K 8906:2011
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法 ························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(Na2MoO4・2H2O) ································································································ 3
6.3 水溶状 ························································································································· 5
6.4 硝酸−硝酸アンモニウム溶液溶状······················································································ 6
6.5 pH(50 g/l,25 ℃) ········································································································ 7
6.6 塩化物(Cl) ················································································································ 8
6.7 硝酸塩 ························································································································· 8
6.8 りん酸塩(PO4)及びけい酸塩(SiO2) ·············································································· 8
6.9 硫酸塩(SO4) ············································································································· 10
6.10 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe) ··················································································· 11
6.11 アンモニウム(NH4) ··································································································· 12
7 容器······························································································································ 15
8 表示······························································································································ 16
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これに
よって,JIS K 8906:1996は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成23年12月21日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJIS
マーク表示認証において,JIS K 8906:1996によることができる。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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モリブデン(VI)酸二ナトリウム二水和物(試薬)
Disodium molybdate (VI) dihydrate(Reagent)
Na2MoO4・2H2O FW:241.97
序文
この規格は,1964年に制定され,その後3回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1996年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるモリブデン(VI)酸二ナトリウム二水和物について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 6201 化学分析用白金るつぼ
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8092 インジゴカルミン(試薬)
JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8103 ジエチルエーテル(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
2
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JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8529 臭素(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8545 硝酸アンモニウム(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8736 エリオクロムブラックT(試薬)
JIS K 8780 ピロガロール(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8810 1-ブタノール(試薬)
JIS K 8847 ヘキサメチレンテトラミン(試薬)
JIS K 8885 二酸化けい素(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS K 9563 キシレノールオレンジ(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
モリブデン(VI)酸二ナトリウム二水和物は,無色から白色の結晶又は結晶性粉末で,水に溶けやすく,
エタノールにほとんど溶けない。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水20 mlを加えて溶かす(A液)。A液10 mlに硝酸(1+2)3 ml,りん酸水素二アンモニ
ウム溶液(130 g/l)1 mlを加えて加熱すると黄色の沈殿が生じる。冷却後,アンモニア水(2+3)5 ml
3
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を加えると,その沈殿は溶ける。
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線を先端から約30 mmまで塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120 mm,
内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に,内炎の最上部から約10 mmの位置に水
平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,A液に白金線の先
端約5 mmを浸し,ガスバーナーの無色炎中に入れると黄色が現れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(Na2MoO4・2H2O)
質量分率 %
99.0以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
硝酸−硝酸アンモニウム溶液溶状
試験適合
6.4
pH(50 g/l,25 ℃)
7.0〜10.0
6.5
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.005以下
6.6
硝酸塩
試験適合
6.7
りん酸塩(PO4)
質量分率 ppm
5以下
6.8
けい酸塩(SiO2)
質量分率 %
0.005以下
6.8
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.01以下
