K 8810:2018
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度[CH3(CH2)2CH2OH](GC) ····················································································· 3
6.3 外観 ···························································································································· 4
6.4 水溶状 ························································································································· 4
6.5 エタノール溶状 ············································································································· 5
6.6 密度(20 ℃) ··············································································································· 5
6.7 屈折率 ··················································································································· 5
6.8 水分 ···························································································································· 6
6.9 不揮発物 ······················································································································ 6
6.10 酸(CH3COOHとして) ································································································ 6
6.11 カルボニル化合物(COとして) ····················································································· 7
6.12 蛍光試験 ····················································································································· 8
6.13 硫酸着色物質 ··············································································································· 9
7 容器······························································································································ 10
8 表示······························································································································ 10
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 11
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D
n
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8810:2007は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成30年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8810:2007によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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1-ブタノール(試薬)
1-Butanol (Reagent)
CH3(CH2)2CH2OH FW:74.12
序文
この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3:
Specifications−Second series R52 1-Butanol, Butyl alcoholを基とし,技術の進歩を反映し,技術的内容を変更
して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる1-ブタノールについて規定する。
警告1 1-ブタノールは,引火性があるので火気に注意する。また,有害なので,蒸気を吸入しない
ようにし,粘膜・皮膚への付着などを避ける。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート)などを参考にして各自の責任にお
いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
注記1 別名:n-ブチルアルコール,n-ブタノール
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second series R52
1-Butanol, Butyl alcohol(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0061 化学製品の密度及び比重測定方法
JIS K 0062 化学製品の屈折率測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0071-1 化学製品の色試験方法−第1部:ハーゼン単位色数(白金−コバルトスケール)
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JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 0120 蛍光光度分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8129 塩化コバルト(II)六水和物(試薬)
