K 8891:2006
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出
があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8891:1996は改正され,この規格に置き換えられる。
改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 6353-2:1983,Reagents for chemical
analysis―Part 2: Specifications―First seriesを基礎として用いた。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会
は,このような技術的な性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用
新案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。
JIS K 8891には,次に示す附属書がある。
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
K 8891:2006
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 一般事項 ························································································································ 1
4. 種類 ······························································································································ 1
5. 性質 ······························································································································ 1
5.1 性状 ···························································································································· 2
5.2 定性方法 ······················································································································ 2
6. 品質 ······························································································································ 2
7. 試験方法 ························································································································ 3
7.1 試験条件及び試験結果 ···································································································· 3
7.2 純度 (CH3OH)(GC) ········································································································ 3
7.3 水溶状 ························································································································· 3
7.4 密度(20 ℃) ··············································································································· 3
7.5 屈折率n 2D0 ···················································································································· 3
7.6 水分 ···························································································································· 3
7.7 不揮発物 ······················································································································ 3
7.8 酸(HCOOHとして) ···································································································· 3
7.9 塩基(NH3として) ······································································································· 3
7.10 カルボニル化合物(COとして) ····················································································· 3
7.11 エタノール(GC) ········································································································ 4
7.12 硫酸着色物質 ··············································································································· 4
7.13 過マンガン酸還元性物質 ································································································ 4
8. 容器 ······························································································································ 4
9. 表示 ······························································································································ 4
10. 取扱い上の注意事項 ······································································································· 4
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ····································································· 5
日本産業規格 JIS
K 8891:2006
メタノール(試薬)
Methanol
CH3OH FW : 32.04
序文 この規格は,1983年に第1版として発行されたISO 6353-2,Reagents for chemical analysis―Part-2:
