K 8948:2012
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 1
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 一般事項 ······················································································································ 2
6.2 純度(硫化水素発生率) ································································································· 2
7 容器······························································································································· 5
8 表示······························································································································· 5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ
きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8948:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格
JIS
K 8948:2012
硫化鉄(II)(試薬)
Iron(II) sulfide (Reagent)
FeS FW:87.91
序文
この規格は,1950年に制定され,その後5回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は,1995年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は,現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる硫化鉄(II)について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8356 酢酸亜鉛二水和物(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8622 炭酸水素ナトリウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8780 ピロガロール(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8920 よう素(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
3
種類
種類は,硫化水素発生用とする。
2
K 8948:2012
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4
性質
4.1
性状
硫化鉄(II)は,暗い灰色から灰黒色の固塊で水に溶けない。
4.2
定性方法
試料1 gに塩酸(1+3)5 mlを加え,発生する気体を硝酸銀溶液(20 g/l)10 mlに通じると黒い沈殿が
生じる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(硫化水素発生率)
質量分率 %
50 以上
6.2
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(硫化水素発生率)
純度(硫化水素発生率)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸 JIS K 8180に規定するもの。
2) 炭酸水素ナトリウム JIS K 8622に規定するもの。
3) 塩酸(2+3) 塩酸の体積2と水の体積3とを混合する。
4) 吸収液 JIS K 8356に規定する酢酸亜鉛二水和物0.9 gに水50 mlを加えて溶かし,更にJIS K 8085
に規定するアンモニア水(質量分率28.0〜30.0 %)20 mlを加えて混合する。
5) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして
100 mlにする。ポリエチレン製瓶などに保存する(必要な場合に用いる。)。
6) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8780に規定するピロガロール10 gを水酸化ナトリウ
ム溶液(300 g/l)80 mlに溶かし,更に水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)を加えて全量を100 mlにす
る(必要な場合に用いる。)。この溶液は使用時に調製する。
7) 溶存酸素を除いた水 次の7.1)〜7.5)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
7.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上沸騰させる。加熱を止め,フラス
コの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロール・
水酸化ナトリウム溶液を入れたものを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。
7.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
7.3) 水から酸素分離膜をもつガス分離管を用いて溶存酸素を除いたもの。
7.4) 水を超音波振動装置で十分に脱気を行ったもの。
7.5) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
3
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注記 脱イオン化された水を用いる場合,脱イオン装置によっては酸素を含む場合がある。
8) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mlを加えてかき混ぜながら熱
水200 ml中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に
使用する。
9) 0.05 mol/l よう素溶液(I:12.69 g/l) 0.05 mol/l よう素溶液の調製は,次による。
JIS K 8913に規定するよう化カリウム40 gをはかりとり,水25 ml及びJIS K 8920に規定するよ
う素13 gを加えて溶かした後,水を加えて1 000 mlにする。これに塩酸3滴を加えて混合した後,
遮光した気密容器に入れて暗所に保存する。
10) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加える。
11) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/l) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶
液の調製,標定及び計算は,次による。
11.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ
トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に入れ
て保存する。溶液は,調製後2日間放置したものを用いる。
11.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウ
ムを用い,次のとおり行う。
11.2.1) 認証標準物質1)のよう素酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
11.2.2) 容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いて,
130 ℃で約2時間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。
11.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.9〜1.1 gを全量フラスコ250 mlに
0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。その25 mlを共
通すり合わせ三角フラスコ200 mlに正確にはかりとり,水100 mlを加える。次に,JIS K 8913
に規定するよう化カリウム2 g及び硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜ
て,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,11.1)で調製した0.1 mol/l チオ
硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄にな
ったときに約0.5 mlを加える。終点は,液の青が消える点とする。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに水125 ml,よう化カリウム2 g及び硫酸(1+1)
2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置し,同一条件で空試験を行
って滴定量を補正する。
注1) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際単
位系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標準物質を
入手できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることができ,その説
明書に従って使用する。
なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総
合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標
準物質生産者がある。
11.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
)
(
7
566
003
.0
250
/
25
2
1
A
V
V
m
f
×
×
×
−
=
4
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ここに,
f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
0.003 566 7: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するよう
素酸カリウムの質量を示す換算係数(g/ml)
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 蒸留装置 例を図1に示す。
2) ろ紙(5種C) JIS P 3801に規定するもの。
c) 操作 操作は,局所排気装置の下,ドラフト内などで,次のとおり行う。
1) 平底フラスコに,細かく砕いた試料0.2 gを0.1 mgの桁まではかりとり,更に,炭酸水素ナトリウ
ム2 gも入れ,滴下漏斗及び導入管をつける。吸収液70 mlを受器に入れ,導入管の先端を吸収液
につ(浸)ける。
2) 滴下漏斗から塩酸(2+3)50 mlを加え,滴下漏斗のコックを閉じ,加熱して蒸留し35 mlをとる。
3) 受器に生じる沈殿をろ紙(5種C)でろ過し,沈殿を水で洗う。
4) 沈殿とろ紙を共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに入れ,0.05 mol/l よう素溶液50 mlを正確に加
える。さらに,塩酸10 mlを加え,栓をして30分間時々振り混ぜて沈殿を溶かす。
5) さらに,水50 mlを加え,指示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液で
滴定する。指示薬のでんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mlを加え
る。終点は,液の青が消える点とする。
別に,同一条件で空試験を行う。
d) 計算 純度(硫化水素発生率)は,次の式によって算出する。
100
)
(
395
004
.0
1
2
×
×
×
m
f
V
V
A
−
=
ここに,
A: 純度(硫化水素発生率)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
m: はかりとった試料の質量(g)
f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
0.004 395: 0.05 mol/l よう素溶液1 mlに相当するFeSの質量を示す
換算係数(g/ml)
5
K 8948:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1−蒸留装置の例
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “硫化鉄(II)”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度(硫化水素発生率)
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号