K 9520:2013
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(CHCl2CHCl2)(GC)····························································································· 3
6.3 密度(20 ℃) ··············································································································· 3
6.4 屈折率n20D ····················································································································· 4
6.5 水分 ···························································································································· 4
6.6 酸(HClとして) ·········································································································· 4
7 容器······························································································································· 6
8 表示······························································································································· 6
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 9520:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成25年9月20日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 9520:1992によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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1,1,2,2-テトラクロロエタン(試薬)
1,1,2,2-Tetrachloroethane (Reagent)
CHCl2CHCl2 FW:167.84
序文
この規格は,1976年に制定され,その後2回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる1,1,2,2-テトラクロロエタンについて規定する。
警告 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とする。
この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。
この規格の利用者は,SDS(安全データシート),MSDS(化学物質等安全データシート:JIS Z
7250‐2012年廃止,猶予期間2016年まで)などを参考にして各自の責任において安全及び健
康に対する適切な措置をとらなければならない。
なお,1,1,2,2-テトラクロロエタンは,有害なので,蒸気の吸入,粘膜・皮膚への付着などを
避ける。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0061 化学製品の密度及び比重測定方法
JIS K 0062 化学製品の屈折率測定方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
2
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JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
1,1,2,2-テトラクロロエタンは,無色透明の液体で,特異の臭いがあり,エタノール及びジエチルエーテ
ルに極めて溶けやすく,水に溶けにくい。沸点は,約146 ℃である。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数2 984 cm-1,1 279 cm-1,1 202 cm-1,
1 018 cm-1,795 cm-1,740 cm-1,649 cm-1及び546 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。試料調製をJIS K 0117
の5.4 a)(液膜法)によって行い,窓板に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を図1に
示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
注記 図1は,独立行政法人産業技術総合研究所のSDBSから引用したものである。
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品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
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表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(CHCl2CHCl2)(GC)
質量分率 %
97.0以上
6.2
密度(20 ℃)
g/ml
1.593〜1.601
6.3
屈折率n20D
1.493〜1.497
6.4
水分
質量分率 %
0.1以下
6.5
酸(HClとして)
質量分率 %
0.003以下
6.6
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(CHCl2CHCl2)(GC)
純度(CHCl2CHCl2)(GC)の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) マイクロシリンジ又は試料導入装置 少量の定容量の測定溶液をガスクロマトグラフのカラムに導
入するマイクロシリンジ又は装置。
2) ガスクロマトグラフ JIS K 0114に規定するもの。
b) 分析条件 分析条件は,次による。
なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることが確認されている場合には,その条件を用
いてもよい。
1) 検出器の種類 水素炎イオン化検出器
2) 固定相液体名 ジメチルポリシロキサン
3) 固定相液体の膜厚 5.0 μm
4) カラム用キャピラリーの材質,内径及び長さ 石英ガラス,0.53 mm,30 m
5) 設定温度 カラム槽 110 ℃
試料気化室 160 ℃
検出器槽 160 ℃
6) キャリヤーガスの種類及び流量 ヘリウム,10.0 ml/min
7) 試料の導入方式 全量注入法
8) 試料の導入量 0.2 μl
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料の導入及び記録 試料をマイクロシリンジ又は試料導入装置を用いてガスクロマトグラフに導
入してクロマトグラムを記録する。
なお,あらかじめ1,1,2,2-テトラクロロエタンの保持時間を確認しておく。
2) ピーク面積の測定 クロマトグラムのピーク面積の測定は,JIS K 0114の11.3 a)(データ処理ソフ
ト又はデータ処理装置を用いる方法)による。
d) 定量法 各成分のピーク面積を測定し,JIS K 0114の11.5(面積百分率法)によって純度(CHCl2CHCl2)
(GC)の含有率を求める。
6.3
密度(20 ℃)
密度(20 ℃)の試験方法は,JIS K 0061の7.2(比重瓶法)又は7.3(振動式密度計法)による。
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6.4
屈折率n20D
屈折率n20Dの試験方法は,JIS K 0062による。
6.5
水分
水分の試験方法は,JIS K 0068の6.3.5 a)(直接滴定)又は6.4(電量滴定法)による。ただし,直接滴
定の場合,試料20 g(12.5 ml)をはかりとり,溶媒はメタノールとする。電量滴定法の場合,試料5.0 g
(3.1 ml)をはかりとる。
6.6
酸(HClとして)
酸(HClとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬,ガス及び試験用溶液類 試薬,ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの。
3) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
4) 塩酸(0.05 mol/l) JIS K 8180に規定する塩酸9 mlをはかりとり,水を加えて100 mlとし,混合
する。その5 mlをはかりとり,水を加えて100 mlとした後,気密容器に保存する。
5) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml
にする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
6) 二酸化炭素を除いた水 次の6.1)〜6.4)のいずれか,又は二つ以上を組み合わせたものを用い,使用
時に調製する。
6.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却
したもの。
6.2) 水をフラスコに入れ,水の中に窒素を15分間以上通じたもの。
