K 9106:2020
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(C5H11NO2)(乾燥後) ···························································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 pH(25 g/L,25 ℃) ······································································································· 5
6.5 比旋光度[]20
D
α(乾燥後) ·································································································· 5
6.6 乾燥減量(105 ℃) ········································································································ 6
6.7 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 6
6.8 塩化物(Cl) ················································································································ 7
6.9 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 8
6.10 鉛(Pb)及び鉄(Fe) ·································································································· 8
6.11 ひ素(As) ·················································································································· 9
6.12 アンモニウム(NH4) ·································································································· 11
6.13 他のアミノ酸 ·············································································································· 13
7 容器······························································································································ 14
8 表示······························································································································ 14
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS K 9106:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,令和2年8月19日までの間は,産業標準化法第30条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 9106:1992を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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L-バリン(試薬)
L-Valine (Reagent)
C5H11NO2 FW:117.15
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるL-バリンについて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 6201 化学分析用白金るつぼ
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0063 化学製品の旋光度測定方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 0970 ピストン式ピペット
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8012 亜鉛(試薬)
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8042 アニリン(試薬)
JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8223 過塩素酸(試薬)
JIS K 8264 ぎ酸(試薬)
2
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JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JIS K 8432 酸化マグネシウム(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8580 すず(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8810 1-ブタノール(試薬)
JIS K 8870 ニンヒドリン(試薬)
JIS K 8886 無水酢酸(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 1301 化学分析用磁器るつぼ
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
L-バリンは,白い結晶又は結晶性粉末で,水にやや溶けやすく,エタノール(99.5)及びジエチルエー
テルにほとんど溶けない。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数2 948 cm-1,1 588 cm-1,1 512 cm-1,
1 397 cm-1,1 330 cm-1,717 cm-1及び543 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料調製は,JIS
K 0117の5.2 b)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を
図1に示す。
3
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図1−赤外吸収スペクトルの例
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C5H11NO2)(乾燥後)
質量分率 %
99.0以上
6.2
水溶状
−
試験適合
6.3
pH(25 g/L,25 ℃)
−
5.0〜7.0
6.4
比旋光度[]20
D
α(乾燥後)
°
+27.0〜+28.5
6.5
乾燥減量(105 ℃)
質量分率 %
0.2以下
6.6
強熱残分(硫酸塩)
質量分率 %
0.05以下
6.7
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.02以下
6.8
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.02以下
6.9
鉛(Pb)
質量分率 %
0.001以下
6.10
ひ素(As)
質量分率ppm
1以下
6.11
鉄(Fe)
質量分率 %
0.001以下
6.10
アンモニウム(NH4)
質量分率 %
0.02以下
6.12
他のアミノ酸
−
試験適合
6.13
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(C5H11NO2)(乾燥後)
