K 9501:2019
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 一般事項 ······················································································································ 2
6.2 純度(NaN3)················································································································ 2
6.3 水溶状 ························································································································· 3
6.4 塩基(NaOHとして) ···································································································· 4
6.5 乾燥減量(105 ℃) ······································································································· 4
6.6 クロム(Cr) ················································································································ 4
7 容器······························································································································· 5
8 表示······························································································································· 5
K 9501:2019
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 9501:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成31年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 9501:1995を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
K 9501:2019
アジ化ナトリウム(試薬)
Sodium azide (Reagent)
NaN3 FW:65.01
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるアジ化ナトリウムについて規定する。
警告1 アジ化ナトリウムは毒物で,粘膜,皮膚及び目に付着しないように注意する。また,酸と反
応し,有毒で爆発性のアジ化水素を生成するので排気に十分注意して取り扱う。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート)などを参考にして,各自の責任に
おいて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8019 亜硝酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8202 1,10-フェナントロリン塩酸塩一水和物(試薬)
JIS K 8247 過マンガン酸カリウム(試薬)
JIS K 8488 1,5-ジフェニルカルボノヒドラジド(試薬)
JIS K 8517 二クロム酸カリウム(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8556 硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8731 尿素(試薬)
JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬)
2
K 9501:2019
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8978 硫酸鉄(II)七水和物(試薬)
JIS K 8979 硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(試薬)
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
アジ化ナトリウムは,白又はほとんど白の結晶又は結晶性粉末で,水に溶けやすく,エタノール(99.5)
及びジエチルエーテルにほとんど溶けない。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水20 mLを加えて溶かす(A液)。A液 10 mLに硝酸鉄(III)溶液(40 g/L)1 mLを加え
ると赤褐色になる。
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線の先端から約30 mmまでを塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120
mm,内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に入れた後,放冷する。この操作を炎
に色が現れなくなるまで繰り返す。白金線の先端約5 mmを水で浸し,少量の試料を付着させたもの
をガスバーナーの無色炎中に入れると黄が現れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(NaN3)
質量分率 %
98.0 以上
6.2
水溶状
−
試験適合
6.3
塩基(NaOHとして)
質量分率 %
0.2 以下
6.4
乾燥減量(105 ℃)
質量分率 %
0.1 以下
6.5
クロム(Cr)
質量分率 ppm
2 以下
6.6
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(NaN3)
純度(NaN3)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) フェロイン溶液 JIS K 8978に規定する硫酸鉄(II)七水和物0.70 gをはかりとり,水70 mL及び
JIS K 8202に規定する1,10-フェナントロリン塩酸塩一水和物1.78 gを加えて溶かし,水を加えて
100 mLにしたもの。
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2) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加えたもの。
3) 0.1 mol/L 硝酸二アンモニウムセリウム(IV)溶液 JIS K 8556に規定する硝酸二アンモニウムセ
リウム(IV)及びJIS K 8951に規定する硫酸を用い,JIS K 8001のJA.6.4 o)[0.1 mol/L 硝酸二ア
ンモニウムセリウム(IV)溶液]に従って,調製,標定及び計算したもの。
4) 0.1 mol/L 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液 JIS K 8951に規定する硫酸及びJIS K 8979に規定する硫
酸アンモニウム鉄(II)六水和物を用い,JIS K 8001のJA.6.4 z)[0.1 mol/L 硫酸アンモニウム鉄(II)
溶液]に従って,調製,標定及び計算したもの。
b) 操作 操作は,排気に注意して,次のとおり行う。
1) 試料1.0 gを全量フラスコ100 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,水約30 mLを加えて溶かし,水
を標線まで加えて混合する。その20 mLを三角フラスコ300 mLなどに正確にとり,水80 mL及び
0.1 mol/L 硝酸二アンモニウムセリウム(IV)溶液50 mLを正確に加え,硫酸(1+1)20 mLを加え
る。
2) 0.1 mol/L 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液でフェロイン溶液3滴を指示薬として加え,滴定する。
