K 8897:2012
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類 ······························································································································ 2
4 性質 ······························································································································ 2
4.1 性状 ····························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································· 2
5 品質 ······························································································································ 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································· 3
6.2 純度(C16H18N3SCl)(乾燥物換算) ···················································································· 3
6.3 水不溶分 ······················································································································· 4
6.4 乾燥減量(105 ℃) ········································································································ 5
6.5 強熱残分(硫酸塩) ········································································································ 5
6.6 銅(Cu),亜鉛(Zn)及び鉄(Fe) ··················································································· 5
6.7 ひ素(As) ···················································································································· 7
7 容器 ······························································································································ 9
8 表示 ······························································································································ 9
K 8897:2012
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ
きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8897:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成24年12月20日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJIS
マーク表示認証において,JIS K 8897:1992によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格
JIS
K 8897:2012
メチレンブルー(試薬)
Methylene blue (Reagent)
C16H18N3SCl・3H2O FW:373.90
序文
この規格は,1953年に制定され,その後5回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるメチレンブルーについて規定する。この場合,メチレンブルーはメチレ
ンブルー三水和物1) を示す。
注1) 化学名:3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジニウムクロリド三水和物
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8012 亜鉛(試薬)
JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
2
K 8897:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 8567 硝酸マグネシウム六水和物(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8580 すず(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8953 硫酸亜鉛七水和物(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 9512 N, N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 1301 化学分析用磁器るつぼ
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
メチレンブルーは,光沢のある暗い緑の結晶又は結晶性粉末で,エタノールにやや溶けやすく,水に溶
けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。水溶液の吸収極大の波長は,664 nmにある。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数1 600 cm-1,1 491 cm-1,1 398 cm-1,
1 356 cm-1,1 251 cm-1,888 cm-1及び670 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。試料調製をJIS K 0117の
5.3(粉体)のa)(錠剤法)によって行い,錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトル
の例を図1に示す。
3
K 8897:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1−赤外吸収スペクトルの例
注記 図1は,独立行政法人産業技術総合研究所のSDBSから引用したものである。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C16H18N3SCl)(乾燥物換算) 質量分率 %
98.5 以上
6.2
水不溶分
質量分率 %
0.2 以下
6.3
乾燥減量(105 ℃)
質量分率 %
14.0〜16.0
6.4
強熱残分(硫酸塩)
質量分率 %
0.5 以下
6.5
銅(Cu)
質量分率 %
0.05 以下
6.6
亜鉛(Zn)
質量分率 %
0.01 以下
6.6
ひ素(As)
質量分率 ppm
2 以下
6.7
鉄(Fe)
質量分率 %
0.02 以下
6.6
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(C16H18N3SCl)(乾燥物換算)
純度(C16H18N3SCl)(乾燥物換算)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 過塩素酸カリウム溶液(飽和) 過塩素酸カリウム溶液(純度:質量分率99.5 %以上)2.72 gを水
に溶かして100 mlにする。
2) 洗浄液 洗浄液の調製は,次による。
2.1) 過塩素酸カリウム溶液(1 g/l) 過塩素酸カリウム(純度:質量分率99.5 %以上)0.5 gを水に溶
かして500 mlにする。
4
K 8897:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2.2) 試料溶液(10 g/l) 試料1 gを水に溶かして,水で100 mlとする。
2.3) 調製
試料溶液(10 g/l)を振り混ぜながら過塩素酸カリウム溶液(1 g/l)500 mlに沈殿が生じる
まで加え,一夜放置する。その上澄み液をJIS P 3801に規定するろ紙(5種C)を用いてろ過する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) るつぼ形ガラスろ過器 JIS R 3503に規定するるつぼ形ガラスろ過器1G4のもの[あらかじめ酸な
どに浸せき(漬)し,付着物を洗浄除去する。]。
2) 吸引ろ過装置 物質を溶液から分離するためにガラスろ過器と吸引瓶を組み合わせた装置。
3) シリカゲルデシケーター 乾燥剤としてJIS Z 0701に規定するシリカゲル(A形1種)を入れた物
質を乾燥する容器。
