K 9551:2020
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度[Ba(ClO4)2] ·········································································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 pH(50 g/L,25 ℃) ······································································································ 4
6.5 塩化物(Cl) ················································································································ 5
6.6 硝酸塩(NO3) ·············································································································· 5
6.7 カルシウム(Ca) ·········································································································· 8
6.8 ストロンチウム(Sr) ···································································································· 9
6.9 カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr) ······································································ 9
6.10 鉛(Pb)及び鉄(Fe) ································································································· 11
7 容器······························································································································ 14
8 表示······························································································································ 14
K 9551:2020
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS K 9551:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,令和2年8月19日までの間は,産業標準化法第30条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 9551:1994を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
K 9551:2020
過塩素酸バリウム(試薬)
Barium perchlorate (Reagent)
Ba(ClO4)2 FW:336.23
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる過塩素酸バリウムについて規定する。
警告1 過塩素酸バリウムは劇物であり,吸入及び皮膚・粘膜への付着を避けるように注意する。ま
た,りん,硫黄,還元性の有機物などの可燃性物質と混合すると,加熱又は衝撃によって発
火し,場合によっては爆発することがあるため,衝撃を与えたり,火気,可燃物との接触を
させないように注意する。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,安全データシート(SDS)などを参考にして各自の責任にお
いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 0970 ピストン式ピペット
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8111 塩化亜鉛(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8159 塩化マグネシウム六水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)
2
K 9551:2020
JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬)
JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8653 デバルダ合金(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8736 エリオクロムブラックT(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
過塩素酸バリウムは,白い結晶又は結晶性粉末で,水に極めて溶けやすく,エタノール(99.5)にやや
溶けにくく,吸湿性がある。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料2 gに水20 mLを加えて,溶かす(A液)。A液10 mLに塩化カリウム溶液(100 g/L)1 mLを加
えると,白い結晶性の沈殿が生じる。
b) A液10 mLに硫酸(1+5)1 mLを加えると,白い沈殿が生じる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
3
K 9551:2020
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度[Ba(ClO4)2]
質量分率 %
95.0以上
6.2
水溶状
−
試験適合
6.3
pH(50 g/L,25 ℃)
−
5.0〜8.0
6.4
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.005以下
6.5
硝酸塩(NO3)
質量分率 %
0.003以下
6.6
カルシウム(Ca)
質量分率 %
0.01以下
6.7又は6.9
ストロンチウム(Sr)
質量分率 %
0.1以下
6.8又は6.9
鉛(Pb)
質量分率 %
0.001以下
6.10
鉄(Fe)
質量分率 %
0.001以下
6.10
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度[Ba(ClO4)2]
純度[Ba(ClO4)2]の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) アンモニア性塩化アンモニウム溶液(pH 10) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム7 gをはか
りとり,JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)57 mL及び水を加えて溶
かし,水を加えて100 mLにしたもの。溶液は,ポリエチレンなどの樹脂製瓶に密栓して保存する。
2) エリオクロムブラックT希釈粉末 JIS K 8736に規定するエリオクロムブラックT 0.10 gをはかり
とり,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム10 gを加えて混合したもの。褐色ガラス製瓶に保存す
る。
3) エリオクロムブラックT溶液 JIS K 8736に規定するエリオクロムブラックT 0.5 gをはかりとり,
JIS K 8891に規定するメタノールを加えて溶かし,更にJIS K 8891に規定するメタノールを加えて
100 mLにしたもの。保存する場合,更にJIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニウム0.5
gを加えて調製し,褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 0.01 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム複合溶液(0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液)