純度(C5H11NO2)(乾燥後)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
4
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1) ぎ酸 JIS K 8264に規定する濃度(HCOOH)が質量分率98.0 %以上のもの。
2) 酢酸(非水滴定用) 非水滴定に用いる酢酸は,次の試験に適合したものを用いる。
JIS K 8042に規定するアニリン1 gをJIS K 8355に規定する酢酸で溶かし,酢酸で100 mLにし
たものをA液とする。A液25 mLを正確にとり,0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)で電位差滴定し
たときの滴定量をV1 mLとする。また,A液25 mLを正確にとり,酢酸75 mLを加え,0.1 mol/L 過
塩素酸(酢酸溶液)で電位差滴定したときの滴定量をV2 mLとする。V2−V1は,0.1 mL以下でなけ
ればならない。
なお,酢酸(非水滴定用)の水分測定は,JIS K 0068の6.3.5 a)(直接滴定)による。試料10 g
を用いる。この場合,滴定溶媒はメタノールに代えて,クロロホルムとアルキレンカルボネートと
を主成分とするカールフィッシャー用脱水溶剤40 mLを用いる。水分は,質量分率0.3 %以下であ
る。
3) 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)(HClO4:10.05 g/L) JIS K 8223に規定する過塩素酸(質量分率
70.0 %〜72.0 %)及びJIS K 8886に規定する無水酢酸を用い,JIS K 8001のJA.6.4 f)[0.1 mol/L 過
塩素酸(酢酸溶媒)]に従って,調製,標定及び計算したもの。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ 電位差滴定装置 電位差滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 6.6の残分0.2 gをビーカー200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,ぎ酸3 mLを加えて溶かした
後に酢酸(非水滴定用)50 mLを加える。
2) 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)でJIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって,指示電極にガラ
ス電極及び参照電極に銀−塩化銀電極,又はそれらを組み合わせた複合電極若しくは複合金属電極
を用い,電位差滴定を行う。
3) 終点は,変曲点とする。
4) 別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
d) 計算 純度(C5H11NO2)(乾燥後)は,次の式によって算出する。
(
)
100
715
011
.0
4
3
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度(C5H11NO2)(乾燥後)(質量分率 %)
V3: 滴定に要した0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)の体積
(mL)
V4: 空試験の滴定に要した0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)
の体積(mL)
f: 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.011 715: 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶液)1 mLに相当するC5H11NO2
の質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
5
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2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水
を加えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)
参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加えて
20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 容量50 mL,直径約24 mmで,目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,更に
水を加えて20 mLにする。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の
有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
pH(25 g/L,25 ℃)
pH(25 g/L,25 ℃)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次による。
1) 窒素 純度がJIS K 1107に規定する2級以上のもの。
2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
b) 装置 主な装置は,次による。
1) 恒温水槽 25 ℃±0.5 ℃に調節できるもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料2.5 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え
て溶かし,更に二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカー
などにとる。
2) pHの測定は,JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温25 ℃±0.5 ℃の恒温水槽につ
けた試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。
6.5
比旋光度[]20
D
α(乾燥後)
比旋光度[]20
D
α(乾燥後)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
・ 塩酸(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積1とを混合したもの。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) セル 100 mm又は200 mmのもの。
2) 旋光計 装置の構成は,JIS K 0063に規定するもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,105 ℃で3時間乾燥した試料4.0 gを全量フラスコ50 mLに0.1 mgの桁までは
6
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かりとり,塩酸(1+1)を加えて溶かし,更に塩酸(1+1)を標線まで加えて混合する。
2) 直ちに,JIS K 0063の3.4(操作)に従って旋光度を20 ℃で測定する。
d) 計算 JIS K 0063の3.5(計算及び結果の表示)に従って,比旋光度を算出する。
注記 20 ℃で測定できない場合,次の式によって20 ℃の比旋光度を求めることができる。
[]
[]
(
)t
t
D
D
−
×
−
=
20
04
.0
20
α
α
ここに,
[]20
D
α: 20 ℃の比旋光度(°)
[]tD
α: t ℃の比旋光度(°)
t: 測定時の液温(℃)
6.6
乾燥減量(105 ℃)
乾燥減量(105 ℃)の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 平形はかり瓶 JIS R 3503の付図57に規定するもの又は類似のもので,試料を入れた場合,試料の
厚さが5 mm以下になる容量のもの。
2) デシケーター 乾燥剤としてJIS Z 0701に規定するシリカゲル(A形1種)を入れたもの。
3) 定温乾燥器 105 ℃±2 ℃に調節できるもの。
b) 操作 操作は,次による。
1) 試料1.0 gをあらかじめ恒量にした平形はかり瓶(W0 g)に0.1 mgの桁まではかりとる(W1 g)。こ
