L 0122:2003
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本アパレル工業
技術研究会(JATRA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS L 0122:1987は改正され,この規格に置き換えられる。
JIS L 0122には,次に示す附属書がある。
附属書(規定)和服の縫製用語
L 0122:2003
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 分類 ······························································································································ 1
4. 用語の定義 ····················································································································· 2
附属書(規定)和服の縫製用語 ······························································································ 20
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
L 0122:2003
縫製用語
Glossary of terms used in sewing
1. 適用範囲 この規格は,衣料の縫製に関する主な用語について規定する。ただし,機械及び器具に関
する用語は除く。
備考 和服の縫製に関する用語は,附属書(規定)による。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部を構成する。こ
れらの規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS L 0120 ステッチ形式の分類と表示記号
JIS L 0121 シームの分類と表示記号
3. 分類 分類は,次による。
a) パターン
1) 種類
2) 作図
b) 縫製準備工程
1) 生地の受入れ
2) 型入れ
3) 延反
4) 裁断
c) ステッチ
1) ステッチ形式
2) その他
d) シーム
1) 目的による縫い
2) 裁ち目の始末
3) まつり・刺しなど
4) その他
e) プレス
f)
縫製システム
g) 欠点
h) 副資材関連
1) 裏
2
L 0122:2003
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2) しん
3) ボタン・ファスナなど
4) テープ
5) その他
4. 用語の定義 用語及び定義は,次による。
なお,参考として対応英語を示す。
a) パターン
1) 種類
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
1101
パターン
裁断縫製用の図形。
pattern
1102
原型
衣服を作るときの基本となるパターン。
basic pattern
1103
スローパ
原型から転換したアイテム,デザイン別に応用する基
本となるパターン。
sloper
1104
上り型パターン
縫い代の付いていない仕上り状態のパターン。
1105
工業用パターン
そのまま裁断縫製できる縫い代付きパターン。工場設
備などに対応し,品質維持,生産効率などに配慮した
もの。
industrial pattern
1106
マスターパターン
デザインの展開やグレーディングの元になるデザイ
ンを表現した基本サイズのパターン。
master pattern
1107
グレードパターン
グレーディングしたパターン。
graded pattern
1108
型紙
パターンを紙などに原寸大に表したもの。
paper pattern,
dress pattern
1109
縮小パターン
縮小したパターン。
reduced pattern,
miniature pattern
1110
グレーディング
サイズに合わせてマスターパターンを拡大・縮小する
こと。
grading
1111
マニプレーション
デザイン及び体型に合わせて型紙を操作すること。パ
ターン展開ともいう。
manipulation
1112
パターンメーキング
パターンを作ること。
pattern making
2) 作図
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
1201
縫い代
縫い目から布端までの部分又はその寸法。
outlet seam,
seam allowance
1202
折り代
布地の折り目から布端までの部分又はその寸法。ヘム
ともいう。
1203
縫い込み
仕立てる際,必要な縫い代以外のゆとり分の布地を縫
い込んでおくこと又はその部分。
1204
わなどり
わ(輪)に構成されるように型紙をつくること。
1205
わな裁ち線
わ(輪)に裁つ位置を表す線。
fold edge line
1206
裁ち出し
デザインの関係で,ある部分を本体に続けてパターン
を作ること。
1207
持ち出し
あきの部分に付ける重ね分のこと。
1208
切替え
1枚のパターンで構成する部分をデザインや他の目的
で切り離し,複数のパターンで構成すること。
1209
縫い目
縫い合わせる線。
seam
1210
仕上り線
パターンの仕上りを表す線。上り線ともいう。
outline
3
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
1211
裁ち切り線
仕上り線に縫い代などを加えた線。
cutting plane line
1212
裁ち切り寸法
仕上り寸法に縫い代などを加えた寸法。
1213
ゆとり
衣服に必要な機能性をもたせるために身体寸法に加
える量(機能量)。
slack
1214
ゆるみ
ゆとりのほかに,衣服のデザインによって加える量(デ
ザイン量)。
loose
1215
合印
縫い合わせのとき,合致させる点を示す印。ノッチと
もいう。
notch mark
1216
折り返し線
折り返す位置,又は折り目を付ける位置を表す線。
return line
1217
ステッチ線
飾り縫いの位置を表す線。
stitch line
1218
地の目線
布地の縦方向を表す線。
warp line,
grain line
1219
基礎線
目的の線を描くための基礎となる線。基準線,基線と
もいう。
base line
1220
グレーディングポイ
ント
パターン及び型紙を拡大・縮小したりする基準点。
grading point
1221
人台
人体に似せた形状をもち,外側を布などで覆ったも
の。ダミーともいう。
dress form,body stand,
dummy
b) 縫製準備工程
1) 生地の受入れ
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
2101
チューブ反
丸編地で切り開かれていない状態の生地。丸反ともい
う。
2102
開き反
丸編地で切り開かれた状態の生地。
2103
巻き反
筒状の支管に巻かれた状態の生地。
2104
たたみ反
折り畳まれた状態の生地。
2105
板巻き反
板状の支管に巻かれた状態の生地。
2106
中表巻き
巻き反で生地の表が内側に巻かれている状態。
2107
外表巻き
巻き反で生地の表が外側に巻かれている状態。
2108
ダブル幅
127 cm(50 インチ)以上の幅。
2109
シングル幅
127 cm(50 インチ)未満の幅。
2110
ロット
編織や染色加工などの同一品の加工単位。
2111
総長
生地全体の長さ。
2112
予尺(余尺)
生地の長さの計測誤差やロス分として加えられる生
地の長さ。
2113
S引き
きずなどで使用できない部分に対応した長さ。
2114
純長
総長から予尺,S引きを差し引いた生地の長さ。
2115
生地幅
布地の両耳間の幅。
2116
規格幅
設計及び契約上の生地幅。
2117
有効幅
実際に使用できる生地幅。
2118
検反
生地の幅,長さ,色むら,きずなどを検査すること。 fabric inspection
2119
原反格付け
きずなど欠点の内容による生地のランク分け。A反,
B反,C反などと呼ばれる。
2120
端尺反
規格以外の長さの生地。
2121
地の目
生地のたて糸又はよこ糸の線。布目ともいう。
grain
2122
地のし
裁断する前にあらかじめ生地の収縮する性質を取り
除いたり,布目の修正をするために霧を吹いてアイロ
ンをかけるなどの方法によって修正すること。
4
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番号
用語
定義
対応英語 (参考)
2123
スポンジング
地のしを機械的に行うこと。
sponging
2124
熱収縮
生地が熱によって収縮すること。
heat contraction
2125
緩和収縮
張力を取り除いたり,熱及びスチームをかけて,ひず
みを除くことによる生地の収縮。
