K 8783:2012
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法 ························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(K2S2O7) ············································································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 5
6.4 塩化物(Cl) ················································································································ 6
6.5 りん酸塩(PO4) ··········································································································· 6
6.6 窒素化合物(Nとして)·································································································· 7
6.7 ナトリウム(Na) ········································································································· 11
6.8 銅(Cu),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),鉛(Pb)及び鉄(Fe) ····························· 12
6.9 ひ素(As) ·················································································································· 18
7 容器······························································································································ 19
8 表示······························································································································ 19
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ
きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8783:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成24年12月20日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJIS
マーク表示認証において,JIS K 8783:1992によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格
JIS
K 8783:2012
二硫酸カリウム(試薬)
Potassium disulfate (Reagent)
K2S2O7 FW:254.32
序文
この規格は,1953年に制定され,その後7回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は,1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発の進歩などに対応するために改正した。
なお,対応国際規格は,現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる二硫酸カリウムについて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 0970 プッシュボタン式液体用微量体積計
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8012 亜鉛(試薬)
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
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JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬)
JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8548 硝酸カリウム(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8580 すず(試薬)
JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8617 炭酸カルシウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8653 デバルダ合金(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8780 ピロガロール(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8810 1-ブタノール(試薬)
JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬)
JIS K 8905 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 8995 硫酸マグネシウム七水和物(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1 性状
二硫酸カリウムは,白い塊又は粉末で,潮解性がある。また,水に溶けて硫酸水素カリウム溶液となる。
4.2 定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水100 mlを加えて溶かす(A液)。A液10 mlに塩化バリウム溶液(100 g/l)1 mlを加える
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と,白い沈殿が生じる。
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線の先端から約30 mmまでを塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120
mm,内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に入れた後,内炎の最上部から約10 mm
の位置に水平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,A液に
白金線の先端約5 mmを浸し,ガスバーナーの無色炎中に入れ,炎をコバルトガラスで透かして見る
とき紫が現れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(K2S2O7)
質量分率 %
98.0 以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
塩化物(Cl)
質量分率 ppm
5 以下
6.4
りん酸塩(PO4)
質量分率 %
0.001 以下
6.5
窒素化合物(Nとして)
質量分率 %
0.002 以下
6.6
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.02 以下
6.7
銅(Cu)
質量分率 ppm
2以下
6.8
マグネシウム(Mg)
質量分率 %
0.001 以下
6.8
カルシウム(Ca)
質量分率 %
0.003 以下
6.8
鉛(Pb)
質量分率 ppm
2以下
6.8
ひ素(As)
質量分率 ppm
1 以下
6.9
鉄(Fe)
質量分率 ppm
5 以下
6.8
6
試験方法
6.1 一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2 純度(K2S2O7)
純度(K2S2O7)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの。
2) 水酸化カリウム溶液(250 g/ml) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100
mlにする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
3) 二酸化炭素を除いた水 次の3.1)〜3.4)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
3.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
ウム溶液(250 g/ml)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷
却したもの。
3.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
