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L 0104 : 2000  

(1) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS L 0104 : 1988は改正され,この規格に置き換えられる。 

また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標

準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。 

日本産業規格          JIS 

L 0104 : 2000 

テックス方式による糸の表示 

Designation of yarns by tex system 

序文 この規格は,1973年に第1版として発行されたISO 1139, Textiles−Designation of yarnsを元に作成

した日本産業規格であるが,対応国際規格に規定されている漁網用糸に係る規定及び用語の定義に係る一

部規定を除き,技術的内容を変更することなく作成している。今回の改正では,引用規格の改正に伴い,

引用規格の項目番号を変更している。 

1. 適用範囲 この規格は,単糸及び仕上がり糸の線密度に基づき,テックス方式によって単糸,もろよ

り糸,ケーブル糸,引そろえ糸などの構造を示す2種類の表示方法について規定する。ただし,飾り糸,

かさ高加工糸などの特殊な糸及び繊維の種類,後加工,荷姿などの表示方法には,適用しない。 

備考1. 表示は,テックス方式による線密度,フィラメント糸のフィラメント数,より方向,より数

及び合糸数から成る。 

2. この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD(修

正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 1139 : 1973 Textiles−Designation of yarns (MOD)  

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS L 1013 化学繊維フィラメント糸試験方法 

JIS L 1095 一般紡績糸試験方法 

3. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。 

a) 糸 b)〜i)に規定する種々なタイプ,構造のものを包含する一般的な用語。 

b) 単糸 次の一つから成る繊維素材の最も単純な連続の束。 

1) 多くの不連続な繊維をよりによって固定したもので,紡績糸という。 

2) 1本又はそれ以上のフィラメントから成るフィラメント糸、よりがある場合とない場合とがあり,1

本のフィラメントから成る糸をモノフィラメント糸,2本又はそれ以上のフィラメントから成る糸

をマルチフィラメント糸という。 

c) 引そろえ糸 一緒に引きそろえ,加ねんしていない2本又はそれ以上の単糸から成る糸。 

d) もろより糸 1回の合糸操作で2本又はそれ以上の単糸をより合わせて作った糸。 

e) 双糸(2本もろより糸) 2本の単糸を一緒に加ねんして作ったもろより糸。 

f) 

多本もろより糸 1回の合糸操作で,3本以上の単糸を一緒に加ねんして作ったもろより糸の総称。 

L 0104 : 2000  

g) 三子糸(3本もろより糸) 1回の合糸操作で3本の単糸を一緒に加ねんして作ったもろより糸。 

h) 4本もろより糸 1回の合糸操作で4本の単糸を一緒に加ねんして作ったもろより糸。 

i) 

ケーブル糸 2本又はそれ以上のもろより糸(又は単糸ともろより糸)を1回又はそれ以上の合糸操

作で一緒により合わせて作った糸。 

この操作をケーブリングといい,そのよりをケーブルよりという。 

j) 

線密度 糸の単位長さ当たりの質量。テックス又はその倍数又は約数で表す。 

k) 仕上がり糸の線密度 加ねん,もろより又はケーブリングを終えた最終製品の線密度。 

備考 化学的,物理的な処理加工によって,その仕上がり糸の線密度に影響があった場合は,その旨

を付記する。 

l) 

より 

1) より方向 糸に加えられているよりの方向をいい,S又はZで表す(JIS L 1095の4.4又はJIS L 1013

の7.2.1参照)。 

2) より数 より糸1m当たりのよりの数。 

4. 糸の表示及び記号 

4.1 

糸の表示 糸の表示は,次による。ただし,必要がない項目は,省略する。 

a) 線密度[3.j)参照] 

b) フィラメント数 

c) 各々の加ねん操作でのより方向 

d) 各々の加ねん操作でのより数 

e) 合糸における糸の数 

f) 