の場合,試料量m gは,(W1−W0)gとする。
なお,試料の質量を別途はかり込んでから平形はかり瓶に加えてもよい(m g)。
2) 平形はかり瓶の蓋をずらすなどし,定温乾燥器に入れ,105 ℃で3時間乾燥する。
3) 乾燥後,平形はかり瓶に蓋をしてデシケーターに入れ,室温まで放冷する。
4) 放冷した平形はかり瓶の質量を0.1 mgの桁まではかる(W2 g)(6.2の試験に用いる。)。
c) 計算 乾燥減量(105 ℃)は,次の式によって算出する。
100
2
1
×
−
=
m
W
W
A
ここに,
A: 乾燥減量(105 ℃)(質量分率 %)
6.7
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,次による。
a) 試薬 試薬は,次による。
・ 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) るつぼ JIS R 1301に規定する磁器るつぼ,これと類似の形状の石英るつぼ又はJIS H 6201に規定
する白金るつぼ。るつぼの大きさは,試料がその容量の1/3以下になるもの。
2) デシケーター 6.6 a) 2)による。
3) 電気炉又は湿式灰化装置 500 ℃±50 ℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,次による。
なお,排気に注意して行う。
7
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1) 試料2.0 gをあらかじめ恒量としたるつぼ(W3 g)に0.1 mgの桁まではかりとる(W4 g)。この場合,
試料量m gは,(W4−W3)gとする。
なお,試料の質量を別途はかり込んでからるつぼに加えてもよい(m g)。
2) 硫酸3 mLを可能な限り試料全体に行き渡るように加える。
3) 熱板(ホットプレート)上又は湿式灰化装置で硫酸の白いミストが生じなくなるまで加熱する。炭
化が不十分な場合,冷却後に硫酸1 mLを加え,再び硫酸の白いミストが生じなくなり,炭化する
まで加熱する。
なお,炭化の過程で,内部に空間ができ,炭化物がるつぼからあふれそうになる状態になる場合,
一旦冷却後,少量の水で炭化物を潤し,清浄なガラス棒で炭化物を潰し,ガラス棒に付着した炭化
物を少量の水でるつぼ内に洗い入れ,加熱して水分を蒸発させてから,操作を続けるとよい。
4) るつぼを電気炉又は湿式灰化装置で,500 ℃±50 ℃で炭化物がなくなるまで強熱する。
5) 電気炉又は湿式灰化装置から取り出したるつぼを速やかにデシケーターに入れる。
なお,強熱後のるつぼをデシケーターに入れるとデシケーター内部の空気が膨張し,デシケータ
ーの蓋が落下しやすいため,蓋をずらして空気を抜くとよい。
6) デシケーター内で放冷後,るつぼを取り出し,0.1 mgの桁まで質量をはかる(W5 g)(残分は,6.10
の試験に用いる。)。
d) 計算 強熱残分(硫酸塩)は,次の式によって算出する。
100
3
5
×
−
=
m
W
W
B
ここに,
B: 強熱残分(硫酸塩)(質量分率 %)
e) 判定 計算して得られた値が規格値以内であるとき,“強熱残分(硫酸塩):質量分率0.05 %以下(規
格値)”とする。
6.8
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2)による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3)による。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,硝酸(1+2)5 mL及び
水を加えて溶かし,更に水を加えて25 mLにする。その5 mL(試料量0.1 g)を共通すり合わせ平
底試験管にとり,硝酸(1+2)4 mL及び水を加えて20 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)2.0 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,
硝酸(1+2)5 mL及び水を加えて20 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
8
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d) 判定 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃くないとき,“塩化物
(Cl):質量分率0.02 %以下(規格値)”とする。
6.9
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして
100 mLにしたもの。
3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。
4) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料0.3 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,塩酸(2+1)0.3 mL及
び水を加えて溶かし,更に水で25 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)6.0 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,
塩酸(2+1)0.3 mL及び水を加えて25 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLをそれぞ
れ加えて振り混ぜた後,30分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃くないとき,“硫酸塩
(SO4):質量分率0.02 %以下(規格値)”とする。
6.10
鉛(Pb)及び鉄(Fe)
鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 塩酸(2+1) 6.9 a) 3)による。
2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を,表2に示す。
表2−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
鉛(Pb)
283.3
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次による。
9
K 9106:2020
なお,排気に注意して行う。
1) 試料溶液の調製は,6.7の残分(試料量2.0 g)に塩酸(2+1)5 mLを加え,沸騰水浴上でほとんど
蒸発乾固する。水10 mLを加えて溶かし,全量フラスコ50 mLに移し,水を標線まで加えて混合す
る(X液)。
2) 比較溶液の調製は,塩酸(2+1)5 mLをビーカー50 mLなどにとり,沸騰水浴上でほとんど蒸発乾
固する。水10 mLを加えて溶かし,全量フラスコ50 mLに移す。鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)2.0 mL
及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)2.0 mLを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値n2とを比較する。
e) 判定 n1が,n2より大きくないとき,“鉛(Pb):質量分率0.001 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分
率0.001 %以下(規格値)”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を求めることができる。
100
000
1
2
1
×
×
×
=a
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
a: X液に含まれる試料の質量(g)
6.11
ひ素(As)
ひ素(As)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150 μm〜1 400 μmのもの。
2) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
3) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法
