K 8785:2012
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(Na4P2O7・10H2O) ································································································ 3
6.3 水溶状 ························································································································· 5
6.4 pH(50 g/l,25 ℃) ······································································································· 5
6.5 塩化物(Cl) ················································································································ 6
6.6 硝酸塩 ························································································································· 6
6.7 オルトりん酸塩 ············································································································· 7
6.8 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 7
6.9 重金属(Pbとして) ······································································································ 8
6.10 ひ素(As)·················································································································· 9
6.11 鉄(Fe) ···················································································································· 11
6.12 アンモニウム(NH4) ·································································································· 13
7 容器······························································································································ 16
8 表示······························································································································ 16
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ
きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8785:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成24年12月20日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJIS
マーク表示認証において,JIS K 8785:1992によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格
JIS
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二りん酸ナトリウム十水和物(試薬)
Sodium diphosphate decahydrate (Reagent)
Na4P2O7・10H2O FW:446.06
序文
この規格は,1953年に制定され,その後6回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は,1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は,現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる二りん酸ナトリウム十水和物について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。
これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8012 亜鉛(試薬)
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬)
JIS K 8092 インジゴカルミン(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)
2
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JIS K 8202 塩化1,10-フェナントロリニウム一水和物(試薬)
JIS K 8295 グリセリン(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬)
JIS K 8371 酢酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8580 すず(試薬)
JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8780 ピロガロール(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8844 ブロモフェノールブルー(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8949 硫化ナトリウム九水和物(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬)
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1 性状
二りん酸ナトリウム十水和物は,白い結晶で,乾燥した空気中で風解する。水にやや溶けやすく,エタ
ノールにほとんど溶けない。水溶液は強アルカリ性である。
4.2 定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料2 gに水30 mlを加えて溶かす(A液)。A液10 mlに硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加えると,白い
沈殿が生じ,これに硝酸(1+2)1 ml又はアンモニア水(2+3)5 mlを加えると沈殿は溶ける。
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線を先端から約30 mmまで塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120 mm,
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内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に,内炎の最上部から約10 mmの位置に水
平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,白金線の先端約5 mm
をA液に浸し,ガスバーナーの無色炎中に入れると黄色が現れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(Na4P2O7・10H2O)
質量分率 %
99.0以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
pH(50 g/l,25 ℃)
10.0〜10.7
6.4
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.001 以下
6.5
硝酸塩
試験適合
6.6
オルトりん酸塩
試験適合
6.7
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.005 以下
6.8
重金属(Pbとして)
質量分率 ppm
5 以下
6.9
ひ素(As)
質量分率 ppm
1 以下
6.10
鉄(Fe)
質量分率 %
0.001 以下
6.11
アンモニウム(NH4)
質量分率 %
0.001 以下
6.12
6
試験方法
6.1 一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2 純度(Na4P2O7・10H2O)
純度(Na4P2O7・10H2O)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
2) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml
にする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
3) 二酸化炭素を除いた水 次の3.1)〜3.4)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
3.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却
したもの。