JIS K 8111に規定する塩化亜鉛,JIS K 8159に規定する塩化マグネシウム六水和物及びJIS K 8107
に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を用い,JIS K 8001のJA.6.4 c) 5)
(0.01 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム複合溶液)に従って,調製,標定及び計
算する。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ 自動滴定装置 光度滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料1.0 gを全量フラスコ500 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,更に水を標線
まで加えて混合する。
2) 1)の溶液25 mL(試料量0.05 g)をビーカー200 mLなどに正確にとり,水75 mL,アンモニア性塩
化アンモニウム溶液(pH 10)2 mL及び指示薬エリオクロムブラックT希釈粉末0.03 g〜0.04 g又は
エリオクロムブラックT溶液2,3滴を加え,次のいずれかの方法で滴定する。
4
K 9551:2020
2.1) 手動滴定によって,0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液で滴定を行う。終点は,液の色が赤から赤紫を
経て青に変わる点とする。
2.2) 光度滴定によって,610 nm〜660 nmで0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液で滴定を行う。この場合,終
点は,変曲点とする。
d) 計算 純度[Ba(ClO4)2]は,次の式によって算出する。
100
3
362
003
.0
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 純度[Ba(ClO4)2](質量分率 %)
V: 滴定に要した0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液の体積
(mL)
f: 0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.003 362 3: 0.01 mol/L EDTA2Na複合溶液1 mLに相当する
Ba(ClO4)2の質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水
を加えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)
参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加えて
20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 容量50 mL,直径約24 mmで,目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,更に
水を加えて20 mLにする。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の
有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
pH(50 g/L,25 ℃)
pH(50 g/L,25 ℃)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次による。
1) 窒素 純度がJIS K 1107に規定する2級以上のもの。
2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
5
K 9551:2020
b) 装置 主な装置は,次による。
1) 恒温水槽 25 ℃±0.5 ℃に調節できるもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え
て溶かし,更に二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカー
などにとる。
2) pHの測定は,JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温25 ℃±0.5 ℃の恒温水槽につ
けた試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。
6.5
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2)による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3)による。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を
加えて20 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)5.0 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,
水を加えて20 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸(1+2)5 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,
15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃くないとき,“塩化物
(Cl):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。
6.6
硝酸塩(NO3)
硝酸塩(NO3)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) デバルダ合金 JIS K 8653に規定するもの。
2) 吸収液 水150 mLを冷却し,かき混ぜながら,これにJIS K 8951に規定する硫酸10 mLを徐々に
加える。この液2 mLに水18 mLを加えたもの。
3) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mLに溶かし,これ
にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,
水で100 mLにしたもの。
4) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう
6
K 9551:2020
すめたもの。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
なお,有効塩素量の滴定は,次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを
0.1 mgの桁まではかりとり,全量フラスコ200 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mL
を共通すり合わせ三角フラスコ300 mLに正確にとり,水100 mL及びJIS K 8913に規定するよう化
カリウム2 gを加えて溶かした後,速やかに酢酸(1+1)6 mLを加えて栓をして振り混ぜる。約5
分間暗所に放置後,指示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定す
る。
この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mLを加える。終
点は,液の青が消える点とする。別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
次亜塩素酸ナトリウム溶液の有効塩素濃度は,次の式によって算出する。
(
)
100
200
20
3
545
003
.0
2
1
×
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(mL)
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当する塩
素の質量を示す換算係数(g/mL)
また,酢酸(1+1),でんぷん溶液及び0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,次による。
・ 酢酸(1+1)の調製は,JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
