K 8799:2020
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(C20H14O4) ··········································································································· 3
6.3 エタノール溶状 ············································································································· 4
6.4 吸光度(0.01 g/L,pH 9.8) ······························································································ 4
6.5 変色範囲(pH) ············································································································ 5
7 容器······························································································································· 5
8 表示······························································································································· 6
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS K 8799:2012は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,令和2年9月22日までの間は,産業標準化法第30条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8799:2012を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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フェノールフタレイン(試薬)
Phenolphthalein (Reagent)
C20H14O4 FW:318.32
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるフェノールフタレインについて規定する。
注記 別名:3,3'-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1(3H)-イソベンゾフラン-1-オン
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8322 クロロホルム(試薬)
JIS K 8500 N,N-ジメチルホルムアミド(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8622 炭酸水素ナトリウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
2
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JIS K 8920 よう素(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
フェノールフタレインは,白又は僅かにうすい黄の結晶性粉末で,エタノール(99.5)にやや溶けやす
く,ジエチルエーテルに溶けにくく,水にほとんど溶けない。融点は,約262 ℃である。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 383 cm-1,1 737 cm-1,1 611 cm-1,
1 513 cm-1及び1 224 cm-1付近に主な吸収ピークを認める。この場合,試料調製は,JIS K 0117の5.2 b)(錠
剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を図1に示す。
[出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所の有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)(チャート上にピー
クの波数を追記)]
図1−赤外吸収スペクトルの例
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
3
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表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C20H14O4)
質量分率 %
98.0以上
6.2
エタノール溶状
−
試験適合
6.3
吸光度(0.01 g/L,pH 9.8)
−
0.60以上
6.4
変色範囲(pH)
−
(無色)7.8〜10.0(紅色)
6.5
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(C20H14O4)
純度(C20H14O4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) N,N-ジメチルホルムアミド JIS K 8500に規定するもの。
2) クロロホルム JIS K 8322に規定するもの。
3) 硫酸(1+2) 水の体積2を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加えたもの。
4) 炭酸ナトリウム溶液(0.2 mol/L) JIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム2.12 gを全量フラスコ100
mLにとり,水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合したもの。
5) 炭酸水素ナトリウム溶液(0.2 mol/L) JIS K 8622に規定する炭酸水素ナトリウム1.68 gを全量フ
ラスコ100 mLにとり,水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合したもの。
6) 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物及びJIS K
8625に規定する炭酸ナトリウム又はJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタノールを用い,JIS K
8001のJA.6.4 t) 2)(0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液)に従って,調製,標定及び計算したもの。
7) 0.05 mol/L よう素溶液(I2:12.69 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム,JIS K 8920に規定
するよう素及びJIS K 8180に規定する塩酸(特級)を用い,JIS K 8001のJA.6.4 w)(0.05 mol/L よ
う素溶液)に従って,調製,標定及び計算したもの。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせよう素フラスコ JIS R 3503の付図21-1又は付図21-2に規定する300 mLのもの。
よう素フラスコには,A形及びB形がある。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料0.1 gを共通すり合わせよう素フラスコ300 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,N,N-ジメチルホ
ルムアミド5 mLを加えて溶かす。
2) 炭酸ナトリウム溶液(0.2 mol/L)25 mL及び炭酸水素ナトリウム溶液(0.2 mol/L)25 mLを加えた
後,0.05 mol/L よう素溶液40 mLを正確に加えて振り混ぜ,1分間放置する。
3) クロロホルム10 mL及び硫酸(1+2)5 mLを加え,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で激しく振
り混ぜながら滴定する。
4) 終点は,クロロホルム相の紫が消える点とする。
5) 別に,同一条件で空試験を行う。
d) 計算 純度(C20H14O4)は,次の式によって算出する。
4
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100
)
(
0
979
003
0
1
1
2
×
×
×
=
m
f
V
V
.
A
−
ここに,
A: 純度(C20H14O4)(質量分率 %)
m1: はかりとった試料の質量(g)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(mL)
f: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
0.003 979 0: 0.05 mol/L よう素溶液1 mLに相当するC20H14O4の質
量を示す換算係数(g/mL)
6.3
エタノール溶状
エタノール溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mLにしたもの。褐色
ガラス製瓶に保存する。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)
参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加えて
20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 容量50 mL,直径約24 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,エタノール(95)を加え
て,加温して溶かし,更にエタノール(95)を加えて20 mLにする。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液を観察し,濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物など
の異物の有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くなく,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めないとき,
“エタノール溶状:試験適合(規格値)”とする。
6.4
吸光度(0.01 g/L,pH 9.8)
吸光度(0.01 g/L,pH 9.8)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) エタノール(99.5) JIS K 8101に規定するもの。
2) 緩衝液(pH 9.8) JIS K 8001のJA.7(緩衝液)による。この場合,pH 9.78〜pH 9.82の範囲から
外れる場合,JIS Z 8802に規定するpH計(形式II以上の性能のもの)を用い,この溶液を0.05 mol/L
炭酸水素ナトリウム溶液又は0.2 mol/L 水酸化ナトリウム溶液でpH 9.78〜pH 9.82に調節する。
なお,0.05 mol/L 炭酸水素ナトリウム溶液及び0.2 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の調製は,JIS K
5
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8622に規定する炭酸水素ナトリウム及びJIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用い,JIS K
8001の表JA.9(緩衝液調製用溶液の調製)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 吸収セル 光路長が10 mmのもの。
2) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料0.10 gを全量フラスコ100 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,エタノール(99.5)10 mLを加
えて溶かし,更にエタノール(99.5)を標線まで加えて混合する(B液)。
2) 試料溶液の調製は,B液1.0 mLを正確に全量フラスコ100 mLにとり,緩衝液(pH 9.8)を標線ま
で加えて混合し,約5分間放置する。
3) 吸収セルを用い,分光光度計で波長553 nmにおける吸光度を,緩衝液(pH 9.8)を対照液としてJIS
K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定する。
d) 計算 吸光度(0.01 g/L,pH 9.8)は,次の式によって算出する。
2
10
.0
m
D
C
×
=
ここに,
C: 吸光度(0.01 g/L,pH 9.8)
D: 吸光度の測定値
m2: はかりとった試料の質量(g)
0.10: 規定された試料の質量(g)
6.5
変色範囲(pH)
変色範囲(pH)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) エタノール(95) 6.3 a) 1)による。
2) 緩衝液(pH 7.8) JIS K 8001のJA.7(緩衝液)による。
3) 緩衝液(pH 10.0) JIS K 8001のJA.7(緩衝液)による。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料0.10 gを全量フラスコ250 mLにはかりとり,エタノール(95)100 mLを
加えて溶かし,更にエタノール(95)を標線まで加えて混合する。
2) 緩衝液(pH 7.8)及び緩衝液(pH 10.0)それぞれ10 mLを別の共通すり合わせ平底試験管にとり,
1)で調製した試料溶液0.2 mLをそれぞれに加える。
3) 白の背景を用いて,共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から液の色を観察する。
d) 判定 緩衝液(pH 7.8)の溶液の色が,無色となり,緩衝液(pH 10.0)の溶液の色が,紅色となると
き,“変色範囲(pH):(無色)7.8〜10.0(紅色)(規格値)”とする。
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
6
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8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“フェノールフタレイン”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号