2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 9048-1995
L(−)−シスチン(試薬)
L (−) -Cystine
HOOCCH (NH2) CH2SSCH2CH (NH2) COOH C6H12N2O4S2 FW : 240.30
1. 適用範囲 この規格は,試薬として用いるL(−)−シスチンについて規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 0063 化学製品の旋光度測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
2. 共通事項 この規格に共通する事項は,JIS K 8001による。
3. 種類 特級
4. 性質 L(−)−シスチンは,次の性質を示す。
(1) 性状 L(−)−シスチンは,白い結晶又は結晶性粉末で,水,エタノール及びジエチルエーテルに
ほとんど溶けない。
(2) 定性方法 試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数1 620cm−1,1 580cm−1,
1 410cm−1,1 340cm−1及び850cm−1付近に主な吸収を認める。この場合,試料調製は,JIS K 0117の
6.2(1)(錠剤法)による。赤外吸収スペクトルの一例を図1に示す。
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K 9048-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1 赤外吸収スペクトルの一例
5. 品質 品質は,6.によって試験し,表1に適合しなければならない。
表1 品質
項目
規格値
純度
99.0%以上
塩酸溶状
試験適合
比旋光度 [α]20
D
−219〜−224°
乾燥減量 (105℃)
0.2%以下
強熱残分(硫酸塩)
0.05%以下
塩化物 (Cl)
0.01%以下
硫酸塩 (SO4)
0.02%以下
重金属(Pbとして)
0.001%以下
ひ素 (As)
1ppm以下
鉄 (Fe)
0.001%以下
アンモニウム (NH4)
0.02%以下
他のアミノ酸
試験適合
6. 試験方法 試験方法は,次のとおりとする。
(1) 純度 99.0%以上
試料0.20g(0.1mgのけたまではかる)→JIS K 8001の5.12(2)(マクロケルダール法)による。この場
合,分解時間は7時間とする。
別に同一条件で空試験を行う。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
0.05mol/l硫酸1mlは,0.012 015g C6H12N2O4S2に相当する。
(2) 塩酸溶状
試料1g+塩酸 (1+3) (→20ml) ……澄明。
(3) 比旋光度 [α]20
D −219〜−224
試料1g(0.1mgのけたまではかる)→全量フラスコ50mlに入れる→1mol/l塩酸を標線まで加える→直
ちにJIS K 0063の3.4(操作)による。この場合,測定は液温15〜25℃で行い,測定後直ちに液温 (t)
を測定し,温度係数 (+2.0) を用いて次の式によって20℃に換算する。
[α]20
D=[α]tD+2.0× (20−t)
(4) 乾燥減量 (105℃) 0.2%以下
JIS K 0067の4.1.4(1)(第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法)による。この場合,試料1.0g(0.1mg
のけたまではかる)を用い,3時間乾燥し,減量2mg以下。
(5) 強熱残分(硫酸塩) 0.05%以下
JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。試料2.0gを用い,残分1mg以
下。
(6) 塩化物 (Cl) 0.01%以下
試料側溶液:試料0.3g+水 (→20ml)。
標準側溶液:塩化物標準液 (0.01mgCl/ml) 3.0ml+水 (→20ml)。
操作:JIS K 8001の5.7(1)(比濁法)による。
(7) 硫酸塩 (SO4) 0.02%以下
試料側溶液:試料0.3g+塩酸 (2+1) 1ml+水 (→25ml)。
標準側溶液:硫酸塩標準液 (0.01mgSO4/ml) 6.0ml+塩酸 (2+1) 1ml+水 (→25ml)。
操作:JIS K 8001の5.15(1)(比濁法)による。
(8) 重金属(Pbとして) 0.001%以下
