K 9002:2015
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法 ························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(NaSCN)(乾燥後) ······························································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 5
6.4 エタノール溶状 ············································································································· 5
6.5 乾燥減量(105 ℃) ······································································································· 6
6.6 pH(50 g/L,25 ℃) ······································································································ 6
6.7 塩化物(Cl) ················································································································ 7
6.8 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 7
6.9 銅(Cu)及び鉄(Fe) ··································································································· 8
6.10 アンモニウム(NH4)··································································································· 10
6.11 よう素消費物質(Sとして) ·························································································· 14
7 容器······························································································································ 15
8 表示······························································································································ 15
K 9002:2015
(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 9002:1996は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成27年9月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 9002:1996によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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チオシアン酸ナトリウム(試薬)
Sodium thiocyanate (Reagent)
NaSCN FW:81.07
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるチオシアン酸ナトリウムについて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8230 過酸化水素(試薬)
JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬)
JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8545 硝酸アンモニウム(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
2
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JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8723 ニトロベンゼン(試薬)
JIS K 8780 ピロガロール(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8830 ウラニン(試薬)
JIS K 8903 4-メチル-2-ペンタノン(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8920 よう素(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 9000 チオシアン酸アンモニウム(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
チオシアン酸ナトリウムは,無色の結晶で潮解性がある。水に極めて溶けやすく,エタノールに溶けや
すい。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料2 gに水20 mLを加えて溶かす(A液)。A液10 mLに塩化鉄(III)溶液(100 g/L)1 mLを加え
ると,液の色は赤になる。
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線を先端から約30 mmまで塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120 mm,
内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に,内炎の最上部から約10 mmの位置に水
平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,白金線の先端約5 mm
をA液に浸し,ガスバーナーの無色炎中に入れると黄が現れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
3
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表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(NaSCN)(乾燥後)
質量分率 %
99.0以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
エタノール溶状
試験適合
6.4
乾燥減量(105 ℃)
質量分率 %
2.0以下
6.5
pH(50 g/L,25 ℃)
5.3〜8.5
6.6
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.01以下
6.7
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.005以下
6.8
銅(Cu)
質量分率 ppm
3以下
6.9
鉄(Fe)
質量分率 ppm
1以下
6.9
アンモニウム(NH4)
質量分率 %
0.005以下
6.10
よう素消費物質(Sとして) 質量分率 %
0.008以下
6.11
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(NaSCN)(乾燥後)
純度(NaSCN)(乾燥後)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ウラニン溶液 JIS K 8830に規定するウラニン0.20 gを水に溶かして100 mLにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合する。
3) 硫酸アンモニウム鉄(III)溶液 JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水10 gに硝
酸(1+2)10 mL及び水80 mLを加えて溶かす。
4) 0.1 mol/L 硝酸銀溶液(AgNO3:16.99 g/L) 0.1 mol/L 硝酸銀溶液の調製,標定及び計算は,次によ
る。
4.1) 調製 JIS K 8550に規定する硝酸銀17 gをはかりとり,水1 000 mLを加えて溶かした後,遮光し
た気密容器に入れて暗所に保存する。
4.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の塩化ナトリウム
を用い,次のとおり行う。
4.2.1) 認証標準物質1)の塩化ナトリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
4.2.2) 容量分析用標準物質の塩化ナトリウムを用いる場合は,試験成績書などに記載された方法で乾燥
する。
4.2.3) 認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の塩化ナトリウム0.14 g〜0.17 g
を0.1 mgの桁まではかりとり,コニカルビーカー200 mLなどに移し,水50 mLを加えて溶かす。
指示薬としてウラニン溶液数滴を加え,4.1)で調製した0.1 mol/L 硝酸銀溶液で滴定する。終点
は,液の色が赤みを帯びる点とする。
注1) 認証標準物質を供給する者として,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合セン
ター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標準物質
生産者がある。
4
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4.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