ケーブリングにおける糸の数 

4.2 

記号 

a) R:仕上がり糸の線密度に対する記号で,その数値の前に付ける。 

b) f:フィラメント糸に対する記号で,フィラメント数の前に付ける。 

c) t0:より数が0に対する記号。 

5. 単糸の線密度に基づく糸の表示 糸は,単糸の線密度に基づき,次によって表示する。ただし,仕上

がり糸の線密度は補助的な情報として与えられ,セミコロンによって前の部分から分離する。 

a) 単糸 

1) 紡績糸 

1.1) 線密度 

1.2) より方向 

L 0104 : 2000  

1.3) より数 

例 40 tex Z 660 

2) よりのないモノフィラメント糸 

2.1) 線密度 

2.2) 記号:f 

2.3) 数:1 

2.4) 記号:t0 

例 17 dtex f1 t0 

3) よりのあるモノフィラメント糸 

3.1) よりのないモノフィラメント糸の線密度 

3.2) 記号:f 

3.3) 数:1 

3.4) より方向 

3.5) より数 

例 17 dtex f1 S 800 ; R 17.4 dtex 

4) よりのないマルチフィラメント糸 

4.1) 線密度 

4.2) 記号:f 

4.3) 一緒になっているフィラメント数 

4.4) 記号:t0 

例 133 dtex f 40 t0 

5) よりのあるマルチフィラメント糸 

5.1) 線密度 

5.2) 記号:f 

5.3) 一緒に加ねんされているフィラメント数 

5.4) より方向 

5.5) より数 

例 133 dtex f 40 S1 000 ; R 136 dtex 

b) 引そろえ糸 

1) 同じ糸から成る引そろえ糸 

1.1) a)による単糸の表示 

1.2) 掛け算の記号:× 

1.3) 一緒に引きそろえられている単糸の数 

1.4) 記号:t0 

例 40 tex S 155×2 t0 

2) 異なった糸から成る引そろえ糸 

2.1) a)による単糸の表示を,括弧内に+記号を用いて併記する。 

2.2) 記号:t0 

例 (25 tex S 420+60 tex Z 80) t0 

c) もろより糸 

L 0104 : 2000  

1) 同じ糸から成るもろより糸 

1.1) a)による単糸の表示 

1.2) 掛け算の記号:× 

1.3) 一緒に加ねんされている単糸の数 

1.4) 上より方向 

1.5) 上より数 

例 34 tex S 600×2 Z 400 ; R 69.3 tex 

2) 異なった糸から成るもろより糸 

2.1) a)による単糸の表示を,括弧内に+記号を用いて併記する。 

2.2) 上より方向 

2.3) 上より数 

例 (25 tex S 420+60 tex Z 80) S 360 ; R 89.2 tex 

d) ケーブル糸 

1) 同じ糸から成るケーブル糸 

1.1) c)によるもろより糸の表示 

1.2) 掛け算の記号:× 

1.3) 一緒にケーブリングされたもろより糸の数 

1.4) ケーブルよりの方向 

1.5) ケーブルよりの数 

例 20 tex Z 700×2 S 400×3 Z 200 ; R 132 tex 

2) 異なった糸から成るケーブル糸 

2.1) a)による単糸とc)によるもろより糸の表示を,括弧内に+記号を用いて併記する。 

2.2) ケーブルよりの方向 

2.3) ケーブルよりの数 

例 (20 tex Z 700×3 S 400+34 tex S 600) Z 200 ; R 96 tex 

6. 仕上がり糸の線密度に基づく糸の表示 糸は,仕上がり糸の線密度に基づき,次によって表示する。

ただし,単糸の線密度は補助的な情報として与えられ,セミコロンによって前の部分から分離する。 

a) 単糸 

1) よりのあるモノフィラメント糸 

1.1) 記号:R 

1.2) 仕上がり糸の線密度 

1.3) 記号:f 

1.4) 数:1 

1.5) より方向 

1.6) より数 

例 R 17.4 dtexf 1 S 800 ; 17 dtex 

2) よりのあるマルチフィラメント糸 

2.1) 記号:R 

2.2) 仕上がり糸の線密度 

L 0104 : 2000  

2.3) 記号:f 

2.4) 一緒に加ねんされているフィラメント糸 

2.5) より方向 

2.6) より数 

例 R 136 dtex f 40 S 1000 ; 133 dtex 

b) もろより糸 

1) 同じ糸から成るもろより糸 

1.1) 記号:R 

1.2) 仕上がり糸の線密度 

1.3) 上より方向 

1.4) 上より数 

1.5) 斜線 

1.6) もろより糸の単糸の数 

1.7) 単糸のより方向 

1.8) 単糸のより数 

例 R 69.3 tex Z 400/2 S 600 ; 34 tex 

2) 異なった糸から成るもろより糸 

2.1) 記号:R 

2.2) 仕上がり糸の線密度 

2.3) 上より方向 

2.4) 上より数 

2.5) 斜線 

2.6) 異なる単糸のより方向とより数とを,それぞれ括弧内に+記号を用いて併記する。 

例 R 89.2 tex S 360/ (S 420+Z 80) ; 25 tex+60 tex 

c) ケーブル糸 

1) 同じ糸から成るケーブル糸 

1.1) 記号:R 

1.2) 仕上がり糸の線密度 