3.3) 水から二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて二酸化炭素を除いたもの。
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3.4) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
4) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをエタノール(95)
50 mlに溶かし,水で100 mlにする。
5) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g /l) 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の調製,標定及
び計算は,次による。
5.1) 調製 JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム165 gをポリエチレンなどの気密容器500 mlには
かりとり,二酸化炭素を除いた水150 mlを加えて溶かした後,二酸化炭素を遮り4〜5日間放置す
る。その上澄み液54 mlをポリエチレン製などの気密容器1 000 mlにとり,二酸化炭素を除いた
水を加えて1 000 mlとし,混合した後,ソーダ石灰管を付けて保存する。
5.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のアミド硫酸を用
い,次のとおり行う。
5.2.1) 認証標準物質1) のアミド硫酸を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
5.2.2) 容量分析用標準物質のアミド硫酸を用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いた後,上口デ
シケーター(減圧デシケーター)に入れ,上口デシケーター内圧2.0 kPa以下で約48時間乾燥す
る。
5.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質のアミド硫酸2.4〜2.6 gを0.1 mgの桁まではかりコニカ
ルビーカー100 mlに移し,水25 mlを加えて溶かした後,指示薬としてブロモチモールブルー溶
液数滴を加え,5.1)で調製した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,液の色が黄
から青みの緑に変わる点とする。
注1) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際単位
系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただし,認証書のある標準物質を入手
できない場合には,含有率が明らかな市販の標準物質を用いることができ,その説明書に
従って使用する。
なお,認証標準物質の供給者としては,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合
センター(NMIJ),米国の国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標
準物質生産者がある。
5.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
09
097
.0
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったアミド硫酸の質量(g)
A: アミド硫酸の純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
0.097 09: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するアミド硫
酸の質量を示す換算係数(g/ml)
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料4.0 gを0.1 mgの桁まではかり,コニカルビーカー200 mlなどに移し,二酸化炭素を除いた水
50 mlを加えて溶かす。指示薬としてブロモチモールブルー溶液数滴を加えて振り混ぜた後,1 mol/l 水
酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,液の色が黄から青みの緑になる点とする。
c) 計算 純度(K2S2O7)は,次の式によって算出する。
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100
16
127
.0
×
×
×
m
f
V
A=
ここに,
A: 純度(K2S2O7)(質量分率 %)
V: 滴定に要した1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液の体積(ml)
f: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.127 16: 1 mol/l 水酸化ナトリウム溶液1 mlに相当するに二硫酸
カリウムの質量を示す係数(g/ml)
6.3 水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“ほとんど澄明”)は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.5 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無を確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 ml,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにする。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又は
側面から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)〜2)に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
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1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4 塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 2)による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 6.3 a) 3.2)による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 mlを加えて溶かし,水を
加えて20 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01/ml)1.0 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を
加えて20 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸(1+2)5 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加えて振り混ぜた後,
15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.5 りん酸塩(PO4)
りん酸塩(PO4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0〜30.0 %)の体積2と
水の体積3とを混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
2) 塩化すず(II)溶液(りん酸定量用) JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gを,JIS
K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)60 mlに溶かす(褐色ガラス製瓶に保存する。)。この1 mlを
硫酸(1+30)で250 mlにする。使用時に調製する。
3) 七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用) JIS K 8905に規定する七モリブデン酸六ア
ンモニウム四水和物10.6 g,水70 ml及びアンモニア水(質量分率28.0〜30.0 %)7 mlを加えて加熱
しないで溶かし,水で100 mlにする。これをろ過後,ろ液に水を加え200 mlにする。さらに,硫
酸(1+5)10 mlを加える。
七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用)の洗浄は,これを分液漏斗に移し,JIS K 8810
に規定する1-ブタノール30 mlを加え1〜2分間激しく振り混ぜる。放置後,上層(1-ブタノール相)
と下層(水相)とを分離する(水相を保存する。)。
洗浄操作で分離した1-ブタノール相を硫酸(1+5)15 mlで洗い,下層(硫酸相)を除去する操
作を2回行った後,1-ブタノール相に塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)15 mlを加え30秒間振
り,放置し,1-ブタノール相に青が現れないことを確認する。
なお,1-ブタノール相に青が現れた場合は,保存水相の洗浄及び確認を繰り返す。ポリエチレン
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製瓶などに保存する。
4) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加える。
5) りん酸塩標準液
5.1) りん酸塩標準液(PO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
5.1.3) JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム1.43 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。
5.2) りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/ml) りん酸塩標準液(PO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) pH試験紙 pHの測定に用いる,ろ紙に酸塩基指示薬をしみこませた試験紙。
3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gをビーカー100 mlなどにとり,水10 mlを加えて溶し,数分間煮沸し
た後放冷する。アンモニア水(2+3)でpH試験紙を用いて中和した後,共通すり合わせ平底試験
管に移し,水を加えて20 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,中和に用いた量のアンモニア水(2+3)をビーカー100 mlなどにとり,水浴上
で蒸発乾固する。少量の水で共通すり合わせ平底試験管に移し,りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/ml)
1.0 ml及び水を加えて20 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硫酸(1+5)2.5 ml及び七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定
量用)1 mlを加えて振り混ぜて3分間放置する。これに塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)1 ml
を加え,振り混ぜて10分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側面から観察して青を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“りん酸塩(PO4):質量分率0.001 %以下(規格値)”と
する。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の青より濃くない。
6.6 窒素化合物(Nとして)
窒素化合物(Nとして)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) デバルダ合金 JIS K 8653に規定するもの。
2) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mlに溶かす。これ
にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,
水で100 mlにする。
3) 吸収液 図1の受器Hに硫酸(1+15)2 mlに水18 mlを加える。
なお,吸収液を調製した受器Hは,試験に必要な数を準備する。
8
K 8783:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4) 酢酸(1+1) JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
5) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質
量分率5〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でうす
める。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
5.1) 有効塩素の定量方法 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質量分率5〜12 %)10 gを0.1mgの
桁まではかりとり,全量フラスコ200 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mlを共
通すり合わせ三角フラスコ300 mlに正確にはかりとり,水100 ml,JIS K 8913に規定するよう化
カリウム2 g及び酢酸(1+1)6 mlを加えて栓をして振り混ぜる。約5分間暗所に放置後,指示薬
としてでんぷん溶液を用い,0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん
溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mlを加える。終点は,液の青が消え
る点とする。
別に,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
100
200
/
20
3
545
003
.0
)
(
2
1
×
×
×
×
m
f
V
V
A
−
=
ここに,
A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質量分率5〜12 %)
の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素質量
分率5〜12 %)の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 ml に相当するClの
質量を示す換算係数(g/ml)
6) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして
100 mlにする。ポリエチレン製瓶などに保存する。
7) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水 10 mlを加えてかき混ぜながら,
熱水200 ml中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所に保存し,10日以内
に使用する。
8) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)18 mlをビーカー200 mlにとる。冷
水中で冷却しながら,JIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K 8034
に規定するアセトン4 mlを加え,水で100 mlにする。使用時に調製する。
9) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8780に規定するピロガロール10 gを水酸化ナトリウ
ム溶液(300 g/l)80 mlに溶かし,更に水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)を加えて全量を100 mlにす
る(必要な場合に用いる。)。この溶液は使用時に調製する。
10) 溶存酸素を除いた水 次の10.1)〜10.5)のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
10.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロー
ル・水酸化ナトリウム溶液を入れたものを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。
10.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
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10.3) 水から酸素分離膜をもつガス分離管を用いて溶存酸素を除いたもの。
10.4) 水を超音波振動装置で十分に脱気を行ったもの。
10.5) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
注記 脱イオン化された水を用いる場合,脱イオン装置によっては酸素を含む場合がある。
11) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々
に加える。
12) 硫酸(1+15) 水の体積15を冷却してかき混ぜながら,硫酸の体積1を徐々に加える。
13) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/l) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶
液の調製,標定及び計算は,次による。
13.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナ
トリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に入
れて保存する。調製後2日間放置したものを用いる。
13.2) 標定 標定は,認証標準物質1)又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウ
ムを用い,次のとおり行う。
13.2.1) 認証標準物質1)のよう素酸カリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
13.2.2) 容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,必要量をめのう乳鉢で軽く砕いて,
