのある針(付図1参照)。
latch needle
1051
フック
針のかぎの部分(付図1のa参照)。
hook
1052
ステム
針のフックとバットの間の部分(付図1のb参照)。
stem
1053
バット
針のカムの接触する部分(付図1のc参照)。
butt
1054
シャンク
針のバットから後ろの部分(付図1のd参照)。
shank
1055
べら
針のフックに作用して開閉する部分(付図1のe参照)。 latch
1060
テンション
糸の張りを調整する装置。
tension regulator
1070
補助レール
両端に接続させ,キャリジの脱落を防止するもの。
extension rail
2
L 0202-1995
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1080
編出し板
(あみだしばん)
編地をつくるために最初のループをつくる用具。
cast on comb
1090
取付け金具
編機を取り付けるための金具。
table clamp
1091
柄板
(がらいた)
模様を編むために針の配列を変える板。
pattern plate
1092
かぎ針
編目をつくるために一端又は両端にかぎのある針。
crochet needle
1093
タッピ
編目をつくるためにメリヤス針に柄を付けた用具。
tappet tool
1094
うつし
針にかかっている編目を移し変えるための用具。
transfer tool
1095
おもり
編地を引き下げるおもり。
weight
1096
抜糸
(ぬきいと)
本編みと捨編みとを分離させるために用いる糸。編出し
にも用いる。
ravelling cord
1097
段数計
編んだ段数を表示するもの。
row counter
1100
本機
(ほんき)
ゴム編機を取り付けるのに必要な家庭用編機。
knitting machine (knitter)
1200
ゴム編機
ゴム編模様を編むために本機に取り付けるアタッチメン
ト。リブニッターともいう。
ribbing attachment
(ribber)
1300
成形指示器
自動的に成形の案内をし,増減目・増減段を表示する器
具。
automatic fashioning
indicator
1400
自動糸交換装置
糸口の糸を自動的に切り換える装置。
automatic yarn changer
1500
ガータ板
(がーたばん)
ガータ編模様を編むために用いる用具。
garter bar
1600
リンキングマシン
とじはぎをする機械。
linking machine
(2) 操作
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2010
編成
(へんせい)
編むこと。
knitting
2020
編出し
(あみだし)
編地をつくるための最初のループをつくること。
casting on
2030
編地
(あみじ)
編むことによってできる布状のもの。
knitted fabric
2040
本編み
(ほんあみ)
目的とする編地。
main knitting
2050
捨編み
(すてあみ)
編み始め又は編み終わりに本編み以外に編んだ部分。
waste knitting
2060
編目
(あみめ)
編地の基礎となるループの組合せの単位。
stitch
2061
表目
(おもてめ)
キャリジを動かしてできる編目の裏側(向こう側)の編
目。
knit stitch
2062
裏目
(うらめ)
キャリジを動かしてできる編目の表側(手前)の編目。 purl stitch
2063
ニードルループ
引き出してできたループ(付図2のa参照)。
needle loop
2064
シンカループ
ニードルループとニードルループの間のループ(付図2
のb参照)。
sinker loop
2070
コース
横方向の編目列(付図2のX−X参照)。
course
2080
ウェール
縦方向の編目列(付図2のY−Y参照)。
wale
2090
目数
(めかず)
1コース上の編目の数。
number of stitch (es)
2100
段数
1ウェール上の編目の数。
number of row (s)
3
L 0202-1995
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2110
編幅
(あみはば)
編地のコース方向の長さ。
knitting width
2120
編丈
(あみたけ)
編地のウェール方向の長さ。
knitting length
2130
ゲージ
編地10cm当たりの目数及び段数(目数×段数で示す。)。 knitting gauge
2140
成形
減らし目,増目などによって縁の編目を増減して編地を
形づけること。
fashioning
2150
減らし目
目数を減らすこと。
decrease
2160
増目
(ましめ)
目数を増やすこと。
increase
2170
目移し
(めうつし)
針にかかっているニードルループを他の針にかけかえる
こと。
transferring stitch
2200
平編み
(ひらあみ)
編目がすべて同方向に引き出して編まれる基本組織。メ
リヤス編みともいう(付図2及び付図3参照)。
