K 8919:2020
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 1
4 性質······························································································································· 1
4.1 性状 ···························································································································· 1
4.2 定性方法 ······················································································································ 1
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 一般事項 ······················································································································ 2
6.2 純度(CH3I)(GC) ······································································································· 2
6.3 水分 ···························································································································· 3
6.4 不揮発分 ······················································································································ 3
6.5 酸 ······························································································································· 3
7 容器······························································································································· 4
8 表示······························································································································· 4
K 8919:2020
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS K 8919:2014は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,令和2年8月19日までの間は,産業標準化法第30条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8919:2014を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
K 8919:2020
ヨードメタン(試薬)
Iodomethane (Reagent)
CH3I FW:141.94
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるヨードメタンについて規定する。
注記 別名:よう化メチル
警告1 ヨードメタンは劇物であり,蒸気の吸入をしないようにし,目,粘膜,皮膚などへの付着を
避ける。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,安全データシート(SDS)などを参考にして,各自の責任に
おいて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 9071 リトマス試験紙(試薬)
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
ヨードメタンは,無色の液体で,空気に触れてよう素を遊離し,次第に着色して黄から褐色になる。エ
タノール(99.5)及びジエチルエーテルに極めて溶けやすく,水にやや溶けやすい。密度は,約2.28 g/mL
で,沸点は約43 ℃である。安定剤として銀又は銅の線,粒などを添加する場合がある。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数2 950 cm-1,1 427 cm-1,1 240 cm-1,
2
K 8919:2020
884 cm-1及び524 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料調製は,JIS K 0117の5.4 a)(液膜
法)による。窓板に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を図1に示す。
[出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所の有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)
(チャート上にピークの波数を追記)]
図1−赤外吸収スペクトルの例
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(CH3I)(GC)
面積分率 %
99.5以上
6.2
水分
質量分率 %
0.1以下
6.3
不揮発分
質量分率 %
0.01以下
6.4
酸
−
試験適合
6.5
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(CH3I)(GC)
純度(CH3I)(GC)の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) マイクロシリンジ又は液体試料導入装置 少量の定容量の測定溶液を,ガスクロマトグラフに導入
できるもの。
2) ガスクロマトグラフ 装置の構成は,JIS K 0114に規定するもの。
3
K 8919:2020
b) 分析条件 分析条件は,次による。
なお,同等の結果が得られることが証明されている場合には,その分析条件を用いることができる。
1) 検出器の種類 水素炎イオン化検出器
2) キャピラリーカラム
・ 材質 石英ガラス
・ 内径 0.23 mm〜0.53 mm
・ 長さ 20 m〜50 m
・ 固定相液体の種類 ポリエチレングリコール
・ 固定相液体の膜厚 0.25 µm〜3.0 μm
3) 設定温度
・ カラム槽 初期温度40 ℃で5分間保持し,毎分20 ℃で200 ℃になるまで昇温し,200 ℃で7分
間保持する。
・ 試料気化室 100 ℃
・ 検出器槽 200 ℃
4) キャリヤーガスの種類及び流量
・ 種類 ヘリウム
・ 流量 5 mL/min
5) 試料の導入方式
・ 導入方式 スプリット注入法
・ スプリット比 1:100
6) 試料の導入量 1.0 µL
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料をマイクロシリンジ又は液体試料導入装置を用いてガスクロマトグラフに導入してクロマトグ
ラムを記録する。
2) クロマトグラムのピーク面積の測定は,JIS K 0114の11.3 a)(データ処理ソフト又はデータ処理装
置を用いる方法)による。
d) 定量法 検出したピークの面積を測定し,JIS K 0114の11.5(面積百分率法)によって純度(CH3I)
を求める。
6.3
水分
水分の試験方法は,JIS K 0068の6.3(容量滴定法)又は6.4(電量滴定法)による。容量滴定法の場合,
試料10 g(約4.4 mL)をはかりとり,滴定溶媒は,メタノールとする。電量滴定法の場合は,試料5 g(約
2.2 mL)をはかりとり,滴定溶媒は,装置指定の溶液とする。
なお,試料は安定剤を除いたものとする。
6.4
不揮発分
不揮発分の試験方法は,JIS K 0067の4.3.4(1)(第1法 水浴上で加熱蒸発する方法)による。この場
合,試料10 g(約4.4 mL)をはかりとり,残分は0.1 mgの桁まではかる。
なお,試料は安定剤を除いたものとする。
6.5
酸
酸の試験方法は,次による。
a) 試薬 主な試薬は,次による。
4
K 8919:2020
・ リトマス試験紙 JIS K 9071に規定するもの。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 容量50 mL,直径約24 mmで,目盛のあるもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料10 g(約4.4 mL)を共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水5 mLを
加え,30秒間振り混ぜ,直ちに上層(水相)を分取する。
なお,試料は安定剤を除いたものとする。
2) この水相の液を,ガラス棒などを用いて,リトマス試験紙(青)及びリトマス試験紙(赤)に付け,
それぞれのリトマス試験紙の色の変化を観察する。
d) 判定 リトマス試験紙(青)及びリトマス試験紙(赤)の色が変わらないとき,“酸:試験適合(規格
値)”とする。
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“ヨードメタン”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号
j)
安定剤の種類