K 8965:2019
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 一般事項 ······················································································································ 2
6.2 純度(Ag2SO4) ············································································································· 2
6.3 希硝酸溶状 ··················································································································· 3
6.4 窒素化合物(Nとして)·································································································· 4
6.5 塩酸で沈殿しない物質 ···································································································· 7
6.6 銅(Cu)及び鉄(Fe) ··································································································· 7
7 容器······························································································································· 9
8 表示······························································································································· 9
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8965:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成31年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8965:1994を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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硫酸銀(I)(試薬)
Silver (I) sulfate (Reagent)
Ag2SO4 FW:311.80
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる硫酸銀(I)について規定する。
警告1 硫酸銀は劇物なので,粉じんを吸入しないようにし,粘膜,皮膚に付着しないようにする。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート)などを参考にして各自の責任にお
いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8548 硝酸カリウム(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8653 デバルダ合金(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
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JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 9000 チオシアン酸アンモニウム(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 1301 化学分析用磁器るつぼ
JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
硫酸銀は,白い結晶又は結晶性粉末で,光によって徐々に着色する。水に溶けにくく,硝酸に溶ける。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料0.5 gに硝酸2 mL及び水50 mLを加え,加熱して溶かす(A液)。A液5 mLに塩酸(2+1)1 mL
を加えると,白い沈殿が生じる。
b) A液5 mLに硝酸バリウム溶液(50 g/L)2 mLを加えると,白い沈殿が生じる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(Ag2SO4)
質量分率 %
99.5 以上
6.2
希硝酸溶状
−
試験適合
6.3
窒素化合物(Nとして)
質量分率 %
0.001 以下
6.4
塩酸で沈殿しない物質
質量分率 %
0.03 以下
6.5
銅(Cu)
質量分率 %
0.004 以下
6.6
鉄(Fe)
質量分率 %
0.004 以下
6.6
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(Ag2SO4)
純度(Ag2SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸 JIS K 8541に規定する質量分率60 %〜61 %の特級のもの。
2) 硫酸鉄(III)アンモニウム溶液 JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水10 gをは
かりとり,硝酸(1+2)10 mL及び水80 mLを加えて溶かしたもの。
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なお,硝酸(1+2)の調製は,JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積
1と水の体積2とを混合する。
3) 0.1 mol/L チオシアン酸アンモニウム溶液 JIS K 9000に規定するチオシアン酸アンモニウムを用
い,JIS K 8001のJA.6.4 s)(0.1 mol/L チオシアン酸アンモニウム溶液)によって,調製,標定及び
計算したもの。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料0.5 gを三角フラスコ200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,硝酸5 mLを加えて溶かす。
2) 水50 mLを加え,硫酸鉄(III)アンモニウム溶液を指示薬として加え,0.1 mol/L チオシアン酸ア
ンモニウム溶液で,よくかき混ぜながら滴定する。
3) 終点は液の色が,褐色となる点とする。
c) 計算 純度(Ag2SO4)は,次の式によって算出する。
100
590
015
.0
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 純度(Ag2SO4)(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/L チオシアン酸アンモニウム溶液
の体積(mL)
f: 0.1 mol/L チオシアン酸アンモニウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.015 590: 0.1 mol/L チオシアン酸アンモニウム溶液1 mLに相当す
るAg2SO4の質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
希硝酸溶状
希硝酸溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸 6.2 a) 1) による。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ
ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)
参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて20 mL
とし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料0.2 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,硝酸1 mLを加え,水を加えて20 mLにし,
加熱して溶かす。
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2) 試料を溶かした直後に濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通
すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 次の1) 及び2) に適合するとき,“希硝酸溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
窒素化合物(Nとして)
窒素化合物(Nとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) デバルダ合金 JIS K 8653に規定するもの。
2) 硫酸(1+15) 水の体積15を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加えたもの。
3) 吸収液 2) の硫酸(1+15)2 mLに水18 mLを加えたもの。
4) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mLに溶かす。これ
にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,
水で100 mLにしたもの。
5) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう
すめたもの。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
なお,有効塩素の定量は,次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを
0.1 mgの桁まではかりとり,全量フラスコ200 mLに移し,更に水を標線まで加えて混合する。そ
の20 mLを共通すり合わせ三角フラスコ300 mLに正確にとり,水100 mL及びJIS K 8913に規定
するよう化カリウム2 gを加えて溶かした後,速やかに酢酸(1+1)6 mLを加えて栓をして振り混
ぜる。約5分間暗所に放置後,指示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶
液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mL
を加える。終点は,液の青が消える点とする。別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
次亜塩素酸ナトリウム溶液の有効塩素濃度は,次の式によって算出する。
100
200
20
)
(
3
545
003
0
2
1
×
×
×
−
×
=
m
f
V
V
.
