K 8848:2012
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類 ······························································································································ 2
4 性質 ······························································································································ 2
4.1 性状 ····························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································· 2
5 品質 ······························································································································ 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································· 3
6.2 純度[CH3(CH2)4CH3](GC) ··························································································· 3
6.3 水分 ····························································································································· 4
6.4 不揮発物 ······················································································································· 4
6.5 酸(CH3COOHとして) ·································································································· 4
6.6 油脂 ····························································································································· 6
6.7 チオフェン類 ················································································································· 6
6.8 硫酸着色物質 ················································································································· 7
6.9 硫化物及び還元性物質 ····································································································· 8
7 容器 ······························································································································ 8
8 貯蔵方法························································································································· 9
9 表示 ······························································································································ 9
10 取扱い上の注意事項 ········································································································ 9
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ
きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8848:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成24年12月20日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJIS
マーク表示認証において,JIS K 8848:1992によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格
JIS
K 8848:2012
ヘキサン(試薬)
Hexane (Reagent)
CH3(CH2)4CH3 FW:86.18
序文
この規格は,1962年に制定され,その後3回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は,1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるヘキサンについて規定する。
警告 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とする。
この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。
この規格の利用者は,MSDS(化学物質等安全データシート)などを参考にして各自の責任に
おいて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8089 2,3-インドリンジオン(試薬)
JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8129 塩化コバルト(II)六水和物(試薬)
JIS K 8142 塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
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JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3505 ガラス製体積計
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
ヘキサンは,無色透明の揮発性の液体で特異なにおいがあり,エタノール及びジエチルエーテルに極め
て溶けやすく,水にほとんど溶けない。密度(20 ℃)は約0.66 g/ml,沸点は約69 ℃である。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数2 959 cm-1,2 925 cm-1,2 874 cm-1,
2 860 cm-1,1 467 cm-1,1 379 cm-1及び725 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。試料調製をJIS K 0117の
