K 9006:2012
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(NH4H2PO4) ········································································································ 3
6.3 水溶状 ························································································································· 5
6.4 pH(50 g/l,25 ℃) ······································································································· 6
6.5 塩化物(Cl) ················································································································ 6
6.6 硝酸塩 ························································································································· 6
6.7 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 7
6.8 重金属(Pbとして) ······································································································ 8
6.9 ナトリウム(Na)及びカリウム(K)················································································ 8
6.10 ひ素(As)················································································································· 12
6.11 鉄(Fe) ···················································································································· 14
7 容器······························································································································ 15
8 表示······························································································································ 15
K 9006:2012
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ
きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 9006:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成24年12月20日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJIS
マーク表示認証において,JIS K 9006:1992によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格
JIS
K 9006:2012
りん酸二水素アンモニウム(試薬)
Ammonium dihydrogenphosphate (Reagent)
NH4H2PO4 FW:115.03
序文
この規格は,1954年に制定され,その後5回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は,1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるりん酸二水素アンモニウムについて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8012 亜鉛(試薬)
JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬)
JIS K 8092 インジゴカルミン(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8121 塩化カリウム(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)
JIS K 8202 塩化1,10-フェナントロリニウム一水和物(試薬)
JIS K 8295 グリセリン(試薬)
2
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬)
JIS K 8371 酢酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8580 すず(試薬)
JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬)
JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬)
JIS K 8872 ホルムアルデヒド液(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8949 硫化ナトリウム九水和物(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬)
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1 性状
りん酸二水素アンモニウムは,白い結晶又は結晶性粉末で,水に溶けやすく,エタノールにほとんど溶
けない。水溶液は酸性である。
4.2 定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料2 gに水20 mlを加えて溶かす(A液)。A液10 mlに硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加えると,黄の
沈殿が生じ,これに硝酸(1+2)1 ml又はアンモニア水(2+3)5 mlを加えると沈殿は溶ける。
b) A液10 mlに水酸化ナトリウム溶液(100 g/l)1 mlを加えて加熱すると,アンモニアのにおいが発生
する。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
3
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(NH4H2PO4)
質量分率 %
99.0以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
pH(50 g/l,25 ℃)
4.0〜4.5
6.4
塩化物(Cl)
質量分率 ppm
5以下
6.5
硝酸塩
試験適合
6.6
硫酸塩(SO4)
質量分率
0.005以下
6.7
重金属(Pbとして)
質量分率 %
0.001以下
6.8
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.005以下
6.9
カリウム(K)
質量分率 %
0.005以下
6.9
ひ素(As)
質量分率 ppm
1以下
6.10
鉄(Fe)
質量分率 %
0.001以下
6.11
6
試験方法
6.1 一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2 純度(NH4H2PO4)
純度(NH4H2PO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩化ナトリウム JIS K 8150に規定するもの。
2) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
3) ホルムアルデヒド液 JIS K 8872に規定するもの。
4) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml
にする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
5) 二酸化炭素を除いた水 次の5.1)〜5.4) のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを
用い,使用時に調製する。
5.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却
したもの。
5.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
5.3) 水から二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて二酸化炭素を除いたもの。
