L 0110 : 2001
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条において準用する第12条第1項の規定に基づき,日本アパレル工業
技術研究会 (JATRA) /財団法人 日本規格協会 (JSA) から工業標準原案を具して日本工業規格を改正す
べきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによってJIS L 0110 : 1995は改正され,この規格に置き換えられる。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
日本産業規格 JIS
L 0110 : 2001
衣料パターンの表示記号
Symbol marks for paper pattern
1. 適用範囲 この規格は,衣料のパターンに使用する表示事項及びその記号について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。この引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS L 0122 縫製用語
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS L 0122による。
4. 表示記号に用いる線の種類 表示記号に用いる線は次の3種類とし,線の太さについては規定をしな
い。
a) 実線
連続した線。
b) 破線
一定の間隔で短い線の要素が規則的に繰り返される線。
c) 一点鎖線
長短2種類の長さの線の要素が交互に繰り返される線。
5. 表示事項及び表示記号 パターンに使用する表示事項及び表示記号は,表1及び表2による。
備考1. 表示記号は,すべてパターンの表側から見たものとする。
2. 地の目線,中心線,折返し線及び柄合せ線は,裁断時の間違いを防止するため,原則として
裁切り線まで伸ばさないようにする。
3. 設計工程のいろいろな作業に対応するため,一部の表示事項で仕上り線を基本にしたもの
(14,18,30,37) と,裁切り線を基本にしたもの (15,19,31,38) の2種類の表示記号を
示す。
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L 0110 : 2001
表1 表示事項及び表示記号(パターンの内部情報にかかわる記号)
番号
表示事項
表示記号
摘要
1
地の目線
地の目又はパーツの向きを表す線。実線に矢印を
付けて示す。矢印は,片方だけに入れる。
2
中心線
パターン設計上の前身ごろ,後ろ身ごろなどの中
心を表す線。実線で示す。必要に応じて前中心は
CF (Center Front) ,後ろ中心はCB (Center Back) を
付記する。
3
仕上り線
パターンの仕上り輪郭を表す線。実線で示す。
4
裁切り線
裁断する線。実線で示す。
5
見返し線
見返しを付ける位置と大きさを表す線。一点鎖線
で示す。
6
折返し線
折り目を付ける位置及び折り返す位置を表す線。
実線で示し,必要に応じて名称などを付記する。
7
わな裁ち線
わに裁つ位置を表す。実線で示す。
8
ステッチ線
ステッチの位置と形を表す線。破線で示す。ステ
ッチの縫始めと縫終わりだけに示してもよい。
2本以上のステッチ線がある場合は,それぞれのス
テッチ間隔を表す。
9
方向線
タック,ダーツ,プリーツなどの倒す方向を表す
線。実線に片矢印を付けて示す。
線尾の布が線頭の布の上に載ることを表す。
10
柄合せ
柄合せ裁断の案内を表す。柄合せの必要なパーツ
ごとに柄合せの文字を付けて実線で示す。又は,
柄合せ点(+マーク)で示す。
11
しん(芯)地指示線
しん地が必要であることを表す線。しん地の大き
さ及び位置を表す実線の内側に3本の斜線(1cm
以下の範囲内に3本引く。)を端から端まで実線で
示す。
12
バストポイント
バストポイントを表す。実線で示す。
13
バイアス方向
地の目のバイアス方向を表す。実線にパーツ方向
の矢印を付けて示す。
14
ノッチ(仕上り線)
縫合わせのとき,合致させる点を表す。仕上り線
に対して直角に入れる。実線で示す。
15
ノッチ(裁切り線)
T
縫合わせのとき,合致させる点を表す。裁切り線
に直角に入れる。形状は,TとVの二つのタイプ
とする。Vについては,凹凸の2タイプ,合計3
タイプとする。実線で示す。
V
16
ファスナ止り位置
ファスナの付止まり位置を表す。ノッチに三角印
を付けて実線で示す。
3
L 0110 : 2001
番号
表示事項
表示記号
摘要
17
縫止め位置
縫止め位置のほかに,縫始め位置,附属品の挟み
込み位置,附属品の取付け位置などを表す。ノッ
チに丸印を付けて実線で示す。
18
ダーツ(仕上り線)
ダーツの分量とその位置を表す。実線で示し,ダ
ーツの倒し方は,下側に方向線で示す。
19
ダーツ(裁切り線)
ダーツの分量とその位置を表す。実線で示し,ダ
ーツの倒し方は,下側に方向線で示す。裁切り線
までは,伸ばさない(仕上り線の位置で止める)。
ノッチ,ドリルホールを併用する。