relaxation shrinkage
2) 型入れ
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
2201
型入れ
要尺が少なくなるよう生地,用紙などの上に型紙を配
列すること。コンピュータによる場合には型紙の図形
データを入力し,最適な配列を行うこと。
pattern layout
2202
マーキング
型入れと同義語。
marking
2203
図入れ
型紙を生地の上などに配置し,その形を書き入れるこ
と。
mark tracing
2204
要尺
1着の衣服を作るために必要となる生地の長さ。
necessary length of the
cloth
2205
マーキングシート
型入れしたシート。
marking sheet,
marker sheet
2206
マーカ幅
マーキングをするときに設定する生地幅。
2207
マーカ長
マーキングされた長さ。
2208
取数
生地1反で採れる着数又は型入れの着数。
2209
一型入れ
一人分を型入れし,裁断すること。
2210
二型入れ
二人分を型入れし,裁断すること。
2211
サイズ込み取り
複数のサイズを複数人取りすること。
2212
差込取り
生地の毛並み方向が順逆自由な方向の配列をするこ
と。
nap either way
2213
着分一方向取り
一着分単位に一方向裁ちをすること。同一マーカ内の
他の着分とは取り方向が異なる場合がある。
nap updown
2214
一方裁ち
すべてのパーツを生地の毛並みを同一の方向に合わ
せて裁断すること。
nap one way
2215
横地取り
生地の縦方向に対して90° 回転の配列をすること。
2216
型入れ効率
マーカエリア全体の面積に対する型紙面積の総和の
割合。
2217
パーツ数
マーカ上の型紙の数。
2218
着分パーツ数
一着分に必要な型紙の数。
2219
ピースデータ
コンピュータにおける型紙のデータ。パーツデータと
もいう。
piece data
2220
マーカデータ
コンピュータにおけるマーキングのデータ。
marking data
2221
カットデータ
コンピュータにおける自動裁断機を稼動するための
データ。
cutting data
2222
ブロッキング
粗裁で型紙の周囲に一定量の余裕をつけること。
blocking
2223
柄合わせ
生地の柄に合わせて型紙の配列や裁断をすること。
2224
目立て
生地の編み目に合わせて型紙の配列や裁断をするこ
と。
2225
ミニチュアマーカ図
縮小した型入れ図。
3) 延反
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
2301
解反
巻かれた状態の生地をほどいて折り畳んだ状態にす
ること。
2302
放反
解反又は延反した状態で,巻き取り時のひずみを少な
くするためにそのまま置いておくこと。
5
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番号
用語
定義
対応英語 (参考)
2303
延反
裁断するために,必要な長さや重ね枚数に従って生地
を台の上に広げること。
spreading
2304
折り返し延反
ある延反する長さに対して往復した状態に重ねて延
反すること。
2305
一方向延反
生地の毛並みの方向を同一方向にそろえて延反する
こと。
spreading in face to back
2306
耳揃え
自動裁断機のカット台上に取り込んだ延反した生地
の片方の耳を裁断機に合わせてセットすること。
2307
延反長
マーカ長に一定の余裕を加えて延反した生地の長さ。 spreading length
2308
重ね枚数
延反する生地の重ね枚数。
2309
下敷き紙
延反した生地の移動などを容易にするために下に敷
く紙。
2310
中敷き紙
延反の途中でロット変り,きず引きなどの目印のため
に敷く紙。
2311
耳カット
耳つり(生地の両耳部がつっている状態)を解消する
ために生地の両耳部に切込みをいれること。
2312
倍取り
指定マーカ長の倍の長さで延反をすること。
2313
上敷きシート
自動裁断で,バキューム効果を上げるのために延反し
た生地の上に敷くシート。
2314
スプリットマーク
生地のきずが入った部分のマーク。
split mark
2315
中表重ね
2枚の生地を重ね合わせるとき,生地の表が内側にあ
る状態。
face to face
2316
外表重ね
2枚の生地を重ね合わせるとき,生地の表が外側にあ
る状態。
face one way
4) 裁断
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
2401
裁断
生地を目的の形又は大きさに切ること。
cutting
2402
自動裁断
自動機械によって裁断すること。
automatic cutting
2403
竪刃裁断
竪刃裁断機(ナイフを機械的に上下動させる裁断機)
を用いて,手動で裁断すること。
hand knife cutting
2404
バンドナイフ裁断
バンドナイフ(ループ状のナイフを機械的に回転させ
る裁断機。)を使用して,手で生地を移動し裁断する
こと。
band knife cutting
2405
ナイフカット
刃物によって裁断すること。
knife cutting
2406
ウォータジェット裁
断
高圧の液体をノズルから噴出させて裁断すること。
water jet cutting
2407
ヒートカット
電熱線によって裁断すること。
heat cutting
2408
レーザカット
レーザ光線によって裁断すること。
leser cutting
2409
手裁ち
はさみなどを使って,手によって裁断すること。
hand cutting
2410
はさみ裁ち
はさみを使って裁断すること。
shears cutting
2411
包丁裁ち
包丁を使って裁断すること。
2412
型抜き
刃型を使って生地を押し切りすること。ダイカット
又は打ち抜きともいう。
dies cutting
2413
粗裁ち
柄,布目を合わせるなどの目的で正確に裁断する前に
所要の大きさに裁断すること。
rough cutting
2414
本裁ち
最終目的の形状に正確に裁断すること。
cutting out the pieces
2415
大裁ち
裁断作業での生地の取扱いを容易にするため所要の
長さに裁断すること。
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
2416
小裁ち
大裁ち又は粗裁ちされた裁断布を正確に裁断するこ
と。
cutting out the small pieces
2417
バイアス裁ち
斜め方向に裁断すること。
bias cutting
2418
横裁ち
横方向に裁断すること。
weft cutting
2419
耳裁ち
生地の耳部を利用した裁断をすること。
2420
1枚裁ち
生地を重ね合わせないで,1枚で裁断すること。
2421
重ね裁ち
生地を重ね合わせて,裁断すること。
2422
広げ裁ち
ダブル幅の生地を広げた状態で延反し,裁断するこ
と。
2423
ダブル裁ち
ダブル幅の生地を幅方向に中表に折り畳んだ状態で
延反し,裁断すること。
2424
別裁ち
種々の目的のために別に裁断すること。
2425
井げた(桁)カット
長方形のパーツの裁断で,カットする順序を“井”の
字の書き順で裁断すること。
2426
対称裁断
えりなど裁断精度を要する場合で,上下及び左右が対
称となるような順に裁断すること。
2427
クリップ止め
裁断布を移動などする場合,ずれ防止のためにクリッ
プで止めること。
2428
スタンピング
チャコ,パウダーなどで裁断布に印入れをすること。 stamping
2429
Iノッチ
縫い代の内側に入るスリット状の合い印。
I notch
2430
Vノッチ
縫い代の内側に入るV状の合い印。
V notch
2431
凸ノッチ
縫い代の外側に出る三角状の合い印。
convex notch
2432
角切
パーツの方向が分かるように角を切り落とすこと。
2433
裁断布
所定の形に裁断された生地。断品,パーツ,布地とも
いう。
cutted fabric
2434
きず引き
裁断布にきずがある場合,該当する裁断布一着分を取
り外すこと。
2435
裁ち替え
きずのある裁断布だけを裁ち替えること。
2436
残反
裁断したあとの残った生地。フェンツともいう。
2437
裁断屑
裁断後,不要となった布のあまり。
2438
目打ち
1.裁断のとき,パーツ内部の位置の印入れ。ドリル
ホールともいう。
2.先のとがった縫製用器具。
awl
2439
裁ち目
裁断地の切口。
cut edge
2440
共布
同一の生地。
same fabric
2441
カットワーク
本体に付けたレースなどの縁に沿って,身生地を切り
抜くこと。
cut work
2442
ピンキング
裁ち目をのこぎりの歯形などのように切ること。
pinking
c) ステッチ
1) ステッチ形式
備考 用語,クラス,定義及び対応英語は,JIS L 0120(ステッチ形式の分類と表示記号)によっ
ている。
番号
用語
クラス
定義
対応英語 (参考)
3101
ステッチ
糸又は糸のループが,自糸ルーピング,他糸ルーピン