・ でんぷん溶液の調製は,JIS K 8659に規定する特級又は1級のでんぷん(溶性)1.0 gをはかりと
り,水10 mLを加えてかき混ぜながら熱水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した
後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に使用する。
・ 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物
及びJIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム又はJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタノールを
用い,JIS K 8001のJA.6.4 t) 2)(0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液)に従って,調製,標定及び
計算する。
5) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして
100 mLにしたもの。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
6) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)18 mLをビーカー200 mLにとり,
冷水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K
8034に規定するアセトン4 mLを加え,水で100 mLにしたもの。使用時に調製する。
7) 硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル 光路長が10 mmのもの。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
7
K 9551:2020
3) 沸騰石 ふっ素樹脂製,ガラス製又は磁製で,大きさが2 mm〜10 mmのもの。
4) 恒温水槽 20 ℃〜25 ℃に調節できるもの。
5) 蒸留装置 例を図1に示す。
6) 分光光度計 JIS K 0115に規定する構成のもの。
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
L:
蒸留フラスコ
連結導入管
すり合わせコックK-16
注入漏斗
ケルダール形トラップ球(E':小孔)
球管冷却器
逆流止め(約50 mL)
受器(有栓形メスシリンダー100 mL)
共通すり合わせ
共通テーパー球面すり合わせ
押さえばね
ヒーター
図1−蒸留装置の例
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料1.0 gをはかりとり,水を加えて約140 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコAに硝酸塩標準液(NO3:0.01 mg/mL)3.0 mLをとり,水を加え
て約140 mLにする。
3) 空試験溶液は,蒸留フラスコAに水を加えて約140 mLにする。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に沸騰石2,3個を入れる。受器Hに吸収液20 mLを入れ,逆
流止めGの先端を浸し,蒸留フラスコAにデバルダ合金1 gを加え,蒸留装置に連結する。これに
水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)10 mLを注入漏斗Dから加える。注入漏斗Dを水10 mLで洗い,
すり合わせコックCを閉じる。加熱して蒸留し,初留約75 mLをとり,水を加えて100 mLにする
(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られた液をY液及び空試験溶液から得られた液
をZ液とする。)。
5) X液10 mL,Y液10 mL及びZ液10 mLをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管にとり,EDTA2Na
8
K 9551:2020
溶液(インドフェノール青法用)1 mL及びナトリウムフェノキシド溶液4 mLを加えてよく振り混
ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mLを加え,更に水を加
えて25 mLにし,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽で15分間放置する。
6) X液及びY液から得られた液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,分光光度
計で波長630 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定
し,比較する。
d) 判定 X液から得られた液の吸光度が,Y液から得られた液の吸光度より大きくないとき,“硝酸塩
(NO3):質量分率0.003 %以下(規格値)”とする。
6.7
カルシウム(Ca)
カルシウム(Ca)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。
2) カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) カルシウム(Ca)の測定波長 カルシウム(Ca)の測定波長の例を表2に示す。
表2−カルシウム(Ca)の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
カルシウム(Ca)
422.7
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,塩酸(2+1)1 mL及び水を加
えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料0.5 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,塩酸(2+1)1 mL及び水を加
えて溶かし,カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL)5.0 mLを加え,水を標線まで加えて混合する(Y
液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2の測定波
長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレーム
中に噴霧し,カルシウム(Ca)の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取
る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 n1がn2−n1より大きくないとき,“カルシウム(Ca):質量分率0.01 %以下(規格値)”とする。
注記 カルシウム(Ca)の含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を求めること
ができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: カルシウム(Ca)の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中のカルシウムの質量(mg)
9
K 9551:2020
m: X液に含まれる試料の質量(g)
6.8
ストロンチウム(Sr)
ストロンチウム(Sr)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 塩酸(2+1) 6.7 a) 1)による。
2) ストロンチウム標準液(Sr:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ フレーム原子吸光分析装置 6.7 b)による。
c) ストロンチウム(Sr)の測定波長 ストロンチウム(Sr)の測定波長の例を表3に示す。
表3−ストロンチウム(Sr)の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
ストロンチウム(Sr)
460.7
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合
する(S液)。
2) 試料溶液の調製は,S液10 mL(試料量0.1 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,塩酸(2+1)
1 mLを加え,水を標線まで加えて混合する(X液)。
