K 8984:2018
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 一般事項 ······················································································································ 2
6.2 純度(CuSO4) ·············································································································· 2
6.3 希硫酸溶状 ··················································································································· 3
6.4 塩化物(Cl) ················································································································ 4
6.5 ナトリウム(Na)及びカリウム(K)················································································ 6
6.6 鉛(Pb)及び鉄(Fe) ···································································································· 7
7 容器······························································································································ 10
8 表示······························································································································ 10
K 8984:2018
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8984:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成30年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8984:1995によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 8984:2018
硫酸銅(II)(試薬)
Copper (II) sulfate (Reagent)
CuSO4 FW:159.61
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる硫酸銅(II)について規定する。
警告1 硫酸銅(II)は劇物なので,粘膜及び皮膚に付着しないようにする。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート)などを参考にして各自の責任にお
いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 0127 イオンクロマトグラフィー通則
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS K 0970 ピストン式ピペット
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8121 塩化カリウム(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
2
K 8984:2018
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3
種類
種類は,1級とする。
4
性質
4.1
性状
硫酸銅(II)は,白又は灰白色の粉末で,吸湿すると青みを帯びる。水に溶けやすく,エタノール(99.5)
にほとんど溶けない。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水20 mLを加えて溶かす(A液)。A液10 mLに塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加え
ると,白い沈殿が生じる。
b) A液10 mLにアンモニア水(2+3)5 mLを加えると,濃い青になる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(CuSO4)
質量分率 %
97.5以上
6.2
希硫酸溶状
−
試験適合
6.3
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.003以下
6.4
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.1以下
6.5
カリウム(K)
質量分率 %
0.1以下
6.5
鉛(Pb)
質量分率 %
0.05以下
6.6
鉄(Fe)
質量分率 %
0.03以下
6.6
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(CuSO4)
純度(CuSO4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アンモニア水(1+10) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積1
と水の体積10とを混合したもの。
2) 塩化アンモニウム溶液(60 g/L) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム6.0 gをビーカー200 mL
などにはかりとり,水に溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。
3) ムレキシド希釈粉末 ムレキシド(鋭敏度が保証された指示薬)0.10 gをはかりとり,JIS K 8962
に規定する硫酸カリウム10 gを加えて混合したもの。
4) 0.01 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.01 mol/L EDTA2Na溶液) JIS K
8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を用い,JIS K 8001のJA.6.4
c) 4)(0.01 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液)に従って調製,標定及び計算
3
K 8984:2018
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
する。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料0.5 gを0.1 mgの桁まではかりとり,全量フラスコ250 mLに入れ,水を加えて溶かした後,更
に水を標線まで加える。
2) この液25 mL(試料量0.05 g)を正確にとり,水75 mL,塩化アンモニウム溶液(60 g/L)10 mL及
びアンモニア水(1+10)1 mLを加えた後,指示薬としてムレキシド希釈粉末を少量加え,よく振
り混ぜながら0.01 mol/L EDTA2Na溶液で滴定する。
3) 終点は,液の色が黄から赤紫に変わる点とする。
c) 計算 純度(CuSO4)は,次の式を用いて計算する。