5.4) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
6) フェノールフタレイン溶液 JIS K 8799に規定するフェノールフタレイン1.0 gをJIS K 8102に規
定するエタノール(95)90 mlに溶かし,水で100 mlにする。
7) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをJIS K 8102に規
定するエタノール(95)50 mlに溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
8) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/l) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定及
び計算は,次による。
8.1) 調製 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム165 gをポリエチレン製などの気密容器500 mlに
4
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
はかりとり,二酸化炭素を除いた水150 mlを加えて溶かした後,二酸化炭素を遮り4〜5日間放置
する。その上澄み液54 mlをポリエチレン製などの気密容器1 000 mlにとり,二酸化炭素を除い
た水を加えて1 000 mlとし,混合した後,ソーダ石灰管を付けて保存する。
8.2) 標定 標定は,認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のアミド硫酸を用
い,次のとおり行う。
8.2.1) 認証標準物質1) のアミド硫酸を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
8.2.2) 容量分析用標準物質のアミド硫酸を用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いた後,上口デ
シケーター(減圧デシケーター)に入れ,上口デシケーター内圧2.0 kPa以下で約48時間乾燥す
る。
8.2.3) 認証標準物質1) 又は容量分析用標準物質のアミド硫酸2.4〜2.6 gを0.1 mgの桁まではかりコニ
カルビーカー100 mlに移し,水25 mlを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチモールブルー
溶液数滴を加え,8.1) で調製した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,液の色が
黄から青みの緑になる点とする。
注1) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際単位
系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標準物質を入手
できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることができ,その説明書に
従って使用する。
なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合
センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標準物
質生産者がある。
8.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
09
097
.0
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f: l mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったアミド硫酸の質量(g)
A: アミド硫酸の純度(質量分率 %)
V: 滴定に要したl mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
0.097 09: l mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するアミド硫
酸の質量を示す換算係数(g/ml)
9) 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:4.000 g/l) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液100 mlを全量
フラスコ1 000 mlに正確にはかりとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合した後,ポリ
エチレン製などの気密容器に入れ,ソーダ石灰管を付けて保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
電位差滴定装置 JIS K 0113に規定するもので,指示電極にガラス電極を,参照電極に銀−塩化銀
電極を用いる。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
ホルムアルデヒド液20 ml及び二酸化炭素を除いた水20 mlをビーカー200 mlなどにとり,フェノ
ールフタレイン溶液を数滴加え,0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液で中和した後,0.1 mgの桁まではか
りとった試料1.5 gを加えて溶かす。1時間放置後,塩化ナトリウム5 gを加え,約15 ℃に保ちなが
らJIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって,1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。
d) 計算 純度(NH4H2PO4)は,次の式によって算出する。
5
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
100
52
057
.0
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 純度(NH4H2PO4)(質量分率 %)
V: 滴定に要した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
f: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.057 52: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当する
NH4H2PO4の質量を示す換算係数(g/ml)
6.3 水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“澄明”)は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無を確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 ml,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし,水で20 ml
にする。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通す
り合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。
6
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
e) 判定 d) によって操作し,次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4 pH(50 g/l,25 ℃)
pH(50 g/l,25 ℃)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試薬試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
2) 二酸化炭素を除いた水 6.2 a) 5) による。
3) pH標準液 JIS Z 8802の箇条7(pH標準液)による。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) 恒温水槽 (25±0.5)℃に調節できるもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,二酸化炭素を除いた水を加えて溶か
し,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカーにとる。
2) pHの測定は,JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温(25±0.5)℃の恒温水槽につ
(浸)けた試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。
6.5 塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1) による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 2) による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 6.3 a) 3.2) による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml及び硝酸(1+2)10 ml