1.3) ケーブルよりの方向 

1.4) ケーブルよりの数 

1.5) 斜線 

1.6) ケーブル糸のもろより糸の数 

1.7) b)1)の1.3)から1.8)までによる表示 

例 R 132 tex Z 200/3 S 400/2 Z 700 ; 20 tex 

2) 異なった糸から成るケーブル糸 

2.1) 記号:R 

2.2) 仕上がり糸の線密度 

2.3) ケーブルよりの方向 

2.4) ケーブルよりの数 

2.5) 斜線 

L 0104 : 2000  

2.6) ケーブル糸のより方向とより数は,+記号を用いて併記する。ケーブリングしたもろより糸の表

示は,単糸のより方向とより数の表示を斜線によって分離し,括弧内に置く。 

例 R 96 tex Z 200/ (S 600+S 400/3 Z 700) ; 34 tex+20 tex×3 

7. 簡略表示 より方向及びより数又はどちらか一方及びフィラメント糸のフィラメント数は,必要がな

ければ簡略化することができる。よりのない糸の場合は,無よりの記号が使われる。 

a) 5.の例は,次のように簡略化できる。 

1) 5.a)1) 紡績糸 

40 tex 

2) 5.a)2) よりのないモノフィラメント糸 

17 dtex t0 

3) 5.a)3) よりのあるモノフィラメント糸 

17 dtex; R 17.4 dtex 

4) 5.a)4) よりのないマルチフィラメント糸 

133 dtex t0 

5) 5.a)5) よりのあるマルチフィラメント糸 

133 dtex; R 136 dtex 

6) 5.b)1) 同じ糸から成る引そろえ糸 

40 tex×2 t0 

7) 5.b)2) 異なった糸から成る引そろえ糸 

(25 tex+60 tex)t0 

8) 5.c)1) 同じ糸から成るもろより糸 

34 tex×2; R 69.3 tex 

9) 5.c)2) 異なった糸から成るもろより糸 

25 tex+60 tex; R 89.2 tex 

10) 5.d)1) 同じ糸から成るケーブル糸 

20 tex×2×3; R 132 tex 

11) 5. d)2) 異なった糸から成るケーブル糸 

20 tex×3+34 tex; R 96 tex 

b) 6.の例は,次のように簡略化することができる。 

1) 6.a)1) よりのあるモノフィラメント糸 

R 17.4 dtex; 17 dtex 

2) 6.a)2) よりのあるマルチフィラメント糸 

R 136 dtex; 133 dtex 

3) 6.b)1) 同じ糸から成るもろより糸 

R 69.3 tex/2; 34 tex 

4) 6.b)2) 異なった糸から成るもろより糸 

R 89.2 tex; 25 tex+60 tex 

5) 6.c)1) 同じ糸から成るケーブル糸 

R 132 tex/3/2; 20 tex 

L 0104 : 2000  

6) 6.c)2) 異なった糸から成るケーブル糸 

R 96 tex; 34 tex+20 tex×3 

c) 複雑な糸の場合には,次の例に示すように簡略化することができる。 

Z 200  S 400/3 20 tex Z 700 

例 R 150 tex S 180 

34 tex S 600 

40 tex Z 500 

関連規格 JIS L 0101 テックス方式 

ISO 2 : 1973 Textiles−Designation of the direction of twist in yarns and related products 

ISO 1144 : 1973 Textiles−Universal system for designating linear density (Tex System)  

ISO 2947 : 1973 Textiles−Integrated conversion table for replacing traditional yarn numbers by 

rounded values in the Tex System 

JIS原案作成委員会 構成表(昭和63年12月1日制定のとき) 

氏名 

所属 

(主査) 

○ 石 川 章 一 

東京工業大学名誉教授 

(幹事) 

○ 高 久   明 

東京工業大学 

(幹事) 

○ 島 崎 恒 蔵 

日本女子大学 

○ 倉   剛 進 

通商産業省生活産業局 

桜 井 俊 彦 

工業技術院標準部 

山 田 昌一郎 

通商産業省通商産業検査所横浜支所 

○ 菅 原 淳 夫 

財団法人日本規格協会 

○ 深 沢 保 義 

財団法人撚糸・縫糸検査協会 

荻 原 良 三 

財団法人日本紡績検査協会 

○ 細 井 君 平 

財団法人日本化学繊維検査協会 

○ 嶋 津   亨 

財団法人日本メリヤス検査協会 

○ 高 橋 真 平 

財団法人縫製品検査協会 

森   数 馬 

財団法人毛製品検査協会 

○ 別 能 恒 夫 

日本化学繊維協会 

○ 石 川 正 敬 

日本撚糸工業組合連合会 

○ 山 本 繁 文 

日本繊維ロープ工業組合 

○ 伊 藤 寛 郎 

日本羊毛紡績会 

○ 日 比   暉 

日本紡績協会 

吉 岡 初 子 

主婦連合会 

岡 村 十 一 

日本織物中央卸商業組合連合会 

(事務局) 

川 端 龍 義 

日本衣料産業研究会議 

○印は分科会委員を兼ねる。