100
250
25
1
596
001
.0
×
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 純度(CuSO4)(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.01 mol/L EDTA2Na溶液の体積(mL)
f: 0.01 mol/L EDTA2Na溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.001 596 1: 0.01 mol/L EDTA2Na溶液1 mLに相当するCuSO4の質
量を示す換算係数(g/mL)
6.3
希硫酸溶状
希硫酸溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加えたもの。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム
1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合す
る。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“僅かな微濁”を用いる。
僅かな微濁の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)1.2 mLを共通すり合わせ平底試
験管[c)参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加
えて20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
− 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料0.2 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,硫酸(1+5)1 mLを加え,水15 mLを加え
て溶かし,更に水を加えて20 mLにする。
4
K 8984:2018
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) 試料を溶かした直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又
は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“希硫酸溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,6.4.1又は6.4.2のいずれかによる。
6.4.1
塩化銀比濁法
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2)による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 4)による。
b) 器具 主な器具は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 洗浄ろ紙 JIS P 3801に規定するろ紙(5種C)を硝酸(1+2)50 mLで2回洗い,更に水50 mLで
2回洗ったもので,その最終洗液20 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,硝酸(1+2)1 mL及
び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて15分間放置後に澄明であることを確認する。必要であれば,
洗浄を繰り返す。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管に試料3.0 gをはかりとり,水45 mLを加え,硝酸
(1+2)を加えて60 mLにし,溶かす[必要ならば洗浄ろ紙(5種C)でろ過する。](B液)。共通
すり合わせ平底試験管にB液20 mL(試料量1.0 g)をとる。
2) 比較溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管にB液20 mLをとり,硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを
加え,水浴中で10分間加熱した後,冷却し,洗浄ろ紙(5種C)を用いてろ過した後,水5 mLで
洗う。ろ液と洗液とを合わせる。
3) 試料溶液に硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,比較溶液に塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)3.0 mL
を加え,それぞれに,水を加えて30 mLにして振り混ぜた後,15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側方から観察して濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃
くないとき,“塩化物(Cl):質量分率0.003 %以下(規格値)”とする。
6.4.2
イオンクロマトグラフィー
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 溶離液 溶離液は,装置の種類及びカラムに充塡した陰イオン交換体の種類によって異なるので,
塩化物イオン(Cl-)のピークと近接するピークとの分離度1) 1.3以上で分離できるものを用いる。
注記1 溶離液は,脱気するか,又は脱気した水を用いて調製するとよい。操作中,溶離液に新
たな気体が溶け込むのを避けるための対策を講じるとよい。
注1) イオンクロマトグラフの性能として分離度(R)は1.3以上なければならない。定期的に確
認するとよい。分離度を求めるには,溶離液を一定の流量(例えば,0.5 mL/min〜2 mL/min)
で流す。クロマトグラムのピーク高さがほぼ同程度となるような濃度の陰イオン混合溶液
5
K 8984:2018
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
を調製して,クロマトグラムを作成し,次の式によって算出する。
(
)
2
1
1
R
2
R
2
W
W
t
t
R
+
−
×
=
tR1<tR2
ここに,
tR1: 第1ピークの保持時間(秒)
tR2: 第2ピークの保持時間(秒)
W1: 第1ピークのピーク幅(秒)
W2: 第2ピークのピーク幅(秒)
2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 4)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) メンブランフィルター(ろ過が必要な場合に用いる。) 孔径約0.2 μmのメンブランフィルターを装
着したもので,逆浸透膜,蒸留法,イオン交換法,紫外線照射,ろ過などの方法のいずれか,又は
組合せによって精製した分析に影響しない水で洗浄したもの。
2) 試料調製用シリンジ(ろ過が必要な場合に用いる。) 1 mL〜2.5 mLの容量をもつもの。
注記2 溶液中のごみなどを除くために,メンブランフィルターとともに用いて,溶液をろ過す
る。
3) 試料導入装置 ループインジェクト方式で,容量5 μL〜200 μLのもので,イオンクロマトグラフに
試料の一定量を再現よく導入できるもの。
4) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。
5) イオンクロマトグラフ 装置の構成は,JIS K 0127に規定するもので,サプレッサー及び金属を除
去できる前処理装置(金属除去サプレッサーなど)をもつもの。装置の例を,図1に示す。
廃液
ポンプ
デガッサ
検出器
分離カラム
バルブ
サプレッサ−
超純水
溶離液
試料
バルブ
前処理装置
再生液
廃液
ポンプ
デガッサ