3.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
3.3) 水から二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて二酸化炭素を除いたもの。
3.4) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
4) ブロモフェノールブルー溶液 JIS K 8844に規定するブロモフェノールブルー0.10 gをJIS K 8102
に規定するエタノール(95)50 mlに溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
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5) 1 mol/l 塩酸(HCl:36.46 g/l) 1 mol/l 塩酸の調製,標定及び計算は,次による。
5.1) 調製 JIS K 8180に規定する塩酸90 mlをはかりとり,水を加えて1 000 mlとし,混合した後,
気密容器に入れて保存する。
5.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム
を用い,次のとおり行う。
5.2.1) 認証標準物質1)の炭酸ナトリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
5.2.2) 容量分析用標準物質の炭酸ナトリウムを用いる場合は,必要量を白金るつぼに入れて600±
10 ℃で約60分間加熱した後,デシケーターに入れて放冷する。
5.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム1.3〜1.4 gを0.1 mgの桁まではかりと
り,コニカルビーカー200 mlに移し,水20 mlを加えて溶かす。指示薬としてブロモフェノール
ブルー溶液数滴を加え,5.1)で調製した1 mol/l 塩酸で滴定する。この場合,終点付近で煮沸し
て二酸化炭素を除き,冷却した後に滴定を行う。終点は,液の色が青紫から青みの緑になる点と
する。
注1) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際単位
系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標準物質を入手
できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることができ,その説明書に
従って使用する。
なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合
センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標準
物質生産者がある。
5.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
99
052
.0
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f: 1 mol/l 塩酸のファクター
m: はかりとった炭酸ナトリウムの質量(g)
A: 炭酸ナトリウムの純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した1 mol/l 塩酸の体積(ml)
0.052 99: 1 mol/l 塩酸1 mlに相当する炭酸ナトリウムの質量を
示す換算係数(g/ml)
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
電位差滴定装置 JIS K 0113に規定するもので,指示電極にガラス電極を,参照電極には銀−塩化
銀電極を用いる。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料5 gをはかり瓶に0.1 mgの桁まではかりとり,二酸化炭素を除いた水75 mlを加えて溶かし,
ビーカー200 mlなどに移し,溶かす。約15 ℃に保ちながら1 mol/l 塩酸でJIS K 0113の5.(電位差
滴定方法)によって滴定する。別に,同一条件で空試験を行い,滴定量を補正する。
d) 計算 純度(Na4P2O7・10H2O)は,次の式によって算出する。
100
)
(
03
223
.0
1
2
×
×
×
m
f
V
V
A
−
=
ここに,
A: 純度(Na4P2O7・10H2O)(質量分率 %)
V2: 滴定に要した1 mol/l 塩酸の体積(ml)
V1: 空試験に要した1 mol/l 塩酸の体積(ml)
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f: 1 mol/l 塩酸のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.223 03: 1 mol/l 塩酸1 mlに相当するNa4P2O7・10H2Oの質量を示
す換算係数(g/ml)
6.3 水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。溶液は,褐
色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“澄明”)は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無を確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 ml,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにする。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又は
側面から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4 pH(50 g/l,25 ℃)
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pH(50 g/l,25 ℃)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
2) 二酸化炭素を除いた水 6.2 a) 3)による。
3) pH標準液 JIS Z 8802の箇条7(pH標準液)による。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) 恒温水槽 (25±0.5)℃に調節できるもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え
て溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカーにと
る。
2) pHの測定は,JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温(25±0.5)℃の恒温水槽につ
(浸)けた試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。
6.5 塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 2)による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 6.3 a) 3.2)による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml及び硝酸(1+2)10 ml
を加えて溶かし,水を加えて25 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)1.0 ml及び硝酸(1+2)10 mlを共通すり合わ
せ平底試験管にとり,水を加えて25 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加えて振り混ぜた後,15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率0.001 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.6 硝酸塩
硝酸塩の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
2) インジゴカルミン溶液(1.8 g/l) JIS K 8092に規定するインジゴカルミン(質量分率100 %として
の相当量)0.18 gに塩酸(2+1)15 ml及び水を加えて100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存し,
30日以内に使用する。
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3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料3.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水に溶かして10 mlにする。
2) 試料溶液にインジゴカルミン溶液(1.8 g/l)0.10 mlを加え,これに硫酸10 mlを振り混ぜながら徐々
に加え,10分間放置する。
3) 白の背景を用いて,試料溶液から得られた液を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側面から観察
する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硝酸塩:試験適合”とする。
試料溶液から得られた液は,青を保つ。
6.7 オルトりん酸塩
オルトりん酸塩の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 2)による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
時計皿 円形,丸底の浅いガラス製などの皿。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料の調製は,粉末にした試料1.0 gを時計皿にとり,硝酸銀溶液(20 g/l)2 mlで試料を浸す。
2) 白の背景を用いて,試料の色を観察する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“オルトりん酸塩:試験適合”とする。