を加えて溶かし,水を加えて25 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)1.0 ml及び硝酸(1+2)10 mlを共通すり合わ
せ平底試験管にとり,水を加えて25 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加えて振り混ぜた後,15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率5 ppm以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.6 硝酸塩
硝酸塩の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
7
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) インジゴカルミン溶液(1.8 g/l) JIS K 8092に規定するインジゴカルミン(質量分率100 %として
の相当量)0.18 gに塩酸(2+1)15 ml及び水を加えて溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製
瓶に保存し,30日以内に使用する。
3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料3.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 mlを加えて溶かす。
2) 試料溶液にインジゴカルミン溶液(1.8 g/l)0.05 mlを加える。これに硫酸10 mlを振り混ぜながら
徐々に加え,10分間放置し,液の色を観察する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硝酸塩:試験適合”とする。
試料溶液から得られた液は,青を保つ。
6.7 硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) ホルムアルデヒド液 6.2 a) 3) による。
3) 塩化バリウム溶液(100 g/l) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして
100 mlにする。
4) 塩酸(2+1) 6.6 a) 3) による。
5) 硫酸塩標準液
5.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
5.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.81 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
5.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料3.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水20 mlを加えて溶かす。これ
にホルムアルデヒド液4.5 ml及び水を加えて30 mlにし,30分間放置する(B液)。B液15 ml(試
料量1.5 g)を共通すり合わせ平底試験管にとり,塩酸(2+1)0.3 ml及び水を加えて25 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,B液5 ml(試料量0.5 g)及び硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml)5.0 mlを共通す
り合わせ平底試験管にとり,塩酸(2+1)0.3 ml及び水を加えて25 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 ml及び塩化バリウム溶液(100 g/l)2 mlを加えて振
り混ぜた後,1時間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
8
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.005 %以下(規格値)”と
する。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.8 重金属(Pbとして)
重金属(Pbとして)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.6 a) 3) による。
2) 酢酸ナトリウム溶液(200 g/l) JIS K 8371に規定する酢酸ナトリウム三水和物33.2 gを水に溶か
して100 mlにする。
3) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1) による(必要な場合に用いる。)。
4) 硫化ナトリウム・グリセリン溶液 JIS K 8295に規定するグリセリン30 mlに水10 mlを加えた溶
液にJIS K 8949に規定する硫化ナトリウム九水和物5 gを加えて溶かす。放置後,上澄み液を用い
る。冷所に保存し,3か月以内に使用する。
5) 鉛標準液
5.1) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
5.1.3) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,硝酸(1+2)1 ml及
び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
5.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,水を標線まで加えて混合する。使用時に調製する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
2) pH試験紙 pHの測定に用いる,ろ紙に酸塩基指示薬をしみこませた試験紙。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料6.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水20 mlを加えて溶かす。これ
を,塩酸(2+1)でpH試験紙を用いてpH約3.5に調節し,更に水を加えて30 mlにする(C液)。
C液15 ml(試料量3.0 g)を共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて20 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,C液5 ml(試料量1.0 g)及び鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)2.0 mlを共通すり合
わせ平底試験管にとり,水を加えて20 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,塩酸(2+1)0.5 mlを加えた後,酢酸ナトリウム溶液(200 g/l)でpH約
3.5に調節し,水を加えて30 mlにする。硫化ナトリウム・グリセリン溶液0.05 mlを加えて振り混
ぜた後,5分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,暗色を比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“重金属(Pbとして):質量分率0.001 %以下(規格値)”
とする。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の色より暗くない。
6.9 ナトリウム(Na)及びカリウム(K)
ナトリウム(Na)及びカリウム(K)の試験方法は,6.9.1(第1法 ICP発光分光分析法),又は6.9.2
9
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(第2法 炎光光度法)のいずれかによる。
6.9.1 第1法 ICP発光分光分析法
第1法 ICP発光分光分析法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ナトリウム標準液及びカリウム標準液
1.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)及びカリウム標準液(K:1 mg/ml) 次のいずれかのものを
用いる。
1.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
1.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
1.1.3) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)及びカリウム標準液(K:1 mg/ml)を調製する場合
1.1.3.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム2.54 gを全量フラ
スコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶な
どに保存する。
1.1.3.2) カリウム標準液(K:1 mg/ml) JIS K 8121に規定する塩化カリウム1.91 gを全量フラスコ
1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに
保存する。
1.2) ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/ml)及びカリウム標準液(K:0.01 mg/ml) 次のものを用いる。