5.4 a)(液膜法)によって行い,窓板に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を図1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
注記 図1は,独立行政法人産業技術総合研究所のSDBSから引用したものである。
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品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
3
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表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度[CH3(CH2)4CH3](GC)
質量分率 %
96.0 以上
6.2
水分
質量分率 %
0.05 以下
6.3
不揮発物
質量分率 %
0.001 以下
6.4
酸(CH3COOHとして)
質量分率 %
0.002以下
6.5
油脂
試験適合
6.6
チオフェン類
試験適合
6.7
硫酸着色物質
試験適合
6.8
硫化物及び還元性物質
試験適合
6.9
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度[CH3(CH2)4CH3](GC)
純度[CH3(CH2)4CH3](GC)の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) ガスクロマトグラフ JIS K 0114に規定するもの。
2) マイクロシリンジ又は試料導入装置 少量の定容量の測定溶液をガスクロマトグラフのカラムに導
入するマイクロシリンジ又は装置。
b) 分析条件 分析条件は,次による。
なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることが確認されている場合には,その条件を用
いてもよい。
1) 検出器の種類 水素炎イオン化検出器
2) 固定相液体名 ジメチルポリシロキサン
3) 固定相液体の膜厚 5.0 μm
4) カラム用キャピラリーの材質,内径及び長さ 石英ガラス,0.53 mm,30 m
5) 設定温度 カラム槽
45 ℃で5分間保持した後,毎分5 ℃の割合で105 ℃まで昇温して,2分間
保持する。
試料気化室
150 ℃
検出器槽
150 ℃
6) キャリヤーガスの種類及び流量 ヘリウム,5 ml/min
7) 試料の導入方式 全量注入法
8) 試料の導入量 0.2 μl
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 測定試料の導入及び記録 試料をマイクロシリンジ又は試料導入装置を用いてガスクロマトグラフ
に導入してクロマトグラムを記録する。
なお,あらかじめ,ヘキサンの保持時間を確認しておく。
2) ピーク面積の測定 クロマトグラムのピーク面積の測定は,JIS K 0114の11.3(ピーク面積の測定)
a)(データ処理ソフト又はデータ処理装置を用いる方法)による。
d) 定量法
各成分のピーク面積を測定し,JIS K 0114の11.5(面積百分率法)によって純度
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[CH3(CH2)4CH3](GC)を算出する。
6.3
水分
水分の試験方法は,JIS K 0068の6.3(容量滴定法),又は6.4(電量滴定法)による。ただし,容量滴定
法の場合,試料20 g(30.3 ml)をはかりとり,溶媒はメタノールとする。電量滴定法の場合は,試料5.0 g
(7.6 ml)をはかりとる。
6.4
不揮発物
不揮発物の試験方法は,JIS K 0067の4.3.4(1)(第1法 水浴上で加熱蒸発する方法)による。ただし,
この場合,試料100 gを0.1 mgの桁まではかりとる。
6.5
酸(CH3COOHとして)
酸(CH3COOHとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬,ガス及び試験用溶液類 試薬,ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの(必要な場合に用いる)。
3) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
4) 塩酸(0.05 mol/l) JIS K 8180に規定する塩酸4.5 mlをはかりとり,水を加えて1 000 mlとし,混
合した後,気密容器に入れる。
5) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml
にする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
6) 二酸化炭素を除いた水 次の6.1)〜6.4)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
6.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却
したもの。
6.2) 水をフラスコに入れ,水の中に窒素を15分間以上通じたもの。
6.3) 水から二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて二酸化炭素を除いたもの。
6.4) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
7) pH 6.8の緩衝液(りん酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム混合溶液) pH 6.8の緩衝液(りん酸
二水素カリウム−水酸化ナトリウム混合溶液)の調製は,次による。
7.1) 0.1 mol/l りん酸二水素カリウム溶液 JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム(pH標準液
用)6.80 g(質量分率100 %としての相当質量)を全量フラスコ500 mlに入れ,適量の二酸化炭素
を除いた水で溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。ほうけい酸ガラス製瓶,
ポリエチレン製瓶などに保存する。
7.2) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/l) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定
及び計算は,次による。
7.2.1) 調製 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム165 gをポリエチレン製などの気密容器500 ml
にはかりとり,二酸化炭素を除いた水150 mlを加えて溶かした後,ソーダ石灰管を連結して空
気中の二酸化炭素を遮り4〜5日間放置する。その上澄み液54 mlをポリエチレン製などの気密
容器1 000 mlにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加えて1 000 mlとし,混合した後,ソー
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ダ石灰管を付けて保存する。
7.2.2) 標定 標定は,認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のアミド硫酸を
用い,次のとおり行う。
7.2.2.1) 認証標準物質1) のアミド硫酸を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
7.2.2.2) 容量分析用標準物質のアミド硫酸を用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いた後,上口
デシケーター(減圧デシケーター)に入れ,上口デシケーター内圧2.0 kPa以下で約48時間乾
燥する。