A
ここに,
A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(mL)
V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当する塩素
の質量を示す換算係数(g/mL)
また,酢酸(1+1),でんぷん溶液及び0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,次による。
・ 酢酸(1+1)の調製は,JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
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・ でんぷん溶液の調製は,JIS K 8659に規定する特級又は1級のでんぷん(溶性)1.0 gをはか
りとり,水10 mLを加えてかき混ぜながら熱水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間
煮沸した後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に使用する。
・ 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水
和物及びJIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム又はJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタ
ノールを用い,JIS K 8001のJA.6.4 t) 2)(0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液)に従って,調
製,標定及び計算する。
6) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして
100 mLにしたもの。ポリエチレン製瓶などに保存する。
7) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)18 mLをビーカー200 mLにとる。
冷水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K
8034に規定するアセトン4 mLを加え,水で100 mLにしたもの。使用時に調製する。
8) 窒素標準液(N:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,窒素標準液(N:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8548に規定する硝酸カリウム7.22
gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この
液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
3) 沸騰石 ふっ素樹脂製,ガラス製又は磁製で,大きさが2 mm〜10 mmのもの。
注記 海外製品の場合,ボイリング・ストーン又はボイリング・チップの名称が用いられる。
4) 恒温水槽 20 ℃〜25 ℃に調節できるもの。
5) 蒸留装置 例を図1に示す。
6) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
6
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A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
L:
蒸留フラスコ
連結導入管
すり合わせコックK-16
注入漏斗
ケルダール形トラップ球(E':小孔)
球管冷却器
逆流止め(約50 mL)
受器(有栓形メスシリンダー100 mL)
共通すり合わせ
共通テーパー球面すり合わせ
押さえばね
ヒーター
図1−蒸留装置の例
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料1.0 gをはかりとり,硫酸(1+15)1 mL及び水120 mL
を加え,加熱して溶かし,水を加えて約140 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコAに窒素標準液(N:0.01 mg/mL)1.0 mLをとり,硫酸(1+15)
1 mL及び水を加えて約140 mLにする。
3) 空試験溶液は,蒸留フラスコAに硫酸(1+15)1 mL及び水140 mLを入れる。
4) 1)〜3)で得られたそれぞれの溶液に沸騰石2,3個を入れる。受器Hに吸収液20 mLを入れ,逆流止
めGの先端を浸す。蒸留フラスコAにデバルダ合金1 gを入れ,直ちに蒸留装置に連結する。これ
に水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)19 mLを注入漏斗Dから加える。注入漏斗Dを水10 mLで洗
い,すり合わせコックCを閉じる。加熱して蒸留し,初留約75 mLをとり,水を加えて100 mLに
する(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られた液をY液,空試験溶液から得られた
液をZ液とする。)。
5) X液10 mL,Y液10 mL及びZ液10 mLをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管にとり,EDTA2Na
溶液(インドフェノール青法用)1 mL及びナトリウムフェノキシド溶液4 mLを加えてよく振り混
ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mLを加え,更に水を加
えて25 mLにし,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽で15分間放置する。
6) X液及びY液から得られた液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,分光光度
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計で波長630 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定
し,比較する。
d) 判定 X液から得られた液の吸光度が,Y液から得られた液の吸光度より大きくないとき,“窒素化合
物(Nとして):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
6.5
塩酸で沈殿しない物質
塩酸で沈殿しない物質の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸 6.2 a) 1) による。
2) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。
3) 塩酸(1+100) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積100とを混合したもの。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 磁器るつぼ JIS R 1301に規定するもの。
2) ろ紙 JIS P 3801に規定する5種Cのもの。
3) デシケーター 乾燥剤としてJIS Z 0701に規定するシリカゲル(A形1種)を入れたデシケーター
を用いる。
4) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
5) 電気炉 600 ℃±50 ℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料5.0 gをビーカー300 mLなどにはかりとり,硝酸2 mL及び水200 mLを加え,煮沸して溶かし,
塩酸(2+1)を少量ずつ沈殿が出なくなるまで加え,時々かき混ぜながら沸騰水浴上で30分間加熱
する。
2) 冷却後,ろ紙でろ過し,ろ液を全量フラスコ250 mLに受け,ろ紙及び沈殿を少量の塩酸(1+100)
で洗い,ろ液と洗液とを合わせた後,水を標線まで加えて混合する(B液)(6.6の試験にも用いる。)。
3) B液150 mL(試料量3.0 g)を,あらかじめ恒量にして0.1 mgの桁まで質量をはかった磁器るつぼ
にとり,沸騰水浴上で蒸発乾固した後,塩酸(2+1)0.1 mL及び水10 mLを加え(不溶分があれば
ろ過を行う。),熱板(ホットプレート)上で蒸発乾固した後に強熱する。
4) これをデシケーター中で冷却し,再び0.1 mgの桁まで質量をはかる。
5) 再び強熱し,これをデシケーター中で冷却し,再び0.1 mgの桁まで質量をはかる操作を恒量となる
まで繰り返す。
d) 計算 塩酸で沈殿しない物質は,次の式によって算出する。
100
1
2
×
−
=
m
W
W
A
ここに,
A: 塩酸で沈殿しない物質(質量分率 %)
m: B液150 mL中の試料の質量(g)
W1: 恒量にした磁器るつぼの質量(g)
W2: 恒量にした残分及び磁器るつぼの質量(g)
e) 判定 d) によって得られた含有率が,規格値を満足しているとき,“塩酸で沈殿しない物質:質量分
率0.03 %以下(規格値)”とする。
6.6
銅(Cu)及び鉄(Fe)
銅(Cu)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水
和物3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水
を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25
mLを加え,水を標線まで加えて混合する。
2) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム
鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸
(1+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
銅(Cu)
324.8
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,6.5のB液25 mL(試料量0.5 g)を全量フラスコ50 mLにとり,水を標線まで
加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,6.5のB液25 mL(試料量0.5 g)を全量フラスコ50 mLにとり,銅標準液(Cu:
0.01 mg/mL)2.0 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)2.0 mLを正確にとり,水を標線まで加えて混
合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 n1が,n2−n1より大きくないとき,“銅(Cu):質量分率0.004 %以下(規格値),鉄(Fe):質
量分率0.004 %以下(規格値)”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を求めることができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: X液中の試料の質量(g)
9
K 8965:2019
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示しなければならない。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“硫酸銀(I)”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号