JIS K 8142 塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8480 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
1-ブタノールは,無色透明の液体で,特異な臭いがあり,エタノール(99.5)及びジエチルエーテルに
極めて溶けやすく,水にやや溶けにくい。沸点は,約117 ℃である。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 333 cm-1,2 960 cm-1,2 934 cm-1,
2 875 cm-1,1 466 cm-1,1 379 cm-1,1 073 cm-1,1 046 cm-1及び739 cm-1付近に主な吸収を認める。この場合,
試料調製は,JIS K 0117の5.4 a)(液膜法)による。窓板に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペク
トルの一例を,図1に示す。
3
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図1−赤外吸収スペクトルの一例
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品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度[CH3(CH2)2CH2OH](GC)
面積分率 %
99.0以上
6.2
外観
ハーゼン単位
10以下
6.3
水溶状
−
試験適合
6.4
エタノール溶状
−
試験適合
6.5
密度(20 ℃)
g/mL
0.808〜0.811
6.6
屈折率
20
D
n
−
1.398〜1.400
6.7
水分
質量分率 %
0.2以下
6.8
不揮発物
質量分率 %
0.002以下
6.9
酸(CH3COOHとして)
質量分率 %
0.003以下
6.10
カルボニル化合物(COとして)
質量分率 %
0.02以下
6.11
蛍光試験
−
試験適合
6.12
硫酸着色物質
−
試験適合
6.13
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度[CH3(CH2)2CH2OH](GC)
純度[CH3(CH2)2CH2OH](GC)の試験方法は,次による。
a) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) マイクロシリンジ又は試料導入装置 少量の定容量の測定溶液をガスクロマトグラフのカラムに導
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入するマイクロシリンジ又は装置。
2) ガスクロマトグラフ 装置の構成は,JIS K 0114に規定するもの。
b) 分析条件 分析条件は,次による。
なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても
よい。
1) 検出器の種類 水素炎イオン化検出器
2) 固定相液体名 メチルシリコーン
3) 固定相液体の膜厚 2.0 μm(内径1.2 mmの場合)又は5.0 μm(内径0.53 mmの場合)
4) カラム用キャピラリーの材質,内径及び長さ
ほうけい酸ガラス,1.2 mm及び40 m
石英ガラス,0.53 mm及び30 m
5) 設定温度
カラム槽 内径1.2 mmの場合:80 ℃で5分間保持した後,毎分5 ℃の割合で140 ℃まで昇温し
て,2分間保持する。
内径0.53 mmの場合:60 ℃で5分間保持した後,毎分5 ℃の割合で140 ℃まで昇温し
て,2分間保持する。
試料気化室 200 ℃
検出器槽 200 ℃
6) キャリヤーガスの種類及び流量 ヘリウム 内径1.2 mmの場合:20 mL/min
内径0.53 mmの場合:5 mL/min
7) 試料の導入方式 直接注入法
8) 試料の導入量 0.2 μL
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料の導入及び記録 試料をマイクロシリンジ又は試料導入装置を用いてガスクロマトグラフに導
入してクロマトグラムを記録する。
なお,あらかじめ,1-ブタノールの保持時間を確認しておく。
2) ピーク面積の測定 クロマトグラムのピーク面積の測定は,JIS K 0114の11.3 a)(データ処理ソフ
ト又はデータ処理装置を用いる方法)による。
d) 定量法 JIS K 0114の11.5(面積百分率法)によって,純度[CH3(CH2)2CH2OH](GC)の含有量を算
出する。
6.3
外観
外観の試験方法は,JIS K 0071-1による。
6.4
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
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なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ
ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)
参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて20 mL
とし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
− 共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 mL,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて20 mLにする。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又は
側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.5
エタノール溶状
エタノール溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(99.5) JIS K 8101に規定するもの。
2) 硝酸(1+2) 6.4 a) 1)による。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.4 a) 2)による。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.4 a) 3)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 6.4 b)による。
c) 器具 主な器具は,次による。
− 共通すり合わせ平底試験管 6.4 c)による。
d) 操作 操作は,引火性のエタノールが発生するため,排気に注意して,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料4.0 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,エタノール(99.5)を加えて
20 mLにする。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又は
側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“エタノール溶状:試験適合(規格値)”と