7.2.2.3) 認証標準物質1) 又は容量分析用標準物質のアミド硫酸2.4〜2.6 gを0.1 mgの桁まではかりとっ
てコニカルビーカー100 mlに移し,水25 mlを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチモー
ルブルー溶液数滴を加え,7.2.1)で調製した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,
液の色が黄から青みの緑になる点とする。
注1) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際単
位系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標準物質を
入手できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることができ,その説
明書に従って使用する。
なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総
合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標
準物質生産者がある。
7.2.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
09
097
.0
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったアミド硫酸の質量(g)
A: アミド硫酸の純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
0.097 09: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するアミド硫酸
の質量を示す換算係数(g/ml)
7.3) 0.2 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製(NaOH:8.00 g/l) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファ
クターから計算した必要な体積を正確に全量フラスコ100 mlにはかりとり,水を標線まで加えて
混合し,ソーダ石灰管を付けてポリエチレン製などの気密容器に入れる。
7.4) pH 6.8の緩衝液の調製 0.1 mol/l りん酸二水素カリウム溶液50.0 ml及び0.2 mol/l 水酸化ナトリ
ウム溶液11.82 mlを全量フラスコ100 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ほ
うけい酸ガラス製瓶,ポリエチレン製瓶などに保存する。
8) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをエタノール(95)
50 mlに溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
9) 0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:2.00 g/l) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液10 mlを全量フ
ラスコ200 mlに正確にはかりとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。使用時に調
製し,ポリエチレン製などの気密容器に入れる。ファクターは,1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のフ
ァクターを用いる。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
メスピペット JIS R 3505に規定するもので,最小目盛0.01 mlのもの。
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c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,あらかじめ窒素を約2分間通じて空気を置換した分液漏斗100 mlに二酸化炭素
を除いた水25 mlをはかりとり,ブロモチモールブルー溶液2滴を加え,窒素を液面に通じながら
メスピペットを用いて液の色が中間色2) になるまで0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液又は塩酸
(0.05 mol/l)で中和し,試料30 g(45 ml)を加える。約2分間激しく振り混ぜ,あらかじめ窒素を
約2分間通じて空気を置換した共通すり合わせ三角フラスコ100 mlに下層(水相)を移し,共通す
り合わせ三角フラスコの上方又は側面から試料溶液から得られた水相の色を観察する。
2) 試料溶液から得られた水相が中間色から酸性側の色(黄)の場合は,液面に窒素を通じながらメス
ピペットを用いて0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液0.20 mlを加える。共通すり合わせ三角フラスコ
の上方又は側面から,試料溶液の水相から得られた液を観察する。ただし,0.05 mol/l 水酸化ナト
リウム溶液のファクターが1.00でない場合は,加える体積を補正する。
注2) 共通すり合わせ三角フラスコ200 mlにpH 6.8の緩衝液約25 mlをはかりとり,ブロモチモー
ルブルー溶液2滴を加えたときの色。
d) 判定 c) によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“質量分率0.002 %以下(規格値)”とする。
1) 試料溶液から得られた水相の色は,中間色からアルカリ性色(青)になる。
2) 水相から得られた液の色は,中間色からアルカリ性色(青)になる。
注記 酸(CH3COOHとして)の含有率(質量分率 %)は,次の式による。
100
6
002
003
.0
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 酸(CH3COOHとして)の含有率(質量分率 %)
V: 0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
f: 0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.003 002 6: 0.05 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当する
CH3COOHの質量を示す換算係数(g/ml)
6.6
油脂
油脂の試験方法は,次による。
a) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
ろ紙 JIS P 3801に規定するもの。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料10 mlを温めたガラス板上においたろ紙上に少量ずつ滴加し,揮発させる。
2) ろ紙上の油状の汚点を上方から観察する。
c) 判定 b)によって操作し,次に適合するとき,“油脂:試験適合”とする。
ろ紙上に油状の汚点が残らない。
6.7
チオフェン類
チオフェン類の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
2) 2,3-インドリンジオン・硫酸溶液 JIS K 8089に規定する2,3-インドリンジオン0.1 gを硫酸20 ml
に溶かす。褐色ガラス製瓶に保存する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
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共通すり合わせ平底試験管 色が確認しやすい大きさで目盛のあるもの。例として,容量50 ml,