stockinet (plain knitting)
2210
ゴム編み
ウェールが表目,裏目の繰り返しによってできる編地(付
図4参照)。
rib stitch
2220
ガータ編み
コースが表目,裏目の交互の繰り返しによってできる編
地(付図5参照)。
garter stitch
2230
引返し編み
コースの途中から編み残し,又は編み進んでできる編地。 partial knitting
2240
模様編み
各種の柄を編み出した編地。
pattern stitch
2241
レース編み
レースのようにすかし穴をつくった編地。
lace stitch
2242
引上げ編み
二つ以上のループで一つの編目をつくってできる編地。 tuck stitch
2243
滑目編み
(すべりめあみ)
あるコースで編まないメリヤス針を小単位に選び,編む
針と編む針との間に糸を滑らせてできる編地。
slip stitch
2244
添糸編み
(そえいとあみ)
複数の編糸を二つの異なる糸口に入れて編むことによっ
て,同時に表裏に編み分けてできる編地。
platting stitch
2245
編込み編み
同コースに2色以上の糸が編み込まれてできる編地。
fair isle (knit-in)
2246
スレッド編み
編地の中に別の糸を織り込むような形にはさんでできる
編地。
weaving stitch
2247
針抜き編み
はじめから任意の動かさない針を設け,その部分に糸が
わたってできる編地。
broad stitch
2248
引きそろえ編み
複数の糸を同じ糸口に入れて編んでできる編地。
knitting with some yarns
together
2249
添糸レース編み
太さの異なる2タイプの糸を一緒に編むが,同じコース
で一部の針を細糸だけで編んでレースの表現をする編地
(編込みレース又はパンチレースともいう。)。
punch lace pattern
2250
タックレース編み
ループが2本の針に同時にかかることによってできる編
地。
fine lace pattern
2251
アーガイル編み
模様編みで,同じコースの裏目側に編み込まれた編糸が
渡らない編地。
intarsia
2252
ダブルジャカード
編み
本機とゴム機をセットし,主に2段ごとに糸交換をして
編むことによって同じコースに配色糸が編み込まれてい
るように見える編地。
double jacquard
2260
はぎ合わせ
編地の目(コース)と目をつなぎ合わせること。
grafting
2270
とじる
編地の段(ウェール)と段をつなぎ合わせること。
seaming
2280
とじはぎ
段(ウェール)と目(コース)をつなぎ合わせること。
又はとじたり,はぎ合わせたりすることの総称。
joining
2290
伏せ止め
編目どうしをかぶせながらとめること。
latch tool binding off
2300
巻き止め
編地の目を,とじ針で返し縫いの要領でとめること。
back stitch binding off
2310
べら越し
ループがメリヤス針のフックを越すこと。
latcb over
4
L 0202-1995
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2320
タッピ返し
編目を外して数段ほどき,タッピのフックにほどいた横
糸をかけて引き出し,目直しすること。
reforming a rib stitch with
latch tool
2400
横目不ぞろい
各コースの編目の大きさが異なり,編地に不均一な横筋
ができること。
course stripes
2410
縦目不ぞろい
各ウェールの編目の大きさが異なり,編地に不均一な縦
筋ができること。
sinker line
2420
不作動針
操作中使用されない針。
inoperative needle
2430
作動針
操作中使用される針。
operative needle
2440
編成針
編目をつくっている針。
working needle
2450
休針
(やすみばり)
編目を保ったまま編まない針。
holding needle
5
L 0202-1995
付図1 メリヤス針
付図2 平編み(表)
付図3 平編み(裏)
付図4 ゴム編み
付図5 ガータ編み
6
L 0202-1995
改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
望 月 哲太郎
つくば国際大学(財団法人日本実務技能検定協会)
(委員)
藤 野 達 夫
通商産業省機械情報産業局
岡 林 哲 夫
工業技術院標準部
櫻 井 純 子
文部省初等中等教育局
髙 部 和 子
大妻女子大学
本 間 マサエ
シルバー精工株式会社
石 渡 順 子
ブラザー販売株式会社
野 田 恭 子
株式会社雄鶏社
矢 島 典 子
株式会社学習研究社
日野原 久 子
株式会社講談社
川 辺 ナ ツ
株式会社主婦と生活社
加 納 修 子
株式会社主婦の友社
生 方 博 子
株式会社日本ヴォーグ社
本 川 恒
株式会社ブティック社
原 田 まさ子
学校法人文化学園
渡 辺 貞 一
社団法人全国編物学校連盟
細 田 一 夫
財団法人全日本編物教育協会
藤 本 葉
財団法人日本編物検定協会
(事務局)
仁 保 義 和
財団法人日本編物検定協会