する。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.6
密度(20 ℃)
密度(20 ℃)は,JIS K 0061の7.2(比重瓶法)又は7.3(振動式密度計法)による。
6.7
屈折率
20
D
n
屈折率
20
D
nは,JIS K 0062による。
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6.8
水分
水分は,JIS K 0068の6.3(容量滴定法)又は6.4(電量滴定法)による。この場合,試料は,容量滴定
法の場合は5 g,電量滴定法の場合は1 gをとり,滴定溶媒はJIS K 8891に規定するメタノールとする。
6.9
不揮発物
不揮発物は,JIS K 0067の4.3.4 (1)(第1法 水浴上で加熱蒸発する方法)による。試料50 gを用いる。
なお,試料は蒸発操作に用いる器具の大きさに合わせ,数回に分割して加えてよい。
6.10
酸(CH3COOHとして)
酸(CH3COOHとして)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
3) 緩衝液(pH 6.8) 0.1 mol/Lりん酸二水素カリウム溶液50 mL及び0.2 mol/L水酸化ナトリウム溶液
11.82 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えたもの。0.2
mol/L水酸化ナトリウム溶液のファクターが1.000でない場合は,加える体積を補正する。
また,0.1 mol/Lりん酸二水素カリウム溶液及び0.2 mol/L水酸化ナトリウム溶液を調製する場合
は,次による。
− 0.1 mol/Lりん酸二水素カリウム溶液の調製は,JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム(pH
標準液用)6.80 g(質量分率100 %としての相当質量)を全量フラスコ500 mLにはかりとり,適
量の二酸化炭素を除いた水で溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。ほうけ
い酸ガラス製瓶又はポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
− 0.2 mol/L水酸化ナトリウム溶液の調製は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用い,JIS K
8001のJA.6.4 r) 3)(0.2 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)によって調製する。
4) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをはかりとり,JIS
K 8102に規定するエタノール(95)50 mLを加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。
5) 0.02 mol/L 塩酸(HCl:0.729 2 g/L) 1 mol/L 塩酸10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,
水を標線まで加えて混合したもの。気密容器に入れて保存する。
なお,1 mol/L 塩酸を調製する場合は,JIS K 8180に規定する塩酸(特級)を用い,JIS K 8001
のJA.6.4 e) 2)(1 mol/L 塩酸)によって調製,標定及び計算する。
6) 0.02 mol/L水酸化ナトリウム溶液(NaOH:0.799 9 g/L) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液10 mLを全
量フラスコ500 mLに正確にとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合したもの。ポリエ
チレンなどの樹脂製気密容器に入れる。使用時に調製する。
なお,1 mol/L水酸化ナトリウム溶液を調製する場合は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム
を用い,JIS K 8001のJA.6.4 r) 1)(1 mol/L水酸化ナトリウム溶液)によって調製する。
7) 0.05 mol/L水酸化ナトリウム溶液(NaOH:2.000 g/L) 1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液10 mLを全
量フラスコ200 mLに正確にとり,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合した後,ポリエチ
レンなどの樹脂製気密容器に入れる。使用時に調製,ファクターは,1 mol/L水酸化ナトリウム溶液
のファクターを用い,樹脂製気密容器に保存する。
なお,1 mol/L水酸化ナトリウム溶液を調製する場合は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム
を用い,JIS K 8001のJA.6.4 r) 1)(1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)によって調製,標定及び計算
する。
7
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b) 器具 主な器具は,次による。
− メスピペット又はミクロビュレット 最小目盛0.01 mL以下のもの。
c) 操作 操作は,窒素ガスを使用するので,排気に注意して,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,あらかじめ窒素を約200 mL/minの流量で約2分間通じて空気を置換した分液漏
斗100 mLに,手早く二酸化炭素を除いた水25 mL及びブロモチモールブルー溶液3滴を加え,液
面に窒素を通じながら,0.02 mol/L水酸化ナトリウム溶液又は0.02 mol/L塩酸を液の色が中間色1)
になるまでメスピペット又はミクロビュレットを用いて滴加する。直ちに試料20 gを加えて,約2
分間激しく振り混ぜた後,放置する。
注1) 緩衝液(pH 6.8)約25 mLを共通すり合わせ三角フラスコ100 mLにとり,ブロモチモール
ブルー溶液3滴を加えたときの色。
2) 白の背景を用いて,試料溶液の下層(水相)の色を,分液漏斗の側方から観察する。
3) 試料溶液の下層(水相)の色が,塩基性色(青)の場合,操作を終了する。
4) 試料溶液の下層(水相)の色が,塩基性色(青)でない場合,あらかじめ窒素を2分間通じて空気
を置換した共通すり合わせ三角フラスコ100 mLに水相を移し,窒素を液面に通じながら,0.05 mol/L
水酸化ナトリウム溶液0.20 mLを加える。色の判別が難しい場合は,ブロモチモールブルー溶液3
滴を加える。
なお,0.05 mol/L水酸化ナトリウム溶液のファクターが1.000でない場合は,加える体積を補正す
る。
5) 白の背景を用いて,試料溶液から得られた下層(水相)の色を,共通すり合わせ三角フラスコの側
方から観察する。