直径約23 mmのもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料25 mlを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,硫酸15 ml及び2,3-イン
ドリンジオン・硫酸溶液0.10 mlを加えて振り混ぜ,1時間放置する。
2) 試料溶液から得られた下層(硫酸相)の液の色を,共通すり合わせ平底試験管の側面から観察する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“チオフェン類:試験適合”とする。
試料溶液から得られた硫酸相の液の色は,黄にとどまり,緑から青にならない。
6.8
硫酸着色物質
硫酸着色物質の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(1+39) JIS K 8180に規定する塩酸の体積1と水の体積39とを混合する。
2) ブロモチモールブルー溶液 6.5 a) 8)による。
3) 硫酸[質量分率(95±0.5)%] あらかじめJIS K 8951に規定する硫酸の純度を求め,希釈が必要
な場合は,計算量の水をはかりとり,注意して徐々に硫酸を加えて濃度を質量分率(95±0.5)%に
調製する。
3.1) 硫酸の純度
共通すり合わせ三角フラスコ100 mlの質量を0.1 mgの桁まではかり,試料1.0 gを
入れ,再び0.1 mgの桁まで質量をはかる。共通すり合わせ三角フラスコを冷却しながら水20 ml
を徐々に加える。ブロモチモールブルー溶液数滴を加え,1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液で滴定す
る。終点は液の色が黄から青みの緑に変わる点とする。
硫酸の純度は,次の式によって算出する。
100
04
0.049
1
2
×
−
×
×
=
m
m
f
V
A
ここに,
A: 純度(H2SO4)(質量分率 %)
V: 滴定に要した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
f: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m2: 試料を入れた共通すり合わせ三角フラスコの質量(g)
m1: 共通すり合わせ三角フラスコの質量(g)
0.049 04: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するH2SO4の質
量を示す換算係数(g/ml)
4) 比色原液 比色原液の調製は,次による。
4.1) 塩化コバルト(II)比色原液 JIS K 8129に規定する塩化コバルト(II)六水和物59.5 g(質量分
率100 %としての相当質量)をビーカー1 000 mlにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,
全量フラスコ1 000 mlに移し入れ,ビーカー1 000 mlを塩酸(1+39)で洗ってその洗液を入れ,
更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合する。
4.2) 塩化鉄(III)比色原液 JIS K 8142に規定する塩化鉄(III)六水和物45.0 g(質量分率100 %と
しての相当質量)をビーカー1 000 mlにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,全量フラス
コ1 000 mlに移し入れ,ビーカー1 000 mlを塩酸(1+39)で洗ってその洗液を入れ,更に塩酸(1
+39)を標線まで加えて混合する。
4.3) 硫酸銅(II)比色原液 JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物62.4 g(質量分率100 %とし
ての相当質量)をビーカー1 000 mlにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,全量フラスコ
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K 8848:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1 000 mlに移し入れ,ビーカー1 000 mlを塩酸(1+39)で洗ってその洗液を入れ,更に塩酸(1
+39)を標線まで加えて混合する。
5) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/l) 6.5 a) 7.2)による。
b) 着色の程度の適合限度標準 着色の程度の適合限度標準(“比色標準液A”)は,次による。
表2に示す割合によって比色標準液A 5.0 mlを共通すり合わせ平底試験管に調製する。
表2−硫酸着色物質試験用比色標準液A
比色標準液の記号
比色原液
水
塩化コバルト(II)
塩化鉄(III)
硫酸銅(II)
A
0.1 ml
0.4 ml
0.1 ml
4.4 ml
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.7 b)による。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 mlを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,約10 ℃に冷却する。
振り混ぜながら,約10 ℃に冷却した硫酸[質量分率(95±0.5)%]5 mlを徐々に加え,栓をして
30秒間激しく振り混ぜた後,約10 ℃に冷却し,約10 ℃で15分間放置する。
2) 試料溶液から得られた上層(試料相)及び下層(硫酸相)の色を,共通すり合わせ平底試験管の側
面から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“硫酸着色物質:試験適合”とする。
試料溶液から得られた試料相及び硫酸相の色は,比色標準液Aの色より濃くない。
6.9
硫化物及び還元性物質
硫化物及び還元性物質の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アンモニア水 JIS K 8085に規定する質量分率28.0〜30.0 %のもの。
2) エタノール(99.5)
JIS K 8101に規定するもの。
3) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラ
ス製瓶に保存する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.7 b)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 mlを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,アンモニア水1 ml,エ
タノール(99.5)5 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)0.5 mlを混合した液を加え,光を遮り50 ℃で5分
間放置する。
2) 試料溶液の色を,共通すり合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫化物及び還元性物質:試験適合”とする。
試料溶液の色は,褐色にならない。
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
9
K 8848:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8
貯蔵方法
製品は,火気に注意して保存する。
9
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “ヘキサン”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号
10 取扱い上の注意事項
ヘキサンは,引火性が強いので火気を避け,また,有害なので蒸気を吸入しないように注意し,皮膚,
粘膜などに付着しないようにする。