2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 9050-1993
L−ヒスチジン塩酸塩一水和物(試薬)
L-Histidine hydrochloride monohydrate
C6H9N3O2・HCl・H2O FW : 209.63
1. 適用範囲 この規格は,試薬として用いるL−ヒスチジン塩酸塩一水和物について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 0063 化学製品の旋光度測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
2. 共通事項 この規格に共通する事項は,JIS K 8001による。
3. 種類 特級
4. 性質 L−ヒスチジン塩酸塩一水和物は,次の性質を示す。
(1) 性状 L−ヒスチジン塩酸塩一水和物は,白い結晶又は結晶性粉末で,水に溶けやすく,エタノール
及びジエチルエーテルにほとんど溶けない。塩酸酸性溶液は右旋性,塩基性溶液は左旋性を示す。
(2) 定性方法
(a) 試料0.1gに水25mlを加えて溶かし,硝酸 (1+2) 5ml及び硝酸銀溶液 (20g/l) 1mlを加えると白い沈
殿が生じる。
(b) 試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 100cm−1,2 020cm−1,1 610cm
−1,1 500cm−1及び1 340cm−1付近に主な吸収を認める。この場合,試料調製は,JIS K 0117の6.2(1)
(錠剤法)による。赤外吸収スペクトルの一例を図1に示す。
2
K 9050-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1 赤外吸収スペクトルの一例
5. 品質 品質は6.によって試験し,表1に適合しなければならない。
表1 品質
項目
規格値
純度
99.0%以上
水溶状
試験適合
比旋光度 [α]20
D
+8.9〜+9.6°
乾燥減量 (100℃)
0.2%以下
強熱残分(硫酸塩)
0.05%以下
硫酸塩 (SO4)
0.02%以下
重金属(Pbとして)
0.001%以下
ひ素 (As)
1ppm以下
鉄 (Fe)
0.001%以下
アンモニウム (NH4)
0.02%以下
他のアミノ酸
試験適合
6. 試験方法 試験方法は,次のとおりとする。
(1) 純度 99.0%以上
(a) 操作 試料0.1g(0.1mgのけたまではかる)+ぎ酸 (98%) 3ml→溶かす+0.1mol/l過塩素酸(酢酸溶
媒)20ml(正確に)→沸騰水浴上で30分間加熱→冷後+酢酸(非水滴定用) (→60ml) →0.1mol/l
酢酸ナトリウム(酢酸溶媒)でJIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって逆滴定(滴定量aml)。
別に,同一条件で空試験を行う(滴定量bml)。
(b) 計算
100
)
(
482
010
.0
×
×
×
S
f
a
b
A
−
=
ここに,
A: 純度 (%)
S: 試料量 (g)
f: 0.1mol/l酢酸ナトリウム溶液(酢酸溶媒)のファクター
3
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
0.010 482: 0.1mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)1mlのC6H9N3O2・HCl・H2O
相当量 (g)
(2) 水溶状 試料2g+水 (→20ml) ……澄明。
(3) 比旋光度 [α]20
D +8.9〜+9.6°
試料4g(0.1mgのけたまではかる)→全量フラスコ50mlに入れる→塩酸 (1+1) を標線まで加える→
直ちにJIS K 0063の3.4(操作)による。ただし,測定は液温15〜25℃で行い,測定後直ちに液温t
を測定し,温度係数 (+0.14) を用いて次の式によって20℃の値に換算する。
[α]20
D=[α]tD+0.14× (20−t)
(4) 乾燥減量 (100℃) 0.2%以下
JIS K 0067の4.1.4(1)(第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法)による。試料1g(0.1mgのけたまでは
かる)を用い,3時間乾燥し,減量2mg以下。
(5) 強熱残分(硫酸塩) 0.05%以下
JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。試料2.0gを用い,残分1mg以
下。
(6) 硫酸塩 (SO4) 0.02%以下
試料側溶液 試料0.3g+塩酸 (2+1) 0.3ml+水 (→25ml)。
標準側溶液 硫酸塩標準液 (0.01mgSO4/ml) 6.0ml+塩酸 (2+1) 0.3ml+水 (→25ml)。
操作 JIS K 8001の5.15(1)(比濁法)による。
(7) 重金属(Pbとして) 0.001%以下
試料側溶液 試料2g→石英ガラス皿にとる+硝酸マグネシウム・エタノール溶液10ml。
標準側溶液 鉛標準液 (0.01mgPb/ml) 2.0ml+硝酸マグネシウム・エタノール溶液10ml→石英ガラス皿
にとる。
操作 JIS K 8001の5.24(3)(硝酸マグネシウム処理硫化ナトリウム法)による。
(8) ひ素 (As) 1ppm以下
試料側溶液 試料3g→水素化ひ素発生瓶100mlに入れる+水 (→20ml)。
標準側溶液 ひ素標準液 (0.001mgAs/ml) 3.0ml→水素化ひ素発生瓶100mlに入れる+水 (→20ml)。
操作 JIS K 8001の5.19(3)(AgDDTC法)による。
(9) 鉄 (Fe) 0.001%以下
試料側溶液 試料1.0g+水 (→15ml)。
標準側溶液 鉄標準液 (0.01mgFe/ml) 1.0ml+水 (→15ml)。
操作 JIS K 8001の5.22(2)(1, 10−フェナントロリン法)による。
(10) アンモニウム (NH4) 0.02%以下
試料側溶液 試料0.5g+酸化マグネシウム1g+水約80ml。
標準側溶液 アンモニウム標準液 (0.01mgNH4/ml) 10ml+酸化マグネシウム1g+水約80ml。
操作 JIS K 8001の5.11(5)(減圧蒸留−インドフェノール青法)(e)による。
(11) 他のアミノ酸
JIS K 8001の5.25.1(薄層クロマトグラフ法)による……主スポット以外のスポットを認めない。
(a) 固定相固体の種類 シリカゲル
(b) 試料調製法 試料0.20g+水 (→50ml) →その0.005ml(試料量20μg)。
(c) 展開溶媒 アセトン10+1-ブタノール10+アンモニア水 (28%) 5+水2(体積比)。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(d) 展開距離 約10cm
(e) 発色方法 薄層板を風乾後,100℃で30分間乾燥する。これに,発色液を噴霧し80℃で10分間加
熱して発色させる。
(f) 発色液 ニンヒドリン・アセトン溶液
参考 L-ヒスチジン塩酸塩一水和物のRf値は約0.6である。
7. 容器 気密容器とする。
8. 表示 容器には,容易に消えない方法で次の事項を表示しなければならない。
(1) 名称 “L−ヒスチジン塩酸塩一水和物”及び“試薬”の文字
(2) 種類
(3) 化学式,式量
(4) 品質(純度)
(5) 内容量
(6) 製造番号
(7) 製造業者名又はその略号
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
鈴 木 正 信
通商産業検査所化学部
(委員)
細 川 幹 夫
通商産業省基礎産業局
地 崎 修
工業技術院標準部繊維化学規格課
久保田 正 明
工業技術院化学技術研究所化学標準部
喜多川 忍
通商産業検査所化学標準課
石 橋 無味雄
厚生省国立衛生試験所
並 木 昭
財団法人化学品検査協会
藤 貫 正
社団法人日本分析化学会
鶴 田 利 行
硫酸協会技術部
加 藤 正 夫
石油連盟環境技術部
坂 本 勉
株式会社オルガノメンテナンスサービス
池 田 久 幸
社団法人日本分析機器工業会
芝 山 正
関東化学株式会社検査部
北 田 佳 伸
和光純薬工業株式会社
高 野 虞美子
東京化成工業株式会社検査部
山 岡 宏
片山化学工業株式会社検査部
飯 岡 寛 一
柳島製薬株式会社
中 村 穰
森田化学工業株式会社試験課
日 暮 喜八郎
第一化学薬品株式会社
黒 木 勝 也
財団法人日本規格協会検査部
中 林 啓 祐
小宗化学薬品株式会社品質管理課
井 上 敏 一
株式会社三共化学工業所試験課
渡 辺 孝 子
日本理化学薬品株式会社試験課
藤 川 和 幸
米山薬品工業株式会社品質管理課
田 中 紳 一
マナック株式会社試験課
西 英 勝
石津製薬株式会社試験課
(関係者)
田 坂 勝 芳
工業技術院標準部繊維化学規格課
山 本 健 一
工業技術院標準部繊維化学規格課
村 山 真理子
通商産業検査所化学部
(事務局)
大 越 市 郎
日本試薬連合会