Specifications―First seriesを翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格の内容を変更している事項であ
る。変更の一覧表をその説明を付けて,附属書に示す。
1. 適用範囲 この規格は,試薬として用いるメタノールについて規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 6353-2:1983,Reagents for chemical analysis―Part 2: Specifications―First series (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0061 化学製品の密度及び比重測定方法
JIS K 0062 化学製品の屈折率測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0114 ガスクロマトグラフ分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
3. 一般事項 試験方法の一般的な事項は,JIS K 8001による。
4. 種類 種類は,特級とする。
5. 性質
2
K 8891:2006
5.1
性状 メタノールは,無色透明,揮発性の液体で,特異のにおいがあり,水,エタノール及びジエ
チルエーテルに極めて溶けやすい。沸点は約64 ℃である。
5.2
定性方法 試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数2 945 cm-1,2 830 cm-1,
1 450 cm-1,1 032 cm-1及び663 cm-1付近に主な吸収を認める。この場合,試料調製はJIS K 0117の5.4(液
体)a)(液膜法)による。窓板に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの一例を,図1に示す
図 1 赤外吸収スペクトルの一例
6. 品質 品質は,7. によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1 品質
項目
規格値
純度(CH3OH)(GC)
水溶状
密度(20 ℃)
質量分率 %
g/ml
99.8 以上
試験適合
0.791〜0.793
屈折率n2D0
1.327〜1.330
水分
不揮発物
酸(HCOOHとして)
塩基(NH3として)
カルボニル化合物(COとして)
エタノール(GC)
硫酸着色物質
過マンガン酸還元性物質(Oとして)
質量分率 %
質量分率 ppm
質量分率 %
質量分率 ppm
質量分率 %
質量分率 %
質量分率 ppm
0.1 以下
5 以下
0.002 以下
3 以下
0.005 以下
0.05 以下
試験適合
5 以下
3
K 8891:2006
7. 試験方法
7.1
試験条件及び試験結果 JIS K 8001の3.7(試験操作など)(1)(試験の環境)による。湿度管理は必
要に応じ実施するものとする。また,表1に規定する各品質項目の試験は,次の各試験方法によって行い,
得られる計算値及び操作結果は,JIS K 8001の3.5(測定値)による。
7.2
純度 (CH3OH)(GC) 一般的な事項は,JIS K 0114によるほか,次による。ここで,7.11の試験も同
時に行う。
a) 分析条件 一例を,次に示すが,これと同等の性能の条件でもよい。
検出器の種類:水素炎イオン化検出器
固定相液体名:メチルシリコーン
固定相液体の膜厚:0.50 μm
カラム用キャピラリーの材質,内径及び長さ:石英ガラス,0.53 mm,30 m
温度設定:カラム槽:40 ℃で5分間保持した後,毎分5 ℃の割合で170 ℃まで昇温して,2分間保
持する。
検出器槽:200 ℃
試料気化室:180 ℃
キャリヤーガスの種類及び流量:ヘリウム,5 ml/min
試料量及び試料導入方法:0.2 μl,直接注入法
b) 定量方法 JIS K 0114の11.3 b) (データ処理装置を用いる方法)によって,各成分のピーク面積を測
定し,JIS K 0114の11.5(面積百分率)によって純度を算出する。
7.3
水溶状 JIS K 8001の5.2(溶状)による。この場合,試料は10 mlに水を加えて20 mlにし,30分
間放置し,濁りの程度の適合限度標準は(a)(澄明)を用いる。
7.4
密度(20 ℃) JIS K 0061の7.2(比重瓶法)又は7.3(振動式密度計法)による。
7.5
屈折率n2D0 JIS K 0062による。
7.6
水分 JIS K 0068の6.(カールフィッシャー滴定法)6.3.5 a)(直接滴定)による。この場合,試料
20 gをとり,滴定溶媒はこの規格に規定するメタノールとする。
7.7
不揮発物 JIS K 0067の4.3.4(1)(第1法 水浴上で加熱蒸発する方法)による。試料200 gを用い
る。
7.8 酸(HCOOHとして) 7.9による。
7.9 塩基(NH3として) JIS K 8001の5.6(酸,塩基)(1)(水溶性有機溶媒の場合)による。この場合,
a mlは25 ml,b mlは25 ml,c gは40 g,V1 mlは0.35 ml,V2 mlは0.15 mlとする。
参考 V1(0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液)1 mlは,0.002 301 3 g HCOOHに相当する。
V2(0.05 mol/l 塩酸)1 mlは,0.000 851 5 g NH3に相当する。
7.10 カルボニル化合物(COとして) 溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料2.0 gにアルデヒド及びケトン試験用のエタノールを加えて20 mlにし,その4ml(試
料量0.4 g)を用いる。
b) 標準側溶液 アルデヒド及びケトン試験用のエタノール2 mlにカルボニル標準液(1)(CO:0.01
mg/ml)2.0 mlを加える。
c) 操作 試料側溶液,標準側溶液それぞれに,2,4-ジニトロフェニルヒドラジン・エタノール溶液1.0 ml
を加えて30分間放置した後,JIS K 8777に規定するピリジン8 ml,水2 ml及び水酸化カリウム・エ
タノール溶液5 mlを加えて振り混ぜ10分間放置した後,アルデヒド及びケトン試験用のエタノール
4
K 8891:2006
を加えて25 mlにする。
d) 判定 試料側の色は,標準側の暗い赤より濃くないこと。
注(1) カルボニル標準液の調製は,JIS K 8034に規定するアセトン1.04 g(CO 0.5 gに相当する)にア
ルデヒド及びケトン試験用エタノールを加えて正確に100 mlにする。その1.0 mlを正確にとり,
アルデヒド及びケトン試験用エタノールを加えて正確に500 mlにする。
7.11 エタノール(GC) 7.2による。この場合,7.2の分析条件でエタノールの相対保持時間を確認して
おく。
7.12 硫酸着色物質 JIS K 8001の5.26(3)(操作及び判定)(a)(硫酸と混和する液体試料の場合)による。
この場合,試料10 ml及びJIS K 8951に規定する硫酸10 mlを用い,比色標準液Aの色より濃くないこと。
7.13 過マンガン酸還元性物質 試料16 g(20 ml)を25 ℃に保ち,0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液0.10
mlを加えて振り混ぜ,光を遮り,液温約25 ℃で5分間放置したとき,紅色を保つこと。この場合,0.02 mol/l
過マンガン酸カリウム溶液1 mlは,0.000 800 g Oに相当する。
8. 容器 容器は,遮光した気密容器とする。
9. 表示 容器には,次の事項を表示する。
a) 名称“メタノール”及び“試薬”の文字
b) 種類
c) 化学式及び式量
d) 純度
e) 内容量
f) 製造番号
g) 製造業者名又はその略号
10. 取扱い上の注意事項 メタノールは劇物なので,目,粘膜,及び皮膚に付着しないようにするととも
に蒸気を吸入しないようにする。
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K 8891:2006
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 8891:2006 メタノール(試薬)
ISO 6353-2:1983, 化学分析用試薬―第2部:仕様−第1シリーズ
