K 8815:2012
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(KF)(強熱後) ····································································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 5
6.4 強熱減量 ······················································································································ 6
6.5 酸(HFとして)又は塩基(K2CO3として) ······································································· 6
6.6 塩化物(Cl) ················································································································ 9
6.7 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 9
6.8 亜硫酸塩 ····················································································································· 10
6.9 ナトリウム(Na) ········································································································· 12
6.10 鉛(Pb)及び鉄(Fe) ································································································· 13
6.11 ヘキサフルオロけい酸塩(SiF6) ···················································································· 15
7 容器······························································································································ 16
8 表示······························································································································ 16
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ
きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8815:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成24年12月20日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJIS
マーク表示認証において,JIS K 8815:1995によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格
JIS
K 8815:2012
ふっ化カリウム(試薬)
Potassium fluoride (Reagent)
KF FW : 58.10
序文
この規格は,1953年に制定され,その後7回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1995年に
行われたが,その後の試験・研究開発の技術進歩などに対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるふっ化カリウムについて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 6202 化学分析用白金皿
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 0970 プッシュボタン式液体用微量体積計
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8548 硝酸カリウム(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
2
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JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8780 ピロガロール(試薬)
JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬)
JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8920 よう素(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS R 3505 ガラス製体積計
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
ふっ化カリウムは,白い粉末で吸湿性がある。水に極めて溶けやすく,エタノールにはほとんど溶けな
い。ふっ化カリウムの酸性溶液は,ガラスを腐食する。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水10 mlを加えて溶かす(A液)。A液5 mlに塩化カルシウム溶液(100 g/l)5 mlを加える
と,白い沈殿が生じ,これに酢酸1 mlを加えてもこの沈殿は溶けない。
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線の先端から約30 mmまでを塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120
mm,内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に,内炎の最上部から約10 mmの位置
に水平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,白金線の先端
約5 mmをA液に浸し,ガスバーナーの無色炎中に入れ,炎をコバルトガラスで透かして見るとき紫
が現れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
3
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表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(KF)(強熱後)
質量分率 %
99.0以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
強熱減量
質量分率 %
1.0以下
6.4
酸(HFとして)
質量分率 %
0.2以下
6.5
塩基(K2CO3として)
質量分率 %
0.25以下
6.5
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.01以下
6.6
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.01以下
6.7
亜硫酸塩
試験適合
6.8
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.4以下
6.9
鉛(Pb)
質量分率 %
0.002以下
6.10
鉄(Fe)
質量分率 %
0.001以下
6.10
ヘキサフルオロけい酸塩(SiF6)
質量分率 %
0.1以下
6.11
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(KF)(強熱後)
純度(KF)(強熱後)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの。
3) 塩酸(1 mol/l) JIS K 8180に規定する塩酸90 mlに水を加えて1 000 mlとする。樹脂製容器を用
いる。
4) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml
にする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
5) 二酸化炭素を除いた水 次の5.1)〜5.4)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
5.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却
したもの。
5.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
5.3) 水から二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて二酸化炭素を除いたもの。
5.4) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
6) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをエタノール(95)
50 mlに溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
7) フェノールフタレイン溶液 JIS K 8799に規定するフェノールフタレイン1.0 gをエタノール(95)
90 mlに溶かし,水で100 mlにする。
8) 強酸性陽イオン交換樹脂(H形)カラム 強酸性陽イオン交換樹脂(H形)カラムの作製は,次の
4
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とおり行う。イオン交換カラムの作成に関わる器具類は樹脂製を用いる。
8.1) 水中で湿潤させた強酸性陽イオン交換樹脂約25 mlを気泡が入らないように注意して図1のクロマ
トグラフィー管に水とともに流し込んで樹脂柱を作る。
8.2) イオン交換カラムのコックを開け,水を徐々に流出させて,水面が樹脂柱上端より約5 mm上にな
るようにする。コックを閉じて塩酸(1 mol/l)約200 mlを加え,コックを調節して3〜4 ml/min
の流量で通す。
8.3) イオン交換カラムのコックを開け塩酸(1 mol/l)を徐々に流出させて,液面が樹脂柱上端より約5
mm上になるようにする。洗浄は,コックを閉じて水約30 mlを加え,コックを調節して3〜4 ml/min
の流量で通す。この洗浄操作を数回行い,流出液にメチルオレンジ溶液を加えたときの色が黄み
の赤になるまで繰り返す。
9) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/l) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定及
び計算は,次による。
9.1) 調製 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム165 gをポリエチレン製などの気密容器500 mlに
はかりとり,二酸化炭素を除いた水150 mlを加えて溶かした後,二酸化炭素を遮り4〜5日間放置
する。その上澄み液54 mlをポリエチレン製などの気密容器1 000 mlにとり,二酸化炭素を除い
た水を加えて1 000 mlとし,混合した後,ソーダ石灰管を付けて保存する。
9.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のアミド硫酸を用
い,次のとおり行う。
9.2.1) 認証標準物質1)のアミド硫酸を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
9.2.2) 容量分析用標準物質のアミド硫酸を用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いた後,上口デ
シケーター(減圧デシケーター)に入れ,上口デシケーター内圧2.0 kPa以下で約48時間乾燥す
る。
9.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質のアミド硫酸2.4〜2.6 gを0.1 mgの桁まではかりコニ
カルビーカー100 mlに移し,水25 mlを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチモールブルー
溶液数滴を加え,9.1)で調製した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,液の色が
黄から青みの緑になる点とする。
注1) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際単
位系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標準物質を
入手できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることができ,その説
明書に従って使用する。
なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総
合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標
準物質生産者がある。
9.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
09
097
.0
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったアミド硫酸の質量(g)
A: アミド硫酸の純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
0.097 09: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するアミド硫
5
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酸の質量を示す換算係数(g/ml)
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
イオン交換カラム及び滴定容器 クロマトグラフィー管,ろ過材及び滴定容器は樹脂製を用いる。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,6.4の残分1.0 gを適切な容量のポリエチレン製ビーカーに0.1 mgの桁まではか
りとり,水50 mlを加えて溶かす。
2) 試料溶液を強酸性陽イオン交換樹脂(H形)カラムに移し,その液面が樹脂柱上端の約5 mm上よ
り下がらないようにして,3〜4 ml/minの流量で通し,滴定容器に受ける。
3) 洗浄は,水約30 mlで試料容器を洗いカラムに加え,2)と同様に操作し,同じ滴定容器に受ける。
この洗浄操作を5回行う。
4) 指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴加え,1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点
は,液の色がうすい紅色に変わる点とする。
d) 計算 純度(KF)(強熱後)は,次の式によって算出する。
100
10
058
.0
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 純度(KF)(強熱後)(質量分率 %)
V: 滴定に要した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
f: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.058 10: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するKFの質
量を示す係数(g/ml)
単位 mm
A:
B:
C:
クロマトグラフィー管(ポリエチレン製など)
樹脂柱
ポリエチレンウール(ポリエチレンを引き伸ばし,繊維状
にしたもの。)又はフィルター(ポリエチレン製など)
図1−イオン交換樹脂カラムの例
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
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a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率 60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合
する。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。溶液は,褐