130 ℃で約2時間乾燥した後,デシケーターに入れて放冷する。
13.2.3) 認証標準物質1)又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.9〜1.1 gを全量フラスコ250 ml
に0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。その25 ml
を共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに正確にはかりとり,水100 mlを加える。次に,よう
化カリウム2 g及び硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5
分間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,13.1)で調製した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウ
ム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに
約0.5 mlを加える。終点は,液の青が消える点とする。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに水125 ml及びよう化カリウム2 gをはかりとり,
硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置し,同一条
件で空試験を行って滴定量を補正する。
13.3) 計算 ファクターは, 次の式によって算出する。
100
)
(
7
566
003
.0
250
/
25
2
1
A
V
V
m
f
×
×
×
−
=
ここに,
f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
0.003 566 7: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するよう
素酸カリウムの質量を示す換算係数(g/ml)
14) 窒素標準液
14.1) 窒素標準液(N:1 mg/ml) JIS K 8548に規定する硝酸カリウム7.22 gを全量フラスコ1 000 ml
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にとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
14.2) 窒素標準液(N:0.01 mg/ml) 窒素標準液(N:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確
にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
3) 沸騰石 液体を沸騰させるとき突沸を防ぐために入れる多孔質の小片。
4) 恒温水槽 20〜25 ℃に調節できるもの。
5) 蒸留装置 例を図1に示す。
6) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料1.0 gをとり,水を加えて溶かし約140 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコAに窒素標準液(N:0.01 mg/ml)2.0 mlをとり,水を加えて約
140 mlにする。
3) 空試験溶液は,蒸留フラスコAに水約140 mlを入れる。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,沸騰石2〜3粒を入れる。a) 3)で調製した吸収液の入った受
器Hに,逆流止めGの先端を浸す。蒸留フラスコAにデバルダ合金1 gを入れ,直ちに蒸留装置に
連結する。これに水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)10 mlを注入漏斗Dから加える。注入漏斗Dを
水10 mlで洗い,すり合わせコックCを閉じる。加熱して蒸留して初留約75 mlをとり,水を加え
て100 mlにする(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られた液をY液及び空試験溶
液から得られた液をZ液とする。)。
5) X液10 ml,Y液10 ml及びZ液10 mlをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管にとり,EDTA2Na溶
液(インドフェノール青法用)1 ml及びナトリウムフェノキシド溶液4 mlを加えてよく振り混ぜる。
これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率 約1 %)2.5 mlを加え,更に水を加えて
25 mlにし,20〜25 ℃の恒温水槽で15分間放置する。
6) X及びY液から得られた液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,分光光度計
で波長630 nm付近の吸収極大の波長における吸光度を,JIS K 0115の6.(特定波長における吸収の
測定)によって測定して比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“窒素化合物(Nとして):質量分率0.002 %以下(規格
値)”とする。
X液から得られた吸光度は,Y液から得られた吸光度より大きくない。
単位 mm
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
L:
蒸留フラスコ500 ml
連結導入管
すり合わせコックK-16
注入漏斗
ケルダール形トラップ球(E':小孔)
球管冷却器300 mm
逆流止め(約50 ml)
受器(有栓形メスシリンダー100 ml)
共通すり合わせ
共通テーパー球面すり合わせ
押さえばね
ヒーター
図1−蒸留装置の例
6.7 ナトリウム(Na)
ナトリウム(Na)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ナトリウム標準液
1.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
1.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
1.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
1.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
1.2) ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/ml) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 JIS K 0121に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
えて混合する(S液)。S液10.0 ml(試料量0.10 g)を全量フラスコ100 mlにとり,水を標線まで加
えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,S液10.0 mlを全量フラスコ100 mlにとり,ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/ml)
2.0 mlを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,ナトリウムの測定波長589.0 nm
付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をフレーム中に噴霧し,ナトリウムの吸
光度を測定する。X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値(n1)と,Y液の指示値(n2)からX液の指示値(n1)を引いたn2−n1
とを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.02 %以下(規格値)”
とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 ナトリウムの含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
×
m
n
n
n
B
A
−
=
ここに,
A: ナトリウムの含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中のナトリウムの質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.8 銅(Cu),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
試験方法は,分析種に応じて,表2に示す第1法又は第2法のいずれかを用いる。
表2−分析種と対応する試験方法
分析種
試験方法
銅(Cu),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),
鉛(Pb)及び鉄(Fe)
第1法 原子吸光法
銅(Cu),マグネシウム(Mg),鉛(Pb)及び
鉄(Fe)
第2法 ICP発光分光分析法
6.8.1 第1法 原子吸光法
分析種と対応する試験方法を表3に示す。
表3−分析種と対応する原子吸光法の試験方法
分析種
試験方法
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
第1.1法 原子吸光法(溶媒抽出法)
マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca) 第1.2法 原子吸光法(直接噴霧法)
6.8.1.1 第1.1法 原子吸光法(溶媒抽出法)
第1.1法 原子吸光法(溶媒抽出法)は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) アンモニア水(2+3) 6.5 a) 1)による。
3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
4) くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/l) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
10 gを水に溶かして100 mlにする。
5) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/l)[NaDDTC溶液(10 g/l)] JIS K 8454
に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gを水に溶かして100 mlにす
る。使用時に調製する。
6) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
7) 銅標準液,鉛標準液及び鉄標準液
7.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれ
かのものを用いる。
7.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
7.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
7.1.3) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml)を調製する
場合
7.1.3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml) JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物3.93 gを全量フラスコ
1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
7.1.3.2) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 ml
にとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
7.1.3.3) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全
量フラスコ1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
7.2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml),鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)
7.2.1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml) 銅標準液(Cu:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確
にはかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
7.2.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
7.2.3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に
保存する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 分液漏斗200 ml JIS R 3503に規定するもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
3) フレーム原子吸光分析装置 6.7 b)による。
4) 水浴 6.5 b) 3)による。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を,表4に示す。
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表4−分析種及び測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
銅
Cu
324.8
鉛
Pb
283.3
鉄
Fe
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料10 gをビーカー200 mlなどにとり,水50 ml及びアンモニア水(2+3)
14 mlを加えて溶かす。冷却後,水で80 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,試料10 gをビーカー200 mlなどにとり,水50 ml,銅標準液(Cu:0.01 mg/ml)
2.0 ml,鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)2.0 ml及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)5.0 ml及びアンモニア水
(2+3)14 mlを加えて溶かし,冷却後,水で80 mlにする。
3) 空試験溶液の調製は,アンモニア水(2+3)14 mlを水浴上で蒸発乾固し,塩酸(2+1)1滴及び水
を加えて25 mlにする。
4) 試料溶液及び比較溶液に,くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/l)2 mlを加え,pH計を用いて,
塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節し,更にNaDDTC溶液(10 g/l)5 mlを直
ちに加え,水を加えて100 mlにする。
5) これらの溶液それぞれを,分液漏斗200 mlに入れ,酢酸ブチル20 mlを加えた後,1分間激しく振
り混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分離してとる。試料溶液から
の酢酸ブチル相をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの酢酸ブチル相をY液とし,
下層は捨てる。
6) 試料溶液からの水相を分液漏斗200 mlにとり,酢酸ブチル20 mlを加えて1分間激しく振り混ぜ,
二層に分かれるまで放置して下層(水相)を分離する。この場合の上層(酢酸ブチル相)は捨てる。
再び,水相に酢酸ブチル20 mlを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して下層
(水相)を分離し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た水相に3)の空試験溶液を加え,更
にくえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/l)2 mlを加えた後,pH計を用いて,塩酸(2+1)又は
アンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節する。さらに,NaDDTC溶液(10 g/l)5 mlを直ちに加え,
酢酸ブチル20 mlを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置し上層(酢酸ブチル相)
を分離してZ液とする。
7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してフレームの状態を最適にしておき,
Y液をフレーム中に噴霧し,表4に示す測定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液,
Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値(n1),Y液
の指示値(n2)及びZ液の指示植(n3)を読み取る。
8) 測定結果は,X液の指示値(n1)からZ液の指示値(n3)を引いたn1−n3と,Y液の指示値(n2)
からX液の指示値(n1)を引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率2 ppm以下(規格値),鉛(Pb):
質量分率2 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)は,次の式によって求めることができる。
15
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6
1
2
3
1
10
000
1
×
×
×
m
n
n
n
n
B
A
−
−
=
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 ppm)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.8.1.2 第1.2法 原子吸光法(直接噴霧法)
第1.2法 原子吸光法(直接噴霧法)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.8.1.1 a) 3)による。
2) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
3) マグネシウム標準液及びカルシウム標準液