3) 比較溶液の調製は,S液10 mL(試料量0.1 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,塩酸(2+1)
1 mL及びストロンチウム標準液(Sr:0.1 mg/mL)1.0 mLを加え,水を標線まで加えて混合する(Y
液)。
4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表3の測定波
長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレーム
中に噴霧し,ストロンチウム(Sr)の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読
み取る。
5) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 n1がn2−n1より大きくないとき,“ストロンチウム(Sr):質量分率0.1 %以下(規格値)”とす
る。
注記 ストロンチウム(Sr)の含有率(質量分率 %)は,カルシウム(Ca)と同様の式で,おおよ
その値を求めることができる[6.7 e)の注記参照]。
6.9
カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)
カルシウム(Ca)及びストロンチウム(Sr)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(2+1) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積2と水の体積1と
を混合したもの。
2) イットリウム標準液(Y:1 mg/mL) 次のいずれかの方法で調製されたもの。
なお,使用目的に合致した場合には,市販のものを用いてもよい。
2.1) 硝酸イットリウム(III)六水和物(質量分率99.9 %以上)4.31 gを全量フラスコ1 000 mLにはか
10
K 9551:2020
りとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合する。
2.2) 酸化イットリウム(III)(質量分率99.99 %以上)1.27 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,JIS
K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)75 mLを加えて,熱板(ホットプレート)
上で加熱し溶解させ,全量フラスコ1 000 mLに移し,ビーカー200 mLなどを洗い,洗液を先の全
量フラスコ1 000 mLに加えた後,水を標線まで加えて混合する。
3) カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
4) ストロンチウム標準液(Sr:1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。
2) ICP発光分光分析装置 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。
c) 分析種及び内標準イットリウムの測定波長 分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例を表4に
示す。
なお,別の条件でも同等の試験結果が得られる場合には,その条件を用いてもよい。
表4−分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例
測定元素
測定波長 nm
カルシウム(Ca)
396.847
ストロンチウム(Sr)
421.552
イットリウム(Y)
360.074
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,水を標線まで加えて混合する(B液)。
2) 試料溶液の調製は,1)のB液10 mL(試料量0.1 g)を全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸(2
+1)1 mL及び水30 mLを加えて溶かし,イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)50 µLを加え,更に
水を標線まで加えて混合する(X液)。
3) 検量線溶液の調製は,4個の全量フラスコ100 mLのそれぞれに,ピストン式ピペットなどを用いて
表5に規定する各標準液の体積をとり,硝酸(2+1)1 mL及びイットリウム標準液(Y:1 mg/mL)
50 µLを加え,水を標線まで加えて混合する(それぞれ,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液とする。)。
表5−採取する標準液の体積
標準液
mg/mL
採取量 mL
Y0
Y1
Y2
Y3
カルシウム標準液(Ca)
0.1
0
0.05
0.1
0.2
ストロンチウム標準液(Sr)
1
0
0.05
0.1
0.2
4) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の箇条4(ICP発光分光分析)による。
5) ICP発光分光分析装置は,アルゴンプラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態
にする。
6) 同一分析種ごとに複数波長を選択し,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液を用いて,関係線を作成し,関
係線のy切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件を満たせない場合,分析
結果に対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。
11
K 9551:2020
7) X液,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,分析種及び内標準の発光強度
を測定する。
e) 計算 JIS K 0116の4.7.3 a) 2)[強度比法(内標準法)]によって検量線を作成し,分析種の含有率を
算出する。
f)
判定 計算して得られた含有率が,規格値を満足しているとき,“カルシウム(Ca):質量分率0.01 %
以下(規格値),ストロンチウム(Sr):質量分率0.1 %以下(規格値)”とする。
6.10
鉛(Pb)及び鉄(Fe)
鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,6.10.1又は6.10.2のいずれかによる。
6.10.1
抽出−フレーム原子吸光分析法
抽出−フレーム原子吸光分析法の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
2) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積2
と水の体積3とを混合したもの。ポリエチレン製瓶などに保存する。
3) 塩酸(2+1) 6.7 a) 1)による。
4) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/L)[NaDDTC溶液(10 g/L)] JIS K 8454
に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gを水に溶かして100 mLにし
たもの。
5) くえん酸水素二アンモニウム溶液(200 g/L) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
20 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。
6) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
7) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 装置 主な装置は,次による。
1) pH計 6.4 b) 2)による。
2) フレーム原子吸光分析装置 6.7 b)による。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表6に示す。
表6−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
鉛(Pb)
283.3
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,塩酸(2+1)1 mL及び水を加
えて溶かし,更に水を加えて80 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,試料2.0 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)