色ガラス瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“澄明”)は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 ml,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.50 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにす
る。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又は
側面から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
強熱減量
強熱減量の試験方法は,JIS K 0067の4.2(強熱減量試験)による。この場合,試料1.0 gを0.1 mgの桁
まで白金るつぼにはかりとる。(500±50)℃で,1時間強熱する(残分は6.2の試験に用いる。)。
6.5
酸(HFとして)又は塩基(K2CO3として)
酸(HFとして)又は塩基(K2CO3として)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
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1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
2) 二酸化炭素を除いた水 6.2 a) 5)による。
3) 硝酸カリウム溶液(飽和) JIS K 8548に規定する硝酸カリウム33.4 gを水に溶かして100 mlにす
る。
4) ブロモチモールブルー溶液 6.2 a) 6)による。
5) フェノールフタレイン溶液 6.2 a) 7)による。
6) 0.1 mol/l 塩酸(HCl:3.646 g/l) 0.1 mol/l 塩酸の調製,標定及び計算は,次による。
6.1) 調製 JIS K 8180に規定する塩酸9 mlをはかりとり,水を加えて1 000 mlとし,混合した後,気
密容器に入れて保存する。
6.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム
を用い,次のとおり行う。
6.2.1) 認証標準物質1)の炭酸ナトリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
6.2.2) 容量分析用標準物質の炭酸ナトリウムを用いる場合は,必要量を白金るつぼに入れ,600±10 ℃
で約60分間加熱した後,デシケーターに入れて放冷する。
6.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質の炭酸ナトリウムの0.13〜0.16 gを0.1 mgの桁まではか
りとり,コニカルビーカー200 mlに移し,水20 mlを加えて溶かす。指示薬としてブロモフェノ
ールブルー溶液数滴を加え,6.1)で調製した0.1 mol/l 塩酸で滴定する。この場合,終点付近で煮
沸して二酸化炭素を除き,冷却した後,引き続き滴定を行う。終点は,液の色が青紫から青みの
緑になる点とする。
6.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
299
005
.0
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f: 0.1 mol/l 塩酸のファクター
A: 炭酸ナトリウムの純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/l 塩酸の体積(ml)
m: はかりとった炭酸ナトリウムの質量(g)
0.005 299: 0.1 mol/l 塩酸1 mlに相当する炭酸ナトリウムの質量を
示す換算係数(g/ml)
7) 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:4.000 g/l) 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定
及び計算は,次による。
7.1) 調製 6.2 a) 9)に規定する1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液100 mlを全量フラスコ1 000 mlにはかり
とり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合した後,ポリエチレン製気密容器に入れ,ソ
ーダ石灰管を付けて保存する。
7.2) 標定 6.2 a) 9.2)による。この場合,アミド硫酸0.24〜0.29 gを0.1 mgの桁まではかりとる。
7.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
709
009
.0
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f: 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
A: アミド硫酸の純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積
(ml)
m: はかりとったアミド硫酸の質量(g)
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0.009 709: 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するアミド
硫酸の質量を示す換算係数(g/ml)
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
1) 白金皿 JIS H 6202に規定するもの。
2) メスピペット JIS R 3505に規定する最小目盛が0.01 mlのもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,二酸化炭素を除いた水50 ml及び硝酸カリウム溶液(飽和)10 mlを白金皿又は
樹脂製ビーカーにとり,約0 ℃に冷却しながらフェノールフタレイン溶液3滴を加える。液面上に
窒素を流しながら,液の色がうすい紅色になるまで0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液又は0.1 mol/l 塩
酸で中和する。引き続き約0 ℃に保ちながら,試料2.0 gを加え穏やかにかき混ぜて溶かす。
2) 試料溶液に酸性色(無色)が現れる場合,液面上に窒素を流しながら,0.1 mol/l 水酸化ナトリウム
溶液で15秒間アルカリ性色(うすい紅色)を保つまで滴定する。滴定後の溶液は,直ちに6.11の
試験に用いる。
3) 試料溶液にアルカリ性色(うすい紅色)が現れる場合,液面上に窒素を流しながら,0.1 mol/l 塩酸
を酸性色(無色)になるまで滴定する。滴定後の溶液は,直ちに6.11の試験に用いる。
d) 判定 c) 2)によって操作し,次の1)に適合するとき,“酸(HFとして):質量分率0.2 %以下(規格値)”,
又はc) 3)によって操作し,次の2)に適合するとき,“塩基(K2CO3として):質量分率0.25 %以下(規
格値)”とする。
1) 滴定に用いた0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積は,2.0 ml以下。
2) 滴定に用いた0.1 mol/l 塩酸の体積は,0.36 ml以下。
注記 酸(HFとして)又は塩基(K2CO3として)の含有率(質量分率 %)は,次による。
1) 酸性色(無色)が現れた場合,酸(HFとして)の含有率(質量分率 %)を,次の式
によって求めることができる。
100
6
000
002
.0
×
×
×
m
f
V
A=
ここに,
A: 酸(HFとして)(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積
(ml)
f: 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.002 000 6: 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するKFの
質量を示す換算係数(g/ml)
2) アルカリ性色(うすい紅色)が現れた場合,塩基(K2CO3として)の含有率(質量分
率 %)を,次の式によって求めることができる。
100
821
013
.0
×
×
×
m
f
V
A=
ここに,
A: 塩基(K2CO3として)(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/l 塩酸の体積(ml)