6.9
銅(Cu)
質量分率 %
0.001以下
6.10
鉛(Pb)
質量分率 %
0.001以下
6.10
鉄(Fe)
質量分率 %
0.002以下
6.10
アンモニウム(NH4)
質量分率 %
0.005以下
6.11
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(Na2MoO4・2H2O)
純度(Na2MoO4・2H2O)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アンモニア性塩化アンモニウム溶液 JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム7 gにJIS K 8085に
規定するアンモニア水(質量分率28.0〜30.0 %)57 ml及び水を加えて溶かし,水で100 mlにする。
ポリエチレン製瓶などに密栓して保存する。
2) エリオクロムブラックT希釈粉末 JIS K 8736に規定するエリオクロムブラックT 0.10 gにJIS K
8150に規定する塩化ナトリウム10 gを混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩酸(1+3) JIS K 8180に規定する塩酸の体積1と水の体積3とを混合する。
4) キシレノールオレンジ溶液 JIS K 9563に規定するキシレノールオレンジ0.10 gを水に溶かして
100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
5) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
6) 硝酸(1+10) 硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積10とを混合する。
4
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7) 硝酸(1+50) 硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積50とを混合する。
8) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gを水に溶かして
100 mlにする。ポリエチレン製瓶などに保存する。
9) 4-(2-ピリジルアゾ)レソルシノール溶液 4-(2-ピリジルアゾ)レソルシノール0.10 gにJIS K 8102
に規定するエタノール(95)を加えて100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
10) ヘキサメチレンテトラミン溶液(100 g/l) JIS K 8847に規定するヘキサメチレンテトラミン10 g
を水に溶かして100 mlにする。使用時に調製する。
11) 0.05 mol/l 亜鉛溶液(Zn:3.269 g/l) 0.05 mol/l 亜鉛溶液の調製及び計算は,次による。
11.1) 調製 調製は,認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の亜鉛を用い,次
のとおり行う。
11.1.1) 認証標準物質1) の亜鉛を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
11.1.2) 容量分析用標準物質の亜鉛を用いる場合は,必要量を塩酸(1+3),水,JIS K 8101に規定する
エタノール(99.5)及びJIS K 8103に規定するジエチルエーテルで順次洗った後,直ちに上口デ
シケーター(減圧デシケーター)に入れて,上口デシケーター内圧2.0 kPa以下で数分間保った
後,減圧下で約12時間乾燥する。
11.1.3) 認証標準物質1) 又は容量分析用標準物質の亜鉛の1.7 gを0.1 mgの桁まではかりとり,共通すり
合わせ冷却管が付けられる三角フラスコ300 mlに移し,水25 ml及び硝酸(1+2)25 mlを加え,
冷却管を付けて水浴上で加熱して溶かす。次に,穏やかに煮沸して窒素酸化物を除いた後,放冷
し,全量フラスコ500 mlに移し,溶かすのに使用した三角フラスコ及び冷却管を水洗し,洗液
を先の全量フラスコ500 mlに加え,更に水を標線まで加えて混合した後,気密容器に入れて保
存する。
注1) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際
単位系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,入手できない場合に
は,含有率が明らかな市販の標準物質も用いることができ,その説明書に従って使用
する。
なお,認証標準物質の供給者として,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総
合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証
標準物質生産者がある。
11.2) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
5
634
.1
A
m
f
×
=
ここに,
f: 0.05 mol/l 亜鉛溶液のファクター
m: はかりとった亜鉛の質量(g)
A: 亜鉛の純度(質量分率 %)
1.634 5: 0.05 mol/l 亜鉛溶液500 ml中の亜鉛の相当質量(g)
12) 0.05 mol/l エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.05 mol/l EDTA2Na溶液)
(C10H14O8N2Na2・2H2O:18.61 g/l) 0.05 mol/l エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液
の調製,標定及び計算は,次による。
12.1) 調製 JIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物18.6 gをはか
りとり,水1 000 mlを加えて溶かした後,ポリエチレン製瓶などの気密容器に入れて保存する。
5
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12.2) 標定 0.05 mol/l 亜鉛溶液25 mlをコニカルビーカー200 mlに正確にはかりとり,水75 mlを加え
て水酸化ナトリウム溶液(100 g/l)でpH 6〜8に調節する。アンモニア性塩化アンモニウム溶液
2 ml及び指示薬としてエリオクロムブラックT希釈粉末0.05 gを加え,12.1) で調製した液で滴
定する。終点は,液の色が赤から青に変わる点とする。
12.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
V
f
f
25
1
×
=
ここに,
f1: 0.05 mol/l EDTA2Na溶液のファクター
f: 0.05 mol/l 亜鉛溶液のファクター
V: 滴定に要した0.05 mol/l EDTA2Na溶液の体積(ml)
13) 0.05 mol/l 硝酸鉛(II)溶液[Pb(NO3)2:16.56 g/l] 0.05 mol/l 硝酸鉛(II)溶液の調製,標定及び
計算は,次による。
13.1) 調製 JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)17.0 gをはかりとり,硝酸(1+50)25 mlを加え,水
1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に入れて保存する。
13.2) 標定 13.1) で調製した溶液25 mlをコニカルビーカー200 mlに正確にはかりとり,ヘキサメチ
レンテトラミン溶液(100 g/l)10 mlを加えて,硝酸(1+10)を用いてpH 5.2〜5.4に調節する。
指示薬としてキシレノールオレンジ溶液数滴を加え,0.05 mol/l EDTA2Na溶液で滴定する。終点
は,液の色が赤紫から黄色に変わる点とする。
13.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
25
1
2
V
f
f
×
=
ここに,
f2: 0.05 mol/l 硝酸鉛(II)溶液のファクター
f1: 0.05 mol/l EDTA2Na溶液のファクター
V: 滴定に要した0.05 mol/l EDTA2Na溶液の体積(ml)
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料0.4 gを0.1 mgの桁まではかりとり,水50 mlを加えて溶かし,硝酸(1+10)でpH 4に調節
する。次に,ヘキサメチレンテトラミン溶液(100 g/l)をpH 5〜6になるまで加え,50〜70 ℃に加熱
し,0.05 mol/l 硝酸鉛(II)溶液で滴定する。指示薬として4-(2-ピリジルアゾ)レソルシノール溶液
