K 9553:2016
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(C4H4BrNO2) ······································································································· 3
6.3 アセトン溶状 ················································································································ 4
6.4 強熱残分(硫酸塩として) ······························································································ 5
7 容器······························································································································· 5
8 表示······························································································································· 5
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 9553:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成28年9月21日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 9553:1995によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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N-ブロモスクシンイミド(試薬)
N-Bromosuccinimide (Reagent)
C4H4BrNO2 FW:177.99
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるN-ブロモスクシンイミド1) について規定する。
注1) 別名:N-ブロモコハク酸イミド
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
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種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
N-ブロモスクシンイミドは,白からうすい黄の結晶性粉末で,僅かに刺激臭があり,水及びエタノール
(99.5)にやや溶けにくく,ジエチルエーテルに溶けにくい。融点は,約180 ℃である。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数2 926 cm-1,1 717 cm-1,1 423 cm-1,
1 311 cm-1,1 238 cm-1,1 195 cm-1,1 166 cm-1,1 004 cm-1,816 cm-1,658 cm-1及び641 cm-1付近に主な吸収
ピークを認める。試料調製をJIS K 0117の5.2 b)(錠剤法)によって行い,調製に臭化カリウムを用いた
ときの赤外吸収スペクトルの例を図1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
注記 図1は,国立研究開発法人産業技術総合研究所のスペクトルデータベースシステム(SDBS)か
ら引用したもので,チャート上に波数表示を追加している。
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品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C4H4BrNO2)
質量分率 %
98.0以上
6.2
アセトン溶状
試験適合
6.3
強熱残分(硫酸塩として)
質量分率 %
0.1以下
6.4
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試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
使用するガラス器具は,個別に規定された場合を除き,JIS R 3503及びJIS R 3505による。
6.2
純度(C4H4BrNO2)
純度(C4H4BrNO2)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) よう化カリウム JIS K 8913に規定するもの。
2) 酢酸(1+2) JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積2とを混合する。
3) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定する特級及び1級のでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mLを加え,か
き混ぜながら熱水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所に保存
し10日以内に使用する。
4) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加える。
5) 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/L) 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液
の調製,標定及び計算は,次による。
5.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 gとJIS K 8625に規定する炭酸ナト
リウム0.2 gをはかりとり,JIS K 8001の5.8 d)(溶存酸素を除いた水)に規定する溶存酸素を除
いた水1 000 mLを加えて溶かした後,気密容器に入れて保存する。調製後2日間放置したものを
用いる。
なお,防腐剤は,適切な量のJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタノールなどを用いるか,又
はそれらを炭酸ナトリウムと併用してもよい。
5.2) 標定 標定は,認証標準物質2) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウ
ムを用い,次のとおり行う。
5.2.1) 認証標準物質2) のよう素酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
5.2.2) 容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,試験成績書又は添付文書に従って乾燥
する。
5.2.3) 認証標準物質2) 又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.9 g〜1.1 gを全量フラスコ250 mL
に0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加える。共通すり合わせ三角
フラスコ200 mLに,その25 mLを正確にとり,水100 mLを加える。次に,よう化カリウム2 g
及び硫酸(1+1)2 mLを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置する。
指示薬としてでんぷん溶液を用い,5.1) で調製した0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定す
る。この場合,でんぷん溶液は,終点近くで液の色がうすい黄になったときに約0.5 mLを加え
る。終点は,液の青が消えた点とする。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mLに水100 mL及びよう化カリウム2 gをはかりとり,
硫酸(1+1)2 mLを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置し,同一条
件で空試験を行って滴定量を補正する。
注2) 認証標準物質を供給する者として,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標準総合
センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標準
物質生産者がある。
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5.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
(
)100
7
566
003
.0
250
25
2
1
A
V
V
m
f
×
−
×
×
=
ここに,
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(mL)
0.003 566 7: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するよ
う素酸カリウムの質量を示す換算係数(g/mL)
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
共通すり合わせ三角フラスコ200 mLなどに,試料0.1 gを0.1 mgの桁まではかりとり,水80 mL
及びよう化カリウム1 gを加えて溶かす。さらに,酢酸(1+2)3 mLを加えて,直ちに栓をし,暗所
に10分間放置した後,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,
終点近くで液の色がうすい黄になったときに約0.5 mLを加える。終点は,液の色が青から無色に変わ
った点とする。
別に,同一条件で空試験を行い,滴定量を補正する。
c) 計算 純度(C4H4BrNO2)は,次の式によって算出する。
(
)
100
900
008
.0
2
1
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度(C4H4BrNO2)(質量分率 %)
m: はかりとった試料の質量(g)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(mL)
V2: 空試験の滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶
液の体積(mL)
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
0.008 900: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当する
C4H4BrNO2の質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
アセトン溶状
アセトン溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アセトン JIS K 8034に規定するもの。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合する。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにする。溶液は,褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。
4.1) 計量標準供給制度[JCSS 3)]に基づく標準液で,使用目的に合致した場合に用い,必要な場合は,
適切な方法で希釈して使用する。
4.2) JCSS以外の認証標準液で使用目的に合致した場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販の標準液を用いる。
4.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。
注3) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
5) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mL
に正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準“僅かな微濁”は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)1.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c) 参照]にとり,水10 mL,
硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加えて20 mLとし,振り混ぜて
から15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 mL,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料1 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,アセトンを加えて溶かし20 mLにする。
2) 試料を溶かした直後に,共通すり合わせ平底試験管の上方又は側面から,濁りの程度をb) と比較
する。
e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“アセトン溶状:試験適合”とする。
試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
6.4
強熱残分(硫酸塩として)
強熱残分(硫酸塩として)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)
による。ただし,試料1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,JIS K 8951に規定する硫酸0.5 mLを加えた後,
強熱する。
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“N-ブロモスクシンイミド”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式,式量
e) 品質(純度)
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号