検出器
分離カラム
バルブ
サプレッサ−
超純水
溶離液
試料
バルブ
前処理装置
再生液
図1−イオンクロマトグラフの例
c) 分析条件 分析条件は,次による。
なお,別の分析条件でも同等の感度及び分離度が得られることを確認した場合には,その条件を用
いてもよい。
1) 検出器の種類 恒温槽内に設置された又は温度補償機能付き電気伝導度検出器。
2) カラム充塡剤 基材に陰イオン交換体を表面被覆したもの。
3) 分離カラム 内径2 mm〜5 mm,長さ10 cm〜25 cmのステンレス鋼製又は合成樹脂製のもので,分
離カラムの汚染を防ぐため,ガードカラムを接続したもの。
4) ガードカラム 分離カラムを劣化などから守るカラム。試料又は移動相に含まれるきょう雑物・不
6
K 8984:2018
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
純物による分離カラムの汚染,劣化などを防ぐ目的で,分離カラムの上流(通常,インジェクター
と分離カラムとの間)に接続する。
5) カラム温度 使用するカラムの仕様に適し,ピークの分離が確保できる温度に設定する。
6) 溶離液の流量 カラムの最適流量に設定する。
7) 再生液 再生液は,サプレッサーを用いる場合に使用する。あらかじめ分離カラムと組み合わせて
ベースラインの位置及びピーク感度の確認を行い,サプレッサーの性能を確保する。
注記3 金属除去サプレッサーの場合,このサプレッサー用の再生液として50 mMしゅう酸アン
モニウム溶液などが用いられる。
8) 再生液の流量 サプレッサーの能力が維持できる最適流量。
9) 試料溶液及び検量線溶液の注入量 適切な注入量を選択する。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,JIS K 0557に規定するA4
の水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。濁りがある場合,メンブランフィルターでろ
過する。
2) 検量線溶液の調製は,3個の全量フラスコ100 mLそれぞれに,ピストン式ピペットで,表2に示す
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)の体積を3段階とり,JIS K 0557に規定するA4の水を標線まで
加えて混合する。
別に,用いた水を空試験溶液とする。試料の調製にメンブランフィルターを用いた場合は,同様
にろ過する(それぞれ,Y0液,Y1液,Y2液及びY3液とする。)。
表2−採取する標準液の体積
標準液
mg/mL
採取量 μL
Y0(空試験溶液)
Y1
Y2
Y3
塩化物標準液(Cl)
0.01
0
50
100
150
3) イオンクロマトグラフを作動できる状態にし,分離カラムに溶離液を一定の流量で流しておく。サ
プレッサーを必要とする装置では,再生液を一定の流量で流しておく。
4) Y0液,Y1液,Y2液,Y3液及び試料溶液の一定量を,試料導入装置を用いてイオンクロマトグラフ
に注入して,クロマトグラムを記録する。
なお,あらかじめ塩化物イオン(Cl-)のピークの保持時間は,確認しておく。
e) 計算 JIS K 0127の9.5.2(絶対検量線法)によって検量線を作成し,塩化物の含有率を計算する。
f)
判定 d)によって操作し,計算して得られた含有率が規格値を満足しているとき,“塩化物(Cl):質
量分率0.003 %以下(規格値)”とする。
6.5
ナトリウム(Na)及びカリウム(K)
ナトリウム(Na)及びカリウム(K)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。
2) ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナト
リウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合
7
K 8984:2018
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエ
チレン製瓶などに保存する。
3) カリウム標準液(K:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,カリウム標準液(K:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8121に規定する塩化カリウ
ム1.91 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン
製瓶などに保存する。
b) 装置 主な装置は,次による。
− フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表3に示す。
表3−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
ナトリウム(Na)
589.0
カリウム(K)
766.5
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ200 mLにはかりとり,塩酸(2+1)2 mL及び水50 mL
を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(S液)(6.6の試験にも用いる)。S液10 mL(試料
量0.1 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,S液10 mL(試料量0.1 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,ナトリウム
標準液(Na:0.01 mg/mL)10 mL及びカリウム標準液(K:0.01 mg/mL)10 mL水を加え,水を標
線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表3に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 d)によって操作し,n1がn2−n1より大きくないとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.1 %以下
(規格値)”,“カリウム(K):質量分率0.1 %以下(規格値)”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)を求める場合は,次の式によっておおよその参考値を求める
ことができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.6
鉛(Pb)及び鉄(Fe)
鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,6.6.1又は6.6.2のいずれかによる。
6.6.1
フレーム原子吸光法
8
K 8984:2018
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
フレーム原子吸光法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 鉛標準液(Pb:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,鉛標準液(Pb:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g
を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,更
に水を標線まで加えて混合する。
2) 鉄標準液(Fe:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,鉄標準液(Fe:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄
(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶
かし,水を標線まで加えて混合する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸
(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
b) 装置 主な装置は,次による。
− フレーム原子吸光分析装置 6.5 b)による。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表4に示す。
表4−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
鉛(Pb)
283.3
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,6.5のS液30 mL(試料量0.3 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,水を標
線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,6.5のS液30 mL(試料量0.3 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,鉛標準
液(Pb:0.1 mg/mL)1.5 mL及び鉄標準液(Fe:0.1 mg/mL)0.9 mL水を加え,水を標線まで加えて
混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表4に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d)によって操作し,n1がn2−n1より大きくないとき,“鉛(Pb):質量分率0.05 %以下(規格値),
鉄(Fe):質量分率0.03 %以下(規格値)”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)を求める場合は,次の式によっておおよその参考値を求める
ことができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: X液に含まれる試料の質量(g)
9
K 8984:2018
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.6.2
ICP発光分光分析法
ICP発光分光分析法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.5 a) 1)による。
2) イットリウム標準液(Y:1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)を調製する場合は,次のいずれかによる。
2.1) 硝酸イットリウム(III)六水和物(質量分率99.9 %以上)4.31 gを全量フラスコ1 000 mLにはか
りとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
2.2) 酸化イットリウム(III)(質量分率99.99 %以上)1.27 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,硝
酸75 mLを加えて,熱板(ホットプレート)上で加熱し溶解させ,全量フラスコ1 000 mLに移し,
ビーカー200 mLなどを洗い,洗液を全量フラスコ1 000 mLに加えた後,水を標線まで加えて混合
する。
注記 イットリウム標準液は,ICP発光分光分析法で発光強度を補正するための内標準である。市
販のイットリウム標準液(Y:1 mg/mL)は,使用目的に合致した場合には,市販のものを用
いてもよい。
3) 鉛標準液(Pb:0.1 mg/mL) 6.6.1 a) 1)による。
4) 鉄標準液(Fe:0.1 mg/mL) 6.6.1 a) 2)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) ピストン式ピペット 6.4.2 b) 4)による。
2) ICP発光分光分析装置 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。
c) 分析条件 分析条件は,次による。
分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例を,表5に示す。
なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても
よい。
表5−分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例
測定元素
測定波長 nm
鉛(Pb)
220.353
鉄(Fe)
238.204
イットリウム(Y)
371.029
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,6.5のS液10 mL(試料量0.1 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,塩酸(2
+1)1 mL,イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)50 μL及び水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 検量線溶液の調製は,3個の全量フラスコ100 mLのそれぞれに,ピストン式ピペットを用いて表6
に示す各標準液の体積をとり,塩酸(2+1)1 mL及びイットリウム標準液(Y:1 mg/mL)50 μLを
加え,水を標線まで加えて混合する(それぞれ,Y1液,Y2液,Y3液とする。)。
10
K 8984:2018
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表6−採取する各標準液の体積
標準液
mg/mL
採取量 μL
Y1
Y2
Y3
鉛標準液(Pb)
0.1
250
500
750
鉄標準液(Fe)
0.1
150
300
450
3) 空試験用溶液の調製は,全量フラスコ100 mLに,塩酸(2+1)1 mL及びイットリウム標準液(Y:
1 mg/mL)50 μLを加え,水を標線まで加えて混合する(Z液)。
4) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の箇条4(ICP発光分光分析)による。
5) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に
する。
6) 同一分析種ごとに表5の波長を中心に複数波長を選択し,Y1液,Y2液及びY3液を用いて,関係線
を作成し,関係線のy切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件を満たせな
い場合,分析結果に対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。
7) Z液,X液及びY1液,Y2液及びY3液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,分析種及び内標準イットリ
ウム(Y)の発光強度を測定する。
e) 計算 JIS K 0116の4.7.3 a) 2)[強度比法(内標準法)]によって,分析種の含有率を計算する。
f)
判定 d)によって操作し,計算して得られた含有率が規格値を満足しているとき,“鉛(Pb):質量分
率0.05 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.03 %以下(規格値)”とする。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“硫酸銅(II)”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号