グ,他糸レーシングし,又は布の中に入り若しくは布
を通り抜けてできる形態の1単位。
stitch
7
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
クラス
定義
対応英語 (参考)
3102
単環縫い
(100)
1本以上の針糸で形成し,自糸ルーピングを特徴とす
るステッチ形式。一つ又はそれ以上のループが布を通
り抜け,その後に次のループと自糸ルーピングしてス
テッチ形式を構成する。
chain stitch
3103
手縫い
(200)
もともと手縫いで作ることを特徴とするステッチ形
式。糸は,1本の線で布を通り抜け,その外側を通る
糸の1本の線でステッチ形式を構成する。
hand stitch
3104
本縫い
(300)
二つ又はそれ以上の糸のグループで形成し,それらの
グループの糸が他糸レーシングすることを一般的な
特徴とするステッチ形式。一つのグループの糸のルー
プが,布を通り抜けて他のグループの1本又はそれ以
上の糸とステッチ形式を構成する。
lock stitch
3105
二重環縫い
(400)
二つ又はそれ以上の糸のグループで形成し,二つのグ
ループの糸が他糸ルーピングすることを一般的な特
徴とするステッチ形式。一つのグループの糸のループ
は,布を通り抜けて他のグループの糸のループと他糸
レーシング及び他糸ルーピングをしてステッチ形式
を構成する。
multi-thread chain stitch
3106
縁かがり縫
い
(500)
一つ又はそれ以上の糸のグループで形成し,少なくと
も一つのグループの糸のループが布の縁端を回って
いるのを一般的な特徴とするステッチ形式。一つのグ
ループの糸のループは,布を通り抜け,次のループが
これを通り抜ける前に自糸ルーピングしてステッチ
形式を構成し,又は布を通り抜けたグループの次のル
ープがこれを通り抜ける前に,既に他糸ルーピングし
ている他のグループの糸のループと他糸ルーピング
してステッチ形式を構成する。
over-edge chain stitch
3107
偏平縫い
(600)
二つ又はそれ以上の糸のグループで形成し,それらの
グループの中の二つのグループの糸が布の表裏両面
を飾るのを一般的な特徴とするステッチ形式。第一の
グループの糸のループは, 既に布の上面にできてい
る第三のグループの糸の中に入って,これを貫通し,
その下面で,第二のグループの糸のループと他糸ルー
ピングしてステッチ形式を構成する。
参考 このステッチ形式の唯一の例外はJIS L 0120の
601であり,これは,二つのグループの糸だけ
が使われ, 第三のグループの糸の働きは, 第
一のグループの糸の中の1本によって行う。
covering chain stitch
2) その他
備考 用語,定義,対応英語及び定義の中で示している例は,JIS L 0121(シームの分類と表示記
号)によっている。
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
3201
すくい縫い
布の表面に縫い目を現さないように,その厚みの間を
すくうようにして縫うこと。
例 5.29.01
blind stitch
3202
千鳥縫い
連続して千鳥形に縫う縫い方。ジグザグ縫いともい
う。
zigzag stitch
8
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
3203
返し縫い
(1) 手縫いによる運針の戻る縫い方。JIS L0120-付図2
の205の縫い方。
(2) ミシンの返し縫い装置を操作して後進縫いを行う
こと。
revers stitch
3204
安全縫い
縁縫いに隣接して,合せ縫いが同時に独立して形成さ
れる縫い方。
safety stitch
d) シーム
1) 目的による縫い
備考 定義の中で示している例は,JIS L 0121による表示記号である。
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
4101
シーム
1枚又は数枚の布地にステッチを連続的に施したも
の。縫い目ともいう。
seam
4102
地縫い
2枚以上の布地を中表に合わせて裏の方から一緒に縫
い合わせること。
例 1.01.01
plain seam
4103
伏せ縫い
縫い代の押さえとほつれ止めを兼ねた縫い方の一種
で,平伏せ縫いともいう。
(1) 縫い代を片返しにし,内側になる縫い代を適切に
切り落とし,外側になる縫い代だけに表布を縫い付け
る縫い方。
(2) 縫い代を片返しにして裏布に縫い付ける縫い方。
例 2.02.03・2.05.02
welt seam
4104
半伏せ縫い
一方の布地だけ縁を二つ折りにしてはぎ合わせる縫
い方。
lapped seam
4105
折り伏せ縫い
縫い代の押さえとほつれ止めを兼ねた縫い方の一種。
(1) 縫い代の一方を適切に切り落とし,それを包むよ
うに他の方の縫い代を折り返し,その折り山のすぐ際
を縫って表布に縫い付ける縫い方。
(2) 縫い代の一方を適切に切り落とし,他方の縫い代
をそれに突き合わせるように折り返し,その折り山の
すぐ際を縫って,表布に縫い付ける縫い方。
例 2.06.01
flat fell seam
4106
両伏せ縫い
縫い代の押さえとほつれ止めを兼ねた縫い方の一種。
一方の布地の端を裏に折り,その折り山を他方の布地
の印に合わせておき,その折り山のすぐ際を縫って2
枚の布地を縫い合わせ,次に折り返した布地の縫い代
を適度に切り落とし,他方の布地の端をそれに突き合
わせるように折り返し,一方の布地に縫い付ける縫い
方。
例 2.06.01
fell seam
4107
巻き伏せ縫い
2枚の布地の端を相互に巻込むように縫うこと。
例 2.04.01〜08
4108
割り伏せ縫い
縫い代の押さえとほつれ止めを兼ねた縫い方の一種。
縫い代を左右に割り,その縫い代を更に内側に折り返
して表布に縫い付ける縫い方。
top stitched seam
4109
割り押さえ縫い
縫い代を左右に割り,裁ち目のまま表布に縫い付ける
縫い方。
例 4.03.03
double top seam
9
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
4110
はさみ縫い
2枚の布地の間などに他の布地又はひもを挟んで縫う
こと。
piped seam
4111
はさみ端縫い
2枚の布地の間などに他の布地を挟んでその端を縫う
こと。
edge-stitched piped seam
4112
はぎ
布地をつなぎ合わすこと。はぎ合せともいう。
joining
4113
割りはぎ
布地のはぎ合せの一種で,2枚の布地を中表に合わせ
地縫いした後,縫い代を左右に割り縫い合わせるこ
と。
例 4.03.03
open seam
4114
重ねはぎ
布地のはぎ合せの一種で,2枚の布地の端を重ね合わ
せてはぐこと。
例 2.01.01
4115
突き合せはぎ
布地のはぎ合せの一種で,2枚の布地の端を突き合わ
せてはぐこと。
例 4.01.01
4116
突き合せ千鳥はぎ
千鳥縫いで行う突き合せはぎ。
butted zigzag seam
4117
袋縫い
2枚の布地を外表に合わせて縫い合わせ後,裏に返し,
裁ち目を中に包むようにして縫うこと。
例 1.06.03
french seam
4118
合せ縫い
2枚以上の布地を合わせて縫うこと。
over lapped seam
4119
重ね縫い
2枚以上の布地を重ねて縫うこと。
super imposed seam
4120
突き合せ縫い
布地の端を双方から突き合わせた状態に縫うこと。
butted seam
4121
毛抜き縫い
布地の折り端を毛抜き合せにして縫うこと。
4122
飾り縫い
(1) 縫い構成が装飾を主とした縫い方。
(2) 布地の表に出る縫い目の線が飾りとして用いられ
る縫い方。
(1) decorative stitch
(2) top stitch
4123
コーディング
ひも付け押さえを用いて,布地の上にししゅう糸,ひ
もなどを縫い付けること。
例 5.08.01
cording
4124
ピコット
環状又はギザギザ状の縁飾り。
picot stitch
4125
サテンステッチ
千鳥縫いで,送り量を少なくし,上糸を並べ埋めた縫
い目。
satin stitch
4126
スカラップステッチ
点線模様縫いや,千鳥縫いの一種で,円弧状の縫い目。 scallop stitch
4127
こばステッチ
布地の折り端の飾り縫い。
plain seam,
top stitch
4128
二重縫い
同じ縫い目を重ねて二度縫うこと。
例 1.01.01
double stitched seam
4129
二条縫い
平行にして二条に縫うこと。
例 1.01.03
4130
段差縫い
縫い代幅を違えて行う地縫い。
例 1.02.01
4131
ファゴティング
2枚の布地の端を一定の間隔をおいて向かい合わせ,
その間を点線千鳥縫いや点線模様縫いなどの縫い目
を用いて,つなぎ合わせる装飾的な縫い方。
例 4.01.01
fagoting
4132
仮縫い
仮に縫うこと。注文服では体に合わせて補正するた
め,しつけ糸で仮に縫うこと。
basting
4133
つくろい縫い
布地の損傷した箇所をつくろう縫い方。
