K 9565:2019
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(C23H24N4O2・H2O) ································································································ 3
6.3 希塩酸溶状 ··················································································································· 3
6.4 乾燥減量(105 ℃) ······································································································· 4
6.5 2,3-ジメチル-1-フェニル-5-ピラゾロン(C11H12N2O) ···························································· 4
6.6 チタン分析適合性 ·········································································································· 5
7 容器······························································································································· 6
8 表示······························································································································· 6
K 9565:2019
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 9565:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成31年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 9565:1995を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
K 9565:2019
ジアンチピリルメタン一水和物(試薬)
Diantipyrylmethane monohydrate (Reagent)
C23H24N4O2・H2O FW:406.49
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるジアンチピリルメタン一水和物について規定する。
注記 別名:4-[(1,5-ジメチル-3-オキソ-2-フェニルピラゾロン-4-イル)メチル]-1,5-ジメチル-2-フェ
ニルピラゾール-3-オン一水和物,トリシアシン(Trichachnine monohydrate)
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 0124 高速液体クロマトグラフィー通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8032 アセトニトリル(試薬)
JIS K 8042 アニリン(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8223 過塩素酸(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8703 酸化チタン(IV)(試薬)
JIS K 8886 無水酢酸(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
2
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JIS K 8960 硫酸アンモニウム(試薬)
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
ジアンチピリルメタン一水和物は,白い結晶又は結晶性の粉末で,ジエチルエーテルに溶けやすく,水
及びエタノール(99.5)にほとんど溶けない。融点は,約156 ℃で,105 ℃で約3時間乾燥したものの融
点は,約 179 ℃である。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 473 cm-1,3 402 cm-1,1 645 cm-1,
1 490 cm-1,1 455 cm-1,1 331 cm-1,1 310 cm-1,1 149 cm-1,765 cm-1及び697 cm-1付近に主な吸収ピークを
認める。この場合,試料調製は,JIS K 0117の5.3 a)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用
いたときの赤外吸収スペクトルの例を図1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C23H24N4O2・H2O)
質量分率 %
98.0〜102.0
6.2
希塩酸溶状
−
試験適合
6.3
乾燥減量(105 ℃)
質量分率 %
3.0〜5.0
6.4
2,3-ジメチル-1-フェニル-5-ピラゾロン(C11H12N2O)
質量分率 %
1.0 以下
6.5
チタン分析適合性
−
試験適合
6.6
3
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6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(C23H24N4O2・H2O)
純度(C23H24N4O2・H2O)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 酢酸(非水滴定用) JIS K 8042に規定するアニリン1 gをはかりとり,JIS K 8355に規定する酢酸
を加えて溶かし,酢酸を加えて100 mLにしたものをA液とする。A液25 mLを正確にとり,0.1 mol/L
過塩素酸(酢酸溶液)で電位差滴定を行ったときの滴定量をV1 mLとする。また,A液25 mLを正
確にとり,酢酸75 mLを加え,0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)で電位差滴定を行ったときの滴定
量をV2 mLとする。V2−V1は,0.1 mL以下であるもの。
なお,酢酸(非水滴定用)の水分測定は,JIS K 0068の6.3.5 a)(直接滴定)によって,試料10 g
を用いる。この場合,滴定溶液はメタノールに代えて,クロロホルムとアルキレンカーボネートと
を主成分とするカールフィッシャー用脱水溶剤40 mLを用いる。
2) 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)(HClO4:10.05 g/L) JIS K 8223に規定する過塩素酸(質量分率70.0 %
〜72.0 %)及びJIS K 8886に規定する無水酢酸を用い,JIS K 8001のJA.6.4 f) [0.1 mol/L 過塩素
酸(酢酸溶液)]に従って,調製,標定及び計算したもの。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ 電位差滴定装置 装置の構成は,JIS K 0113に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料0.6 gをビーカー200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,酢酸(非水滴定用)50 mLを加え
て溶かす。
2) 指示電極にガラス電極,参照電極に銀−塩化銀電極又はそれらを組み合わせた複合電極若しくは金
属電極を用い,0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)でJIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって電
位差滴定を行う。
3) 終点は,変曲点とする。
4) 別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
d) 計算 純度(C23H24N4O2・H2O)は,次の式によって算出する。
100
)
(
649
040
.0
2
1
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度(C23H24N4O2・H2O)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)の体積(mL)
