K 9528:2020
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目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度[(C3H7)2O](GC) ·································································································· 3
6.3 密度(20 ℃) ················································································································ 4
6.4 屈折率
20
D
n ····················································································································· 4
6.5 水分 ···························································································································· 4
6.6 不揮発物 ······················································································································ 4
6.7 酸(CH3CH2COOHとして) ···························································································· 4
6.8 過酸化物(H2O2として) ································································································ 5
7 容器······························································································································· 5
8 表示······························································································································· 6
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まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS K 9528:2013は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,令和2年9月22日までの間は,産業標準化法第30条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 9528:2013を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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ジイソプロピルエーテル(試薬)
Diisopropyl ether (Reagent)
[(CH3)2CH]2O FW:102.17
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適用範囲
この規格は,試薬として用いるジイソプロピルエーテルについて規定する。
警告1 ジイソプロピルエーテルは,有害なので,蒸気を吸入しないようにし,粘膜及び皮膚に付着
しないようにする。また,引火性が強く,熱,裸火などの着火源から遠ざける。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,安全データシート(SDS)などを参考にして各自の責任にお
いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
注記 別名:2,2'-オキシビスプロパン
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0061 化学製品の密度及び比重測定方法
JIS K 0062 化学製品の屈折率測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 0970 ピストン式ピペット
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
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JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS R 3505 ガラス製体積計
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種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
ジイソプロピルエーテルは,無色透明の液体で,エタノール(99.5)及びジエチルエーテルに極めて混
じりやすく,水に混じりにくい。沸点は,約68 ℃である。一般的に安定剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチル
フェノール,ヒドロキノンなどを含む。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数2 972 cm-1,2 936 cm-1,2 879 cm-1,
1 468 cm-1,1 379 cm-1,1 368 cm-1,1 327 cm-1,1 169 cm-1,1 126 cm-1,1 112 cm-1,1 015 cm-1,904 cm-1及
び795 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料調製は,JIS K 0117の5.4 a)(液膜法)による。
窓板に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を図1に示す。
[出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所の有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)(チャート上にピー
クの波数を追記)]
図1−赤外吸収スペクトルの例
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品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
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表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度[(C3H7)2O](GC)
面積分率 %
99.0以上
6.2
密度(20 ℃)
g/mL
0.720〜0.734
6.3
屈折率
20
D
n
−
1.366〜1.371
6.4
水分
質量分率 %
0.1以下
6.5
不揮発物
質量分率 %
0.02以下
6.6
酸(CH3CH2COOHとして)
質量分率 %
0.01以下
6.7
過酸化物(H2O2として)
質量分率 %
0.001以下
6.8
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度[(C3H7)2O](GC)
純度[(C3H7)2O](GC)の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) マイクロシリンジ又は試料導入装置 0.2 µLを採取できるもの。
2) ガスクロマトグラフ 装置の構成は,JIS K 0114に規定するもの。
b) 分析条件 分析条件は,次による。
なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることが確認されている場合には,その条件を用
いてもよい。
1) 検出器の種類 水素炎イオン化検出器
2) キャピラリーカラム
・ 材質 石英ガラス
・ 内径 0.25 mm
・ 長さ 30 m
・ 固定相液体の種類 ポリエチレングリコール
・ 固定相液体の膜厚 0.25 μm
3) 設定温度
・ カラム槽 30 ℃〜50 ℃
・ 試料気化室 120 ℃
・ 検出器槽 120 ℃
4) キャリヤーガス
・ 種類 ヘリウム
・ 流量 5.0 mL/min〜10.0 mL/min
5) 試料の導入方式 全量注入法