用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分
析用)に溶かし,更にJIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)で100 mLにして,JIS K 8580に
規定する小粒状のすず2,3個を加え,褐色ガラス製瓶に保存していた液を,使用時に水で10倍に
希釈したもの。
4) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを
混合したもの。
5) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/L) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gを水に溶かして
100 mLにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mLを加えたもの。
6) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規
定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをJIS K 8777に規定するピリジンに溶かし,更に
JIS K 8777に規定するピリジンで100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に入れ,冷所に保存する。
7) よう化カリウム溶液(200 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gを水に溶かして100 mL
にしたもの。使用時に調製する。
8) ひ素標準液(As:0.001 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
10
K 9106:2020
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル 光路長が10 mmのもの。
2) ひ素試験装置 例を図2に示す。
3) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを水素化ひ素発生瓶Aにはかりとり,水20 mLを加えて溶かし,塩
酸(ひ素分析用)(1+1)5 mLを加え,水を加えて40 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)1.0 mLを水素化ひ素発生瓶Aにとり,塩酸(ひ
素分析用)(1+1)5 mLを加え,水を加えて40 mLにする。
3) 空試験溶液の調製は,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mLを水素化ひ素発生瓶Aにとり,水を加えて
40 mLにする(空試験溶液は,吸光度を測定する場合に調製する。)。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,よう化カリウム溶液(200 g/L)15 mL及び塩化すず(II)
溶液(AgDDTC法用)5 mLを加えて振り混ぜ,10分間放置する。
5) 亜鉛(ひ素分析用)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発生瓶Aと導管B(あらかじめ水素化ひ素吸収
管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mLを入れ,導管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)
とを連結して約25 ℃の水中で約1時間放置した後,水素化ひ素吸収管Cを離し,ピリジンを5 mL
の標線まで加える。
6) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を水素化ひ素吸収管Cの上方
又は側方から観察して色を比較する。
なお,必要があれば吸収セルを用い,分光光度計で波長519 nmにおける吸光度を空試験溶液から
のAgDDTC・ピリジン溶液を対照液としてJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によっ
て測定する。
d) 判定 次の1)又は2)に適合するとき,“ひ素(As):質量分率1 ppm以下(規格値)”とする。
1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。
2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
水素化ひ素発生瓶100 mL
導管
水素化ひ素吸収管
ゴム栓又はすり合わせ
酢酸鉛(II)溶液(100 g/L)
で湿したガラスウール
40 mLの標線
5 mLの標線
図2−ひ素試験装置の例
11
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6.12
アンモニウム(NH4)
アンモニウム(NH4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) 酸化マグネシウム JIS K 8432に規定するもの。
2) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gをはかりとり,水60 mLを
加えて溶かす。これにJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物
5 gを加えて溶かし,水で100 mLにしたもの。
3) 吸収液 硫酸(1+15)2 mLに水30 mLを加えたもの。
なお,硫酸(1+15)の調製は,水の体積15を冷却し,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を加
える。
4) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう
すめたもの。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
なお,有効塩素の定量は,次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを
0.1 mgの桁まではかりとり,全量フラスコ200 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mL
を共通すり合わせ三角フラスコ300 mLに正確にとり,水100 mL及びJIS K 8913に規定するよう化
カリウム2 gを加えて溶かした後,速やかに酢酸(1+1)6 mLを加えて栓をして振り混ぜる。約5
分間暗所に放置後,指示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定す
る。
この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mLを加える。終
点は,液の青が消える点とする。別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
次亜塩素酸ナトリウム溶液の有効塩素濃度は,次の式によって算出する。
(
)
100
200
20
3
545
003
.0
6
5
×
×
×
−
×
=
m
f
V
V
B
ここに,
B: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V5: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
V6: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(mL)
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当する塩
素の質量を示す換算係数(g/mL)
また,酢酸(1+1),でんぷん溶液及び0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,次による。
・ 酢酸(1+1)の調製は,JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
・ でんぷん溶液の調製は,JIS K 8659に規定する特級又は1級のでんぷん(溶性)1.0 gをはかりと
り,水10 mLを加えてかき混ぜながら熱水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した
