K 9547:2018
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 1
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 一般事項 ······················································································································ 2
6.2 希塩酸・メタノール溶状 ································································································· 3
6.3 吸光度(7.5 mg/L) ········································································································ 3
6.4 乾燥減量(105 ℃) ······································································································· 4
6.5 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 4
6.6 すず分析適合性 ············································································································· 4
7 容器······························································································································· 5
8 表示······························································································································· 5
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 9547:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成30年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 9547:1994によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
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フェニルフルオロン(試薬)
Phenylfluorone (Reagent)
C19H12O5 FW:320.30
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるフェニルフルオロンについて規定する。
注記 化学名:2,6,7-トリヒドロキシ-9-フェニル-3H-キサンテン-3-オン
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8371 酢酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8532 L(+)-酒石酸(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8580 すず(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 9550 ポリビニルアルコール(試薬)
3
種類
種類は,特級とする。
2
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4
性質
4.1
性状
フェニルフルオロンは,黄みの赤から褐色の結晶性粉末で,エタノール(99.5)に溶けにくく,水にほ
とんど溶けない。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 462 cm-1,1 619 cm-1,1 530 cm-1,
1 390 cm-1,1 295 cm-1,1 203 cm-1,967 cm-1及び578 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料
調製は,JIS K 0117の5.3 a)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペ
クトルの例を,図1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
希塩酸・メタノール溶状
−
試験適合
6.2
吸光度(7.5 mg/L)
−
0.70以上
6.3
乾燥減量(105 ℃)
質量分率 %
5.0以下
6.4
強熱残分(硫酸塩)
質量分率 %
0.5以下
6.5
すず分析適合性
−
試験適合
6.6
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
3
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6.2
希塩酸・メタノール溶状
希塩酸・メタノール溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸 JIS K 8180に規定する特級のもの。
2) メタノール JIS K 8891に規定するもの。
3) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
4) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
5) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ
ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)
参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて20 mL
とし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
− 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,有害なメタノールが揮散するため,排気に注意して,次のとおり行う。
1) 試料0.075 gを全量フラスコ50 mLにはかりとり,塩酸1 mLを加え,メタノールを標線まで加えて
溶かす(A液)(この液は,6.3の試験にも用いる。)。A液20 mLを共通すり合わせ平底試験管に移
す。
2) 試料を溶かした直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通す
り合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“希塩酸・メタノール溶状:試験適合(規
格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.3
吸光度(7.5 mg/L)
吸光度(7.5 mg/L)の試験方法は,次による。
a) 試薬 試薬は,次のものを用いる。
− メタノール 6.2 a) 2)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
2) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,6.2のA液10 mL(試料量0.015 g)を全量フラスコ200 mLに正確にとり,メタ
ノールを標線まで加えて混合する(B液)(この液は,6.6の試験にも用いる。)。B液10 mLを全量
フラスコ100 mLに正確にとり,メタノールを標線まで加えて混合する。
4
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2) 吸収セルを用い,分光光度計で波長470 nmにおける試料溶液の吸光度を,メタノールを対照液とし
てJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の吸光度が,0.70より大きいとき,“吸光度(7.5
mg/L):0.70以上(規格値)”とする。
6.4
乾燥減量(105 ℃)
乾燥減量(105 ℃)は,JIS K 0067の4.1.4(1)(第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法)による。この
場合,試料1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,乾燥する。
6.5
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)は,JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。この場
合,試料1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,JIS K 8951に規定する硫酸1 mLを加えて灰化した後,600 ℃
±50 ℃で強熱する。強熱残分は,0.1 mgの桁まではかる。
6.6
すず分析適合性
すず分析適合性の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸 6.2 a) 1)による。
2) 塩酸(1+9) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積9とを混合したもの。
3) 酢酸塩緩衝液(pH 4.6) 全量フラスコ500 mLにJIS K 8355に規定する酢酸43 mLをとり,水200
mL及びJIS K 8371に規定する酢酸ナトリウム三水和物102 gを加えて溶かし,水を標線まで加え
て混合したもの。
4) 酒石酸溶液(100 g/L) JIS K 8532に規定するL(+)-酒石酸10 gをはかりとり,水を加えて溶かし,
水を加えて100 mLにしたもの。
5) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)(必要な場合に用いる。) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウ
ム30.9 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。ポリエチレンなどの
樹脂製瓶に保存する。
6) ポリビニルアルコール溶液(5 g/L) JIS K 9550に規定するポリビニルアルコール0.5 gをはかりと
り,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。
7) すず標準液(Sn:0.02 mg/mL) JIS K 8580に規定するすず0.100 gにJIS K 8951に規定する硫酸
2.5 mLを加え,加熱して溶かしたもの。硫酸7.5 mLを加え,全量フラスコ50 mLに移し,水を標
線まで加えて混合する。その5 mLを全量フラスコ500 mLに正確にとり,硫酸1 mL及び水4 mL
を加え,硫酸(1+2)150 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル 6.3 b) 1)による。
2) 分光光度計 6.3 b) 2)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,全量フラスコ50 mLにすず標準液(Sn:0.02 mg/mL)2.0 mLを正確にとり,水
3 mLを加える。
2) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ50 mLに水5 mLをとる。
3) 試料溶液及び空試験溶液に酢酸塩緩衝液(pH 4.6)10 mL,ポリビニルアルコール溶液(5 g/L)5 mL
及び酒石酸溶液(100 g/L)1 mLを加え,塩酸又は水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)でpH 2.0に調
節し,6.3のB液10 mL及び塩酸(1+9)10 mLを加え,水を標線まで加えて混合し,30分間放置
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する。
4) 吸収セルを用い,分光光度計で波長510 nmにおける試料溶液の吸光度を,水を対照液としてJIS K
0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 c)によって操作し, 試料溶液から得られた液の吸光度が,0.40より大きく,空試験溶液から得
られた液の吸光度が0.10より小さいとき,“すず分析適合性:試験適合(規格値)”とする。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“フェニルフルオロン”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 内容量
f)
製造番号
g) 製造業者名又はその略号