K 8802:2007
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 一般事項 ························································································································· 1
4 種類······························································································································· 1
5 性質······························································································································· 2
5.1 性状 ···························································································································· 2
5.2 定性方法 ······················································································································ 2
6 品質······························································································································· 2
7 試験及び検査方法 ············································································································· 2
7.1 試験及び検査方法の条件並びに結果 ··················································································· 2
7.2 純度〔K4[Fe(CN)6]・3H2O〕 ······························································································ 2
7.3 水溶状 ························································································································· 2
7.4 塩化物(Cl) ················································································································ 2
7.5 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 3
7.6 ナトリウム(Na) ·········································································································· 3
8 記録······························································································································· 3
9 容器······························································································································· 3
10 表示 ····························································································································· 3
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································· 4
K 8802:2007
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申
出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8802:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 8802:2007
ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム三水和物(試薬)
Potassium hexacyanoferrate (II) trihydrate (Reagent)
K4[Fe(CN)6]・3H2O FW:422.39
序文
この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 6353-3,Reagents for chemical analysis−Part 3:
Specifications−Second seriesを基に作成した日本工業規格であるが,対応国際規格の規定の一部に市場の実
態を反映していない部分があるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム三水和物1) について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second series (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを
示す。
注1) 別名:フェロシアン化カリウム
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
3
一般事項
試験及び検査方法の一般的な事項は,JIS K 8001による。
4
種類
種類は,特級とする。
2
K 8802:2007
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5
性質
5.1
性状
ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム三水和物は,黄色の結晶で,水にやや溶けやすく,エタノールにほと
んど溶けない。
5.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水20 mlを加えて溶かす(A液)。A液5 mlに塩化鉄(Ⅲ)溶液(100 g/l)1 mlを加えると,
青い沈殿が生じる。
b) A液5 mlに酒石酸溶液(200 g/l)1 ml及び酢酸ナトリウム溶液(200 g/l)1 mlを加えると,白い沈殿
が生じる。
6
品質
品質は,箇条7によって試験及び検査したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
純度〔K4[Fe(CN)6]・3H2O〕
質量分率 % 99.5以上
水溶状
試験適合
塩化物(Cl)
質量分率 % 0.003以下
硫酸塩(SO4)
質量分率 % 0.005以下
ナトリウム(Na)
質量分率 % 0.01以下
7
試験及び検査方法
7.1
試験及び検査方法の条件並びに結果
試験及び検査方法の環境は,JIS K 8001の3.7(試験操作など)(1)(試験の環境)による。湿度管理は,
必要に応じて実施する。また,表1で規定する各品質項目の試験及び検査は,次の各試験及び検査方法に
よって行い,得られる測定値の計算方法及び規格値に対する判定は,JIS K 8001の3.5(測定値)による。
7.2
純度〔K4[Fe(CN)6]・3H2O〕
試料1 gを0.1 mgのけたまではかりとり,水150 ml及び硫酸(1+5)60 mlを加えて溶かし,0.02 mol/l
過マンガン酸カリウム溶液で滴定する。終点は,液の色が30秒間紅色を保つ点とする。
別に,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
この場合,0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液1 mlは,0.042 24 g K4[Fe(CN)6]・3H2Oに相当する。
7.3
水溶状
水溶状は,JIS K 8001の5.2(溶状)による。この場合,試料1 g,濁りの程度の適合限度標準はJIS K 8001
の5.2(1)(濁りの程度の適合限度標準)(a)(澄明)を用いる。
7.4
塩化物(Cl)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料2.0 gに水150 mlを加えて溶かし,硫酸銅(Ⅱ)溶液(100 g/l)25 mlを加えてよく
かき混ぜた後,水を加えて200 mlにする。2時間放置後,洗浄ろ紙[JIS P 3801に規定するろ紙(化