f: 0.1 mol/l 塩酸のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.013 821: 0.1 mol/l 塩酸1 mlに相当するK2CO3の質量を示す換算
係数(g/ml)
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K 8815:2012
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6.6
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 2)による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 6.3 a) 3.2)による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.50 gをポリエチレン製ビーカー100mlにとり,硝酸(1+2)5 ml及び水
を加えて溶かし,水で20mlにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)5.0 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,硝
酸(1+2)5 ml及び水を加えて20 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加えて15分間放置する。
4) 試料溶液を共通すり合わせ平底試験管に移し,黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得ら
れたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側面から観察して濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率0.01 %以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.7
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) 6.2 a) 1)による。
2) 塩化バリウム溶液(100 g/l) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして
100 mlにする。
3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
4) 硫酸塩標準液
4.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
4.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
4.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
4.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.81 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
4.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 白金皿 6.5 b) 1)による。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料0.5 gを白金皿にとる。続いて,塩酸(2+1)5 mlを加え,水浴上で蒸発
乾固する操作を3回繰り返す。放冷後,塩酸(2+1)0.3 ml及び水を加えて溶かし,共通すり合わ
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せ平底試験管に移した後,水で25 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml)5.0 mlを白金皿にとる。続いて,塩酸(2+1)
5 mlを加え,水浴上で蒸発乾固する操作を3回繰り返す。放冷後,塩酸(2+1)0.3 ml及び水を加
え,共通すり合わせ平底試験管に移した後,水を加えて25 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 ml及び塩化バリウム溶液(100 g/l)2 mlをそれぞれ
加えて振り混ぜた後,1時間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.01 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.8
亜硫酸塩
亜硫酸塩の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.7 a) 3)による。
2) 塩酸(1 mol/l) 6.2 a) 3)による。
3) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mlを加えてかき混ぜながら熱
水200 ml中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。溶液は,冷所に保存し10日
以内に使用する。
4) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8780に規定するピロガロール10 gを水酸化ナトリウ
ム溶液(300 g/l)80 mlに溶かし,更に水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)を加えて全量を100 mlにす
る(必要な場合に用いる。)。この溶液は使用時に調製する。
5) 溶存酸素を除いた水 次の5.1)〜5.5)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
5.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロー
ル・水酸化ナトリウム溶液を入れたものを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。
5.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
5.3) 水から酸素分離膜をもつガス分離管を用いて溶存酸素を除いたもの。
5.4) 水を超音波振動装置で十分に脱気を行ったもの。
5.5) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
注記 脱イオン化された水を用いる場合,脱イオン装置によっては酸素を含む場合がある。
6) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加える。
7) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/l) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶
液の調製,標定及び計算は,次による。
7.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ
トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に入れ
て保存する。溶液は,調製後2日間放置したものを用いる。
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7.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウ
ムを用い,次のとおり行う。
7.2.1) 認証標準物質1)のよう素酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
7.2.2) 容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いて,
130 ℃で約2時間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。
7.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.9〜1.1 gを全量フラスコ250 mlに
0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。その25 mlを共
通すり合わせ三角フラスコ200 mlに正確にはかりとり,水100 mlを加える。次に,JIS K 8913