4) 電気定温乾燥器 (105±2)℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料0.1gをビーカー200 mlなどに0.1 mgの桁まではかりとり(m g),水70 mlを加え加熱して溶か
す。
2) 放冷後,過塩素酸カリウム溶液(飽和)30 mlを加え,ときどきかき混ぜながら13〜15 ℃に冷却し,
10分間放置する。
3) 105 ℃で1時間乾燥してあらかじめ恒量にし,質量を0.1 mgの桁まではかったるつぼ形ガラスろ過
器(W1 g)で試料溶液を吸引ろ過し,洗浄液20 mlでるつぼ形ガラスろ過器を3回洗浄ろ過する。
4) 残分を含むるつぼ形ガラスろ過器を105 ℃で1時間乾燥し,シリカゲルデシケーター中で放冷し,
その質量を0.1 mgの桁まではかる(W2 g)。
d) 計算 計算は,次の式による。
(
)
100
100
100
3
833
.0
1
2
×
−
×
×
−
=
a
m
W
W
A
ここに,
A: 純度(C16H18N3SCl)(乾燥物換算)(質量分率 %)
m: はかりとった試料の質量(g)
W1: るつぼ形ガラスろ過器の質量(g)
W2: 残分を含むるつぼ形ガラスろ過器の質量(g)
a: 6.4の試験で得られた乾燥減量(質量分率 %)
0.833 3: 係数(=C16H18N3SClのFW/C16H18N3SClO4のFW)
6.3
水不溶分
水不溶分の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 磁製乳鉢 固体を粉砕するために乳棒とともに用いる磁製の鉢(必要な場合に用いる。)。
2) るつぼ形ガラスろ過器 JIS R 3503に規定するるつぼ形ガラスろ過器1G3のもの。
3) 吸引ろ過装置 6.2 b) 2)による。
4) 電気定温乾燥器 6.2 b) 4)による。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gをビーカー500 mlなどに正確にはかりとり(m g),水200 mlを加え
て加熱して溶かし,放冷する。
なお,試料が塊状で溶けにくいものは,磁製乳鉢で粉砕して用いる。
2) るつぼ形ガラスろ過器は,(105±2)℃の電気定温乾燥器で恒量にし,放冷後その質量を0.1 mgの
5
K 8897:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
桁まではかる(W1 g)。
3) 試料溶液をるつぼ形ガラスろ過器を用いて吸引ろ過装置でろ過し,るつぼ形ガラスろ過器を水で洗
液が無色になるまで洗浄する。
4) 残分を含むるつぼ形ガラスろ過器を(105±2)℃の電気定温乾燥器で1時間乾燥し,その質量を0.1
mgの桁まではかる(W2 g)。
c) 計算 計算は,次の式による。
100
1
2
×
−
=
m
W
W
A
ここに,
A: 水不溶分(質量分率 %)
m: はかりとった試料の質量(g)
W1: るつぼ形ガラスろ過器の質量(g)
W2: 残分を含むるつぼ形ガラスろ過器の質量(g)
6.4
乾燥減量(105 ℃)
乾燥減量(105 ℃)は,JIS K 0067の4.1.4(1)(第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法)による。た
だし,この場合,試料1 gを0.1 mgの桁まではかりとり,105 ℃で4時間乾燥する[乾燥減量の分析値
は6.2 d)の計算に用いる。]。
6.5
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)は,JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。ただ
し,この場合,試料1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとる。また,JIS K 8951に規定する硫酸0.5 mlを用
い,強熱温度は(600±50)℃とする。
6.6
銅(Cu),亜鉛(Zn)及び鉄(Fe)
銅(Cu),亜鉛(Zn)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
2) 銅標準液,亜鉛標準液及び鉄標準液
2.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),亜鉛標準液(Zn:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいず
れかのものを用いる。
2.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
2.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液が入手できない場合
は,市販の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS
以外の認証標準液など”という。)。
2.1.3) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),亜鉛標準液(Zn:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml)を調製する
場合は,次による。
2.1.3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml) JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物3.93 gを全量フラス
コ1 000 mlにはかりとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混
合する。
6
K 8897:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2.1.3.2) 亜鉛標準液(Zn:1 mg/ml) JIS K 8953に規定する硫酸亜鉛七水和物4.40 gを全量フラスコ
1 000 mlにはかりとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合す
る。
2.1.3.3) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全
量フラスコ1 000 mlにはかりとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで
加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
2.2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml),亜鉛標準液(Zn:0.01 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 次
のものを用いる。
2.2.1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml) 銅標準液(Cu:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確
にはかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,水を標線まで加えて混合する。
2.2.2) 亜鉛標準液(Zn:0.01 mg/ml) 亜鉛標準液(Zn:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに
正確にはかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,水を標線まで加えて混合する。
2.2.3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存
する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を,表2に示す。
表2−分析種及び測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
銅
Cu
324.8
亜鉛
Zn
213.9
鉄
Fe
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.20 gをビーカー200 mlなどにはかりとり,硝酸(1+2)1 ml及び水80 ml
を加えて加熱して溶かし,放冷する。試料溶液を全量フラスコ100 mlに移し入れ,ビーカー200 ml
などを少量の水で洗浄し,洗液も全量フラスコ100 mlに入れ,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料0.20 gをビーカー200 mlなどにはかりとり,硝酸(1+2)1 ml,銅標準液
(Cu:0.01 mg/ml)10 ml,亜鉛標準液(Zn:0.01 mg/ml)2.0 ml,鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)4.0 ml
及び水60 mlを加えて,加熱して溶かし,放冷する。比較溶液を全量フラスコ100 mlに移し入れ,
ビーカー200 mlなどを少量の水で洗浄し,洗液も全量フラスコ100 mlに入れ,水を標線まで加えて
混合する(Y液)。
3) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ100 mlに硝酸(1+2)1 mlを加え,水を標線まで加えて混合す
る(Z液)。
4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸
光度を測定し,X液の指示値(n1),Y液の指示値(n2)及びZ液の指示値(n3)を読み取る。