2.0 mL,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)2.0 mL,塩酸(2+1)1 mL及び水を加えて溶かし,更に水を
加えて80 mLにする。
3) 空試験溶液の調製は,塩酸(2+1)1 mLに,水を加えて5 mLとする。
4) 試料溶液及び比較溶液にくえん酸水素二アンモニウム溶液(200 g/L)2 mLを加え,pH計を用いて,
12
K 9551:2020
塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節し,更にNaDDTC溶液(10 g/L)5 mLを
直ちに加え,水を加えて100 mLにする。
5) これらの溶液それぞれを,分液漏斗200 mLに入れ,酢酸ブチル20 mLを加えた後,1分間激しく振
り混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分取する。試料溶液の酢酸ブ
チル相をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの酢酸ブチル相をY液とし,下層(水
相)は捨てる。
6) 保存していた試料溶液からの水相を分液漏斗200 mLに入れ,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激
しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して下層(水相)を分取する。この場合の上層(酢酸ブチ
ル相)は捨てる。再び,水相に酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれる
まで放置して下層(水相)を分取し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た水相に3)の空試
験溶液を加え,pH計を用いて,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節する。さ
らに,NaDDTC溶液(10 g/L)5 mLを直ちに加え,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混
ぜ,二層に分かれるまで放置し,上層(酢酸ブチル相)を分取してZ液とする。
7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してアセチレン−空気フレームの状態
を最適にしておき,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表6の測定波長付近で吸光度が
最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,
分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1,Y液の指示値n2及びZ液の指示植n3を読み取る。
8) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3と,Y液の指示値からX液の指示値を
引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 n1−n3が,n2−n1より大きくないとき,“鉛(Pb):質量分率0.001 %以下(規格値),鉄(Fe):
質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を求めることができる。
100
000
1
1
2
3
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.10.2
発光分光分析法
発光分光分析法の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(2+1) 6.9 a) 1)による。
2) イットリウム標準液(Y:1 mg/mL) 6.9 a) 2)による。
3) インジウム標準液(In:1 mg/mL) 次の方法で調製されたもの。
インジウム(質量分率99.9 %以上)1.00 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,硝酸(1+1)100
mLを加えて,熱板(ホットプレート)上で穏やかに加熱し溶解させ,冷却後,全量フラスコ1 000
mLに移し,ビーカー200 mLなどを洗い,洗液を先の全量フラスコ1 000 mLに加えた後,水を標線
まで加えて混合する。
なお,使用目的に合致した場合には,市販のものを用いてもよい。
4) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.10.1 a) 6)による。
13
K 9551:2020
5) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.10.1 a) 7)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) ピストン式ピペット 6.9 b) 1)による。
2) ICP発光分光分析装置 6.9 b) 2)による。
c) 分析種及び内標準の測定波長 分析種及び内標準の測定波長の例を表7に示す。
なお,別の条件でも同等の試験結果が得られる場合には,その条件を用いてもよい。他の波長を用
いる場合で,原子線を測定する場合には原子線の内標準元素を選択し,イオン線を測定する場合には
イオン線の内標準元素を選択する。
表7−分析種及び内標準の測定波長の例
測定元素
測定波長 nm
用いる内標準
鉛(Pb)
217.000
In
鉄(Fe)
238.204
Y
イットリウム(Y)
360.074
−
インジウム(In)
325.609
−
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸(2+1)1 mL及び水30 mL
を加えて溶かし,イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)50 µL及びインジウム標準液(In:1 mg/mL)
50 µLを加え,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 検量線溶液の調製は,4個の全量フラスコ100 mLのそれぞれに,ピストン式ピペットなどを用いて
表8に規定する各標準液の体積をとり,硝酸(2+1)1 mL,イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)
50 µL及びインジウム標準液(In:1 mg/mL)50 µLを加え,水を標線まで加えて混合する(それぞ
れ,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液とする。)。
表8−採取する標準液の体積
標準液
mg/mL
採取量 mL
Y0
Y1
Y2
Y3
鉛標準液(Pb)
0.01
0
0.50
1.0
1.5
鉄標準液(Fe)
0.01
0
0.50
1.0
1.5
3) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の箇条4(ICP発光分光分析)による。
4) ICP発光分光分析装置は,アルゴンプラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態
にする。
5) 同一分析種ごとに複数波長を選択し,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液を用いて,関係線を作成し,関
係線のy切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件を満たせない場合,分析
結果に対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。
6) X液,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,分析種及び内標準の発光強度
を測定する。
e) 計算 JIS K 0116の4.7.3 a) 2)[強度比法(内標準法)]によって検量線を作成し,分析種の含有率を
算出する。
14
K 9551:2020
f)
判定 計算して得られた含有率が,規格値を満足しているとき,“鉛(Pb):質量分率0.001 %以下(規
格値),鉄(Fe):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“過塩素酸バリウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号