(1) 千鳥縫いを送り量を少なくして縫う縫い方。
(2) 直線縫い,返し縫いを交互に繰り返す縫い方。
10
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
4134
押さえ縫い
縫い合わせた布地を押さえるために縫うこと。
例 2.02.03・2.05.01〜07
lapped seam
4135
片倒し押さえ縫い
縫い代を片側へ倒し,起き上がらないように押さえる
ために縫うこと。
4136
へミング
すそを折り返して縫い止めること。
hemming
4137
当て縫い
当て布などを当てて縫うこと。
attaching a facing
4138
つまみ縫い
布地を裁ち切らずにつまんでタック状にして縫うこ
と。
tucked seam
4139
通し縫い
ある部分からある部分までを連続して縫うこと。
stitching through
4140
補強縫い
補強のために縫うこと。
reinforcing seam
4141
伸び止め縫い
布地の伸びを止めるために縫うこと。
stay stitching
4142
回り縫い
周囲を一周して縫うこと。
round stitching
4143
角縫い
角の部分を縫うこと。
corner stitching
4144
先縫い
鋭角の部分を縫うこと。
sharp corner stitching
4145
落とし縫い
地縫いして返したところに表から縫い目が分からな
いように縫うこと。落としミシンともいう。
例 3.14.01・4.07.03
concealed seam under
stitching
4146
額縁縫い
角の縫い方の一種で,でき上がった状態が額縁の角の
ように縫い線が形成される縫い方。
mitering
4147
せっぱかがり
穴糸などを鎖状にしたもので,あきみせの飾り止めに
用いる。
sewing sham buttonholes
4148
穴かがり
穴状になった部分をほどけないようにかがり始末し
た縫い方。
holing
4149
ボタン穴かがり
ボタン穴にかがること。眠り穴かがり,はとめ穴かが
りなどがある。
button holing
4150
丸穴かがり
丸穴にかがること。菊穴かがりともいう。
making eyelet
2) 裁ち目の始末
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
4201
縁縫い
布地の縁の部分をほつれ防止又は飾りの意味を加味
して縫い合せを行う縫い方。へり縫いともいう
over edging
4202
玉縁縫い
布地の裁ち目を玉縁布によって縫い包むこと。
例 3.03.01・3.05.01〜09・3.14.01
4203
パイピング
布地の縁に別布をパイプ状に縫い付けること。
例 1.15.01〜03
piping
4204
コードパイピング
コード(しん)を入れたパイピング。
例 1.18.01・1.19.01
cord piping
4205
バイアス縁どり縫い
バイアス布を使って縁縫いをすること。
bound seam with bias strip
4206
くるみ縫い
布地の端を三つ折りにして,その折り代に他の布地の
端を挿入して折り代の上から縫うこと。
4207
二つ折り縫い
布地の端を二つ折りにして縫うこと。
例 6.02.01
filling seam
4208
三つ折り縫い
布地の端を三つ折りにして縫い付けること。
例 6.03.01・6.03.08
three fold seam
4209
四つ折り縫い
布地の両端を内側に折り,その両端の折り代を中側に
なるように重ね,上から縫うこと。
four fold seam
4210
四つ折り端縫い
布地の端を四つ折りにして縫うこと。
例 6.04.01
four fold edge seam
11
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
4211
巻き縫い
布地の端を少し折り返し,内側に巻き込むように縫う
こと。ラッパ(巻具)を使用することがある。
例 1.08.01
rolled seam
4212
三つ巻き縫い
三つ巻き押さえなどを用いて布地の端を三つ折りに
しながらその上を縫い止めること。
例 6.03.01
4213
合せ三つ巻き縫い
2枚の布地の裁ち目を重ね,5〜10 mm内側に巻き込
み,その上から縫うこと。
例 1.21.01・1.21.02
4214
太三つ巻き縫い
折り代部分の広い三つ巻き縫い。
4215
端縫い
布地の裁ち目を折り返し,その折り山の際を縫うこ
と。端ミシンともいう。
4216
捨て縫い
(1) 縫い代の始末の一種で,縫い代を折らずにその裁
ち目の際を縫うこと。
例 6.01.01
(2) 本縫いで縫う前にあらかじめ一部を縫っておくこ
と。捨てミシンともいう。
例 1.01.01
4217
ほつれ止め
布地の裁ち目などをほつれないように始末すること。
4218
すそ引き
布地の端を折り曲げ,縁縫いミシンなどによって行う
すその始末。
例 6.06.01
blind over edging
4219
かがり縫い
布地の端のほつれを止めるために縫うこと。
over casting
4220
裁ち目かがり
裁ち目のかがり縫い。縁かがり,千鳥かがりがある。 serging
3) まつり・刺しなど
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
4301
まつり
布地の織り糸1本をすくうように,表に糸をほとんど
出さなようにする縫い方。普通のまつりは縫い目は斜
めになる。
例 6.03.03
blind stitch
4302
まつり縫い
まつること。
blind stitching
4303
手まつり
まつりを手縫いによって行うこと。
hand blind stitch
4304
機械まつり
まつりを機械によって行うこと。
machine blind stitch,
hemming stitch
4305
たてまつり
糸足を目立たせずに縫い目を縦にしてしっかり止め
るまつり方。主に裏付きの場合の裏始末に用いる。
slip stitch
4306
千鳥まつり
千鳥状のまつり。
blind zigzag stitch
4307
奥まつり
布地の折り山から少し入ったところに行うまつり。
blind felling stitch
4308
渡しまつり
布地の端を折った2枚の布地を突き合せにして止める
まつり。はしごまつりともいう。
例 4.03.01
whip stitch
4309
刺し縫い
2枚以上の布地を動かないようにするため,又はカラ
ーやラペルなどにしん(芯)を止めて,一定の方向へ
の弾力をもたせるために施す縫い方。
pad stitch
4310
ハ刺し
2枚以上の布地をすくい縫いによる刺し縫いする縫い
方。
例 5.29.01
diagonal padding seam
4311
手刺し
手縫いによる刺し縫い。
hand padding
12
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4312
星縫い
表面に糸をあまり現さないで,2枚又は数枚の布地を
動かさないようにする縫い方。星止めともいう。
4313
本星
表から裏まで,糸を抜き通し,表裏とも返し縫いで止
める星縫い。抜き星ともいう。
4314
すくい星
表から裏に糸をすくい,表側だけ返し縫いで止める星
縫い。
4315
はな(端)星
背広などの前端に使う星縫い。
4316
奥星
身返しなどの奥に行う星縫い。
4) その他
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
4401
割る
縫い代を左右に開くこと。
seam opening
4402
縫い割り
縫い合わせてその縫い代を割ること。
seam opening
4403
ひだとり
ひだを作ること。
ruffing
4404
プリーツ
布地に加工することによって作ったひだ又は折り目。 pleat
4405
片ひだ
片方から寄せて作ったプリーツ。
side pleat
4406
両ひだ
中心に向かって左右から寄せて作ったプリーツ(裏側
が箱ひだになっている。)。
inverted pleat
4407
箱ひだ
折り山が裏で突き合わせになったプリーツ。
box pleat
4408
ダーツ
一端又は両端を縫い消して,平面を曲面化するつま
み。前,後,わき,胸,肩,ウエストダーツなどがあ
る。
dart
4409
タック
布地をつまんで作ったひだで,ダーツのように縫い消
さないもの。
tuck
4410
ピンタック
布地の折り山の際を縫って作った細いタック。
pintuck
4411
シェルタック
貝がらを直線に並べたようなタック。
shelltuck
4412
シャーリング
一定の間隔をおいて2本以上の縫い目で布地を縫い縮
め,不規則な波形のひだを作ること。
shirring
4413
ギャザー
布地を細かく縫い縮めた状態。
gather
4414
スモック
布地を細かく縫い縮めて糸で止めながら作った,飾り
のひだ。
smock
4415
スモッキング
布地をシャーリングした後,その上から装飾のため,
ジグザグ模様縫いなどで,模様を縫い付けること。
smocking
4416
縫い返し
縫って布地を返すこと。