7
K 8897:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3と,Y液の指示値からX液の指示値を
引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率0.05 %以下(規格値),亜鉛(Zn):
質量分率0.01 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.02 %以下(規格値)”とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
1
2
3
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.7
ひ素(As)
ひ素(As)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150〜1 400 μmのもの。
2) 硝酸 JIS K 8541に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
3) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
4) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法
用)]
JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180に規定する塩酸(ひ素
分析用)に溶かし,塩酸(ひ素分析用)で100 mlにする。小粒のJIS K 8580に規定する粒状のす
ず2〜3個を加えて保存し,使用時に水で10倍にうすめる。褐色ガラス製瓶に保存する。
5) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) 塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを混合する。
6) 塩酸(ひ素分析用)(1+3) 塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積3とを混合する(必要な場合
に用いる。)。
7) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/l) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gを水に溶かして100
mlにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mlを加える。
8) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液)
JIS K 9512に
規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをピリジンに溶かし,ピリジンで100 mlにする。
褐色ガラス製瓶に保存する。
9) 硝酸マグネシウム・エタノール溶液 JIS K 8567に規定する硝酸マグネシウム六水和物17 gをJIS
K 8102に規定するエタノール(95)に溶かして,エタノール(95)で100 mlにする。
10) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gを水に溶かし
て100 mlにする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
11) よう化カリウム溶液(200 g/l) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gを水に溶かして100 ml
にする。使用時に調製する。
12) ひ素標準液
12.1) ひ素標準液(As:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
12.1.1) JCSSに基づく標準液 6.6 a) 2.1.1)に準じる。
12.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.6 a) 2.1.2)に準じる。
8
K 8897:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
12.1.3) JIS K 8044に規定する三酸化二ひ素1.32 gに水酸化ナトリウム溶液(100 g/l)6 mlを加えて溶
かし,水500 mlを加える。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した後,水で全量フ
ラスコ1 000 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。
12.2) ひ素標準液(As:0.001 mg/ml) ひ素標準液(As:1 mg/ml)25 mlを全量フラスコ250 mlに正
確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。その10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確には
かりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) るつぼ JIS R 1301に規定するもの。
2) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの(必
要な場合に用いる。)。
3) ひ素試験装置 例を図2に示す。
4) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
5) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gをるつぼにはかりとり,硝酸マグネシウム・エタノール溶液10 ml
を加え,点火して燃焼させ,加熱して炭化した後,徐々に加熱して強熱灰化し,放冷する。
なお,炭化物が残る場合は,少量の硝酸を加えて潤し,再び加熱灰化する。さらに,るつぼに塩
酸(ひ素分析用)(1+1)10 ml及び水5 mlを加え水浴上で加熱して溶かし,水素化ひ素発生瓶100
mlに移し入れ,少量の水でるつぼを洗浄し,洗液と合わせて水で40 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,るつぼに硝酸マグネシウム・エタノール溶液10 mlを加え,点火して燃焼させ,
加熱して炭化した後,徐々に加熱して強熱灰化し,放冷する。塩酸(ひ素分析用)(1+1)10 ml及
び水5 mlを加え水浴上で加熱して溶かし,水素化ひ素発生瓶100 mlに移し入れ,ひ素標準液(As:
0.001 mg/ml)2.0 mlを加え,少量の水でるつぼを洗浄し,洗液と合わせて水で40 mlにする。
3) 空試験溶液の調製は,るつぼに硝酸マグネシウム・エタノール溶液10 mlを加え,点火して燃焼さ
せ,加熱して炭化した後,徐々に加熱して強熱灰化し,放冷する。塩酸(ひ素分析用)(1+1)10 ml
及び水5 mlを加え水浴上で加熱して溶かし,水素化ひ素発生瓶100 mlに移し入れ,少量の水でる
つぼを洗浄し,洗液と合わせて水で40 mlにする(吸光度を測定する場合に調製する。)。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,よう化カリウム溶液(200 g/l)15 ml及び塩化すず(II)溶
液(AgDDTC法用)5 mlを加えて振り混ぜ,10分間放置する。次に亜鉛(ひ素分析用)(粒径150
〜1 400 μmのもの)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発生瓶100 mlと導管B(あらかじめ水素化ひ素
吸収管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mlを入れ,導管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)
とを連結して約25 ℃の水中で約1時間放置した後,水素化ひ素吸収管Cを離しピリジンを5 mlの
標線まで加える。
5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を水素化ひ素吸収管Cの上方
又は側面から観察して赤を比較する。
なお,必要があれば,吸収セルを用い,分光光度計で波長510 nm付近の吸収極大の波長における
吸光度を,空試験溶液からのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液として,JIS K 0115の6.(特定波長
における吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“ひ素(As):質量分率2 ppm以下(規格値)”
とする。
9
K 8897:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。
2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
単位 mm
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
水素化ひ素発生瓶100 ml
導管
水素化ひ素吸収管
ゴム栓又はすり合わせ
酢酸鉛(II)溶液(100 g/l)で
湿したガラスウール
40 mlの標線
5 mlの標線
図2−ひ素試験装置の例
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “メチレンブルー”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号