844
005
.0
1
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f1: 0.1 mol/L 硝酸銀溶液のファクター
m: はかりとった塩化ナトリウムの質量(g)
A: 塩化ナトリウムの純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/L 硝酸銀溶液の体積(mL)
0.005 844: 0.1 mol/L 硝酸銀溶液1 mLに相当する塩化ナトリウムの
質量を示す換算係数(g/mL)
5) 0.1 mol/L チオシアン酸アンモニウム溶液(NH4SCN:7.612 g/L) 0.1 mol/L チオシアン酸アンモニ
ウム溶液の調製,標定及び計算は,次による。
5.1) 調製 JIS K 9000に規定するチオシアン酸アンモニウム8 gをはかりとり,水1 000 mLを加えて
溶かした後,気密容器に入れて保存する。
5.2) 標定 0.1 mol/L硝酸銀溶液25 mLをコニカルビーカー200 mLに正確にとり,水25 mL,JIS K 8541
に規定する硝酸(質量分率60〜61 %,特級)2 mL及びJIS K 8723に規定するニトロベンゼン10 mL
を加える。指示薬として硫酸アンモニウム鉄(III)溶液数滴を加え,よく振り混ぜながら5.1)で調
製した0.1 mol/L チオシアン酸アンモニウム溶液で滴定する。終点は液の色が褐色となった点とす
る。
5.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
1
125
V
f
f
×
=
ここに,
f: 0.1 mol/L チオシアン酸アンモニウム溶液のファクター
f1: 0.1 mol/L 硝酸銀溶液のファクター
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオシアン酸アンモニウム溶液
の体積(mL)
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
6.5の残分0.1 gを0.1 mgの桁までビーカー100 mLなどにはかりとり,水50 mL及び硝酸(1+2)5
mLを加えて溶かし,かき混ぜながら徐々に0.1 mol/L 硝酸銀溶液25 mLを正確に加え,指示薬として
硫酸アンモニウム鉄(III)溶液数滴を加え,0.1 mol/L チオシアン酸アンモニウム溶液で滴定する。終
点は液の色が褐色となった点とする。
別に同一条件で空試験を行う。
c) 計算 純度(NaSCN)(乾燥後)は,次の式を用いて計算する。
100
)
(
107
008
.0
1
2
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度(NaSCN)(乾燥後)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオシアン酸アンモニウム溶液
の体積(mL)
V2: 空試験の滴定に要した0.1 mol/L チオシアン酸アンモニ
ウム溶液の体積(mL)
f: 0.1 mol/L チオシアン酸アンモニウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.008 107: 0.1 mol/L硝酸銀溶液1 mLに相当するNaSCNの質量を示
す換算係数(g/mL)
5
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6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.2 a) 2) による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mLにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加え
て溶かし,水を標線まで加えて混合する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 塩化物標準液(Cl:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mL
に正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“ほとんど澄明”を用いる。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.5 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)参照]にとり,水10 mL,
硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加えて20 mLとし,振り混ぜてか
ら15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 mL,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし20 mLにする。
2) 直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を,共通すり合わせ平底
試験管の上方又は側面から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
エタノール溶状
エタノール溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 硝酸(1+2) 6.2 a) 2)による。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2)による。
6
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4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3.2)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 6.3 b)に準じる。
c) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,エタノール(95)25 mLを加えて,水浴上で
加熱して溶かし,冷却する。
2) 直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を,共通すり合わせ平底
試験管の上方又は側面から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“エタノール溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.5
乾燥減量(105 ℃)
乾燥減量は,JIS K 0067の4.1.4 (1)(第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法)による。この場合,試料
1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,4時間乾燥する(残分は,6.2の試験に用いる。)。
6.6
pH(50 g/L,25 ℃)
pH(50 g/L,25 ℃)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
2) 水酸化カリウム溶液(250 g/L)(必要な場合に用いる。) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4
gを水に溶かして100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
3) 二酸化炭素を除いた水 次のいずれか,又はそれらを組み合わせたものを用い,使用時に調製する。
3.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
ウム溶液(250 g/L)を入れたもの,又はソーダ石灰管(JIS K 8603に規定するソーダ石灰を入れ
た管)を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却したもの。
3.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
3.3) 二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて,水から二酸化炭素を除いたもの。
3.4) 製造直後の18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,JIS K 1107に規定する窒素を
通じた三角フラスコに泡立てないように採取したもの。ただし,採水後速やかに用いる。
4) pH標準液 JIS Z 8802の箇条7(pH標準液)による。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) 恒温水槽 (25.0±0.5)℃に調節できるもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gをはかりとり,二酸化炭素を除いた水90 mLを加えて溶かし,水を
加えて100 mLにする。この液を適切な容量のビーカーにとる。
2) pHの測定は,JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温(25.0±0.5)℃の恒温水槽に
つ(浸)けた試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。
7
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6.7
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 過酸化水素 JIS K 8230に規定するもの。
2) 硝酸アンモニウム JIS K 8545に規定するもの。
3) 硝酸(1+2) 6.2 a) 2)による。
4) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2)による。
5) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして
100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
6) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3.2)による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.2 gをコニカルビーカー300 mLにはかりとり,水15 mLを加える。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)2.0 mLをコニカルビーカー300 mLにとり,水
15 mLを加える。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸アンモニウム1 g及び水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)3 mLを加え
て,約40 ℃に加熱し,振り混ぜながら過酸化水素2.5 mLを徐々に加え,反応が終わるまで振り混
ぜる。約40 ℃に冷却し,振り混ぜながら過酸化水素2.5 mLを徐々に加え,反応が終わるまで振り
混ぜる。約40 ℃に冷却し,過酸化水素5 mLを徐々に加え,ときどき振り混ぜながら30分間加熱
し,液量が15 mLになるまで蒸発させ,硝酸(1+2)15 mLを加え,少量の水で共通すり合わせ平
底試験管に移し,水で30 mLとする。さらに硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,15
分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率0.01 %以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.8
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) 6.4 a) 1)による。
2) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして
100 mLにする。
3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。
4) 硫酸塩標準液
4.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。
4.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
4.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
4.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。
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K 9002:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mL
に正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 mLを加えて溶か
し,塩酸(2+1)0.3 mLを加え,水で25 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)5.0 mL,水10 mL及び塩酸(2+1)0.3 mL
を共通すり合わせ平底試験管にとり,水で25 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて
振り混ぜた後,1時間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.005 %以下(規格値)”と
する。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.9
銅(Cu)及び鉄(Fe)
銅(Cu)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
2) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積2と
水の体積3とを混合する。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
3) 塩酸(2+1) 6.8 a) 3)による。
4) 塩酸(1+3) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積3とを混合する。
5) くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
10 gを水に溶かして100 mLにする。
6) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/L)[NaDDTC溶液(10 g/L)] JIS K 8454
に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gを水に溶かして100 mLにす
る。
7) 硝酸(1+2) 6.2 a) 2)による。
8) 銅標準液及び鉄標準液
8.1) 銅標準液(Cu:1 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。
8.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
8.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
8.1.3) 銅標準液(Cu:1 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:1 mg/mL)を調製する場合 次による。
8.1.3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/mL) JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物3.93 gを全量フラスコ
1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合
する。
8.1.3.2) 鉄標準液(Fe:1 mg/mL) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全
量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで
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K 9002:2015
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加えて混合する。
8.2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 次のものを用いる。
8.2.1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 銅標準液(Cu:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確
にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。
8.2.2) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 鉄標準液(Fe:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確
にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 分液漏斗200 mL JIS R 3503に規定するもの。
2) 水浴 6.4 c) 2)による。
3) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
4) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種の測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
銅(Cu)
324.8
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料10 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,水20 mLを加えて溶かし,塩
酸(1+3)10 mLを加え,水で80 mLにする。さらに,くえん酸水素二アンモニウム(100 g/L)2 mL
を加え,pH計を用いて,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節し,NaDDTC溶
液(10 g/L)5 mLを直ちに加え,水で100 mLとする。
2) 比較溶液の調製は,試料10 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,水20 mLを加えて溶かし,塩
酸(1+3)10 mLを加え,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)3.0 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)1.0
mLを加え,水で80 mLにする。さらに,くえん酸水素二アンモニウム(100 g/L)2 mLを加え,pH
計を用いて,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節し,NaDDTC溶液(10 g/L)5
mLを直ちに加え,水で100 mLとする。
3) 空試験溶液の調製は,塩酸(1+3)10 mLを水浴上で蒸発乾固した後,水を加えて5 mLとする。
4) 試料溶液及び比較溶液のそれぞれを,分液漏斗200 mLに入れ酢酸ブチル20 mLを加えた後,1分間
激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分取する。試料溶液
からの上層(酢酸ブチル相)をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの上層(酢酸ブ
チル相)をY液とし,下層(水相)は捨てる。
5) 保存していた試料溶液からの水相を分液漏斗200 mLにとり,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激
しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して下層(水相)を分取する。この場合の上層(酢酸ブチ