学分析用)(5種C)]を用いてろ過し,初めのろ液約20 mlは捨て,次のろ液(B液)をとる。B液
20 ml(試料量0.2 g)をとり,JIS K 8541に規定する硝酸3 ml及び水を加えて25 mlにする。
3
K 8802:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 標準側溶液 B液60 mlにJIS K 8541に規定する硝酸9 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)3 mlを加え,水
浴中で10分間加熱した後,冷却し,水を加えて75 mlにする。洗浄ろ紙[JIS P 3801に規定するろ紙
(化学分析用)(5種C)]を用いてろ過し,初めのろ液約20 mlは捨て,次のろ液25 mlをとる。
c) 操作 JIS K 8001の5.7[塩化物(Cl)](2)[比濁法(着色試料の場合)]による。この場合,塩化物
標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.60 mlを用いる。
7.5
硫酸塩(SO4)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料5.0 gに水を加えて溶かして100 ml(C液)にする。C液25 ml(試料量1.25 g)に
酢酸(1+1)0.5 mlを加える。
b) 標準側溶液 C液5 ml(試料量0.25 g)に硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml)5.0 ml及び水を加えて25
mlにし,更に酢酸(1+1)0.5 mlを加える。
c) 操作 JIS K 8001の5.15[硫酸塩(SO4)](1)(比濁法)による。
7.6
ナトリウム(Na)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料1.0 gに水を加えて溶かして100 mlにする(X液)。
b) 標準側溶液 試料1.0 gにナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml)1.0 ml及び水を加えて溶かして100 ml
にする(Y液)。
c) 操作 JIS K 8001の5.31(原子吸光法)(1)(直接噴霧法)(d)(操作)による。
8
記録
記録は,JIS K 0050の12.(記録)による。
9
容器
容器は,気密容器とする。
10 表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 名称 “ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム三水和物”及び“試薬”の文字
b) 種類
c) 化学式及び式量
d) 純度
e) 内容量
f)
製造番号
g) 製造業者名又はその略号
4
K 8802:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 8802:2007 ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム三水和物(試薬)
ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second
series
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
箇条番号及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
試薬として用いるヘ
キサシアノ鉄(Ⅱ)
酸カリウム三水和物
について規定。
1
化学分析用試薬57
品目の仕様について
規定。
変更
JISは1品目1規格。
試薬の規格使用者が各規格を多
く引用しやすくするために1品
目1規格としている。
なお,対応国際規格は20年以
上見直しが行われていないため
市場の実態に合わない。国際規
格の改正提案を検討する予定。
2 引用規格
3 一般事項
JIS K 8001による。
−
−
追加
項目を追加。
編集上の差異であり,技術的な
差異はない。
4 種類
−
−
追加
種類の項目を追加。
JISは種類として“特級”だけ
なので,ISO規格と技術的な差
異はない。
5 性質
−
−
追加
性質の項目を追加。
一般的な説明事項であり,技術
的な差異はない。
6 品質
R80.1
変更
1) 品質に差異のある項目:純
度,塩化物,ナトリウム。
2) ISO規格は水不溶分,JIS
は水溶状に変更。
ISO規格は,長期間内容の見直
しが行われず国際市場でISO規
格品が用いられることはほとん
どない。また,技術的差異も軽
微1), 2), 3) である。
R80.2
試験溶液の調製
変更
JISは,試験及び検査方法の
該当項目ごとに規定。
編集上の差異であり,技術的な
差異はない。
4
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8
0
2
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2
0
0
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
箇条番号及び名称
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7 試験及び検査方
法
7.1 試験及び検査
方法の条件並びに
結果
−
追加
一般的な試験及び検査方法の条
件並びに結果に関する事項であ
り,技術的な差異はない。
7.2 純度
〔K4[Fe(CN)6]
・3H2O〕
滴定法
R80.3.1
滴定法
変更
試薬,操作などを変更。
JISは,技術的改良をしたこと
から操作性に差異がある。ISO
規格の見直し時に,改正提案の
検討を行う予定。
7.3 水溶状
水溶状
R80.3.2
水不溶分
変更
1) 試料量,操作などを変更。
2) JIS K 8001の5.2を引用。
7.4 塩化物(Cl)
比濁法
R80.3.3
比濁法
変更
1) 標準液量,操作などを変更。
2) JIS K 8001の5.7を引用。
技術的な差異は軽微であり,対
策は考慮しない。
7.5 硫酸塩(SO4) 比濁法
R80.3.4
種晶添加比濁法
変更
1) 試料量,試薬,操作などを
変更。
2) JIS K 8001の5.15を引用。
7.6 ナトリウム
(Na)
原子吸光法
R80.3.5
原子吸光法
変更
1) 試料量などを変更。
2) JIS K 8001の5.31を引用。
8 記録
−
−
追加
項目を追加。
規格適合性を評価する関係で必
要な項目を追加。
9 容器
−
−
追加
項目を追加。
10 表示
−
−
追加
項目を追加。
注1) 理由:軽微な技術的差異。箇条6(品質)の(Ⅳ)欄の1) 及び2) は,いずれも一般用途の試薬としては軽微な技術的差異であり,この差が取引上の障害になる
可能性はほとんどない。ISO規格,JISとも品質項目の設定・品質水準の設定は,市場での長い使用実績・経験を踏まえたものである。ISO規格とJISとの質量
分率ppm〜質量分率pptレベルの不純物のごくわずかの差異は,経験上,一般用途の試薬としては実用上差し支えないものと考えられる。
なお,不純物のごくわずかの差異がどのような影響を及ぼすか,あらゆる用途を想定して検証することは現実的ではない。この(Ⅳ)の1) 及び2) の品質項目
及び品質水準が不満足な場合は,通常,JIS試薬,ISO規格試薬とも対応できない。この場合,対応策としては,目的に合致した高純度試薬など特殊用途の試薬
を使用することになる。
2) ISO試薬規格の状況:ISO規格の試薬は,規格の維持管理が行われていない(規格制定後約20年経過)。このため,ISO規格の内容が現在の市場の要求にこたえ
ているかどうかの検討が行われていない(JISとの差)。また,ISO規格の試薬は,我が国だけではなく,国際市場でも商取引がほとんどなく国際規格としての
存在意義が乏しい。
3) 今後の対策:注1) 及び注2) の理由から,当面,対策を考慮しない。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6353-3:1987,MOD
被引用法規
食品・添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)
医薬品等に使用することができるタール色素(昭和41年厚生省令第30号)
第十四改正日本薬局方(平成13年厚生労働省告示第111号)
飼料及び飼料添加物の成分規格(昭和51年農林省令第35号)
普通肥料の公定規格(昭和61年農林水産省告示第284号) 附2 農業環境技術研究所法
関連する法規
−
関連する外国規格
アメリカ Reagent Chemicals−American Chemical Society Specifications ACS(2000)
イギリス British Standards BS 6376-3(1989)
韓国 韓国産業規格(Korean Standards) KS M 8131(1999),KS M ISO 6353-3(2002)
中国 国家標準(Guojia Biaozhum) GB/T 1273(1988)
フランス Norme Française(フランス標準) NF ISO 6353-3(1988)
ロシア Gosdarstvennye Standarty(国家標準) GOST 4207(1975)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
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