を用い,終点は,液の色が黄色から黄みの赤に変わる点とする。
c) 計算 純度(Na2MoO4・2H2O)は,次の式によって算出する。
100
099
012
.0
2×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: モリブデン(VI)酸二ナトリウム二水和物の純度
(Na2MoO4・2H2O)(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.05 mol/l 硝酸鉛(II)溶液の体積(ml)
f2: 0.05 mol/l 硝酸鉛(II)溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.012 099: 0.05 mol/l 硝酸鉛(II)溶液1 mlに相当するモリブデン
(VI)酸二ナトリウム二水和物の質量(g)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
6
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a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.2 a) 5) による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要
な場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市
販の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外
の認証標準液など”という。)。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“ほとんど澄明”)は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.5 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 ml,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにする。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又
は側方から観察する。
e) 判定 d) によって操作し,次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
硝酸−硝酸アンモニウム溶液溶状
硝酸−硝酸アンモニウム溶液溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸 JIS K 8541に規定する質量分率60〜61 %のもの。
2) 硝酸アンモニウム溶液 JIS K 8545に規定する硝酸アンモニウム12 gを水に溶かして15 mlにする。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“澄明”)は,次による。
調製は,6.3 b) による。ただし,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを用いる。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
7
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2) ろ紙(5種C) JIS P 3801に規定するもの(必要な場合に用いる)。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,粉末にした試料5.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし
25 mlにする(B液)(必要ならばろ過をする。)。
2) 硝酸5 mlにかき混ぜながらB液7.5 mlを徐々に加え,さらに,その溶液をかき混ぜながら硝酸アン
モニウム溶液7.5 mlを加えた後,18時間放置する。
3) 黒の背景を用いて,試料溶液から得られた液の濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物
などの異物の有無を上方又は側方から観察する。
e) 判定 d) によって操作し,次の1) 及び2) に適合するとき,“硝酸−硝酸アンモニウム溶液溶状:試
験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.5
pH(50 g/l,25 ℃)
pH(50 g/l,25 ℃)の試験方法は,次による。
a) 試薬,ガス及び試験用溶液類 試薬,ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
2) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
3) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml
にする(必要な場合に用いる。)。溶液は,ポリエチレン製瓶などに保存する。
4) 二酸化炭素を除いた水 次の4.1)〜4.4)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
4.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却
したもの。
4.2) 水をフラスコに入れ,水の中に窒素を15分間以上通じたもの。
4.3) 水から二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて二酸化炭素を除いたもの。
4.4) 新鮮な18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立
てないように採取したもの。
5) pH標準液 pH標準液は,JCSSに基づくpH標準液(第2種以上のもの。),JCSS以外の認証され
たpH標準液又はJIS Z 8802に規定する調製pH標準液のいずれかを用いる。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) 恒温水槽 25±0.5 ℃に調節できるもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,二酸化炭素を除いた水を加えて溶か
し,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカーにとる。
2) pHの測定は,JIS Z 8802の7.2(測定方法)による。この場合,液温25±0.5 ℃の恒温水槽につ(浸)
けた試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。
8
K 8906:2011
6.6
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.2 a) 5) による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 2) による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 6.3 a) 3.2) による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)5.0 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水
で20 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸(1+2)5 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加えて振り混ぜた後,
15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側方から観察して濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率0.005 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.7
硝酸塩
硝酸塩の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
2) インジゴカルミン溶液(1.8 g/l) JIS K 8092に規定するインジゴカルミン0.18 g(質量分率100 %
としての相当量)に塩酸(2+1)15 ml及び水を加えて溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製
瓶に保存し,30日以内に使用する。
3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし10 mlにする。
