K 9514:2012
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(C12H10NNaO3S) ··································································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 7
6.4 鋭敏度 ························································································································· 8
7 容器······························································································································ 10
8 表示······························································································································ 10
K 9514:2012
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ
きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 9514:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格
JIS
K 9514:2012
ジフェニルアミン-4-スルホン酸ナトリウム(試薬)
Sodium diphenylamine-4-sulfonate (Reagent)
C12H10NNaO3S FW:271.27
序文
この規格は,1976年に制定され,その後2回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は,1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるジフェニルアミン-4-スルホン酸ナトリウムについて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8202 塩化1,10-フェナントロリニウム一水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8780 ピロガロール(試薬)
JIS K 8840 ブロモクレゾールグリーン(試薬)
JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬)
JIS K 8844 ブロモフェノールブルー(試薬)
2
K 9514:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 8896 メチルレッド(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8978 硫酸鉄(II)七水和物(試薬)
JIS K 8979 硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 9005 りん酸(試薬)
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
ジフェニルアミン-4-スルホン酸ナトリウムは,白〜明るい灰色の結晶又は粉末で,水にやや溶けやすく,
エタノールに溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数3 383 cm-1,1 596 cm-1,1 497 cm-1,
1 326 cm-1,1 194 cm-1,1 049 cm-1及び708 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料調製
はJIS K 0117の5.3(粉体)a)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収
スペクトルの例を図1に示す。
注記 図1は,独立行政法人産業技術総合研究所のSDBSから引用したものである。
図1−赤外吸収スペクトルの例
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線を先端から約30 mmまでを塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120
3
K 9514:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
mm,内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に入れた後,内炎の最上部から約10 mm
の位置に水平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,白金線
の先端約5 mmを水で浸し,少量の試料を付着させたものをガスバーナーの無色炎中に入れると黄が
現れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C12H10NNaO3S)
質量分率 %
97.0以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
鋭敏度
試験適合
6.4
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(C12H10NNaO3S)
純度(C12H10NNaO3S)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの。
2) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
3) 吸収液 図2の受器Hに,0.05 mol/l 硫酸20 mlを正確にはかりとり,ブロモクレゾールグリーン・
メチルレッド溶液0.2 ml及び水100 mlを加える。
なお,吸収液を調製した受器Hは,試験に必要な数を準備する。
4) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml
にする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
5) ブロモクレゾールグリーン・メチルレッド溶液 JIS K 8840に規定するブロモクレゾールグリーン
0.15 g及びJIS K 8896に規定するメチルレッド0.10 gをJIS K 8102に規定するエタノール(95)に
溶かして200 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
6) 分解促進剤 粉末にしたJIS K 8962に規定する硫酸カリウム10 gに粉末にしたJIS K 8983に規定
する硫酸銅(II)五水和物1 gを加えてよく混合する。
7) 二酸化炭素を除いた水 次の7.1)〜7.4)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
7.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却
したもの。
7.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
7.3) 水から二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて二酸化炭素を除いたもの。
4
K 9514:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7.4) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
8) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをJIS K 8102に規
定するエタノール(95)50 mlに溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
9) ブロモフェノールブルー溶液 JIS K 8844に規定するブロモフェノールブルー0.10 gをJIS K 8102
に規定するエタノール(95)50 mlに溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
10) 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:4.000 g/l) 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定
及び計算は,次による。
10.1) 調製 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム165 gをポリエチレン製などの気密容器500 mlに
はかりとり,二酸化炭素を除いた水150 mlを加えて溶かした後,二酸化炭素を遮り4〜5日間放置
する。その上澄み液54 mlをポリエチレン製などの気密容器1 000 mlにとり,二酸化炭素を除い
た水を加えて1 000 mlとする。この液100 mlを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,二酸化炭素
を除いた水を標線まで加えて混合した後,ポリエチレン製などの気密容器に入れ,ソーダ石灰管
を付けて保存する。
10.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のアミド硫酸を用