d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“酸(CH3COOHとして):質量分率0.003 %
以下(規格値)”とする。
1) 試料溶液の下層(水相)の色は,中間色から塩基性色(青)を示す。
2) 試料溶液から得られた下層(水相)の色は,中間色から塩基性色(青)を示す。
注記 0.05 mol/L水酸化ナトリウム溶液1 mLは,0.003 002 6 g CH3COOHに相当する。
6.11
カルボニル化合物(COとして)
カルボニル化合物(COとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
2) エタノール(アルデヒド及びケトン試験用) JIS K 8101に規定するエタノール(99.5)500 mLに
JIS K 8480に規定する2,4-ジニトロフェニルヒドラジン10 g及びJIS K 8180に規定する塩酸(特級)
0.2 mLを加え,共通すり合わせ還流冷却器を付けて2時間還流した後,蒸留したもの。初留100 mL
を捨て,続く留分300 mLを用いる。その留分は着色してはならない(CH3COCH3:質量分率約1 ppm
以下)。
3) 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン・エタノール溶液 デシケーター中で乾燥したJIS K 8480に規定
する2,4-ジニトロフェニルヒドラジン2) 0.1 gをはかりとり,JIS K 8180に規定する塩酸(特級)3 mL
及びエタノール(アルデヒド及びケトン試験用)を加えて溶かし,エタノール(アルデヒド及びケ
トン試験用)を加えて50 mLにしたもの。
注2) 2,4-ジニトロフェニルヒドラジンは,加熱・衝撃,摩擦等によって爆発する場合がある。
また,可燃性で,燃えると一酸化炭素,二酸化炭素,窒素酸化物などを発生するため,
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
取扱いに十分注意する。
4) 水酸化カリウム・エタノール溶液 エタノール(アルデヒド及びケトン試験用)70 mLに水を加え
て100 mLにする(A液)。JIS K 8574に規定する水酸化カリウム11.8 gをはかりとり,A液を加え
て溶かし,A液を加えて100 mLにしたもの。
5) カルボニル標準液(CO:0.01 mg/mL) JIS K 8034に規定するアセトン2.07 gを全量フラスコ1 000
mLにはかりとり,エタノール(アルデヒド及びケトン試験用)を標線まで加えて混合する。この
液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,エタノール(アルデヒド及びケトン試験用)を
標線まで加えて混合したもの。使用時調製する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
− 共通すり合わせ平底試験管 6.4 c)による。
c) 操作 操作は,引火性のエタノールが発生するため,排気に注意して,次のとおり行う。
1) 試料1.0 gを全量フラスコ20 mLにはかりとり,エタノール(アルデヒド及びケトン試験用)を標
線まで加えて混合する(A液)。
2) 試料溶液の調製は,A液1.0 mL(試料量0.05 g)を全量フラスコ25 mLにとり,エタノール(アル
デヒド及びケトン試験用)4 mLを加える。
3) 比較溶液の調製は,エタノール(アルデヒド及びケトン試験用)4 mLを全量フラスコ25 mLにとり,
カルボニル標準液(CO:0.01 mg/mL)1.0 mLを正確に加える。
4) 試料溶液及び比較溶液それぞれに,2,4-ジニトロフェニルヒドラジン・エタノール溶液1.0 mLを加
えて30分間放置した後,ピリジン8 mL,水2 mL及び水酸化カリウム・エタノール溶液5 mLを加
えて振り混ぜ,10分間放置した後,エタノール(アルデヒド及びケトン試験用)を加えて25 mLに
する。
5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側方から観察して,色を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られる液の色が,比較溶液から得られる液の暗い赤より濃
くないとき,“カルボニル化合物(COとして):質量分率0.02 %以下(規格値)”とする。
6.12
蛍光試験
蛍光試験は,次による。
a) 試験用溶液類 主な試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸キニーネ標準液(0.03 µg/mL) 105 ℃〜110 ℃で約3時間乾燥した硫酸キニーネ(純度:質量
分率98.0 %以上)150 mgを全量フラスコ500 mLにはかりとり,硫酸(0.05 mol/L)を標線まで加え
て混合したもの。使用時に,この液1.0 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,硫酸(0.05 mol/L)
を標線まで加えて混合する。その1.0 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,硫酸(0.05 mol/L)
を標線まで加えて混合する。
2) 硫酸(0.05 mol/L) JIS K 8951に規定する硫酸を用い,JIS K 8001のJA.6.4 y) 4)(0.05 mol/L 硫酸)
によって調製する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 蛍光測定用セル 溶液,溶媒などによる蛍光を測定するために,それらを入れる容器。
2) 分光蛍光度計 装置の構成は,JIS K 0120に規定するもの。
c) 分析条件 分析条件は,次による。
なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることを確認した場合には,その条件を用いても
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K 8810:2018
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よい。
励起光側波長352 nm,蛍光側波長456 nmとし,硫酸キニーネ標準液(0.03 µg/mL)を蛍光測定用
セルに入れ,波長456 nmにおける蛍光強度が100 %になるように感度を調節する。
d) 操作 試料を蛍光測定用セルに入れ,励起側波長を253 nmに変更し,波長220 nm〜600 nmの蛍光ス
ペクトルを測定する。
e) 判定 d)によって操作し,波長220 nm〜600 nmにおける蛍光強度の最大値が100 %を超えないとき,
“蛍光試験:試験適合(規格値)”とする。
6.13
硫酸着色物質
硫酸着色物質の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 主な試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
2) 塩化コバルト(II)比色原液 JIS K 8129に規定する塩化コバルト(II)六水和物59.5 g(質量分率
100 %としての相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,全量