stitch and turn
4417
折り返し
衣服のすそなどの折り代を折ること又はその折り代。
4418
縫い代さらい
合せ縫いの後に,縫い代を少なめに切り落とすこと。 grading a seam allowance
4419
段差カット
2枚の縫い代による厚みを減らすために,1枚の縫い
代をカットすること。
4420
裁ち合せ
粗断ちされた布地をパターンに合わせ裁断しなおす
こと。
4421
角出し
すっきりと角度をだすために縫い代を中から押し出
すこと。
4422
先出し
先端がとがるよう縫い代をカットし,中から押し出す
こと。
pointing
4423
角とり
バイアスを方向転換するとき,角度を正確に出すこ
と。
chamfer
4424
どんでん返し
袋状に縫って,表側にひっくり返すこと。
turn back
4425
縫い消し
ダーツなどの地縫いのとき,布端に斜めに縫いながら
自然に布端で縫い止めること。
4426
しつけ
2枚以上の布地を仮止めすること。
baste
4427
切りびつけ
正確に縫うための糸による印。
thread marker
13
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
4428
ぐし縫い
ギャザー,いせなどを入れるため,あらかじめ布地を
縫っておくこと。
4429
とじ
2枚以上の布地をまとめ,縫い合わせること。
joining
4430
中とじ
衣服の表地と裏地などを中側でとじること。
4431
止め縫い
止めておくための縫い。
4432
しん止め
しん地を止めること。
4433
しんすえ
前身ごろの表地にしん地を据えること。
4434
しつけ止め
しつけ縫いによる止め。
4435
まつり止め
まつり縫いによる止め。
4436
くさり止め
糸をくさり状にして止めること。
4437
せっぱ止め
穴糸又は地縫い糸を用い,2枚の布を間隔をもたせて
止めること。
4438
かんぬき止め
縫い目がほどけやすい箇所やポケットなどのあき止
まりの部分を補強するための縫い。かん止めともい
う。
bar tacking
4439
仮止め
仮に止めること。
temporal tacking
4440
ふらし
止め付けや,はり(貼)付けをせずに浮かせておくこ
と。
4441
毛抜き合せ
縫い返した縫い目が毛抜きのように,おがみ合せにな
ること(表裏の折り山がそろうようにすること。)。
4442
もみ出し
中まで入っている縫い目を表から見える位置まで手
で押し出すこと。
4443
くせとり
布地を立体化するために,伸ばす,追い込み,いせる
などによって布地を変形させる操作。
forming
4444
いせ
布地を立体的にするためタックやギャザーにならな
いように布地の一定方向の寸法を短くすること。
edging contracting,
ease
4445
追い込み
いせる作業をするとき,布地の奥行をもって行うこ
と。
4446
ころし
布地を,プレスなどによって目的の形になじませてセ
ットすること。
setting
4447
ひかえる
(1) 縫い代を少なくすること。
(2) 表裏に差をつけること。
4448
きせ
縫い返しで縫い目と折り目との差をつけ,ゆとりをも
たせること。例えば,背裏の中心などに用いる。
fullness
4449
きせかけ
きせをつけること。
4450
根巻き
ボタンを浮かして付けるとき,糸足に糸を巻き付ける
こと。
wind thread shank
4451
融着縫製
縫いに代わり高周波などを利用して縫製すること。
e) プレス
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
5001
プレス
スチーム,電熱などを利用して,布地をこてなどの間
に挟んで,適度な圧力をかけることによって折り曲
げ,くせとり,しん地の接着,仕上げなどを行うこと。
press
5002
仕上プレス
衣服の製造工程の最後に行うプレス。
finish up press
5003
中間プレス
衣服の製造工程中に行うプレス。
under press
5004
成型プレス
布地をこての型状に合わせて,立体的にするプレス。 moulding press
5005
くせとりプレス
くせとりのためのプレス。
forming press
5006
しんすえプレス
しんすえのためのプレス。
foregart forming press
14
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5007
接着プレス
しん地などを布地に接着するためのプレス。ヒュージ
ングプレスともいう。
fusing press
5008
割りプレス
縫い代を左右に開いた状態にするためのプレス。
5009
折りプレス
布地を折り曲げて,折り目を付けるためのプレス。
crease press
5010
返しプレス
地縫いした部分を返して,その縫い目を押さえて,形
を整えるためのプレス。
5011
セットプレス
形を整えるためのプレス。
set press
5012
パーマネントプレス
衣服に恒久的な形態安定性を与えるためのプレス。
permanent press
5013
スチーミング
プレスの作業条件の一つで,加湿,加熱のために蒸気
をふかすこと。
steaming
5014
べーキング
プレスの作業条件の一つで,熱処理のため加熱を行う
こと。
baking
5015
プレッシング
プレスの作業条件の一つで,加圧をすること。
pressing
5016
バキューミング
プレスの作業条件の一つで,空気を吸引することによ
って除湿,冷却を行うこと。
vacuuming
5017
ブローイング
プレスの作業条件の一つで,空気を噴き出すことによ
って除湿,冷却を行うこと。
blowing
5018
クーリング
プレスの作業条件の一つで,冷却すること。
cooling
f)
縫製システム
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
6001
縫製
(1) 裁断から縫い,仕上げまでの全体の作業。
(2) 上記 (1) のうち,裁断と仕上げを除いた作業。
(1) sewn products
manufacturing
(2) sewing room operation
6002
縫製作業システム
縫製現場での作業のための仕組み。
sewing operation system
6003
丸上げ
分業しないで一人で縫製する方式。1着分をまとめて
流すシステム。
block system
6004
シンクロシステム
全体の作業を同期化し,作業者のもち時間を均一化し
た作業のシステム。
synchro-flow system
6005
バンドルシステム
分業によって作業をするもので,品物が束ねられて流
されるシステム(バンドルはひもなどで束ねたものの
意味。)。
bundle system
6006
コンベヤシステム
工程間の搬送をコンベヤで行うシステムでベルトコ
ンベヤシステム,ハンガコンベヤシステムがある。
conveyer system
6007
セレクタコンベヤシ
ステム
工程間の搬送で行先を選ぶことができる機能をもっ
たコンベヤシステム。
selector conveyer
6008
組作業
少人数のグループ編成で一人の熟練者を中心とした
グループごとに作業を完了するシステム.
group system
6009
QRSシステム
複数の立ミシンによって構成されるワークステーシ
ョンと1着分の全パーツを搭載したハンガを使用し,
少人数で行うシステム。
quick response sewing
system
6010
モジュラーシステム
少人数の編成(15名程度)の生産方式で,個々の作業
量の過不足をグループ内で調整する。チームソーイン
グともいう。
modular manufacturing
sewing system
6011
ユニットプロダクシ
ョンシステム
セレクタコンベヤを用いた生産方式で,ハンガに搭載
されたパーツ又は半製品をユニットとして流すシス
テム。ラインバランスは監督者が調整する。
UPS (unit production
system)
6012
立ミシン生産システ
ム
少人数で立ミシンを使用し,工程順に設備を横並びで
U字形に配置したシステム。
15
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
g) 欠点
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
7001
縫い外れ
布地の端を縫うとき,縫い目が布地から外れること。 missing stitch
7002
目とび
縫い目の構成において,糸のからみ合いが行われない
こと。縫いとびともいう。
skipping stitch
7003
糸切れ
縫い糸が切れていること。
broken thread
7004
糸のささくれ
縫い糸がささくれていること。
hangnail of sewing thread
7005
縫い目曲がり
縫い目が所定の方向でなく曲がったもの。
seaming bow
7006
縫いずれ
重ね合わせて布地を縫ったときの各々の布地のずれ。 sewing slippage
7007
縫い縮み
縫うことによって布地が縮むこと。
shrinkage by sewing