い,次のとおり行う。
10.2.1) 認証標準物質1)のアミド硫酸を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
10.2.2) 容量分析用標準物質のアミド硫酸を用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いた後,上口デ
シケーター(減圧デシケーター)に入れ,上口デシケーター内圧2.0 kPa以下で約48時間乾燥す
る。
10.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質のアミド硫酸0.24〜0.29 gを0.1 mgの桁まではかりコニ
カルビーカー100 mlに移し,水25 mlを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチモールブルー
溶液数滴を加え,10.1)で調製した0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,液の色
が黄から青みの緑に変わる点とする。
注1) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際単位
系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標準物質を入手
できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることができ,その説明書に
従って使用する。
なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合
センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標準
物質生産者がある。
10.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
709
009
.0
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f: 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったアミド硫酸の質量(g)
A: アミド硫酸の純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積
(ml)
0.009 709: 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するアミ
ド硫酸の質量を示す換算係数(g/ml)
5
K 9514:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
11) 0.05 mol/l 硫酸(H2SO4:4.904 g/l) 0.05 mol/l 硫酸の調製,標定及び計算は,次による。
11.1) 調製 水1 000 mlをビーカーにはかりとり,JIS K 8951に規定する硫酸3 mlをかき混ぜながら徐々
に加えて放冷した後,気密容器に入れて保存する。
11.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム
を用い,次のとおり行う。
11.2.1) 認証標準物質1)の炭酸ナトリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
11.2.2) 容量分析用標準物質の炭酸ナトリウムを用いる場合は,必要量を白金るつぼに入れ,600±10 ℃
で約60分間加熱した後,デシケーターに入れて放冷する。
11.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム0.13〜0.16 gを0.1 mgの桁まではかり
とり,コニカルビーカー200 mlに移し,水20 mlを加えて溶かす。指示薬としてブロモフェノー
ルブルー溶液数滴を加え,11.1)で調製した0.05 mol/l 硫酸で滴定する。この場合,終点付近で煮
沸して二酸化炭素を除き,冷却した後に滴定を行う。終点は,液の色が青紫から青みの緑になる
点とする。
11.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
299
005
.0
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f: 0.05 mol/l 硫酸のファクター
m: はかりとった炭酸ナトリウムの質量(g)
A: 炭酸ナトリウムの純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.05 mol/l 硫酸の体積(ml)
0.005 299: 0.05 mol/l 硫酸1 mlに相当する炭酸ナトリウムの質量
を示す換算係数(g/ml)
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 沸騰石 液体を沸騰させるとき突沸を防ぐために入れる多孔質の小片。
2) マクロケルダール法蒸留装置 例を図2に示す。
6
K 9514:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
ケルダールフラスコ300 ml
連結導入管
すり合わせコック
注入漏斗
ケルダール形トラップ球(E':小孔)
球管冷却器300 mm
逆流止め(約50 ml)
受器(三角フラスコ300 ml)
共通すり合わせ
共通テーパー球面すり合わせ
押さえばね
図2−マクロケルダール法蒸留装置の例
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.4 gをケルダールフラスコ300 mlに0.1 mgの桁まではかりとり,分解促
進剤5.5 g及び硫酸20 mlを加える。ケルダールフラスコを約45°に傾けて,突沸に注意して加熱
し,内容物がうすい緑になってから,更に3時間加熱する。
2) 放冷後,水150 mlを発熱に注意して徐々に加える。沸騰石2〜3粒を加え,蒸留装置に連結する。
a) 3)で調製した吸収液の入った受器Hに,逆流止めGの先端を吸収液に浸すように取り付ける。水
酸化ナトリウム溶液(300 g/l)100 mlを注入漏斗Dから加える。注入漏斗Dを水10 mlで洗い,す
り合わせコックCを閉じる。ケルダールフラスコ300 mlを徐々に加熱して蒸留し,初留約100 ml
を留出させる(ケルダールフラスコ内の内容物が突沸を始めたときには,そこで蒸留を止める。)。
逆流止めGを液面から離し,球管冷却器F及び逆流止めGを装置から外し,少量の水を用いて洗う。
3) この試料溶液を0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液で(ビュレットを用いて)滴定する。終点は,液の
色が紅から赤紫に変わる点とする。
4) 別に,同一条件で空試験を行う。
d) 計算 純度(C12H10NNaO3S)の含有率(質量分率 %)は,次の式によって算出する。
100
)
(
127
027
.0
1
0
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度(C12H10NNaO3S)(質量分率 %)
7
K 9514:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
V0: 空試験に要した0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積
(ml)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積
(ml)
f: 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.027 127: 0.05 mol/l 硫酸1 mlに相当するC12H10NNaO3Sの質量を
示す換算係数(g/ml)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は適切な方法で希釈して使用する。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“わずかな微濁”)は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)1.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無を確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 ml,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.10 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにす
る(A液)(試料溶液は,6.4の試験にも用いる。)。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通すり
合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
8
K 9514:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
鋭敏度
鋭敏度は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) りん酸 JIS K 9005に規定するもの。
2) フェロイン溶液 JIS K 8978に規定する硫酸鉄(II)七水和物0.70 gに水70 ml及びJIS K 8202に
規定する塩化1,10-フェナントロリニウム一水和物1.78 gを加えて溶かし,水で100 mlにする。褐
色ガラス瓶に保存する。
3) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8780に規定するピロガロール10 gを水酸化ナトリウ
ム溶液(300 g/l)80 mlに溶かし,更に水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)を加えて全量を100 mlにす
る(必要な場合に用いる。)。この溶液は使用時に調製する。
4) 溶存酸素を除いた水 次の4.1)〜4.5)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
4.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロー
ル・水酸化ナトリウム溶液を入れたものを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。
4.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
4.3) 水から酸素分離膜をもつガス分離管を用いて溶存酸素を除いたもの。
4.4) 水を超音波振動装置で十分に脱気を行ったもの。
4.5) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
注記 脱イオン化された水を用いる場合,脱イオン装置によっては酸素を含む場合がある。
5) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加える。
6) 1/600 mol/l 二クロム酸カリウム溶液(K2Cr2O7:0.490 3 g/l) 1/600 mol/l 二クロム酸カリウム溶液
の調製は,次による。
6.1) 1/60 mol/l 二クロム酸カリウム溶液(K2Cr2O7:4.903 g/l) 1/60 mol/l 二クロム酸カリウム溶液の
調製及び計算は,次による。
6.1.1) 調製 調製は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の二クロム酸カリ
ウムを用い,次のとおり行う。
6.1.1.1) 認証標準物質1)の二クロム酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
6.1.1.2) 容量分析用標準物質の二クロム酸カリウムを用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕い
て,150 ℃で約60分間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。
6.1.1.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質の二クロム酸カリウム4.9〜5.0 gを0.1 mgの桁までは
かりとり,全量フラスコ1 000 mlに移し,水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合し
た後,気密容器に入れて保存する。
6.2) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
903
.4
A
m
f
×
=
ここに,
f: 1/60 mol/l 二クロム酸カリウム溶液のファクター
9
K 9514:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
m: はかりとった二クロム酸カリウムの質量(g)
A: 二クロム酸カリウムの純度(質量分率 %)
4.903: 1/60 mol/l 二クロム酸カリウム溶液1 000 ml中の二ク
ロム酸カリウムの相当質量(g)
6.3) 調製 1/60 mol/l 二クロム酸カリウム溶液10 mlを全量フラスコ100 mlに正確にはかりとり,水を
標線まで加えて混合する。使用時に調製する。ファクターは,1/60 mol/l 二クロム酸カリウム溶液
のファクターを用いる。
7) 0.01 mol/l 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液[Fe(NH4)2(SO4)2・6H2O:3.921 g/l] 0.01 mol/l 硫酸アン
モニウム鉄(II)溶液の調製は,次による。
7.1) 0.1 mol/l 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液[Fe(NH4)2(SO4)2・6H2O:39.21 g/l] 0.1 mol/l 硫酸アン
モニウム鉄(II)溶液の調製,標定及び計算は,次による。
7.1.1) 調製 水300 mlをはかりとり,JIS K 8951に規定する硫酸30 mlをかき混ぜながら徐々に加えた
後,冷却する。次に,JIS K 8979に規定する硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物40 g及び水700
mlを加えて溶かした後,気密容器に入れる。使用時に調製する。
7.1.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の二クロム酸カリ
ウムを用い,次のとおり行う。
7.1.2.1) 認証標準物質1)の二クロム酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
7.1.2.2) 容量分析用標準物質の二クロム酸カリウムを用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕い
て,150 ℃で約60分間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。
7.1.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質の二クロム酸カリウム0.12 gを0.1 mgの桁まではかり
とり,コニカルビーカー200 mlに移し,水100 mlを加えて溶かした後,JIS K 8951に規定する
硫酸30 mlをかき混ぜながら徐々に加えて冷却する。指示薬としてフェロイン溶液数滴を加え,
7.1.1)で調製した0.1 mol/l 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液で滴定する。終点は,液の色が青緑か
ら赤褐色に変わる点とする。
7.1.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
903
004
.0
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f: 0.1mol/l 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液のファクター
m: はかりとった二クロム酸カリウムの質量(g)
A: 二クロム酸カリウムの純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/l 硫酸アンモニウム鉄(II)溶
液の体積(ml)
0.004 903: 0.1mol/l 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液1 mlに相当す
る二クロム酸カリウムの質量を示す換算係数(g/ml)
7.2) 調製 0.1 mol/l 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液10 mlを全量フラスコ100 mlに正確にはかりとり,
溶存酸素を除いた水を標線まで加えて混合する。使用時に調製する。ファクターは,0.1 mol/l 硫
酸アンモニウム鉄(II)溶液のファクターを用いる。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,A液の全量を全量フラスコ50 mlに入れ,水を加え50 mlとする。
2) 三角フラスコ100 mlなどに水25 mlをとり,硫酸(1+5)10 ml,りん酸5 ml及び0.01 mol/l 硫酸
アンモニウム鉄(II)溶液0.05 mlを加え,更に試料溶液0.05 mlを加え混合した後,試料溶液から
得られた液(B液)の色を,三角フラスコなどの上方又は側面から観察する。0.01 mol/l 硫酸アン
10
K 9514:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
モニウム鉄(II)溶液のファクターが1.00でないときは加える体積を補正する。
3) 試料溶液から得られた液(B液)に1/600 mol/l 二クロム酸カリウム溶液0.10 mlを加え,B液から
得られた液(C液)の色を,三角フラスコなどの上方又は側面から観察する。1/600 mol/l 二クロム
酸カリウム溶液のファクターが1.00でないときは加える体積を補正する。
4) B液から得られた液(C液)に,再び0.01 mol/l 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液0.10 mlを加え,C
液から得られた液(D液)の色を,三角フラスコなどの上方又は側面から観察する。0.01 mol/l 硫
酸アンモニウム鉄(II)溶液のファクターが1.00でないときは加える体積を補正する。
c) 判定 b)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“鋭敏度:試験適合”とする。
1) 試料溶液から得られた液(B液)及びB液から得られた液(D液)の色は無色である。
2) B液から得られた液(C液)の色は紫である。
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “ジフェニルアミン-4-スルホン酸ナトリウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号