2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 8789-1995
1, 10-フェナントロリン−水和物(試薬)
1, 10−Phenanthroline monohydrate
C12H8N2・H2O FW: 198.22
1. 適用範囲 この規格は,試薬として用いる1, 10-フェナントロリン−水和物について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
2. 共通事項 この規格に共通する事項は,JIS K 8001による。
3. 種類 特級
4. 性質 1, 10-フェナントロリン−水和物は,次の性質を示す。
(1) 性状 1, 10-フェナントロリン−水和物は,白い結晶又は結晶性粉末で,エタノールに溶けやすく,水
及びジエチルエーテルに溶けにくい。
(2) 定性方法 試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 400 cm−1,1 590 cm−
1,1 420 cm−1,1 350 cm−1,l 140 cm−1及び740 cm−1付近に主な吸収を認める。この場合,試料調製は
JIS K 0117の6.2(1)(錠剤法)による。赤外吸収スペクトルの一例を図1に示す。
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図1 赤外吸収スペクトルの一例
5. 品質 品質は,6.によって試験し,表1に適合しなければならない。
表1 品質
項目
規格値
純度
99.0%以上
水溶状
試験適合
エタノール溶状
試験適合
強熱残分(硫酸塩)
0.05%以下
鉄分析適合性
試験適合
6. 試験方法 試験方法は,次のとおりとする。
(1) 純度 99.0%以上
試料0.4g(0.1mgのけたまではかる)+酢酸50ml→溶かす→0.1mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)でJIS K 0113
の5.(電位差滴定方法)によって滴定を行う。この場合,指示電極にはガラス電極,参照電極には塩
化銀電極を用いる。
別に同一条件で空試験を行い,滴定量を補正する。
0.1mol/l過塩素酸(酢酸溶媒)1mlは,0.019 822g C12H8N2・H2Oに相当する。
(2) 水溶状
試料0.3g+水 (→20ml) →水浴中で加熱して溶かす……澄明。
(3) エタノール溶状
試料1g+エタノール (95) (→20 l) ……澄明。
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(4) 強熱残分(硫酸塩) 0.05%以下
JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。試料2.0g及び硫酸0.5mlを用い,
残分1mg以下。
(5) 鉄分析適合性
試料溶液:0.10g+水50ml→加熱して溶かす→冷却+水 (→100ml)。
測定溶液:鉄標準液 (0.01mgFe/ml) 4ml(正確にとる)→全量フラスコ20mlに入れる+塩酸 (2+1) 1ml
+水5ml+塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液 (100g/l) 1ml→約5分間放置+試料溶液0.50ml→振り混
ぜる+酢酸アンモニウム溶液 (250g/l) 5ml→水を標線まで加える→20〜30℃で15分間放置。
空試験溶液:塩酸 (2+1) 1ml→全量フラスコ20mlにとる+水10ml+塩化ヒドロキシルアンモニウム
溶液 (100g/l) 1ml→約5分間放置+試料溶液2.5ml+酢酸アンモニウム溶液 (250g/l) 5ml→水を標線ま
で加える→20〜30℃で15分間放置。
対照液:塩酸 (2+1) 1ml→全量フラスコ20mlにとる+水10ml+塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液
(100g/l) 1ml→約5分間放置+試料溶液0.50ml+酢酸アンモニウム溶液 (250g/l) 5ml→水を標線まで加
える→20〜30℃で15分間放置。
操作:測定溶液及び空試験溶液について,それぞれ対照液を対照として吸収セル(光路長10mm)を
用い,波長510nmにおける吸光度を測定……測定溶液の吸光度0.35以上,空試験溶液の吸光度0.01
以下。
7. 容器 気密容器とする。
8. 表示 容器には,次の事項を表示しなければならない。
(1) 名称 “1, 10-フェナントロリン−水和物”及び“試薬”の文字
(2) 種類
(3) 化学式,式量
(4) 品質(純度)
(5) 内容量
(6) 製造番号
(7) 製造業者名又はその略号
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原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
久保田 正 明
物質工学工業技術研究所計測化学部
地 崎 修
通商産業省基礎産業局生物化学産業課
津 田 博
通商産業省機械情報産業局計量行政室
倉 剛 進
工業技術院標準部繊維化学規格課
喜多川 忍
通商産業検査所化学部化学標準課
野々村 誠
都立工業技術センター無機化学部
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
石 橋 無味雄
厚生省国立衛生試験所
川 瀬 晃
社団法人日本分析化学会
柳 瀬 斉 彦
社団法人日本化学工業協会
藤 貫 正
社団法人日本分析化学会
並 木 昭
財団法人化学品検査協会
鶴 田 利 行
硫酸協会
中 村 靖
日本鉱業協会
大 槻 孝
社団法人日本鉄鋼協会
日 暮 喜八郎
第一化学薬品株式会社
北 田 佳 伸
和光純薬工業株式会社
飯 岡 寛 一
柳島製薬株式会社
高 野 虞美子
東京化成工業株式会社
飛 田 和 彦
米山化学工業株式会社
山 岡 宏
片山化学工業株式会社
山 田 和 夫
関東化学株式会社
(事務局)
平 井 信 次
日本試薬連合会