20
ギャザー
ギャザーを入れる位置を表す。ギャザー止りを表
す場合は,ノッチを併用して示す。実線で示す。
21
伸ばす
伸ばす位置を表す。実線の両端に外向きの矢印を
付けて示し,ノッチがある場合は,その間ごとに
示す。
22
いせる
いせる位置を表す。実線の両側に内向きに矢印を
付けて示し,ノッチがある場合は,その間ごとに
示す。
23
追込む
追い込む位置を表す。実線で示し,ノッチがある
場合は,その間ごとに示す。
24
パーツ前後の区別
パターンのパーツそのものの前後,又は前身ごろ
側,後ろ身ごろ側の区別を表す。後ろはダブルノ
ッチ(間隔1cm程度),前はシングルノッチで示す。
実線で示す。
25
部品付け位置
部品を取り付ける場合にその位置と大きさ,形状
を表す。実線で部品の輪郭を示す。
26
ボタン付け位置
ボタン付け位置を表す。実線で示す。
27
ボタンホール
ボタンホールの位置及び大きさ並びにボタン付け
位置(ある場合だけ)を表す。実線で示す。
28
スナップ付け位置
凸側
スナップ付け位置と凸側,凹側の区別を表す。実
線で示す。
凹側
29
かぎホック付け位置又は前
かん付け位置
かぎホック又は前かんの付け位置及び受け側,か
ぎ側の区分を表す。実線で示す。
4
L 0110 : 2001
番号
表示事項
表示記号
摘要
30
布ループ付け位置
(仕上り線)
布ループの挟み込み位置を表す。ノッチを布ルー
プ付け位置の内側に入れる。実線で示す。
31
布ループ付け位置
(裁切り線)
布ループの挟み込み位置を表す。Tノッチを布ル
ープ付け位置の内側に入れる。実線で示す。
32
糸ループ付け位置
糸ループ付け位置及びその付け方を表す。実線で
示す。ループの仕上り寸法を付記する。
33
ドリルホール位置
裁断時に必要なドリルホール位置などの印付け位
置を表す。実線で描いた+の中心を実線の丸で囲
んで示す。
34
片ひだプリーツ
プリーツ線を山,奥すべて実線で示し,すそ方向
を下にして2本の斜線を引く。高い方が,低い方
の上に載ることを表す。着用状態で横方向にプリ
ーツが入る場合は,中心線を上に見て斜線を引く。
35
ボックスプリーツ
プリーツ線を山,奥すべて実線で示し,すそ方向
を下にして対称形に2本の斜線を引く。斜線の高
い方が低い方の上に載ることを表す。
36
ピンタック
ピンタック縫合せ線を実線で示し,すそ方向を下
にして対称形に2本の斜線を引く。ピンタックの
倒し方向は,方向線を併用して示す。着用状態で
横方向にピンタックが入る場合は,中心線を上に
見て斜線を引く。
ピンタックの位置及び倒し方向を表す。
37
タック(仕上り線)
タックを実線で示し,すそ方向を下にして1本の
斜線を引く。高い方が低い方の上に載ることを表
す。着用状態で横方向にタックが入る場合は,中
心側を上に見て斜線を引く。
38
タック(裁切り線)
タックを実線で示し,すそ方向を下にして1本の
斜線を引く。高い方が低い方の上に載ることを表
す。着用状態で横方向にタックが入る場合は,中
心側を上に見て斜線を引く。ノッチを併用する。
5
L 0110 : 2001
表2 表示事項及び表示記号(パターンの製作方法にかかわる記号)
番号
表示事項
表示記号
摘要
39
内部線
パターン設計上必要なバスト線,ウエスト線
及びヒップ線を表す。実線で示す。
40
等分線
一つの限られた長さの線が等しい長さに分け
られることを表す。実線で示す。
41
たたんで切り開く印
ダーツの移動,ギャザーなどの展開をするた
めに,破線部分をたたんで実線部分を切り開
くことを表す。実線及び破線で示す。
42
別々の型紙を続ける印
布を裁つときに型紙を続けることを表す。実
線で示す。
43
直角
直角であることを表す。実線で示す。
44
線の交差の区別
異なるパーツの線が交差するとき,それぞれ
の線がどのパーツに所属するかを表す。実線
で示す。
JIS L 0110(衣料パターンの表示記号)改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
清 水 二 郎
東京工業大学
三 吉 満智子
文化女子大学
山 田 民 子
東京家政大学
大 塚 美智子
日本女子大学
熊 崎 高 道
杉野学園ドレスメーカー学院
立 石 譲 二
通商産業省生活産業局繊維課
橋 本 進
財団法人日本規格協会
甲 斐 麗 子
主婦連合会
三 村 光 代
社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会
佐 藤 隆 三
旭化成工業株式会社
○ 古 宮 郁 夫
39845ワークステーション
○ 森 田 秀 明
株式会社オンワード樫山総合研究所
○ 久 保 忠 博
東レ株式会社
○ 近 藤 繁 樹
JUKI株式会社
○ 永 野 孝 志
株式会社三陽商会
○ 藤 吉 一 隆
株式会社レナウンアパレル科学研究所
○ 菱 川 茂 樹
社団法人日本ボデーファッション協会
(関係者)
菅 原 昭 栄
通商産業省工業技術院標準部標準業務課
(事務局)
坂 上 遜
日本アパレル工業技術研究会
中 山 悦 朗
日本アパレル工業技術研究会
備考 ○印が付してある者は,分科会委員も兼ねる。