試料に黄を認めない。
6.8 硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩酸(2+1) 6.6 a) 3)による。
3) 塩化バリウム溶液(100 g/l) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして
100 mlにする。
4) 硫酸塩標準液
4.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
4.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
4.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
4.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.81 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
4.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) pH試験紙 pHの測定に用いる,ろ紙に酸塩基指示薬をしみこませた試験紙。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料3.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水20 mlを加えて溶かし,pH
試験紙を用いて塩酸(2+1)でpH 約4.5に調節した後,塩酸(2+1)1.3 mlを加えて,水で30 ml
にする(B液)。B液15 ml(試料量1.5 g)を共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて25 ml
にする。
2) 比較溶液の調製は,B液5 ml(試料量0.5 g)を共通すり合わせ平底試験管にとり,硫酸塩標準液(SO4:
0.01 mg/ml)5.0 ml及び水を加えて25 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 ml及び塩化バリウム溶液(100 g/l)2 mlを加えて振
り混ぜた後,1時間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.005 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.9 重金属(Pbとして)
重金属(Pbとして)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.6 a) 3)による。
2) 酢酸ナトリウム溶液(200 g/l) JIS K 8371に規定する酢酸ナトリウム三水和物33.2 gを水に溶か
して100 mlにする。
3) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
4) 硫化ナトリウム・グリセリン溶液 JIS K 8295に規定するグリセリン30 mlに水10 mlを加えた溶
液にJIS K 8949に規定する硫化ナトリウム九水和物5 gを加えて溶かす。放置後上澄み液を用いる。
冷所に保存し3か月以内に使用する。
5) 鉛標準液
5.1) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
5.1.3) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,硝酸(1+2)1 ml及
び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
5.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,水を標線まで加えて混合する。使用時に調製する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) pH試験紙 6.8 b) 2)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料4.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水28 mlを加えて溶かし,pH
試験紙を用いて塩酸(2+1)でpH 約3.5に調節した後,水を加えて40 mlにする(C液)。C液25
ml(試料量2.5 g)を共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて30 mlにする。
9
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) 比較溶液の調製は,C液5 ml(試料量0.5 g)及び鉛標準液(Pb:0.01 mg /ml)1.0 mlを共通すり合
わせ平底試験管にとり,水を加えて30 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,塩酸(2+1)0.5 mlを加えた後,酢酸ナトリウム溶液(200 g/l)でpH 約
3.5に調節し,水を加えて40 mlにする。硫化ナトリウム・グリセリン溶液0.05 mlを加えて振り混
ぜた後,5分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側面から観察して暗色を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“重金属(Pbとして):質量分率5 ppm以下(規格値)”
とする。
試料溶液から得られた液の暗色は,比較溶液から得られた液の暗色より濃くない。
6.10 ひ素(As)
ひ素(As)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150〜1 400 μmのもの。
2) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
3) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法
用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分
析用)に溶かし,塩酸(ひ素分析用)で100 mlにする。小粒のJIS K 8580に規定する粒状のすず2
〜3個を加えて保存する。褐色ガラス製瓶に保存する。これを,使用時に水で10倍にうすめる。
4) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを
混合する。
5) 塩酸(ひ素分析用)(1+3) 塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積3とを混合する(必要な場合
に用いる。)。
6) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/l) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gを水に溶かして100
mlにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mlを加える。
7) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規
定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをピリジンに溶かし,ピリジンで100 mlにする。
褐色ガラス製瓶に入れ,冷所に保存する。
8) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gを水に溶かして
100 mlにする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
9) よう化カリウム溶液(200 g/l) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gを水に溶かして100 ml
にする。使用時に調製する。
10) ひ素標準液
10.1) ひ素標準液(As:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
10.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
10.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
10.1.3) JIS K 8044に規定する三酸化二ひ素1.32 gに水酸化ナトリウム溶液(100 g/l)6 mlを加えて溶か
し,水500 mlを加える。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した後,水で全量フラス
コ1 000 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。
10.2) ひ素標準液(As:0.001 mg/ml) ひ素標準液(As:1 mg/ml)25 mlを全量フラスコ250 mlに正確
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。その10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確にはかり
とり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの(必
要な場合に用いる)。
2) ひ素試験装置 例を図1に示す。
3) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを水素化ひ素発生瓶100 mlにとり,水20 mlを加えて溶かす。
2) 比較溶液の調製は,ひ素標準液(As:0.001 mg/ml)2.0 mlを水素化ひ素発生瓶100 mlにとり,水
20 ml加える。
3) 空試験溶液の調製は,水20 mlを水素化ひ素発生瓶100 mlにとる(空試験溶液は,吸光度を測定す
る場合に調製する。)。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mlを加え,水で40 mlにする。