2) 試料溶液にインジゴカルミン溶液(1.8 g/l)0.05 mlを加える。これに硫酸10 mlを振り混ぜながら
徐々に加え,5分間放置する。
3) 白の背景を用いて,試料溶液から得られた液の色を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から
観察する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硝酸塩:試験適合”とする。
試料溶液の色は,青を保つ。
6.8
りん酸塩(PO4)及びけい酸塩(SiO2)
りん酸塩(PO4)及びけい酸塩(SiO2)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
9
K 8906:2011
1) 塩酸 JIS K 8180に規定するもの。
2) ジエチルエーテル JIS K 8103に規定するもの。
3) 1-ブタノール JIS K 8810に規定するもの。
4) 塩化すず(II)溶液 JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物0.2 gに塩酸10 mlを加えて溶
かす。使用時に調製する。
5) 塩酸(1+9) 塩酸の体積1と水の体積9とを混合する。
6) 臭素水(飽和) JIS K 8529に規定する臭素3〜4 mlに水を加えて100 mlにする。激しく振り混ぜ,
放置した後,上澄み液を用いる。褐色ガラス製瓶に保存する。
注記 臭素水(飽和)の濃度は,25 ℃で質量分率約3.5 %,20 ℃で質量分率約3.6 %である。
警告 臭素及び臭素水は,臭素ガスを発生するので局所排気施設で調製する。また,臭素ガスは,
毒性が強いので吸入をしないように注意する。
7) りん酸塩標準液及びけい酸塩標準液
7.1) りん酸塩標準液(PO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
7.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
7.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
7.1.3) JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム1.43 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。
7.2) けい酸塩標準液(SiO2:1 mg/ml) JIS K 8885に規定する二酸化けい素0.100 g(900〜1 000 ℃
で強熱後)にJIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム1 gを加え,JIS H 6201に規定する白金るつ
ぼ中で加熱融解する。冷却後,水を加えて溶かした後,全量フラスコ100 mlに移し,水を標線ま
で加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
7.3) りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/ml)及びけい酸塩標準液(SiO2:0.01 mg/ml)
7.3.1) りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/ml) りん酸塩標準液(PO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
7.3.2) けい酸塩標準液(SiO2:0.01 mg/ml) けい酸塩標準液(SiO2:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
2) 分液漏斗200 ml JIS R 3503に規定するもの。
3) pH計 6.5 b) 2) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) りん酸塩(PO4)
1.1) 試料溶液の調製は,試料2.5 gをポリエチレン製ビーカー200 mlにとり,水70 mを加えて溶かす。
この溶液を,塩酸(1+9)でpH 4〜5に調節する。
1.2) 比較溶液の調製は,試料0.5 gをポリエチレン製ビーカー200 mlにとり,りん酸塩標準液(PO4:
0.01 mg/ml)1 ml,けい酸塩標準液(SiO2:0.01 mg/ml)10 ml及び水60 mlを加えて溶かす。これ
を,塩酸(1+9)でpH 4〜5に調節する。
1.3) 試料溶液及び比較溶液に,臭素水(飽和)2 mlを加え,pH計を用いて塩酸(1+9)でpH 1.7〜1.9
に調節した後,ビーカー200 mlに移す。沸騰し始めるまで加熱した後,約20 ℃に冷却し,水で
90 mlにする。それぞれを分液漏斗200 mlに移し,塩酸10 ml及びジエチルエーテル20 mlを加え,
10
K 8906:2011
3分間激しく振り混ぜた後,放置する。ただし,各溶液の下層(水相)は分離して保存し,2) の
試験に用いる。ジエチルエーテル相に塩酸(1+9)10 mlを加えジエチルエーテル相を洗浄する。
この洗浄操作を4回行う。各溶液のジエチルエーテル相に塩化すず(II)溶液0.2 mlを加え,30
秒間激しく振り混ぜた後,放置する。それぞれのジエチルエーテル相を共通すり合わせ平底試験
管に移す。
1.4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたジエチルエーテル相を共通すり合わせ平
底試験管の上方又は側方から観察して青を比較する。
2) けい酸塩(SiO2)
2.1) 1.3) で保存した試料溶液及び比較溶液から得られた水相を水で100 mlにし,分液漏斗200 mlに移
す。これらに,塩酸10 ml及び1-ブタノール50 mlを加え,5分間激しく振り混ぜた後,放置する。
下層(水相)は捨てる。次に,1-ブタノール相に塩酸(1+9)10 mlを加え1-ブタノール相を洗浄
する。この洗浄操作を4回行う。各溶液から得られた1-ブタノール相に塩化すず(II)溶液0.5 ml
を加え,30秒間激しく振り混ぜた後,放置する。それぞれの1-ブタノール相を共通すり合わせ平
底試験管に移す。
2.2) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られた1-ブタノール相を共通すり合わせ平底試
験管の上方又は側方から観察して青を比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“りん酸塩(PO4):質量分率5 ppm以下(規格値),け
い酸塩(SiO2):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の青より濃くない。
6.9
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 硝酸 6.4 a) 1) による。
3) 塩化バリウム溶液(100 g/l) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして
100 mlにする。
4) 塩酸(1+3) 6.2 a) 3) による。
5) 硫酸塩標準液
5.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
5.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.81 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
5.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
2) ろ紙(5種C) 6.4) c) 2) による。
3) 蒸発皿 JIS R 3503に規定するもの。
4) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
11
K 8906:2011
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを蒸発皿にとり,水5 mlを加え,加熱して溶かす。硝酸5 mlを加え,
水浴上で加熱して蒸発乾固する。これに,塩酸(1+3)1 ml及び水10 mlを加えてよくかき混ぜた
後,水で50 mlにする。ろ紙(5種C)を用いてろ過し,ろ液25 ml(試料量0.5 g)を共通すり合わ
せ平底試験管にとる。
2) 比較溶液の調製は,硝酸2.5 mlを蒸発皿にとり,水浴上で加熱して蒸発乾固する。これに,塩酸(1
+3)0.5 mlを加え,水で共通すり合わせ平底試験管に移し,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml)5.0 ml
を加えて水で25 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 ml及び塩化バリウム溶液(100 g/l)2 mlを加えて振