1.2.1) ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/ml) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
1.2.2) カリウム標準液(K:0.01 mg/ml) カリウム標準液(K:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
ICP発光分光分析装置 JIS K 0116に規定するもの。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種及び測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
ナトリウム Na
589.592
カリウム K
766.490
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加
えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料1.0 gを3個の全量フラスコ100 mlにとり,水を加えて溶かし,ナトリウ
ム標準液(Na:0.01 mg/ml)及びカリウム標準液(K:0.01 mg/ml)を全量ピペットで表3に示す3
段階にとり,水を標線まで加えて混合する(Y1液,Y2液及びY3液)。
10
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3−採取する標準液の体積
標準液
mg/ml
採取量 ml
Y1
Y2
Y3
ナトリウム(Na)
0.01
2.5
5.0
10
カリウム(K)
0.01
2.5
5.0
10
3) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の5.(ICP発光分光分析)による。
4) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって発光強度を測定できる状態にす
る。
5) X液,Y1液,Y2液及びY3液を噴霧し,分析種の発光強度を測定する。
e) 計算 JIS K 0116の5.8.3 b)(標準添加法)によって検量線を作成し,分析種の含有量を計算する。
f)
判定 d) によって操作し,e) によって計算し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率
0.005 %以下(規格値),カリウム(K):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。
計算して得られた含有率が,規格値を満足している。
6.9.2 第2法 炎光光度法
炎光光度法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ナトリウム標準液及びカリウム標準液
1.1) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml)及びカリウム標準液(K:0.1 mg/ml) 次のものを用いる。
1.1.1) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml) 6.9.1 a) 1.1) のナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)100 ml
を全量フラスコ1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶
などに保存する。
1.1.2) カリウム標準液(K:0.1 mg/ml) 6.9.1 a) 1.1) のカリウム標準液(K:1 mg/ml)100 mlを全量
フラスコ1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに
保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
炎光光度計 励起源に炎を用いて分析種の発光スペクトル強度を測定する機器。
c) 分析種及び測定波長 分析種の波長λ1及び波長λ2の例を表4に示す。
表4−測定対象元素及び測定波長の例
単位 nm
分析種
波長 λ1
波長 λ2 a)
ナトリウム
Na
589.0
580
カリウム
K
766.5
760
注a) 波長λ2は,波長λ1に近接してその発光強度の干渉を受け
ない波長とする。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液及び比較溶液の調製
1.1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,水を標線まで加えて混合する(X液)。
1.2) 比較溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml)
11
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1.0 ml及びカリウム標準液(K:0.1 mg/ml)1.0 mlを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
2) 炎光光度計による測定 次のいずれかによる。
2.1) バックグラウンドの補正を自動で行う場合
2.1.1) 炎光光度計の分析条件は,取扱説明書による。この場合,測定波長のバックグラウンドの補正は,
自動で行えるように設定する。
2.1.2) 測定波長の設定は,炎光光度計のフレームの中に標準液を噴霧して発光強度を測定したときに,
あまり感度を上げないで発光強度の指示値が,50〜100 %を示す濃度のものを用いて,表4に示
す波長(λ1)を設定し,更にその感度を変えないで発光強度が最も大きくなるような波長に微調
整する。ただし,波長が自動設定される場合は,この操作を行わない。
2.1.3) 感度の設定は,炎光光度計のフレームの中にY液を噴霧して発光強度を測定し,2.1.2) で設定し
た波長における炎光光度計の発光強度の指示値が50〜100 %になるように,また,記録計のフル
スケールの50〜100 %になるように感度を設定する。
2.1.4) 測定は,この状態で,フレーム中に水・X液・水・Y液・水の順にそれぞれの液を噴霧して発光
強度を測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)をそれぞれ読み取る。
2.1.5) 測定結果は,X液からの指示値(n1)とY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比
較する。
2.2) バックグラウンドの補正を手動で行う場合
2.2.1) 測定波長の設定は,あまり感度を上げないで,炎光光度計のフレームの中に標準液を噴霧して発
光強度を測定したときに,発光強度の指示値が50〜100 %を示す濃度のものを用いて,表4に示
す波長λ1を設定し,更にその感度を変えないで発光強度が最も大きくなるような波長に微調整す
る。
2.2.2) 感度の設定は,炎光光度計のフレームの中にY液を噴霧して発光強度を測定し,2.2.1) で設定し
た波長における炎光光度計の発光強度の指示値が50〜100 %になるように,また,記録計のフル
スケールの50〜100 %になるように感度を設定する。
2.2.3) 測定は,この状態で,フレーム中に水・X液・水・Y液・水の順にそれぞれの液を噴霧して発光
強度を測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)をそれぞれ読み取る。
2.2.4) バックグラウンドの補正は,2.2.2) で設定した感度を変えないで,表4に示す対応する波長λ2
を設定し,フレームの中にX液を噴霧して発光強度を測定し,指示値(n3)を読み取る。
2.2.5) 測定結果は,X液の指示値からバックグラウンドの指示値を引いたn1−n3と,Y液の指示値から
X液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.005 %以下(規格値),
カリウム(K):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。
1) バックグラウンドの補正を自動で行う場合
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
12
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
m: はかりとった試料の質量(g)
2) バックグラウンドの補正を手動で行う場合
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
1
2
3
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.10 ひ素(As)
ひ素(As)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150〜1 400 μmのもの。
2) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
3) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法
用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分
析用)に溶かし,塩酸(ひ素分析用)で100 mlにする。小粒のJIS K 8580に規定する粒状のすず2