に規定するよう化カリウム2 g及び硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜ
て,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,7.1)で調製した0.1 mol/l チオ硫
酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になっ
たときに約0.5 mlを加える。終点は,液の青が消える点とする。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに水125 ml及びよう化カリウム2 g及び硫酸(1+
1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置し,同一条件で空試験
を行って滴定量を補正する。
7.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
)
(
7
566
003
.0
250
/
25
2
1
A
V
V
m
f
×
×
×
−
=
ここに,
f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
0.003 566 7: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するよう
素酸カリウムの質量を示す換算係数(g/ml)
8) 0.05 mol/l よう素溶液(I:12.69 g/l) 0.05 mol/l よう素溶液の調製,標定及び計算は,次による。
8.1) 調製 JIS K 8913に規定するよう化カリウム40 gをはかりとり,水25 ml及びJIS K 8920に規定
するよう素13 gを加えて溶かした後,水を加えて1 000 mlとする。これにJIS K 8180に規定する
塩酸3滴を加えて混合した後,遮光した気密容器に入れて暗所に保存する。
8.2) 標定 8.1) で調製した0.05 mol/l よう素溶液25 mlをコニカルビーカー200 mlに正確にはかリとり,
塩酸(1 mol/l)1 mlを加える。指示薬としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム
溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5
mlを加える。終点は,液の青が消える点とする。
8.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
25
2
1
V
f
f
×
=
ここに,
f1: 0.05 mol/l よう素溶液のファクター
f2: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
V: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
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試料溶液の調製は,試料8 gをポリエチレン製などのビーカーにはかりとり,水150 ml及び塩酸(2
+1)2 mlを加えて溶かす。でんぷん溶液1 ml及び0.05 mol/l よう素溶液0.10 mlを加える。白色の背
景を用いて(必要ならば),試料溶液の色を観察する。ただし,0.05 mol/l よう素溶液のファクターが
1.00でない場合は,加える体積を補正する。
c) 判定 b)によって操作し,次に適合するとき,“亜硫酸塩:試験適合”とする。
試料溶液は,青色を保つ。
6.9
ナトリウム(Na)
ナトリウム(Na)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.7 a) 3)による。
2) ナトリウム標準液
2.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
2.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
2.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
2.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
2.2) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)100 mlを全量フラスコ1
000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 白金皿 6.5 b) 1)による。
2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
3) ICP発光分光分析装置 JIS K 0116に規定するもの。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を,表2に示す。
表2−分析種及び測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
ナトリウム Na
588.995
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを白金皿にとる。これに塩酸(2+1)15 mlを加えて水浴上で蒸発乾
固する操作を3回繰り返す。さらに,塩酸(2+1)1.5 ml及び水を加えて,ポリエチレン製全量フ
ラスコ50 mlに移し,水を標線まで加えて混合する(B液)(6.10の試験にも用いる。)。B液1 ml
(試料量0.1 g)をポリエチレン製全量フラスコ100 mlに正確にとり,塩酸(2+1)1 ml及び水を
標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,3個のポリエチレン製全量フラスコ100 mlにそれぞれに,B液1 ml(試料量
0.1 g)を正確にとり,塩酸(2+1)1 mlを加える。ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml)を表3に示
す3段階にとり,それぞれに水を標線まで加えて混合する(Y1液,Y2液及びY3液)。
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表3−採取する標準液の量
標準液
mg/ml
採取量 ml
Y1
Y2
Y3
ナトリウム標準液(Na)
0.1
2
4
6
3) 空試験溶液の調製は,ポリエチレン製全量フラスコ50 mlに塩酸(2+1)1 mlをとり,水を標線ま
で加えて混合する(Z液)。
4) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の5.(ICP発光分光分析)による。
5) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって発光強度を測定できる状態にす
る。
6) Z液,X液,Y1液,Y2液及びY3液を噴霧し,ナトリウムの発光強度を測定する。
e) 計算 JIS K 0116の5.8.3 b)(標準添加法)によって検量線を作成し,ナトリウムの含有量を計算する。
f)
判定 d)によって操作し,e)によって計算し,次に適合するとき“ナトリウム(Na):質量分率0.4 %
以下(規格値)”とする。
計算して得られた含有率が,規格値を満足している。
6.10 鉛(Pb)及び鉄(Fe)
鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,6.10.1(第1法 原子吸光法)又は6.10.2(第2法 ICP発光分
光分析法)のいずれかによる。
6.10.1 第1法 原子吸光法
第1法 原子吸光法の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2.1) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
2.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
2.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
2.1.3) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml)を調製する場合
2.1.3.1) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 ml
にとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
2.1.3.2) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全