り混ぜた後,1時間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側面から観察して濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.01 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.10 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.7 a) 3) による。
2) 硝酸(1+2) 6.2 a) 5) による。
3) 銅標準液,鉛標準液及び鉄標準液
3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれ
かのものを用いる。
3.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
3.1.3) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml)を調製する
場合
3.1.3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml) JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物3.93 gを全量フラスコ
1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 mlを加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
3.1.3.2) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 ml
にとり,硝酸(1+2)25 mlを加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
3.1.3.3) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全
量フラスコ1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 mlを加えて溶かし,水を標線まで加えて混合す
る。褐色ガラス製瓶に保存する。
3.2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml),鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 次
のものを用いる。
3.2.1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml) 銅標準液(Cu:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確
にはかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
3.2.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
12
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3.2.3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に
保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種及び測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
銅
Cu
324.8
鉛
Pb
283.3
鉄
Fe
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料10 gを全量フラスコ100 mlにとり,塩酸(2+1)14 ml及び水を加えて溶
かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料10 gを全量フラスコ100 mlにとり,塩酸(2+1)14 ml,銅標準液(Cu:
0.01 mg/ml)10 ml,鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)10 ml及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)20 mlを加え
て溶かし,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を
測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1と,Y液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率0.001 %以下(規格値),鉛(Pb):
質量分率0.001 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.002 %以下(規格値)”とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.11 アンモニウム(NH4)
アンモニウム(NH4)試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mlに溶かす。これ
にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,
水で100 mlにする。
13
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2) 酢酸(1+1) JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
3) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質
量分率5〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でうす
める。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
3.1) 有効塩素の定量方法 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質量分率5〜12 %)10 gを0.1 mgの
桁まではかりとり,全量フラスコ200 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mlを共
通すり合わせ三角フラスコ300 mlに正確にはかりとり,水100 ml,JIS K 8913に規定するよう化
カリウム2 g及び酢酸(1+1)6 mlを加えて栓をして振り混ぜる。約5分間暗所に放置後,指示薬
としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん
溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mlを加える。終点は,液の青が消え
る点とする。
別に,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
(
)
100
200
/
20
3
545
003
.0
2
1
×
×
×
×
−
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質量分率5〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質量
分率5〜12 %)の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するCl
の質量(g)
4) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして
100 mlにする。ポリエチレン製瓶などに保存する。
5) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mlを加えてかき混ぜながら熱
水200 ml中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に
使用する。
6) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)18 mlをビーカー200 mlにとる。冷
水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K 8034
に規定するアセトン4 mlを加え,水で100 mlにする。使用時に調製する。
7) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8780に規定するピロガロール10 gを水酸化ナトリウ