7008
ピリ
縫い縮み。縫いずれによって縫い目の近辺に部分的に
発生する細かいつれ,しわ。
7009
シームパッカリング
縫い目の近辺に発生する縫いじわがやや規則的に続
いたもの。
seam puckering
7010
運針不足
縫い目数が基準値より少ないもの。
7011
縫い目笑い
糸締まりが悪いため,縫い目が割れて縫い糸が見える
もの。
seam grinning
7012
縫い目パンク
縫い目に力がかかったときに,縫い代不足,縫い糸切
れなどによって縫い目が外れること。
blank stitch
7013
縫い目スリップ
縫い目に力がかかったときに,その部分の布地の構成
糸が動いて縫い目が開いたり,縫い代が抜けること。
slipping seam
7014
縫い目滑脱
縫い目スリップの同義語。
7015
縫い目伸度不良
布地の伸びに縫い目が対応できないもの。
7016
縫い目ほつれ
縫い糸がほどけているもの。
seam bray
7017
喰いつき(つまみ縫
い)
縫い目の一部へ他の部分を巻き込み,つまんだように
縫われたもの。
7018
ラン
(1) 編み目切断部分からウェール方向に出たはしご状
のきず。伝線ともいう。
(2) 縫い代又は縫い目から布地組織に横方向へ走った
筋又はほつれ。
run
7019
地糸切れ
縫製時のミシン針や送り歯によって布地の構成糸が
切断されること。
broken material
7020
針穴きず
針が通された後のきず。
needle hole damage
7021
針あとのこり
縫い直し,しつけ縫いなどによって布地の構成糸は損
傷していないが,針穴のあとが目立つもの。
needle mark
7022
糸始末不良
縫い始め,縫い終わりの糸端の切り忘れで,長いもの
又は切り残しが不適切なもの。
7023
縫い継ぎ不良
縫い継ぎの部分の重なりがないか,少なくてほつれの
おそれのあるもの又はその外観不良のもの。
thread joint sewing defects
7024
縫い糸調子不良
縫い目がふぞろい又は上下糸の結節点の位置が偏っ
ていたり,乱れていて見苦しいもの。
thread tension defect
7025
縫い止め不良
縫い始め,縫い終わりのほつれ止めを忘れたもの,不
完全なもの,又はその外観の劣るもの。
7026
メス切れ不良
メスの切れ味が悪く,切り口がささくれて見苦しいも
の。
trimmer defect
7027
縫い代倒し不良
アイロン,プレスの押さえが弱く,縫い代が十分に倒
れていないもの又は倒した方向が違っているもの。
7028
縫い代不良
縫い代の過不足で機能不良が生じたもの(スリップな
ど)。
16
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
7029
折り代不良
折り代の過不足で外観不良が生じたもの(縫い目のご
ろつきなど)。
7030
糸返り
縫い針の貫通時の力によって布地の構成糸が回転し
て裏面の糸が表面に向いて起こる筋。
thread return
7031
糸ひけ
縫い針,裁断器具などによって糸の一部が移動して,
光沢異状や柄くずれをおこしたもの。
weaving thread lift
7032
送り歯きず
ミシンで布送りのときにできる送り歯のきず。
feed dog defect
7033
押さえ金きず
押さえ金具のきず,又は押さえ金の圧力が強すぎるた
め,発生するきず。
7034
甘いえり返り
えりが正常な返り止まり位置で折り返らず,止まり位
置より上部に緩く返った状態。
7035
辛いえり返り
えりが正常な返り止まり位置で折り返らず,止まり位
置より下部にきつく返った状態。
7036
そでの進み
そでが正常な位置より前向きに付いているもの。
7037
そでの逃げ
そでが正常な位置より後ろ向きに付いているもの。
7038
前身の拝み
前身ごろの打合いが正常な打合い位置より重なりす
ぎているもの。
7039
前身の逃げ
前身ごろの打合いが正常な打合い位置より開きすぎ
ているもの。
7040
前身の泳ぎ
身ごろの前端が波打っているもの。
front curling
7041
つきじわ
背えりみつ付近に現れるつき上げられたように見え
るあまりじわ。
creases in neck piece
7042
たすきじわ
ネックポイントよりわきへかけて斜めに出るたすき
を掛けたようなしわ。
diagonal deep creases of
body
7043
だきじわ
身ごろのそでぐりやわき下付近におこる斜めじわ。
diagonal deep creases of
side
7044
裏地のふき出し
すそ及びそで口の裏地が表地より長く出ているもの。
7045
スラックスの歩き
スラックスをつり下げてわき側から見たとき,両脚部
分が重ならないこと。
off balance setting for
trousers
7046
えくぼじわ
そで山及びダーツ先端に発生する不自然なくぼみ。
dimple wrinkle
7047
しんすえ不良
しん地の位置及び付け方が不適正なためにおこる形
態不良。
inferiority in basting
interlining
7048
いせ込み不良
いせ込み部分のシームパッカリング及び形態不良。
badness of contracting
7049
チョークマーク
布地の表面をこすったり,しわにすることによってで
きるチョークで書いたような筋 又は しわ状のあと。
chalk mark
7050
ウォータスポット
水滴あとやしみ抜きあとなどが,輪郭の付いたむら
又はしみとなって残ったもの。
water spot
7051
スナッギング
布地をこすったとき,布地の構成糸の一部が布地の本
体から引っ張り出された状態。
snagging
7052
プレス当たり
(1) 布地表面がプレスやアイロンによって目つぶれ
し,光沢又は色相変化がおこっているもの。テカリと
もいう。
(2) しん地,縫い代などの重なり部分に段差が見える
もの。
pressing mark
7053
アイロン焼け
プレスやアイロンによる変色 又は 風合いが硬くな
ること。
7054
モアレ
プレス条件が不適正な場合又は裏地,しん地の選定不
良の場合などにみられる布面のもく(杢)目模様。
moire
7055
プレス収縮
プレスやアイロンによって収縮したもの。
shrinkage by pressing
17
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
7056
接着剤のしみ出し
接着しん地の接着剤が表地などの表面ににじみ出し
てくること。
strike through
7057
接着剤の逆しみ
接着しん地の接着剤がしん地の裏側ににじみ出てる
こと。そのため,このしん地に接する他の素材などを
接着することもいう。
strike back
7058
部分はく(剥)離
接着条件などが不適正なため,部分的に接着されてい
ないところがあること。
partial peeling-off
7059
樹脂うつり
表地などの組織のすき間から接着剤がすけて見える
こと。
dot-through
7060
表面あれ
しん地の表面及び接着剤の大きさによって布地の表
面が凸凹になったり表面状態が荒れてみえること。
resin embossing impression
(orange peal)
7061
色ちがい
パーツ間又はパーツ内で色差のあるもの。
7062
地の目通し不良
スラックスのセンタやハギ目など必要部に地の目が
通っていないもの。
7063
リンキング不良
リンキングにおいて目刺しはずれ,刺し目のうき,縫
糸の糸切れなどが生じたもの。
h) 副資材関連
1) 裏
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
8101
裏地
衣服の裏に使用する布地又は生地の総称。
lining
8102
総裏
背広服,コートなどで,身ごろの全体に裏地を付ける
仕立て方。
full lining
8103
背抜き
背広服,コートなどで,裏地を前身ごろには全部,後
身ごろには肩の部分にだけ付ける仕立て方。
skeleton back
8104
半裏
背広服,コートなどで,前身ごろ,後身ごろとも裏地
が丈の半分の長さの仕立て方。
half lining
8105
背裏
背の部分に付ける裏地。
back lining
8106
胴裏
身ごろに付ける裏地。
body lining
8107
そで裏
そでに付ける裏地。
sleeve lining
8108
前裏
前身ごろに付ける裏地。
front lining
8109
肩すべり
肩の部分に付ける裏地。
yoke lining
2) しん
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
8201
しん地
衣服の保型や補強などに使用する布地の総称。
interlining
8202
接着しん
接着剤を付けたしん地。仮接着しん,恒久接着しんな
どがある。
fusible interlining
8203
ふらししん
接着剤を使用しないしん地。
8204
織物しん
織物のしん地。
woven interlining
8205
編物しん
編物のしん地。
knitted interlining
8206
不織布しん
不織布のしん地。
