K 9037:2020
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 1
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 一般事項 ······················································································································ 2
6.2 エタノール溶状 ············································································································· 3
6.3 乾燥減量(105 ℃) ········································································································ 3
6.4 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 4
6.5 変色範囲(pH) ············································································································ 4
6.6 鋭敏度 ························································································································· 5
7 容器······························································································································· 5
8 表示······························································································································· 5
K 9037:2020
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS K 9037:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,令和2年8月19日までの間は,産業標準化法第30条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 9037:1994を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
K 9037:2020
p-ロゾール酸(試薬)
p-Rosolic acid (Reagent)
C19H14O3 FW:290.31
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるp-ロゾール酸について規定する。
注記 別名:4-[ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]-2,5-シクロヘキサジエノン,アウリン,コラリ
ン,パラロゾール酸
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 6201 化学分析用白金るつぼ
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS R 1301 化学分析用磁器るつぼ
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤
3
種類
種類は,特級とする。
2
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4
性質
4.1
性状
p-ロゾール酸は,緑の金属光沢がある褐色の塊片又は赤みのある褐色の粉末で,エタノール(99.5)に
溶けやすく,水及びジエチルエーテルにほとんど溶けない。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数1 585 cm-1,1 570 cm-1,1 460 cm-1,
1 378 cm-1,1 253 cm-1及び1 164 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料調製は,JIS K 0117
の5.2 b)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を図1に
示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
エタノール溶状
−
試験適合
6.2
乾燥減量(105 ℃)
質量分率 %
15.0以下
6.3
強熱残分(硫酸塩)
質量分率 %
0.3以下
6.4
変色範囲(pH)
−
試験適合
6.5
鋭敏度
−
試験適合
6.6
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
3
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6.2
エタノール溶状
エタノール溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水
を加えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“ほとんど澄明”を用いる。
ほとんど澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.5 mLを共通すり合わせ平底
試験管[c) 参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更
に水を加えて20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 容量50 mL,直径約24 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料0.2 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,エタノール(95)10 mL
を加えて溶かし,水を加えて20 mLにする(A液)(6.5及び6.6の試験に用いる。)。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の
有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 次の1)及び2)に適合するとき,“エタノール溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.3
乾燥減量(105 ℃)
乾燥減量(105 ℃)の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 平形はかり瓶 JIS R 3503の付図57に規定するもの又は類似のもので,試料を入れた場合,試料の