量フラスコ1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
2.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)
2.2.1) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
2.2.2) 鉄標準液(Fe:0.01 mg /ml) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に
保存する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を,表4に示す。
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表4−分析種及び測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
鉛 Pb
283.3
鉄 Fe
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,6.9 d) 1)のB液10 ml(試料量1.0 g)をポリエチレン製全量フラスコ50 mlにと
り,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,6.9 d) 1)のB液10 mlをポリエチレン製全量フラスコ50 mlにとり,鉛標準液
(Pb:0.01 mg/ml)2.0 ml,鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)1.0 ml及び水を標線まで加えて混合する(Y
液)。
3) 空試験溶液の調製は,ポリエチレン製全量フラスコ50 mlに,水を標線まで加えて混合する(Z液)。
4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表4に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸
光度を測定し,X液の指示値(n1),Y液の指示値(n2)及びZ液の指示植(n3)を読み取る。
5) 測定結果は,X液の指示値(n1)からZ液の指示値(n3)を引いた(n1−n3)と,Y液の指示値(n2)
からX液の指示値(n1)を引いた(n2−n1)とを比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“鉛(Pb):質量分率0.002 %以下(規格値),鉄(Fe):
質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
1
2
3
1
×
×
×
m
n
n
n
n
B
A
−
−
=
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.10.2 第2法 ICP発光分光分析法
第2法 ICP発光分光分析法の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 鉛標準液及び鉄標準液
1.1) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)
1.1.1) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 6.10.1 a) 2.2.1)による。
1.1.2) 鉄標準液(Fe:0.01 mg /ml) 6.10.1 a) 2.2.2)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) プッシュボタン式液体用微量体積計 JIS K 0970に規定するもの。
2) ICP発光分光分析装置 6.9 b) 3)による。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を,表5に示す。
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表5−分析種及び測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
鉛 Pb
220.353
鉄 Fe
259.940
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,6.9 d) 1)のB液10 ml(試料量1.0 g)をポリエチレン製全量フラスコ50 mlに正
確にとり,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,3個のポリエチレン製全量フラスコ50 mlのそれぞれに6.9 d) 1)のB液10 ml(試
料量1.0 g)を正確に入れ,鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)をプッシ
ュボタン式液体用微量体積計で表6に示す3段階にとり2),それぞれに水を標線まで加える(Y1液,
Y2液及びY3液)。
注2) 1.0 ml以下はプッシュボタン式液体用微量体積計を用い,1.0 mlを超える場合は全量ピペッ
トを用いる。
表6−採取する標準液の量
標準液
mg/ml
採取量 μl
Y1
Y2
Y3
鉛標準液(Pb)
0.01
1 000
2 000
3 000
鉄標準液(Fe)
0.01
500
1 000
1 500
3) 空試験溶液の調製は,ポリエチレン製全量フラスコ50 mlに,水を標線まで加える(Z液)。
4) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の5.(ICP発光分光分析)による。
5) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって発光強度を測定できる状態にす
る。
6) Z液,X液,Y1液,Y2液及びY3液を噴霧し,分析種の発光強度を測定する。
e) 計算 JIS K 0116の5.8.3 b)(標準添加法)によって検量線を作成し,分析種の含有量を計算する。
f)
判定 d)によって操作し,e)によって計算し,次に適合するとき,“鉛(Pb):質量分率0.002 %以下(規
格値),鉄(Fe):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
計算して得られた含有率が,規格値を満足している。
6.11 ヘキサフルオロけい酸塩(SiF6)
ヘキサフルオロけい酸塩(SiF6)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液 6.5 a) 7)による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
メスピペット 6.5 b) 2)による。
c) 操作 6.5の滴定後の溶液を約5分間かけて約80 ℃になるように加温し,約80 ℃に保ちながら直ち
に,メスピペットを用いて0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液でうすい紅色を保つまで滴定する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“ヘキサフルオロけい酸塩(SiF6):質量分率0.1 %以下
(規格値)”とする。
16
K 8815:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
滴定に用いた0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積は,0.56 ml以下。
注記 ヘキサフルオロけい酸塩(SiF6)の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることが
できる。
100
9
551
003
.0
×
×
×
m
f
V
A=
ここに,
A: ヘキサフルオロけい酸塩(SiF6)(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積
(ml)
f: 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.003 551 9: 0.1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するSiF6
の質量を示す換算係数(g/ml)
7
容器
容器は,気密容器(材質は,ポリエチレン,その他ふっ化水素酸に侵されないもの)とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“ふっ化カリウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者又はその略号