これらによう化カリウム溶液(200 g/l)15 ml及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mlを加え
て振り混ぜ,10分間放置する。次に亜鉛(ひ素分析用)(粒径 150〜1 400 µmのもの)3 gを加え,
直ちに水素化ひ素発生瓶100 mlと導管B(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン
溶液5 mlを入れ,導管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)とを連結して約25 ℃の水中
で約1時間放置した後,水素化ひ素吸収管Cを離し,ピリジンを5 mlの標線まで加える。
5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を水素化ひ素吸収管Cの上方
又は側面から観察して赤を比較する。
なお,必要があれば吸収セルを用い,分光光度計で波長510 nm付近の吸収極大の波長における吸
光度を空試験溶液からのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液としてJIS K 0115の6.(特定波長におけ
る吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“ひ素(As):質量分率1 ppm以下(規格値)”
とする。
1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。
2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
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単位 mm
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
水素化ひ素発生瓶100 ml
導管
水素化ひ素吸収管
ゴム栓又はすり合わせ
酢酸鉛(II)溶液(100 g/l)で
湿したガラスウール
40 mlの標線
5 mlの標線
図1−ひ素試験装置の例
6.11
鉄(Fe)
鉄(Fe)の試験方法は,6.11.1(第1法 原子吸光法)又は6.11.2(第2法 1,10-フェナントロリン法)
のいずれかを用いる。
6.11.1 第1法 原子吸光法
第1法 原子吸光法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.6 a) 3)による。
2) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
3) 鉄標準液
3.1) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
3.1.3) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,
硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保
存する。
3.2) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確には
かりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存
する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 JIS K 0121に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 g及び塩酸(2+1)2 mlを全量フラスコ50 mlにとり,水を加えて溶か
し,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料2.0 g,塩酸(2+1)2 ml及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)2.0 mlを全量フ
ラスコ50 mlにとり,水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合する(Y液)。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,測定波長248.3 nm付近で吸光度
が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,鉄の吸光度を測定し,
X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値(n1)と,Y液の指示値(n2)からX液の指示値(n1)を引いたn2−n1
とを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“鉄(Fe):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 鉄の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
×
m
n
n
n
B
A
−
=
ここに,
A: 鉄の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の鉄の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.11.2 第2法 1,10-フェナントロリン法
第2法 1,10-フェナントロリン法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/l) JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ
ウム10 gを水に溶かして100 mlにする。
2) 塩酸(2+1) 6.6 a) 3)による。
3) 酢酸アンモニウム溶液(250 g/l) JIS K 8359に規定する酢酸アンモニウム25 gを水に溶かして100
mlにする。
4) 1,10-フェナントロリン溶液(2 g/l) JIS K 8202に規定する塩化1,10-フェナントロリニウム一水和
物0.28 gを,水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
5) 鉄(III)標準液
5.1) 鉄(III)標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
5.1.3) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,
塩酸(2+1)3 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存
する。
5.2) 鉄(III)標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄(III)標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確にはかりとり,塩酸(2+1)3 mlを加え,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製
瓶に保存する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gをビーカー100 mlにとり,水20 mlを加えて溶かし,塩酸(2+1)2 ml
を加えて煮沸する。液量が約10 mlになったところで,ビーカーの器壁を少量の水で洗い,更に約
5 mlになるまで煮沸する。この液を,少量の水で共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて水
で15 mlにする。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) 比較溶液の調製は,鉄(III)標準液(Fe:0.01 mg/ml)1.0 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,
塩酸(2+1)2 ml及び水を加えて15 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/l)1 mlを加えて,5分間放
置後,1,10-フェナントロリン溶液(2 g/l)1 ml,酢酸アンモニウム溶液(250 g/l)10 ml及び水を加
えて30 mlとし,20〜30 ℃で15分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,黄みの赤を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“鉄(Fe):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の黄みの赤より濃くない。
6.12 アンモニウム(NH4)
アンモニウム(NH4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mlに溶かす。これ
にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,
水で100 mlにする。
2) 酢酸(1+1) JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
3) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質
量分率5〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でうす
める。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
3.1) 有効塩素の定量方法 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質量分率5〜12 %)10 gを0.1 mgの
桁まではかりとり,全量フラスコ200 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mlを共
通すり合わせ三角フラスコ300 mlに正確にはかりとり,水100 ml,JIS K 8913に規定するよう化
カリウム2 g及び酢酸(1+1)6 mlを加えて栓をして振り混ぜる。約5分間暗所に放置後,指示薬
としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん
溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mlを加える。終点は,液の青が消え
る点とする。
別に,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
100
200
/
20
3
545
003
.0
)
(
2
1
×
×
×
×
m
f
V
V
A
−
=
ここに,
A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質量分率5〜12 %)
の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質量
分率5〜12 %)の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するClの
質量を示す換算係数(g/ml)
4) 水酸化ナトリウム(300 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして水
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
100 mlにする。この溶液は,ポリエチレン製瓶に保存する。
5) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mlを加えてかき混ぜながら熱
水200 ml中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所に保存し10日以内に使
用する。
6) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)18 mlをビーカー200 mlにとる,冷
水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K 8034
に規定するアセトン4 mlを加え,水で100 mlにする。使用時に調製する。
7) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8780に規定するピロガロール10 gを水酸化ナトリウ
ム溶液(300 g/l)80 mlに溶かし,更に水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)を加えて全量を100 mlにす
る(必要ならば用いる。)。この溶液は,使用時に調製する。
8) 溶存酸素を除いた水 次の8.1)〜8.5)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
8.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロー
ル・水酸化ナトリウム溶液を入れたものを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。
8.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
8.3) 水から酸素分離膜をもつガス分離管を用いて溶存酸素を除いたもの。
8.4) 水を超音波振動装置で十分に脱気を行ったもの。
8.5) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
注記 脱イオン化された水を用いる場合,脱イオン装置によっては酸素を含む場合がある。
9) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加える。
10) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O4・5H2O:24.82 g/l) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶
液の調製,標定及び計算は,次による。
10.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ
トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に入
れて保存する。調製後2日間放置したものを用いる。
10.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用い,次のとおり
行う。
10.2.1) 認証標準物質1)のよう素酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
10.2.2) JIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合,必要量をめのう
乳鉢で軽く砕いて,130 ℃で約2時間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。
10.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.9〜1.1 gを全量フラスコ250 ml
に0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。その25 ml
を共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに正確にはかりとり,水100 mlを加える。次に,JIS K
8913に規定するよう化カリウム2 g及び硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振
り混ぜて,暗所に5分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,10.1)で調製した0.1 mol/l
チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい
黄になったときに約0.5 mlを加える。終点は,液の青が消える点とする。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに水125 ml及びよう化カリウム2 gをはかりとり,
硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置し,同一条
件で空試験を行って滴定量を補正する。
10.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
)
(
7
566
003
.0
250
/
25
2
1
A
V
V
m
f
×
×
×
−
=
ここに,
f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
0.003 566 7: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するよう
素酸カリウムの質量を示す換算係数(g/ml)
11) アンモニウム標準液
11.1) アンモニウム標準液(NH4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
11.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
11.1.2) JCSS以外の認証標準物質など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
11.1.3) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム2.97 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶
かし,水を標線まで加えて混合する。
11.2) アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/ml) アンモニウム標準液(NH4:1 mg/ml)10 mlを全量フ
ラスコ1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 6.10 b) 1)による。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
3) 恒温水槽 20〜25 ℃に調節できるもの。
4) 分光光度計 6.10 b) 3)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし,水で15 ml
にする。
2) 比較溶液の調製は,アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/ml)1.0 mlを共通すり合わせ平底試験管に
とり,水を加えて15 mlにする。
3) 空試験溶液は,共通すり合わせ平底試験管に水10 mlをとる。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,EDTA2Na溶液(インドフェノール青法用)1 ml及びナト
リウムフェノキシド溶液4 mlを加えてよく振り混ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効
塩素質量分率約 1 %)2.5 mlを加え,更に水を加えて25 mlにし,20〜25 ℃の恒温水槽で15分間
放置する。
5) 試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液は,空試験溶液から得られた液を対照液とし,吸
収セルを用いて,分光光度計で波長630 nm付近の吸収極大の波長における吸光度をJIS K 0115の
6.(特定波長における吸収の測定)によって測定し,比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“アンモニウム(NH4):質量分率0.001 %以下”(規格
16
K 8785:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
値)とする。
試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “二りん酸ナトリウム十水和物”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号