後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に使用する。
12
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・ 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物
及びJIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム又はJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタノールを
用い,JIS K 8001のJA.6.4 t) 2)(0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液)に従って,調製,標定及び
計算する。
5) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)18 mLをビーカー200 mLにとり,
冷水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K
8034に規定するアセトン4 mLを加え,水で100 mLにしたもの。使用時に調製する。
なお,水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)の調製は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9
gを水に溶かして100 mLにする。
6) アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル 6.11 b) 1)による。
2) 沸騰石 ふっ素樹脂製,ガラス製又は磁製で,大きさが2 mm〜10 mmのもの。
3) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
4) 恒温水槽 20 ℃〜25 ℃に調節できるもの。
5) 蒸留装置 図3に示す装置,又は自動ケルダール蒸留装置。
6) 分光光度計 6.11 b) 3)による。
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
L:
蒸留フラスコ
連結導入管
すり合わせコックK-16
注入漏斗
ケルダール形トラップ球(E':小孔)
球管冷却器
逆流止め(約50 mL)
受器(有栓形メスシリンダー100 mL)
共通すり合わせ
共通テーパー球面すり合わせ
押さえばね
ヒーター
図3−蒸留装置の例
13
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c) 操作 操作は,次による。ただし,自動ケルダール蒸留装置を用いる場合,使用する機器に適した操
作を行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gを蒸留フラスコAにはかりとり,酸化マグネシウム1.0 gを加え,水
を加えて約80 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコAにアンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL)10 mLをとり,酸
化マグネシウム1.0 gを加え,水を加えて約80 mLにする。
3) 空試験溶液は,蒸留フラスコAに酸化マグネシウム1.0 gを加え,水約80 mLを加える。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に沸騰石2,3個を入れる。受器Hに吸収液を入れ,逆流止め
Gの先端を浸し,蒸留装置に連結する。蒸留して初留約75 mLをとり,それに水を加えて100 mL
にする(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られた液をY液及び空試験溶液から得ら
れた液をZ液とする。)。
5) X液10 mL,Y液10 mL及びZ液10 mLをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管にとり,EDTA2Na
溶液(インドフェノール青法用)1 mL及びナトリウムフェノキシド溶液4 mLを加えてよく振り混
ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mLを加え,水を加えて
25 mLにし,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽中で15分間放置する。
6) X液及びY液から得られたそれぞれの液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,
分光光度計で波長630 nm付近で吸光度が最大となる波長で吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長に
おける吸収の測定)によって測定し,比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の吸光度が比較溶液から得られた液の吸光度より大きくないとき,
“アンモニウム(NH4):質量分率0.02 %以下(規格値)”とする。
6.13
他のアミノ酸
他のアミノ酸の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 展開溶媒 JIS K 8810に規定する1-ブタノールの体積5,JIS K 8355に規定する酢酸の体積1及び
水の体積2を混合したもの。
2) ニンヒドリン・アセトン溶液(発色液) JIS K 8870に規定するニンヒドリン2 gをJIS K 8034に
規定するアセトンに溶かし,アセトンで100 mLにしたもの。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 薄層板 (50 mm〜200 mm)×200 mmの平滑で均一な厚さのガラス板に,固定相基材として薄層クロ
マトグラフ用シリカゲルを0.2 mm〜0.3 mmの均一な厚さに塗布したもの。
なお,薄層板は,市販の既製品を使用してもよい。
2) 展開容器 例を図4に示す。
3) マイクロシリンジ又はピストン式ピペット マイクロシリンジは5 µLを採取できるもので,ピスト
ン式ピペットは,JIS K 0970に規定する5 µLを採取できるもの。
4) ろ紙 JIS P 3801に規定するもの。
5) 乾燥器 試験温度に対して±2 ℃以内に調節できるもの。
14
K 9106:2020
図4−展開容器の例
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料0.20 gを全量フラスコ50 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を
標線まで加えて混合する。
2) 薄層板の下端から約20 mm上の位置を原線とし,原線上の左右両端から少なくとも10 mm離れた
位置に試料溶液5 µL(試料量20 μg)をマイクロシリンジ,ピストン式ピペットなどを用いて10 mm
以上の間隔で2 mm〜6 mmの円形状にスポットし,乾燥する。
3) 展開容器の内壁に沿ってろ紙を巻き,ろ紙を展開溶媒で湿し,更に展開溶媒を約10 mmの深さに入
れ,展開容器を密閉した後,室温で約1時間放置して展開溶媒の蒸気を飽和させる。
4) 3)の容器に薄層板を器壁に触れないように入れ,容器を密閉し,室温で放置して展開させる。
5) 展開溶媒の先端が原線から約10 cmの距離まで上昇したとき,薄層板を取り出し,直ちに溶媒の先
端の位置に印を付けて風乾後,100 ℃で30分間乾燥し,放冷する。これに発色液を噴霧し,80 ℃で
10分間加熱して発色させ,スポットの位置,数などを調べる。
d) 判定 主スポット以外のスポットを認めないとき,“他のアミノ酸:試験適合(規格値)”とする。
注記 移動率(Rf)を求める場合は,次の式によって算出できる。
b
a
Rf=
ここに,
Rf: 移動率
a: 原線からスポットの中心までの距離(mm)
b: 原線から溶媒先端までの距離(mm)
なお,L-バリンのRf値は,約0.5である。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“L-バリン”及び“試薬”の文字
15
K 9106:2020
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号