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国
際規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線又は側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
1. 適用
範囲
試薬として用いるメタノ
ールについて規定。
1
化学分析用試薬40品目
の仕様について規定。
MOD/変更
JISは1品目の1規格。 試薬の規格使用者が各規格を多く引用
しやすくするために1品目1規格とし
ている。
なお,対応国際規格は20年以上見直
しをされていなく市場の実態に合わな
い。国際規格の改正提案を検討する。
2. 引用
規格
JIS K 0061
JIS K 0062
JIS K 0067
JIS K 0068
JIS K 0114
JIS K 0117
JIS K 8001
JIS K 8034
JIS K 8777
JIS K 8951
1
ISO 6353-1
MOD/変更
ISO規格1件を削除
し,JISを追加・引用,
基本的には,同等内
容。
該当する対比項目を参照。
3. 一般
事項
JIS K 8001による。
−
−
MOD/追加
項目を追加
JIS K 8001を引用。
編集上の差異であり,技術的な差異で
はない。
4. 種類
−
−
MOD/追加
種類の項目を追加。
JISは種類として“特級”だけなので,
ISO規格と技術的な差異はない。
5. 性質
−
−
MOD/追加
メタノールの性質の
項を追加。
一般的な説明事項であり,技術的な差
異はない。
2
K
8
8
9
1
:
2
0
0
6
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(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国
際規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線又は側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
6. 品質
R18.1
MOD/変更
1) 品質に差異のある
項目:不揮発物,
水分及び酸
2) 追加した項目:水
溶状,屈折率及び
エタノール
ISO規格は,長期間内容の見直しが行
われず国際市場でISO規格品が用いら
れることはほとんどない。また,技術
的差異も軽微(1)(2)(3)である。
7.試験方
法
7.1試験
条件及び
試験結果
R 18.2
MOD/追加
一般的な試験条件及び試験結果に関す
る事項であり,技術的な差異はない。
7.2純度
(CH3OH)
(GC)
ガスクロマトグラフ法
R 18.2.1
ガスクロマトグラフ法
MOD/変更
分析条件などを変更。
国際的にも広く普及しているキャピラ
リーカラム法に変更。
ISO規格の見直し時に,改正提案の検
討を行う予定。
7.3水溶
状
―
―
MOD/追加
項目を追加
JISとして必要。
ISO規格の見直し時に,提案の検討を
行う予定。
7.4密度
(20 ℃)
比重瓶法又は振動式密度
計法
R 18.2.2
比重瓶法
MOD/選択
項目を追加
精度の高い振動式密度計法を選択でき
るようにした。
ISO規格の見直し時に,改正提案の検
討を行う予定。
7.5屈折
率
20
nD
―
―
MOD/追加
項目を追加
JISとして必要。
ISO規格の見直し時に,提案の検討を
行う予定。
2
K
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9
1
:
2
0
0
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(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国
際規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線又は側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
7.6水分
カールフィッシャー滴定
法
R 18.2.9
カールフィッシャー滴
定法
MOD/変更
1) 試料の量を変更。
2) JIS K 0062を引用
JISは,定期的に見直しを行っている
が,ISO規格は,長年見直しが行われ
ていないことから実績のある従来の
JIS法を踏襲。技術的な差異は軽微であ
り,対策は考慮しない。
7.7不揮
発物
水浴上加熱蒸発法
R 18.2.3
水浴上加熱蒸発法
MOD/変更
1) 試料の量を変更。
2) JIS K 0067を引用
7.8
酸
(HCOOH
として)
中和滴定法
R 18.2.4
中和滴定法
MOD/変更
試料の量,及び指示薬
を変更。
7.9塩基
(NH3と
して)
中和滴定法
R 18.2.5
中和滴定法
MOD/変更
試料の量,及び指示薬
及び操作法を変更。
7.10カル
ボニル化
合物(CO
として)
比色法
R 18.2.8
比色法
MOD/変更
試料の量,試薬及び操
作法を変更。
7.11エタ
ノール
ガスクロマトグラフ法
−
MOD/追加
項目を追加。
JISとして必要。
ISO規格の見直し時に,改正提案の検
討を行う予定。
7.12
硫
酸着色物
質
R 18.2.7
MOD/変更
1) 比色標準液が異な
る。
2) JIS K 8001の5.26
を引用。
JISは,定期的に見直しを行っている
が,ISO規格は,長年見直しが行われ
ていないことから実績のある従来の
JIS法を踏襲。技術的な差異は軽微であ
り,対策は考慮しない。
7.13過マ
ンガン酸
還元性物
質(Oと
して)
直接法
R 18.2.6
直接法
MOD/変更
試薬溶液の量,液温な
どを変更。
2
K
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1
:
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0
0
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(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国
際規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線又は側線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
8.容器
−
−
MOD/追加
項目を追加。
規格適合性を評価する関係で必要な項
目を追加。
9.表示
−
−
MOD/追加
項目を追加。
10.取扱
い上の注
意事項
−
−
MOD/追加
項目を追加。
注(1) 理由:軽微な技術的差異。6.品質の(Ⅳ)欄の1)〜2)は,いずれも一般用途の試薬としては軽微な技術的差異であり,この差が取引上の障害になる可能性はほと
んどない。ISO規格,JISとも品質項目の設定・品質水準の設定は,市場での長い使用実績・経験を踏まえたものである。ISO規格とJISとの質量分率ppm〜質
量分率pptレベルの不純物のごくわずかの差異は,経験上,一般用途の試薬としては実用上差し支えないものと考えられる。
なお,不純物のごくわずかの差異がどのような影響を及ぼすか,あらゆる用途を想定して検証することは現実的ではない。 (Ⅳ)の1)〜2)の品質項目及び品質水
準が不満足な場合は,通常,JIS試薬,ISO規格試薬とも対応できない。この場合,対応策としては,目的にあった高純度試薬など特殊用途の試薬を使用するこ
とになる。
(2) ISO試薬規格の状況:ISO規格の試薬は,規格の維持管理が行われていない(規格制定後約20年経過)。このため,ISO規格の内容が現在の市場の要求にこたえ
ているかどうかの検討が行われていない(JISとの差)。また,ISO規格の試薬は,我が国だけではなく,国際市場でも商取引がほとんどなく国際規格としての
存在意義がとぼしい。
(3) 今後の対策:(1)及び(2)の理由から,当面,対策を考慮しない。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
― MOD/選択……… 国際規格と異なる選択肢がある。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
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