ル相)は捨てる。再び,水相に酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれる
まで放置して下層(水相)を分取し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た水相に3)の空試
験溶液を加え,くえん酸水素二アンモニウム(100 g/L)2 mLを加え,pH計を用いて,アンモニア
水(2+3)でpH 5.5に調節し,NaDDTC溶液(10 g/L)5 mLを直ちに加え,酢酸ブチル20 mLを加
えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置し,上層(酢酸ブチル相)を分取してZ液と
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する。
6) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してフレームの状態を最適にしておき,
Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液,
Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値(n1),Y液
の指示値(n2)及びZ液の指示値(n3)を読み取る。
7) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いた(n1−n3)とY液の指示値からX液の指示値
を引いた(n2−n1)とを比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率3 ppm以下(規格値),鉄(Fe):
質量分率1 ppm以下(規格値)”とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)は,次の式によって求めることができる。
6
1
2
3
1
10
000
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 ppm)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.10 アンモニウム(NH4)
アンモニウム(NH4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mLに溶かす。これ
にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,
水で100 mLにする。
2) 吸収液 図1の受器Hに硫酸(1+15)2 mLに水18 mLを加える。
なお,吸収液を調製した受器Hは,試験に必要な数を準備する。
3) 酢酸(1+1) JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
4) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう
すめる。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
有効塩素の定量方法 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを0.1 mg
の桁まではかりとり,全量フラスコ200 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mLを
共通すり合わせ三角フラスコ300 mLに正確にとり,水100 mL,JIS K 8913に規定するよう化カリ
ウム2 g及び酢酸 (1+1)6 mLを加えて栓をして振り混ぜる。約5分間暗所に放置後,指示薬と
してでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液
は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mLを加える。終点は,液の青が消えた点と
する。
別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
有効塩素の濃度は,次の式によって求める。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
100
200
/
20
)
(
3
545
003
0
2
1
×
×
×
−
×
=
m
f
V
V
.
A
ここに,
A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(mL)
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するCl
の質量を示す換算係数(g/mL)
5) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) 6.7 a) 5)による。
6) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mLを加えてかき混ぜながら熱
水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に
使用する。
7) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)18 mLをビーカー200 mLにとる。
冷水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K 8034
に規定するアセトン4 mLを加え,水で100 mLにする。使用時に調製する。
8) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液(必要な場合に用いる。) JIS K 8780に規定するピロガロー
ル10 gを水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)80 mLに溶かし,更に水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)
を加えて全量を100 mLにする。使用時に調製する。
9) 溶存酸素を除いた水 次のいずれか,又はそれらを組み合わせたものを用い,使用時に調製する。
9.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロー
ル・水酸化ナトリウム溶液を入れたものを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。
9.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
9.3) 酸素分離膜をもつガス分離管を用いて,水から溶存酸素を除いたもの。
9.4) 水を超音波振動装置を用いて十分に脱気したもの。
9.5) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,JIS K 1107に規定する窒素を通じた三角フラスコに泡立てな
いように採取したもの。ただし,採水後速やかに用いる。
10) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加える。
11) 硫酸(1+15) 水の体積15を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加える。
12) 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/L) 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液
の調製,標定及び計算は,次による。
12.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ
トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mLを加えて溶かした後,気密容器に入
れて保存する。調製後2日間放置したものを用いる。
なお,炭酸ナトリウムと同時にJIS K 8903に規定する4-メチル-2-ペンタノンの適切な量を加え
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てもよい。また,必要があればかくはん(攪拌)する。
12.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウ
ムを用い,次のとおり行う。
12.2.1) 認証標準物質1)のよう素酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
12.2.2) 容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,試験成績書などに記載された方法で乾
燥する。
12.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.9 g〜1.1 gを全量フラスコ250 mL
に0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。その25 mL
を共通すり合わせ三角フラスコ200 mLに正確にとり,水100 mLを加える。次に,JIS K 8913
に規定するよう化カリウム2 g及び硫酸(1+1)2 mLを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜ
て,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,12.1)で調製した0.1 mol/L チオ
硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄にな
ったときに約0.5 mLを加える。終点は,液の青が消えた点とする。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mLに水125 mL及びJIS K 8913に規定するよう化カ
リウム2 gをはかりとり,硫酸(1+1)2 mLを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所
に5分間放置し,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
12.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
)
(
7
566
003
0
250
25
2
1
A
V
V
.