nonwoven interlining
8207
フェルトしん
フェルトのしん地。
felt padding
8208
毛じん
毛織物のしん地。
hair canvas
8209
麻しん
麻織物のしん地。
linen canvas
8210
ばすしん
馬の尾の毛をよこ糸に使ったしん地(合織ばすしんは
合成繊維を使ってこれに似せたもの。)。
horse hair canvas
8211
綿しん
綿織物のしん地。
8212
加工糸しん
加工糸織物のしん地。
18
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8213
作りしん
ベースしんに必要な増しじんを加えて複合したしん。
加工しんともいう。
traditional canvas
8214
ベースしん
しん地を2枚以上使う場合の基礎となるしん地。台し
んともいう。
base canvas
8215
増しじん
補強,張りをだすなどのためにベースしんの上に増し
添えるしん地。添えしんともいう。
piece canvas
8216
補強しん
補強のために使うしん地。
reinforcement
3) ボタン・ファスナなど
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
8301
留め具
開閉具のボタン,ファスナなどの総称
8302
ボタン
衣服のあきを合わせて留めるために,片方の布地に縫
い付ける円形状などのもの。
button
8303
力ボタン
ボタン付けを丈夫にするための補強用ボタン。
support button
8304
ドットボタン
凸型と凹型の一組の金属製のボタン。
dot button
8305
スナップ
凸型と凹型の一組の小さい留め具。
snap
8306
フック
かぎ状の引っかけ金具。ホックともいう。
hook and eye
8307
尾錠
ベルト状の物を留めたり,締め付けるための金具。
8308
はとめ
帽子などに付ける小さな穴のあいた金具。
eyelet
8309
ファスナ
むし(務歯)を植え込んだ布テープをスライダで開閉
するもの。ジッパー,チャックともいう。
fastener
8310
スライドファスナ
ファスナの同義語。
slide fastener
8311
面ファスナ
パイルを利用した離着自由のテープ。
Hook-and-Loop fastener
8312
前かん
スラックスの前上部などに使う留め金。
front hook
8313
スピンドルストッパ
スピンドルの中間に取り付けて長さを調整するもの。
8314
ループエンド
スピンドルの先端に付ける飾り。
4) テープ
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
8401
テープ
衣服に使用する細幅の布地などの総称。
tape
8402
ストレートテープ
布地の縦方向に取ったテープ。
straight tape
8403
バイアステープ
斜めに裁断したテープ。
bias tape
8404
ハーフバイアステ一
プ
バイアステープは通常45° の角度にとるが,これより
傾斜が緩(15° くらい)又は急(75° くらい)である
もの。
half bias tape
8405
伸び止めテープ
伸びを防ぐために使用するテープ。
stay tape
8406
中打ちテープ
バイアステープの中央にストレートテープを縫い付
けたテープ。
8407
端打ちテープ
バイアステープの端にストレートテープを縫い付け
たテープ。
8408
ストレッチテープ
ポリウレタン弾性糸を使用したニットテープ。
stretch tape
8409
スピンテープ
シャツ,セータなどの肩の部分の伸びを止めるテー
プ。
spin tape
8410
縁取りテープ
装飾や裁ち目の始末などに使用するテープ。
trimming tape
8411
パイピングテープ
布地の縁にパイプ状に縫い付けるテープ。
piping tape
8412
ななこ(斜子)テー
プ
ななこ(斜子)組織でできたテープ。
8413
伏せテープ
伏せ縫いの縫い代などを処理するためのテープ。
seam binding tape
5) その他
番号
用語
定義
対応英語 (参考)
8501
スカラップ
ほたて貝の貝がらに似せた波状模様又は縁取り。
scallop
19
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8502
アップリケ
布地の上にいろいろな形に切った小布,フェルト,革
などを載せ,その縁のまわりを縫い付けること又はそ
れを縫い付けたもの。
appliqueʼ (仏)
8503
スレーキ
洋服裏地,ポケット地などに使用する表面を平滑に仕
上げたあや織物。
sleek
8504
肩パッド
上衣などの肩の部分に入れる詰めもの。
shoulder pad
8505
カラークロス
地えりに使う専用の布地。
collar cloth
8506
ゆきわた
そで山の形をよくするために使うもの。
sleeve wadding
8507
えりつり
上衣,コートなどをつるすためのテープ又はくさり。 hanging tape,
chain hanger
8508
まち
衣服の機能性やデザイン性を向上するために用いる
三角,菱形などの布地。
gusset
8509
当て布
ある部分を補強する目的で別に当てる布地。
filler cloth
8510
力布
ポケット口やボタン付けを丈夫にするために裏に当
てる布地。
stay cloth
8511
ひざ当て
ひざの部分に当てる布地。
knee patch
8512
向こう布
ポケットの内側の袋地に付ける布地。
pocket facing
20
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(規定)和服の縫製用語
1. 適用範囲 この附属書は,和服の縫製に関する主な用語について規定する。
2. 分類 用語の分類は,次による。
a) 縫製準備工程
b) 縫製工程
c) 仕上げ工程
3. 用語及び定義 用語及び定義は,次による。
a) 縫製準備工程
番号
用語
定義
参考
9101
地直し
布のたて糸よこ糸の方向を正し,耳糸のつれをなくす
こと。
9102
地詰め
縫製工程又は着用中に布が収縮を生じないよう,あら
かじめ無理に延ばされている布を元に戻すこと。
9103
地のし
地直し及び地詰めの目的で行う作業。
9104
筋消し
布の保存中にできた不要の筋などを消すこと。
9105
しつけ
縫い目のきせを正しくするために,糸で縫い押さえて
おくこと。
しつけ(躾)
9106
仮しつけ
布のつり合いをとる目的などで,あとで糸をとる一時
的なしつけ。
9107
柄合せ
布の柄を配置よく合わせること。
9108
背紋合せ
紋付の着物の縫製で,背中心の紋を左右合わせるこ
と。
9109
本裁ち
成人用の和服の裁ち合せ方又は成人用の和服。大裁ち
ともいう。
9110
四つ身
4歳から11歳くらいまでの和服の裁ち合せ方又はこ
れらの和服。中裁ちともいう。
9111
三つ身
3歳から4歳くらいまでの和服の裁ち合せ方又はこれ
らの和服。
9112
一つ身
乳児から2歳くらいまでの和服の裁ち合せ方又はこれ
らの和服。
9113
小裁ち
乳児から4歳くらいまでの和服の裁ち合せ方又はこれ
らの和服。
9114
棒おくみ裁ち
本裁ち着物の裁ち方で,おくみを半幅の長方形に裁つ
方法。
おくみ(衽)
9115
かぎおくみ裁ち
本裁ち着物の裁ち方で,おくみの上部を斜めに裁ち合
わせて左右のおくみとしたもの。
9116
三つ割りえり裁ち
1反の長さが短いときなど,並幅36 cmを3等分して
1着のえりとする裁ち合せ方。
9117
しるし付け
着物を縫い合わせる位置に,しるしを付けること。
しるし(標)
9118
山しるし付け
和服を着用したとき,身ごろ,そでの上部などの縫い
代に付ける斜め方向(山形)のしるし。
9119
合しるし付け
柄合せなどで位置を合わせたいところにしるしを付
けること。
21
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
参考
9120
糸しるし付け
糸でしるしを付けること。
9121
縫い代
仕上り寸法より余分で,裏に入れておく部分。
9122
ひとえ仕立て
裏が付かない仕立て。
ひとえ(単衣)
9123
あわせ仕立て
裏が付く仕立て。
あわせ(袷)
9124
わた入れ仕立て
表と裏の布の間にわたを入れる仕立て。
わた(綿)
9125
通し裏仕立て
男子用あわせの着物の仕立てで,裏がすそまで同じ布
で続いているもの。
すそ(裾)
9126
額縁仕立て
男子用あわせの着物の仕立てで,裏が胴の部分とすそ
の部分で生地を変えている仕立て。
9127
人形
成人男子用着物などのそでつけから下の部分。
9128
無双そで
長じゅばんのそでを表布で,裏まで全部続けて付けた
もの。
9129
半無双そで
長じゅばんのそでの裏を,表布でそで付け側の半分を
付け,裏布でそで口側の半分を付けたもの。
9130
別裏そで
長じゅばんのそでの裏を全部裏布で付けたもの。
9131
前ゆるみ
じゅばんの前身ごろのわき縫い目で胸のゆるみ分と
なるつまみ。前下がり,乳代(ちちしろ)ともいう。
9132
引返しすそ
長じゅばんなどの裏すそ布を表すそから続けてとっ