6) 試料の導入量 0.2 μL
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料をマイクロシリンジ又は試料導入装置を用いて,ガスクロマトグラフに導入してクロマトグラ
ムを記録する。
なお,あらかじめジイソプロピルエーテルの保持時間を確認しておく。
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2) クロマトグラムのピーク面積を,JIS K 0114の11.3 a)(データ処理ソフト又はデータ処理装置を用
いる方法)に従って測定する。
d) 定量法 各成分のピーク面積を測定し,JIS K 0114の11.5(面積百分率法)によって純度[(C3H7)2O]
(GC)を算出する。
6.3
密度(20 ℃)
密度(20 ℃)の試験方法は,JIS K 0061の7.2(比重瓶法)又は7.3(振動式密度計法)による。
6.4
屈折率
20
D
n
屈折率
20
D
nの試験方法は,JIS K 0062による。
6.5
水分
水分の試験方法は,JIS K 0068の6.3(容量滴定法)又は6.4(電量滴定法)による。試料量は,容量滴
定法の場合10 g(約13.8 mL),電量滴定法の場合1 g(約1.4 mL)を用いる。滴定溶媒は,JIS K 8891に
規定するメタノール又は水分計の製造業者が推奨するものを用いる。
6.6
不揮発物
不揮発物の試験方法は,JIS K 0067の4.3.4(1)(第1法 水浴上で加熱蒸発する方法)による。ただし,
この場合,試料20 gをはかりとる。
6.7
酸(CH3CH2COOHとして)
酸(CH3CH2COOHとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬,ガス及び試験用溶液類 試薬,ガス及び試験用溶液類は,次による。
1) 窒素 純度がJIS K 1107に規定する2級以上のもの。
2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
3) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをエタノール(95)
50 mLに溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 0.05 mol/L 塩酸 JIS K 8180に規定する塩酸(特級)を用い,JIS K 8001のJA.6.5 a) 1)(0.05 mol/L
塩酸)に従って,調製,標定及び計算したもの。
5) 0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用い,JIS K 8001の
JA.6.5 c) 1)(0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)に従って,調製,標定及び計算したもの。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ メスピペット又はピストン式ピペット JIS R 3505に規定する呼び容量0.1 mL〜0.5 mLのもの,又
はJIS K 0970に規定する1 000 µL以下のもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,あらかじめ窒素を約200 mL/minの流量で約2分間通じて空気を置換した分液ロ
ート200 mLに,二酸化炭素を除いた水25 mLをとり,ブロモチモールブルー溶液3滴を加え,窒
素を液面に通じながら,0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液又は0.05 mol/L 塩酸でメスピペット又は
ピストン式ピペットを用いて中和した後,試料10 g(約13.8 mL)を速やかに加え,約2分間激し
く振り混ぜる。水相(下層)を共通すり合わせ三角フラスコに移す。
2) 試料溶液が中間色から酸性側の色(黄)の場合は,液面に窒素を通じながらメスピペット又はピス
トン式ピペットを用いて0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液0.27 mLを加え,共通すり合わせ三角フ
ラスコの上方又は側方から液の色を観察する。
なお,指示薬の中和の色が分かりにくい場合,JIS K 8001のJA.7(緩衝液)に規定するpH 6.8
の緩衝液を1)の全液量と同じ量をとり,ブロモチモールブルー溶液3滴を加えたものと比較すると
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よい。
d) 判定 操作c) 1)又はc) 2)から得られた試料溶液の色が,中和の色からアルカリ性側の色(青)になる
とき,“酸(CH3CH2COOHとして):質量分率0.01 %以下(規格値)”とする。
なお,0.05 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLは,0.003 704 g CH3CH2COOHに相当する。
6.8
過酸化物(H2O2として)
過酸化物(H2O2として)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) よう化カリウム JIS K 8913に規定するもの。
2) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定する特級又は1級のでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mLを加えてか
き混ぜながら熱水200 mL中に入れて溶かし,これを約1分間煮沸した後に冷却したもの。
3) 硫酸(1+15) 水の体積15を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加えたもの。
4) 溶存酸素を除いた水 JIS K 8001の5.8 d)(溶存酸素を除いた水)による。
5) 0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:2.482 g/L) JIS K 8637に規定するチオ硫酸
ナトリウム五水和物及びJIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム又はJIS K 8051に規定する3-メチ
ル-1-ブタノールを用い,JIS K 8001のJA.6.4 t) 3)(0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液)に従って,
調製,標定及び計算したもの。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ メスピペット又はピストン式ピペット 6.7 b)による。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料5 g(約6.9 mL)をはかりとり,三角フラスコ100 mLなどに入れ,水50 mL
を加えて,よう化カリウム1 g,硫酸(1+15)5 mL及びでんぷん溶液1 mLを加えてよく振り混ぜ
る。
2) メスピペット又はピストン式ピペットを用いて,0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液0.30 mLを加
え,三角フラスコ100 mLなどの上方又は側方から液の色を観察する。
d) 判定 試料溶液から得られた液が,青から紫を呈しないとき,“過酸化物(H2O2として):質量分率
0.001 %以下(規格値)”とする。
注記 過酸化物(H2O2として)の含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を算
出することが可能である。
100
05
70
1
000
.0
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 過酸化物(H2O2として)の含有率(質量分率 %)
V: 0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体積(mL)
f: 0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.000 170 05: 0.01 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当する
H2O2の質量を示す換算係数(g/mL)
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容器
容器は,遮光した気密容器とする。
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8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“ジイソプロピルエーテル”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式び式量
e) 純度
f)
安定剤の名称及びその量
g) 内容量
h) 製造番号
i)
製造業者名又はその略号