厚さが5 mm以下になる容量のもの。
2) デシケーター 乾燥剤としてJIS Z 0701に規定するシリカゲル(A形1種)を入れたもの。
3) 定温乾燥器 105 ℃±2 ℃に調節できるもの。
b) 操作 操作は,次による。
1) 試料0.4 gをあらかじめ恒量にした平形はかり瓶(W1 g)に0.1 mgの桁まではかりとる(W2 g)。こ
の場合,試料量m gは,(W2−W1)gとする。
なお,試料の質量を別途はかり込んでから平形はかり瓶に加えてもよい(m g)。
2) 平形はかり瓶の蓋をずらして定温乾燥器に入れて,105 ℃で4時間乾燥する。
3) 乾燥後,平形はかり瓶に蓋をしてデシケーターに入れ,室温まで放冷する。
4) 平形はかり瓶を,デシケーターから取り出し,その質量を0.1 mgの桁まではかる(W3 g)。
c) 計算 乾燥減量は,次の式によって算出する。
100
3
2
×
−
=
m
W
W
A
4
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ここに,
A: 乾燥減量(質量分率 %)
d) 判定 計算して得られた値が規格値以下であるとき,“乾燥減量(105 ℃):質量分率15.0 %以下(規
格値)”とする。
6.4
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,次による。
a) 試薬 試薬は,次による。
・ 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) るつぼ JIS R 1301に規定する磁器るつぼ,これと類似の形状の石英るつぼ,又はJIS H 6201に規
定する白金るつぼ。るつぼの大きさは,試料がその容量の1/3以下になるもの。
2) デシケーター 6.3 a) 2)による。
3) 電気炉又は湿式灰化装置 500 ℃±50 ℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,次による。
なお,有害な硫酸のミストが発生するため,排気に注意して行う。
1) 試料1.0 gをあらかじめ恒量としたるつぼ(W4 g)に0.1 mgの桁まではかりとる(W5 g)。この場合,
試料量m gは,(W5−W4)gとする。
なお,試料の質量を別途はかり込んでからるつぼに加えてもよい(m g)。
2) 硫酸1 mLを可能な限り試料全体に行き渡るように加える。
3) 熱板(ホットプレート)上又は湿式灰化装置で硫酸の白いミストが生じなくなるまで加熱する。炭
化が不十分な場合,冷却後に硫酸1 mLを加え,再び硫酸の白いミストが生じなくなり,炭化する
まで加熱する。
4) るつぼを電気炉又は湿式灰化装置で,500 ℃±50 ℃で炭化物がなくなるまで強熱する。
5) 電気炉又は湿式灰化装置から取り出したるつぼを速やかにデシケーターに入れる。
なお,強熱後のるつぼをデシケーターに入れるとデシケーター内部の空気が膨張し,デシケータ
ーの蓋が落下しやすいため,蓋をずらして空気を抜くとよい。
6) デシケーター内で放冷後,るつぼを取り出し,0.1 mgの桁まで質量をはかる(W6 g)。
d) 計算 強熱残分(硫酸塩)は,次の式によって算出する。
100
4
6
×
−
=
m
W
W
B
ここに,
B: 強熱残分(硫酸塩)(質量分率 %)
e) 判定 計算して得られた値が規格値以下であるとき,“強熱残分(硫酸塩):質量分率0.3 %以下(規
格値)”とする。
6.5
変色範囲(pH)
変色範囲(pH)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 緩衝液(pH6.8) JIS K 8001のJA.7(緩衝液)による。
2) 緩衝液(pH8.0) JIS K 8001のJA.7(緩衝液)による。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.2 c)による。
5
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c) 操作 操作は,次による。
1) 2本の共通すり合わせ平底試験管に緩衝液(pH6.8)及び緩衝液(pH8.0)をそれぞれ10 mLとり,
6.2のA液0.05 mLを加えて,混合する。
2) 直ちに,共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から色を観察する。
d) 判定 次の1)及び2)に適合するとき,“変色範囲(pH):試験適合(規格値)”とする。
1) 緩衝液(pH6.8)の溶液の色は,黄から黄赤となる。
2) 緩衝液(pH8.0)の溶液の色は,黄味の赤から赤となる。
6.6
鋭敏度
鋭敏度の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
2) 0.1 mol/L 塩酸(HCl:3.646 g/L) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)を用い,JIS K 8001のJA.6.4
e) 6)(0.1 mol/L 塩酸)に従って,調製,標定及び計算したもの。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保
存する。
3) 0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:4.000 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを
用い,JIS K 8001のJA.6.4 r) 4)(0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)に従って,調製,標定及び計算
したもの。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ メスピペット又はミクロビュレット 最小目盛0.01 mL以下のもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 三角フラスコ200 mLなどに二酸化炭素を除いた水100 mLを入れ,6.2のA液0.15 mLを加え混合
する。
2) 直ちに,0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液0.05 mLを加えて混合し,三角フラスコの上方又は側方か
ら色を観察する。
3) 続いて,0.1 mol/L 塩酸0.05 mLを加えて混合し,三角フラスコの上方又は側方から色を観察する。
d) 判定 次の1)及び2)に適合するとき,“鋭敏度:試験適合(規格値)”とする。
1) c) 2)の操作で得られた溶液の色は,黄みの赤から赤となる。
2) c) 3)の操作で得られた溶液の色は,黄から赤みの黄となる。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“p-ロゾール酸”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 内容量
f)
製造番号
6
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g) 製造業者名又はその略号