試料側溶液:試料4g→石英ガラス製蒸発皿にとる+硝酸マグネシウム・エタノール溶液10ml→点火→
燃焼→炭化→+硫酸1ml→徐々に加熱→500±50℃で強熱灰化→放冷+塩酸 (2+1) 2ml+水10ml→水
浴上で加熱して溶かす→冷却→[必要ならばろ紙(5種C)でろ過→水で洗う→(ろ液+洗液)]+水
(→40ml) (A液)[(10)の試験にも用いる]。
A液10ml(試料量1g)+水 (→15ml)。
標準側溶液:石英ガラス製蒸発皿に硝酸マグネシウム・エタノール溶液10mlをとる→点火→燃焼→炭
化→+硫酸1ml→徐々に加熱→500±50℃で強熱灰化→放冷+塩酸 (2+1) 2ml+水10ml→水浴上で加
熱して溶かす→冷却→[必要ならばろ紙(5種C)でろ過→水で洗う→(ろ液+洗液)]+水 (→40ml)
(B液)[(10)の試験にも用いる]。
B液10ml(試料量1g)+鉛標準液 (0.01mgPb/ml) 1.0ml+水 (→15ml)。
操作:JIS K 8001の5.24(3)(硝酸マグネシウム処理硫化ナトリウム法)による。
(9) ひ素 (As) 1ppm以下
試料側溶液:試料3g→水素化ひ素発生瓶100mlに入れる+水 (→40ml)。
標準側溶液:ひ素標準液 (0.001mgAs/ml) 3.0ml→水素化ひ素発生瓶100mlに入れる+水 (→40ml)。
操作:JIS K 8001の5.19(3)(AgDDTC法)による。
(10) 鉄 (Fe) 0.001%以下
試料側溶液:(8)のA液10ml(試料量1g)+水 (→15ml)。
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K 9048-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
標準側溶液:(8)のB液10ml+鉄標準液 (0.01mgFe/ml) 1.0ml+水 (→15ml)。
操作:JIS K 8001の5.22(2)(1, 10−フェナントロリン法)による。
(11) アンモニウム (NH4) 0.02%以下
試料側溶液:試料0.5g+酸化マグネシウム1g+水約80ml。
標準側溶液:アンモニウム標準液 (0.01mgNH4/ml) 10ml+酸化マグネシウム1g+水約80ml。
操作:JIS K 8001の5.11(5)(減圧蒸留−インドフェノール青法)による。
(12) 他のアミノ酸
JIS K 8001の5.25.1(薄層クロマトグラフ法)による……主スポット以外のスポットを認めない。
(a) 固定相固体の種類 シリカゲル
(b) 試料溶液調製法 試料0.50g+塩酸 (2+1) 5ml+水 (→50ml) →その5μl(試料量50μg)。
(c) 展開溶媒 1−プロパノール3+アンモニア水2(体積比)。
(d) 展開距離 約10cm
(e) 発色方法 薄層板を風乾した後,100℃で約30分間乾燥する。これに発色液を噴霧し,80℃で10
分間加熱して発色させる。
(f) 発色液 ニンヒドリン・アセトン溶液
参考 L(−)−シスチンの移動率 (Rf) は,約0.45である。
7. 容器 気密容器とする。
8. 表示 容器には,次の事項を表示しなければならない。
(1) 名称 “L(−)−シスチン”及び“試薬”の文字
(2) 種類
(3) 化学式,式量
(4) 品質(純度)
(5) 内容量
(6) 製造番号
(7) 製造業者名又はその略号
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
久保田 正 明
物質工学工業技術研究所計測化学部
地 崎 修
通商産業省基礎産業局生物化学産業課
津 田 博
通商産業省機械情報産業局計量行政室
倉 剛 進
工業技術院標準部繊維化学規格課
喜多川 忍
通商産業検査所化学部化学標準課
野々村 誠
都立工業技術センター無機化学部
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
石 橋 無味雄
厚生省国立衛生試験所
川 瀬 晃
社団法人日本分析化学会
柳 瀬 斉 彦
社団法人日本化学工業協会
藤 貫 正
社団法人日本分析化学会
並 木 昭
財団法人化学品検査協会
鶴 田 利 行
硫酸協会
中 村 靖
日本鉱業協会
大 槻 孝
社団法人日本鉄鋼協会
日 暮 喜八郎
第一化学薬品株式会社
北 田 佳 伸
和光純薬工業株式会社
飯 岡 寛 一
柳島製薬株式会社
高 野 虞美子
東京化成工業株式会社
飛 田 和 彦
米山化学工業株式会社
山 岡 宏
片山化学工業株式会社
山 田 和 夫
関東化学株式会社
(事務局)
平 井 信 次
日本試薬連合会