ム溶液(300 g/l)80 mlに溶かし,更に水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)を加えて全量を100 mlにす
る(必要な場合に用いる。)。この溶液は使用時に調製する。
8) 溶存酸素を除いた水 次の8.1)〜8.5)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用い,
使用時に調製する。
8.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロー
ル・水酸化ナトリウム溶液を入れたものを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。
8.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
14
K 8906:2011
8.3) 水から酸素分離膜をもつガス分離管を用いて溶存酸素を除いたもの。
8.4) 水を超音波振動装置で十分に脱気を行ったもの。
8.5) 新鮮な18 MΩ・cm以上の抵抗率のある脱イオン化された水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立
てないように採取したもの。
注記 脱イオン化された水を用いる場合,脱イオン装置によっては酸素を含む場合があるので,
溶存酸素が除かれていることを確認する。
9) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加える。
10) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/l) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶
液の調製,標定及び計算は,次による。
10.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ
トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に入れ
て保存する。調製後2日間放置したものを用いる。
10.2) 標定 標定は,認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウ
ムを用い,次のとおり行う。
10.2.1) 認証標準物質1) のよう素酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
10.2.2) 容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いて,
130 ℃で約2時間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。
10.2.3) 認証標準物質1) 又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.9〜1.1 gを全量フラスコ250 mlに
0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。その25 mlを共
通すり合わせ三角フラスコ200 mlに正確にはかりとり,水100 mlを加える。次に,JIS K 8913
に規定するよう化カリウム2 g及び硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜ
て,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,10.1) で調製した液で滴定する。
この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mlを加える。終
点は,液の青が消える点とする。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに水125 ml及びよう化カリウム2 gをはかりとり,
硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置し,同一条件
で空試験を行って滴定量を補正する。
10.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
(
)100
7
566
003
.0
250
/
25
2
1
A
V
V
m
f
×
−
×
×
=
ここに,
f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(ml)
0.003 566 7: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するよ
う素酸カリウムの質量(g)
15
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11) アンモニウム標準液
11.1) アンモニウム標準液(NH4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
11.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
11.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
11.1.3) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム2.97 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶
かし,水を標線まで加えて混合する。
11.2) アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/ml) アンモニウム標準液(NH4:1 mg/ml)10 mlを全量フ
ラスコ1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
3) 恒温水槽 20〜25 ℃に調節できるもの。
4) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.30 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし,水で10 ml
にする。
2) 比較溶液の調製は,アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/ml)1.5 mlを共通すり合わせ平底試験管に
とり,水を加えて10 mlにする。
3) 空試験溶液は,共通すり合わせ平底試験管に水10 mlをとる。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,EDTA2Na溶液(インドフェノール青法用)1 ml及びナト
リウムフェノキシド溶液4 mlを加えてよく振り混ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効
塩素質量分率約1 %)2.5 mlを加え,更に水を加えて25 mlにし,20〜25 ℃の恒温水槽で15分間放
置する。
5) 試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液は,空試験溶液から得られた液を対照液とし,吸
収セルを用いて,分光光度計で波長630 nm付近で吸光度が最大となる波長で吸光度をJIS K 0115
の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定して比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“アンモニウム(NH4):質量分率0.005 %以下(規格
値)”とする。
試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
注記 アンモニウムの含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
2
1
×
×
×
=m
n
n
B
A
ここに,
A: アンモニウムの含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中のアンモニウムの質量(mg)
n1: 試料溶液の吸光度
n2: 比較溶液の吸光度
m: はかりとった試料の質量(g)
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容器
容器は,気密容器とする。
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表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本産業規格番号
b) 名称 “モリブデン(VI)酸二ナトリウム二水和物”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号