〜3個を加えて保存し, 使用時に水で10倍にうすめる。褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) 塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを混合する。
5) 塩酸(ひ素分析用)(1+3) 塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積3とを混合する(必要な場合
に用いる。)。
6) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/l) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gを水に溶かして100
mlにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mlを加える。
7) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規
定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(AgDDTC)0.5 gをピリジンに溶かし,ピリジンで100
mlにする。褐色ガラス製瓶に入れ,冷所に保存する。
8) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gを水に溶かして
100 mlにする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
9) よう化カリウム溶液(200 g/l) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gを水に溶かして100 ml
にする。使用時に調製する。
10) ひ素標準液
10.1) ひ素標準液(As:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
10.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
10.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
10.1.3) JIS K 8044に規定する三酸化二ひ素1.32 gに水酸化ナトリウム溶液(100 g/l)6 mlを加えて溶か
し,水500 mlを加える。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した後,水で全量フラス
コ1 000 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。
10.2) ひ素標準液(As:0.001 mg /ml) ひ素標準液(As:1 mg/ml)25 mlを全量フラスコ250 mlに正確
にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。その10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確にはかり
13
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
とり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの(必
要な場合に用いる。)。
2) ひ素試験装置 例を図1に示す。
3) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料3.0 gを水素化ひ素発生瓶100 mlにとり,水20 mlを加えて溶かす。
2) 比較溶液の調製は,ひ素標準液(As:0.001 mg/ml)3.0 mlを水素化ひ素発生瓶100 mlにとり,水
20 mlを加える。
3) 空試験溶液の調製は,水20 mlを水素化ひ素発生瓶100 mlにとる(空試験溶液は,吸光度を測定す
る場合に調製する。)。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mlを加え,水で40 mlにする。
これらによう化カリウム溶液(200 g/l)15 ml及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mlを加え
て振り混ぜ,10分間放置する。次に亜鉛(ひ素分析用)(粒径150〜1 400 μmのもの)3 gを加え,
直ちに水素化ひ素発生瓶100 mlと導管B(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン
溶液5 mlを入れ,導管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)とを連結する。水素化ひ素発
生瓶100 mlを約25 ℃の水中で約1時間放置した後,水素化ひ素吸収管Cを離しピリジンを5 ml
の標線まで加える。
5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,水素化ひ素吸収管Cの上
方又は側面から観察して,赤を比較する。
なお,必要があれば吸収セルを用い,分光光度計で波長510 nm付近の吸収極大の波長における吸
光度を,空試験溶液からのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液として,JIS K 0115の6.(特定波長に
おける吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 c) によって操作し,次の1) 又は2) に適合するとき,“ひ素(As):質量分率1 ppm以下(規
格値)”とする。
1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。
2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
14
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
水素化ひ素発生瓶100 ml
導管
水素化ひ素吸収管
ゴム栓又はすり合わせ
酢酸鉛(II)溶液(100 g/l)で
湿したガラスウール
40 mlの標線
5 mlの標線
図1−ひ素試験装置の例
6.11
鉄(Fe)
鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/l) JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ
ウム10 gを水に溶かして100 mlにする。
2) 塩酸(2+1) 6.6 a) 3) による。
3) 酢酸アンモニウム溶液(250 g/l) JIS K 8359に規定する酢酸アンモニウム25 gを水に溶かして100
mlにする。
4) 1,10-フェナントロリン溶液(2 g/l) JIS K 8202に規定する塩化1,10-フェナントロリニウム一水和
物0.28 gを,水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
5) 鉄(III)標準液
5.1) 鉄(III)標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
5.1.3) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,
塩酸(2+1)3 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存
する。
5.2) 鉄(III)標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄(III)標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確にはかりとり,塩酸(2+1)3 mlを加え,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製
瓶に保存する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml及び塩酸(2+1)1 ml
を加えて溶かし,水を加えて15 mlにする。
15
K 9006:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) 比較溶液の調製は,鉄(III)標準液(Fe:0.01 mg/ml)1.0 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,
塩酸(2+1)1 ml及び水を加えて15 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/l)1 mlを加えて,5分間放
置後,1,10-フェナントロリン溶液(2 g/l)1 ml,酢酸アンモニウム溶液(250 g/l)5 ml及び水を加
えて25 mlとし,20〜30 ℃で15分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,黄みの赤を比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“鉄(Fe):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の黄みの赤より濃くない。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “りん酸二水素アンモニウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号