フラスコ1 000 mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合したもの。
なお,塩酸(1+39)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積39とを
混合する。
3) 塩化鉄(III)比色原液 JIS K 8142に規定する塩化鉄(III)六水和物45.0 g(質量分率100 %とし
ての相当質量)をビーカー1 000 mLにはかりとり,塩酸(1+39)を加えて溶かし,全量フラスコ1 000
mLに移し,更に塩酸(1+39)を標線まで加えて混合したもの。
なお,塩酸(1+39)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積39とを
混合する。
b) 着色の程度の適合限度標準 着色の程度の適合限度標準“比色標準液H”の調製は,次による。
表2に示す割合によって比色標準液H 5.0 mLを共通すり合わせ平底試験管に調製する。
表2−硫酸着色物質試験用比色標準液H
比色標準液の記号
比色原液 mL
水 mL
塩化コバルト(II)
塩化鉄(III)
H
0.2
1.5
3.3
c) 器具 主な器具は,次による。
− 共通すり合わせ平底試験管 6.4 c)による。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 共通すり合わせ平底試験管に試料5 mLをとり,約10 ℃に冷却する。振り混ぜながら,約10 ℃に
冷却した硫酸5 mLを発熱に注意して徐々に加え,栓をして30秒間激しく振り混ぜた後,約10 ℃
に冷却し,15分間静置する。
2) 白の背景を用いて,共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から試料溶液の色を観察する。
e) 判定 d)によって操作し,試料溶液の硫酸相が,比色標準液Hの色より濃くないとき“硫酸着色物質:
試験適合(規格値)”とする。
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容器
容器は,気密容器とする。
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表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“1-ブタノール”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 8810:2018 1-ブタノール(試薬)
ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second series
R52 1-Butanol, Butyl alcohol
(I)JISの規定
(II)
国際規
格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 試薬として用いる
1-ブタノールについ
て規定。
1
化学分析用試薬57品目
の仕様について規定。
変更
JISは1品目1規格。
試薬の規格使用者が各規格を多く
引用しやすくするために1品目1
規格としている。
なお,対応国際規格は,30年以上
見直しがされていないため,市場
の実態に合わない。国際規格の改
正提案を検討する。
2 引用規格
3 種類
−
−
追加
種類の項目を追加。
JISは種類として“特級”だけな
ので,ISO規格と技術的な差異は
ない。
4 性質
−
−
追加
性質の項目を追加。
一般的な説明事項であり,技術上
の差異はない。
5 品質
R52.1
変更
追加
品質に差のある項目:酸。
追加した項目:水溶状,エタノール
溶状,屈折率,蛍光試験及び硫酸着
色物質。
ISO規格は,長期間内容の見直し
が行われておらず,技術的な差異
も軽微である。
6 試験方法 6.1 一般事項
R52.2
追加
項目を追加。
編集上の差異であり,技術上の差
異ではない。
6.2 純度
[CH3(CH2)2CH2OH]
(GC)
R52.2.3
ガスクロマトグラフィ
ー
変更
分析条件などを変更。
国際的にも広く普及しているキャ
ピラリーカラム法に変更。ISO規
格の見直し時に,改正提案の検討
を行う予定。
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K
8
8
1
0
:
2
0
1
8
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規
格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
6 試験方法 6.3 外観
R52.2.1
目視法
変更
JIS K 0071-1を引用。
JISとして必要。
(続き)
6.4 水溶状
−
−
追加
項目を追加。
JISとして必要。ISO規格の見直
し時に,改正提案の検討を行う予
定。
6.5 エタノール溶状
−
−
追加
項目を追加。
6.6 密度(20 ℃)
R52.2.2
比重瓶法
選択
JIS K 0061の7.3の項目を追加。
精度の高い振動式密度計法を選択
できるようにした。ISO規格の見
直し時に,改正提案の検討を行う
予定。
6.7 屈折率
20
D
n
屈折計測定法
−
−
追加
項目を追加。
JISとして必要。ISO規格の見直
し時に,改正提案の検討を行う予
定。
6.8 水分
R52.2.7
カールフィッシャー滴
定法
変更
1) 試料の量などを変更。
2) JIS K 0068の6.3及び6.4を引
用。
JISは,定期的に見直しを行って
いるが,ISO規格は,長年見直し
が行われていないことから,実績
のある従来のJIS法を踏襲。技術
的な差異は軽微であり,対策は考
慮しない。
6.9 不揮発物
R52.2.4
重量法
変更
1) 試料の量を変更。
2) JIS K 0067の4.3.4を引用。
6.10 酸(CH3COOH
として)
R52.2.5
中和滴定
変更
操作の一部を変更。
6.11 カルボニル化
合物(COとして)
R52.2.6
比色法
変更
試料量,試薬の濃度などを変更。
6.12 蛍光試験
蛍光光度分析法
−
−
追加
項目を追加。
JISとして必要。ISO規格の見直
し時に,改正提案の検討を行う予
定。
6.13 硫酸着色物質
比色法
−
−
追加
項目を追加。
JISとして必要。ISO規格の見直
し時に,改正提案の検討を行う予
定。
7 容器
−
−
追加
項目を追加。
規格適合性を評価する関係で必
要。
8 表示
−
−
追加
項目を追加。
規格適合性を評価する関係で必
要。
1
2
K
8
8
1
0
:
2
0
1
8
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6353-3:1987,MOD
関連する外国規格
REAGENT CHEMICALS−American Chemical Society Specifications,ACS (2010)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
− 選択 ················ 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
1
3
K
8
8
1
0
:
2
0
1
8