/
m
f
×
−
×
×
=
ここに,
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(mL)
0.003 566 7: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するよ
う素酸カリウムの質量を示す換算係数(g/mL)
13) アンモニウム標準液
13.1) アンモニウム標準液(NH4:1 mg/mL) 次のいずれかのものを用いる。
13.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
13.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
13.1.3) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム2.97 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加
えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
13.2) アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL) アンモニウム標準液(NH4:1 mg/mL)10 mLを全量フ
ラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
3) 沸騰石 液体を沸騰させるとき突沸を防ぐために用いる多孔質の小片。
4) 恒温水槽 20 ℃〜25 ℃に調節できるもの。
5) 蒸留装置 例を図1に示す。又は,自動ケルダール蒸留装置。
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6) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料2.0 gをはかりとり,水約140 mLを加える。
2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコAにアンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL)10 mLをとり,水
約140 mLを加える。
3) 空試験溶液の調製は,蒸留フラスコAに水約140 mLを加える。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に沸騰石2,3粒を入れる(必要がない場合は,除く。)。a) 2)
で調製した吸収液を入れた受器Hに逆流止めGの先端を浸し,蒸留装置に連結する。これに水酸化
ナトリウム溶液(300 g/L)10 mLを注入漏斗Dから加え,注入漏斗Dを水10 mLで洗浄し(必要
がない場合は,除く。),すり合わせコックCを閉じる。加熱して初留約75 mLをとり,水を加えて
100 mLにする(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られた液をY液及び空試験溶液
から得られた液をZ液とする。)。
5) X液10 mL,Y液10 mL及びZ液10 mLをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管にとり,EDTA2Na
溶液(インドフェノール青法用)1 mL及びナトリウムフェノキシド溶液4 mLを加えてよく振り混
ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mLを加え,更に水を加
えて25 mLにし,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽で15分間放置する。
6) X液及びY液から得られた液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,分光光度
計で波長630 nm付近の吸収極大の波長における吸光度を,JIS K 0115の6.(特定波長における吸収
の測定)によって測定し,比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“アンモニウム(NH4):質量分率0.005 %以下(規格値)”
とする。
X液から得られた液の吸光度は,Y液から得られた液の吸光度より大きくない。
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単位 mm
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
L:
蒸留フラスコ500 mL
連結導入管
すり合わせコックK-16
注入漏斗
ケルダール形トラップ球(E':小孔)
球管冷却器300 mm
逆流止め(約50 mL)
受器(有栓形メスシリンダー100 mL)
共通すり合わせ
共通テーパー球面すり合わせ
押さえばね
ヒーター
図1−蒸留装置の例
6.11 よう素消費物質(Sとして)
よう素消費物質(Sとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) よう化カリウム JIS K 8913に規定するもの。
2) でんぷん溶液 6.10 a) 6)による。
3) 硫酸(1+15) 6.10 a) 11)による。
4) 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液 6.10 a) 12)による。
5) 0.05 mol/L よう素溶液(I:12.69 g/L) 0.05 mol/L よう素溶液の調製,標定及び計算は,次による。
5.1) 調製 JIS K 8913に規定するよう化カリウム40 gをはかりとり,水25 mL及びJIS K 8920に規定
するよう素13 gを加えて溶かした後,水を加えて1 000 mLとする。これにJIS K 8180に規定する
塩酸(特級)3滴を加えて混合した後,遮光した気密容器に入れて暗所に保存する。
5.2) 標定 5.1)で調製した0.05 mol/L よう素溶液25 mLをコニカルビーカー200 mLなどに正確にとり,
塩酸(1 mol/L)1 mLを加える。指示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウ
ム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点近くで液がうすい黄になったときに約0.5 mL
を加える。終点は,液の青が消えた点とする。
5.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
15
K 9002:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
25
2
1
V
f
f
×
=
ここに,
f1: 0.05 mol/L よう素溶液のファクター
f2: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
V: 滴定に要した0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の体積(mL)
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
2) メスピペット又はミクロビュレット JIS R 3505に規定するのもので,最小目盛が0.01 mLのもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,水20 mL及び硫酸(1+15)1 mLの入った共通すり合わせ平底試験管に,試料
2.0 gをはかりとり,よう化カリウム0.5 gを加えて,でんぷん溶液0.5 mLを加え,0.05 mol/L よう
素溶液0.10 mLをメスピペット又はミクロビュレットを用いて加え,混合する。
2) 白の背景を用いて,試料溶液の色を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“よう素消費物質(Sとして):質量分率0.008 %以下(規
格値)”とする。
試料溶液には,青が現れる。
注記 よう素消費物質(Sとして)の含有率(質量分率 %)を求める場合は,次の式によって計算
する。
100
3
603
001
0
1×
×
×
=
m
f
V
.
A
ここに,
A: よう素消費物質(Sとして)の含有率(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.05 mol/L よう素溶液の体積(mL)
f1: 0.05 mol/L よう素溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.001 603 3: 0.05 mol/L よう素溶液1 mLに相当するSの質量を示す
換算係数(g/mL)
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “チオシアン酸ナトリウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号