6.3) 二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて水から二酸化炭素を除いたもの。
6.4) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
7) pH 6.8の緩衝液(りん酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム混合溶液) pH 6.8の緩衝液は,次に
よって調製する。
7.1) 0.1 mol/l りん酸二水素カリウム溶液 JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム(pH標準液
用)6.80 g(質量分率100 %としての相当質量)を全量フラスコ500 mlに入れ,適量の二酸化炭素
を除いた水で溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。ほうけい酸ガラス製瓶,
ポリエチレン製瓶などに保存する。
7.2) 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:8.00 g/l) 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製は,
次による。
7.2.1) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/l) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定
及び計算は,次による。
注記 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.5.2(滴定用
溶液の調製,標定及び計算)r) 1)と同じである。
7.2.1.1) 調製 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム165 gをポリエチレン製などの気密容器500 ml
にはかりとり,二酸化炭素を除いた水150 mlを加えて溶かした後,二酸化炭素を遮り4〜5日
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間放置する。その上澄み液54 mlをポリエチレン製などの気密容器1 000 mlにはかりとり,二
酸化炭素を除いた水を加えて1 000 mlとし,混合した後,ソーダ石灰管を付けて保存する。
7.2.1.2) 標定 標定は,認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のアミド硫酸を
用い,次のとおり行う。
7.2.1.2.1) 認証標準物質1) のアミド硫酸を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
7.2.1.2.2) 容量分析用標準物質のアミド硫酸を用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いた後,上
口デシケーター(減圧デシケーター)に入れ,上口デシケーター内圧2.0 kPa以下で約48時
間乾燥する。
7.2.1.2.3) 認証標準物質1) 又は容量分析用標準物質のアミド硫酸2.4〜2.6 gを0.1 mgの桁まではかり,
コニカルビーカー100 mlに移し,水25 mlを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチモー
ルブルー溶液数滴を加え,7.2.1.1)で調製した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終
点は,液の色が黄から青みの緑になる点とする。
注1) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国
際単位系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標
準物質を入手できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることが
でき,その説明書に従って使用する。
なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標
準総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及
び認証標準物質生産者がある。
7.2.1.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
09
097
.0
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったアミド硫酸の質量(g)
A: アミド硫酸の純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
0.097 09: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するアミド硫
酸の質量を示す換算係数(g/ml)
7.2.2) 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクターから計算し
た必要な体積を正確に全量フラスコ100 mlに入れ,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混
合し,ソーダ石灰管を付けてポリエチレン製などの気密容器に入れる。
7.3) pH 6.8の緩衝液の調製 0.1 mol/l りん酸二水素カリウム溶液50 ml及び0.2 mol/l 水酸化ナトリウ
ム溶液11.82 mlを全量フラスコ100 mlに正確に入れ,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混
合する。ほうけい酸ガラス製瓶,ポリエチレン製瓶などに保存する。
8) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをエタノール(95)
50 mlに溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
9) 0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:2.00 g/l) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液10 mlを全量フ
ラスコ200 mlに正確に入れ,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。使用時に調製し,
ポリエチレン製などの気密容器に入れる。ファクターは,1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクタ
ーを用いる。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
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1) メスピペット JIS R 3505に規定するもので,最小目盛0.01 mlのもの。
2) 分液漏斗100 ml JIS R 3503に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,あらかじめ窒素を約2分間通じて空気を置換した分液漏斗100 mlに二酸化炭素
を除いた水25 mlを入れ,ブロモチモールブルー溶液2滴を加え,窒素を液面に通じながらメスピ
ペットを用いて液の色が中間色2) になるまで0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液又は塩酸(0.05 mol/l)
で中和し,試料20 g(12.5 ml)を加える。約2分間激しく振り混ぜる。
2) あらかじめ窒素を約2分間通じて空気を置換した共通すり合わせ三角フラスコ100 mlに試料溶液の
上層(水相)を移し,共通すり合わせ三角フラスコの上方又は側面から水相の色を観察する。
3) 試料溶液から得られた水相が中間色から酸性側の色(黄)の場合は,液面に窒素を通じながらメス
ピペットを用いて0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液0.33 mlを加え,共通すり合わせ三角フラスコ
100 mlの上方又は側面から液の色を観察する。ただし,0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファク
ターが1.00でない場合は,加える体積を補正する。
注2) 共通すり合わせ三角フラスコ100 mlにpH 6.8の緩衝液約25 mlを入れ,ブロモチモールブ
ルー溶液2滴を加えたときの色。
d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“酸(HClとして):質量分率0.003 %以下(規
格値)”とする。
1) 試料溶液から得られた水相の色は,中間色からアルカリ性色(青)になる。
2) 水相から得られた液の色は,中間色からアルカリ性色(青)になる。
注記 酸(HClとして)の含有率(質量分率 %)を求める場合は,次の式によって計算する。
100
0
823
001
.0
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 酸(HClとして)の含有率(質量分率 %)
V: 0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
f: 0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.001 823 0: 0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するHCl
の質量を示す換算係数(g/ml)
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “1,1,2,2-テトラクロロエタン”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
h) 製造業者名又はその略号