V2: 空試験の滴定に要した0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)の
体積(mL)
f: 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.040 649: 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)1 mLに相当する
C23H24N4O2・H2Oの質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
希塩酸溶状
希塩酸溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
4
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1) 塩酸(1+10) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積10とを混合したもの。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ
ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)
参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて20 mL
とし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,塩酸(1+10)20 mLを加えて溶かし,水を標線ま
で加え混合する(B液)(6.6の試験に用いる。)。B液20 mLを共通すり合わせ平底試験管に移す。
2) 試料を溶かした直後に試料溶液の濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の
有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 次の1) 及び2) に適合するとき,“希塩酸溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
乾燥減量(105 ℃)
乾燥減量(105 ℃)の試験方法は,JIS K 0067の4.1.1(1)(第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法)によ
る。この場合,試料1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,105 ℃で3時間乾燥する。
6.5
2,3-ジメチル-1-フェニル-5-ピラゾロン(C11H12N2O)
2,3-ジメチル-1-フェニル-5-ピラゾロン(C11H12N2O)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 2,3-ジメチル-1-フェニル-5-ピラゾロン 純度(GC)面積分率99.0 %以上のもの。
2) メタノール JIS K 8891に規定するもの。
3) 移動相 JIS K 8032に規定するもの又は市販の高速液体クロマトグラフ用のアセトニトリルの体積
3と水の体積7とを混合したもの。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ 高速液体クロマトグラフ 装置の構成は,JIS K 0124に規定するもの。
c) 試験条件 試験条件は,次による。
なお,別の試験条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても
よい。
1) 検出器の種類及び波長 紫外可視吸光光度検出器,波長254 nm
2) カラム充塡剤の種類 オクタデシル基を化学結合した全多孔性球状シリカゲル,粒度5 μm〜10 μm
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3) クロマトグラフィー管の材質,内径及び長さ ステンレス鋼,約4 mm〜5 mm,150 mm〜250 mm
4) カラム温度 室温付近の一定温度
5) 流量 1.0 mL/min又は装置に適切な流量
6) 試料溶液導入量 10 μL又は装置に適切な量
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,全量フラスコ100 mLに試料40 mgを0.1 mgの桁まではかりとり,メタノール
50 mLを加えて溶かし,メタノールを標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,全量フラスコ100 mLに2,3-ジメチル-1-フェニル-5-ピラゾロン40 mgを0.1 mg
の桁まではかりとり,メタノール50 mLを加えて溶かし,メタノールを標線まで加えて混合する。
その1 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,メタノールを標線まで加えて混合する(Y液)。
3) 高速液体クロマトグラフを用いて,c) の試験条件でX液及びY液を注入し,X液のピーク面積値
n1及びY液のピーク面積値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液のピーク面積値n1をY液のピーク面積値n2と比較する。
e) 判定 n1が,n2より大きくないとき,“2,3-ジメチル-1-フェニル-5-ピラゾロン(C11H12N2O):質量分率
1.0 %以下(規格値)”とする。
注記 2,3-ジメチル-1-フェニル-5-ピラゾロン(C11H12N2O)の含有率(質量分率 %)は,次の式に
よって,おおよその値を求めることができる。
100
100
2
1
×
×
=
m
n
n
B
A
ここに, A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: はかりとった2,3-ジメチル-1-フェニル-5-ピラゾロンの質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(mg)
6.6
チタン分析適合性
チタン分析適合性の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(1+10) 6.3 a) 1) による。
2) チタン標準液(Ti:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,チタン標準液(Ti:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8703に規定する酸化チタン(IV)
0.167 gをはかりとり,JIS K 8960に規定する硫酸アンモニウム5 g及びJIS K 8951に規定する硫酸
10 mLを加え,加熱して溶かす。冷却した後,全量フラスコ100 mLに移し,水を標線まで加えて混
合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル 光路長が10 mmのもの。
2) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,全量フラスコ100 mLにチタン標準液(Ti:0.01 mg/mL)10 mLを正確にとり,
6.3のB液25 mLを加え,塩酸(1+10)を標線まで加えて混合し,1時間放置する。
2) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ100 mLにB液25 mLをとり,塩酸(1+10)を標線まで加えて
混合し,1時間放置する。
6
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3) 空試験溶液を対照として,試料溶液の波長390 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長に
おける吸収の測定)によって測定する。
4) 水を対照として,空試験溶液の波長390 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長における
吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 次の1) 及び2) に適合するとき,“チタン分析適合性:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液から得られる吸光度は,0.28以上
2) 空試験溶液から得られる吸光度は,0.02以下
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“ジアンチピリルメタン一水和物”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号