たもの。すそ返りともいう。
9133
別すそ
長じゅばんなどの裏すそ布を表と別布でつけたもの。
9134
共すそ
長じゅばんなどの裏すそ布を表布と同じ布でとるが,
1枚の布で続けないもの。
b) 縫製工程
番号
用語
定義
参考
9201
なみ縫い
0.4 cmくらいの等間隔で,針を運ばせて縫うこと。
9202
ぐし縫い
あらかじめ布を縫っておくこと。
9203
糸こき
布が縫いたまって,糸がつれることのないように,布
と糸とのつり合いをとること。
9204
本縫い
布を組み立てて,きちんと縫い合わせること。
9205
地縫い
2枚の布を中表に合わせて縫うこと。
9206
重ね縫い
布と布を重ねて,その中心を縫うこと。
9207
合せ縫い
2枚の布を合わせて縫うこと。
9208
突き合せ縫い
2枚の布の裁ち目や折り山をそろえ,突き合わせて縫
うこと。
9209
二条縫い
地縫の縫い目に平行に,もう1条縫うこと。
9210
袋縫い
2枚の布の表が外側になるように合わせて裁ち目から
0.5 cmくらいのところを縫い,裏に返して仕上り線を
縫うこと。
9211
伏せ縫い
布端を折って,裁ち目の内側を押さえ縫うこと。
9212
折り伏せ縫い
2枚の布を合わせて,手前の布端を0.5 cmくらい控え
て縫い合わせ,手前に折り返し,布端を折って伏せ縫い
すること。
9213
かがり縫い
裁ち目のほつれを防ぐために0.3 cmくらいの深さで
巻きながら縫い進むこと。
9214
本返し縫い
1針すくい,あと戻りして元の針穴に針を通し,また,
表に1針先に出して,繰り返していく縫い方。
9215
半返し縫い
1針すくい,その半分くらいあと戻りして,また,表
に1針先に出して,繰り返していく縫い方。
22
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
参考
9216
四つ縫い
あわせ仕立ての場合,左右又は前後の表裏4枚の布を
一度に縫い合わせること。
9217
くけ
糸が外に出ないように折った布地の中を通して縫う
こと。
くけ(絎)
9218
本くけ
双方の折山の0.2 cm内側を0.5 cmくらいの等間隔で
くけ合わせること。
9219
三つ折りくけ
布の端を三つ折りとし,表に小針(縫糸が外側に短か
く出ていること。)を出してくけること。
9220
耳くけ
布の耳端をくける方法で,裏側は小針二目,表側は小
針一目を出し,布の間を通って,次の針目に移る方法。
9221
よりくけ
縫い代0.5 cmくらいをかたくよりながらくける方法。
9222
まつりくけ
布端を三つ折りにして,折山をすくってくける方法。
9223
たてまつりくけ
三つ折りにした折山を押さえる目的で,折り山に糸を
縦方向にかけてくける方法。
9224
千鳥くけ
布を二つ折りにして,左上から斜めに右下,右上と糸
を交差させて,布端を押さえる方法。
9225
千鳥押さえ
何枚もの布を押さえる目的で千鳥くけすること。
9226
三つ折り縫い
布端を三つ折りにして,なみ縫いで押さえること。
9227
背縫い
背中心を縫うこと。
9228
わき縫い
わき部分を縫うこと。
9229
そで下縫い
そで下を縫うこと。
9230
振り縫い
女子用着物のそで付けより下の部分を縫うこと。
9231
身八つ口縫い
女子用着物のわき上部のあきを仕上げること。
9232
すそ縫い
すその部分を縫うこと。
9233
まち
和服を作るとき,布幅の不足のところに補てんする
布。
まち(襠)
9234
まち上部縫い
羽織などのまちの上部を縫うこと。
9235
揚げ縫い
着丈又はゆきを長く仕立て,その余り分を,表側につ
まんで縫うこと。
ゆき(裄)
9236
肩揚げ
肩部分の揚げ縫いのこと。
9237
腰揚げ
腰部分の揚げ縫いのこと。
9238
内揚げ縫い
着丈よりも裁断寸法を長くして,その余り分を裏側に
縫い込むこと。
9239
そで口くけ
そで口の縫い代を裏側に三つ折りし,小針を表に出し
てくけること。
9240
えり下くけ
えり下の縫い代を裏側に三つ折りし,小針を表に出し
てくけること。
9241
すそくけ
すその縫代を裏側に三つ折りし,小針を表に出してく
けること。
9242
えりくけ
えり幅を折り,折り山をくけること。
9243
おくみ付け
おくみを前身ごろに付けること。
9244
小えり付け
乳幼児のそでなし羽織など,デザイン上の小さなえり
を身ごろに付けること。
9245
えり付け
えりを身ごろや,おくみに付けること。
9246
そで付け
身ごろにそでを付けること。
9247
立えり
コート,長じゅばんなどの,前身ごろの重なり分とし
てつけるもの。
9248
立えり付け
立えりを付けること。
9249
ひも付け
結ぶひもを付けること。
ひも(紐)
23
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
参考
9250
前まち付け
前身ごろにまちを付けること。
9251
後まち付け
後身ごろにまちを付けること。
9252
そで口合せ
そで口で表布とそで口布を合わせて縫うこと。
9253
すそ合せ
すそで表布とすそ布を合わせて縫うこと。
9254
打ち留め
縫い終わりに針を当て,これに糸を巻き,針を抜いて,
引き締めること。
9255
すくい留め
縫い終わりを小さく1針すくって,その糸の輪に針を
入れ,針を抜いて引き締めること。
9256
すくい返し留め
すくい留めをしてから,縫い返すこと。
9257
返し留め
縫い終わりを縫い目に沿って4 cmくらい縫い返すこ
と。
9258
玉留め
糸が抜けないように,指先で糸節をつくること
9259
かんぬき留め
あき止まりなどに用いるほつれ止めの一種。
かんぬき(閂)
9260
巻きかんぬき留め
針に糸を巻き,針を抜いて止めるかんぬきの方法。
9261
浮かしかんぬき留め
表裏の布に糸を渡して,余裕をもたせ止めるかんぬき
の方法。
9262
刺しかんぬき留め
布をすくってほつれ止めをする方法。
9263
四つ留め
表裏前後4枚の布を一度に止める方法。
9264
身八つ口四つ留め
身八つ口の部分で表裏前後4枚の布を一度に止める方
法。
9265
八つ留め
成人男子用あわせの羽織のそで付けなど,表裏前後8
枚の布を一度に止める方法。
9266
えり先留め
えり先の縫い込みで止めること。
9267
十字留め
えり先布を付けた場合,えり幅を折って十文字に止め
る方法。
9268
中とじ
表裏の布がずれないように,内側でとじること。
9269
えりとじ
えりのしんを身ごろの縫い代にとじておくこと。
しん(芯)
9270
ふき
あわせやわた入れのそでやすその裏布を,表布より出
して縁にしたもの。
9271
すそとじ
すそのふきが正しく保つようにとじること。
9272
そで口布かけ
裏そでにそで口布を付けること。
9273
共えりかけ
本えりに表布と共布のえりを付けること。
9274
胴裏
あわせの着物などの胴のところに付ける裏地。
9275
すそ回し
あわせの着物などのすそのところに付ける裏地。
9276
胴は(接)ぎ
着物の胴裏とすそ回しを縫いつなぐこと又は羽織の
胴裏と折り返しを縫いつなぐこと。
9277
丈調べ
表裏の身ごろの丈のつり合いを調整すること。
9278
すそしん入れ
すそ線の内側にすそのふくらみを出し,のび止めとな
るしんを入れること。
9279
飾りしつけ
羽織のえり先など表に出るところを押さえるため,飾
りになるように工夫したしつけ。
9280
平しつけ
大針,小針を交互に又は同じ長さで押さえる方法。
9281
一目落とし
大針(縫糸が外側に長く出ていること。)と小針とを
交互に出して押さえること。
9282
二目落とし
大針一つに小針二つを交互に縫って押さえるしつけ。
9283
三目落とし
大針一つに小針三つを交互に縫って押さえるしつけ。
9284
かくししつけ
縫代を片返ししたところから斜めに開いて割ってい
く場合に,斜めに折った折り山を縫い糸で押さえるこ
と。
24
L 0122:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
参考
9285
ななめしつけ
表側に糸が斜めにわたるようにかけたしつけ。
9286
両面しつけ
表裏とも同じ長さで押さえたしつけ。
9287
機結び
縫い糸が不足した場合,糸を結んでつなぐ方法。
9288
重ねつぎ
縫い糸が不足した場合,前に縫った縫い目に重ねて縫
い続ける方法。
9289
馬乗り
半じゅばんなどの両わきすそに作るあき。
9290
つま先
着物のすその両端の部分。
つま(褄)
9291
額縁仕立て
つま先など角を仕上げる方法で,高級なものや,厚地
の場合の仕立て方。
9292
引返し口
帯状,袋状のものを中表に縫って表に返すときのため
にあけておく部分。
9293
飾りひも結び
被布などに付ける留め具の結び方。
9294
飾りひも付け
飾りひも結びしたものを付ける方法及び付けたもの。
9295
含みわた
わた入れ仕立てなどの場合,そで口,すその形をよく
するために入れるわた。
c) 仕上げ工程
番号
用語
定義
参考
9301
平ごて
縫い目にできた小さなしわを消すために,こて又はア
イロンをかけること。
9302
きせ
仕上り線と縫い目の間に間隔をおいて縫い,仕上り線
を折り山とすること。
9303
押し
縫い目に風合いをもたせるために,アイロンを上から
かけないで,きちんと畳んで押しをする仕上げ方法。