3) 終点は,液のだいだい赤が5分間持続する点とする(滴定量a mL)。
4) 別に同一条件で空試験を行う(b mL)。
c) 計算 純度(NaN3)は,次の式によって算出する。
(
)
100
100
20
501
006
.0
×
×
×
−
×
=
m
f
a
b
A
ここに,
A: 純度(NaN3)(質量分率 %)
f: 0.1 mol/L 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.006 501: 0.1 mol/L 硝酸二アンモニウムセリウム(IV)溶液1 mL
に相当するNaN3の質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ
ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)
参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて20 mL
とし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
4
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・ 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を
加えて20 mLにする。
2) 試料溶液は,試料を溶かした直後に濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物
の有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
塩基(NaOHとして)
塩基(NaOHとして)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) フェノールフタレイン溶液 JIS K 8799に規定するフェノールフタレイン1.0 gをはかりとり,JIS
K 8102に規定するエタノール(95)90 mLを加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。
2) 0.02 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(必要な場合に用いる。) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウ
ムを用い,JIS K 8001のJA.6.5 c) 2)(0.02 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)に従って調製したもの。
3) 0.1 mol/L 塩酸 JIS K 8180に規定する塩酸(特級)を用い,JIS K 8001のJA.6.4 e) 6)(0.1 mol/L 塩
酸)に従って調製,標定及び計算したもの。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 三角フラスコ100 mLに水50 mLを入れ,フェノールフタレイン溶液3滴を加え,0.02 mol/L 水酸
化ナトリウム溶液を用い,うすい紅色を示すまで滴定する。
2) 試料1.0 gを素早く加えて溶かし,最小目盛0.02 mL以下のメスピペットなどを用いて,0.1 mol/L 塩
酸を用い,紅色が消えるまで滴定する。
c) 判定 0.1 mol/L 塩酸の滴定量が0.50 mL以下のとき,“塩基(NaOHとして):質量分率0.2 %以下(規
格値)”とする。
注記 0.1 mol/L 塩酸1 mLは,0.004 000 g NaOHに相当する。
6.5
乾燥減量(105 ℃)
乾燥減量(105 ℃)の試験方法は,JIS K 0067の4.1.4(1)(第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法)によ
る。この場合,試料1 gを0.1 mgの桁まではかりとり,4時間乾燥する。
6.6
クロム(Cr)
クロム(Cr)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 尿素 JIS K 8731に規定するもの。
2) 亜硝酸ナトリウム溶液(10 g/L) JIS K 8019に規定する亜硝酸ナトリウム1.0 gをはかりとり,水
を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。
3) 1,5-ジフェニルカルボノヒドラジド溶液 JIS K 8488に規定する1,5-ジフェニルカルボノヒドラジ
ド0.5 gをはかりとり,JIS K 8034に規定するアセトン50 mLを加えて溶かしたもの。
4) 硫酸(1+1) 6.2 a) 2) による。
5) 0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4:3.161 g/L) JIS K 8247に規定する過マンガン酸
カリウムを用いて,JIS K 8001のJA.6.4 g)(0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液)に従って調製,
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標定及び計算したもの。
6) クロム標準液(Cr:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,クロム標準液(Cr:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8517に規定する二クロム酸カ
リウム2.83 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水50 mL及び硝酸(1+2)[6.3 a) 1) 参照]5
mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確
にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
3) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,水20 mL及び硫酸(1+1)3 mL
を加え,沸騰水浴上で約10 mLになるまで加熱濃縮する。冷却後,水20 mLを加える。
2) 比較溶液の調製は,クロム標準液(Cr:0.01 mg/mL)0.2 mLをビーカー100 mLなどにとり,水20 mL
及び硫酸(1+1)3 mLを加え,沸騰水浴上で約10 mLになるまで加熱濃縮する。冷却後,水20 mL
を加える。
3) 空試験溶液の調製は,ビーカー100 mLなどに水30 mL及び硫酸(1+1)3 mLをとる。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液それぞれに,0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液0.1 mLを加
え,5分間煮沸する。
5) 紅色が消えたならば0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液を紅色になるまで滴加し,5分間煮沸す
る。
6) うすい紅色を保つまで5)の操作を繰り返す。
7) 冷却後,尿素2 gを加えて溶かし,亜硝酸ナトリウム溶液(10 g/L)を紅色が消えるまで徐々に滴加
し,2分間煮沸し,約15 ℃に冷却する。
8) 全量フラスコ50 mLにそれぞれの溶液を移し,1,5-ジフェニルカルボノヒドラジド溶液1 mLを加え,
直ちに水を標線まで加えて混合する。
9) 約15 ℃で5分間放置する(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られた液をY液及び
空試験溶液から得られた液をZ液とする。)。
10) X液及びY液を,Z液を対照として,吸収セルを用いて,分光光度計で波長540 nmにおける吸光
度をJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定し,比較する。
d) 判定 X液の吸光度は,Y液の吸光度より大きくないとき,“クロム(Cr):質量分率2 ppm以下(規
格値)”とする。
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“アジ化ナトリウム”及び“試薬”の文字
6
K 9501:2019
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号