3.1) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml)及びカルシウム標準液(Ca:1 mg/ml) 次のいずれかのも
のを用いる。
3.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
3.1.3) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml)及びカルシウム標準液(Ca:1 mg/ml)を調製する場合
3.1.3.1) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml) JIS K 8995に規定する硫酸マグネシウム七水和物10.1 g
を全量フラスコ1 000 mlにとり,塩酸(2+1)15 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加
えて混合する。
3.1.3.2) カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml) JIS K 8617に規定する炭酸カルシウム2.50 gに水50 ml
及び塩酸(2+1)15 mlを加え,沸騰しない程度に加熱して溶かし,更に二酸化炭素を除き,
冷却する。これを全量フラスコ1 000 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン
製瓶などに保存する。
3.2) マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/ml)及びカルシウム標準液(Ca:0.01 mg/ml) 次のものを
用いる。
3.2.1) マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/ml) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml)10 mlを全量フ
ラスコ1 000 mlに正確にはかりとり,塩酸(2+1)15 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合
する。
3.2.2) カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/ml) カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,塩酸(2+1)15 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
ポリエチレン製瓶などに保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 6.7 b)による。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を,表5に示す。
表5−分析種及び測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
マグネシウム
Mg
285.2
カルシウム
Ca
422.7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加
えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mlにとり,マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/ml)
1.0 ml及びカルシウム標準液(Ca:0.01 mg/ml)3.0 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表5に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を
測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値(n1)と,Y液の指示値(n2)からX液の指示値(n1)を引いたn2−n1
とを比較する。
e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“マグネシウム(Mg):質量分率0.001 %以下(規格値),
カルシウム(Ca):質量分率0.003 %以下(規格値)”とする。
n1はn2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,6.7 d)の注記に準じて求めることができる。
6.8.2
第2法 ICP発光分光分析法
第2法 ICP発光分光分析法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.8.1.1 a) 3)による。
2) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
3) イットリウム標準液
3.1) イットリウム標準液(Y:1 mg/ml) 硝酸イットリウム六水和物(質量分率99.9 %以上)4.31 g
を全量フラスコ1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。
3.2) イットリウム標準液(Y:0.01 mg /ml) イットリウム標準液(Y:1 mg/ml)10 mlを全量フラス
コ1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存す
る。使用時に調製する。
注記 イットリウム標準液(Y:0.01 mg/ml)は,ICP発光分光分析法で発光強度を補正するため
の内標準物質として添加する。
4) 銅標準液,マグネシウム標準液,鉛標準液及び鉄標準液
4.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml),鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び
鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
4.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
4.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
4.1.3) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),マグネシウム(Mg:1 mg/ml)標準液,鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及
び鉄標準液(Fe:1 mg/ml)を調製する場合
4.1.3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml) 6.8.1.1 a) 7.1.3.1)による。
4.1.3.2) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml) 6.8.1.2 a) 3.1.3.1)による。
4.1.3.3) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) 6.8.1.1 a) 7.1.3.2)による。
4.1.3.4) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 6.8.1.1 a) 7.1.3.3)による。
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4.2) 銅,マグネシウム,鉛及び鉄混合標準液(Cu:0.01 mg/ml,Mg:0.01 mg/ml,Pb:0.01 mg/ml及
びFe:0.01 mg /ml)の調製 銅標準液(Cu:1 mg/ml),マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml),鉛
標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml)の各10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。使用時に調製する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) プッシュボタン式液体用微量体積計 JIS K 0970に規定するもの。
2) ICP発光分光分析装置 JIS K 0116に規定するもの。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を,表6に示す。
表6−分析種及び測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
銅
Cu
327.395
マグネシウム
Mg
279.553
鉛
Pb
220.353
鉄
Fe
259.940
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料4.0 gを全量フラスコ50 mlにとり,硝酸(1+2)1 ml及び水30 ml加えて
溶かす。イットリウム標準液(Y:0.01 mg/ml)1.0 ml加えて,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,5個の樹脂製全量フラスコ50 mlを準備する。それぞれに硝酸(1+2)1 ml,イ
ットリウム標準液(Y:0.01 mg/ml)1.0 ml及び水 10 mlをとる。それぞれの容器にプッシュボタン
式液体用微量体積計又は全量ピペットで,銅,マグネシウム,鉛及び鉄混合標準液(Cu:0.01 mg/ml,
Mg: 0.01 mg/ml,Pb:0.01 mg/ml及びFe:0.01 mg /ml)400μl,800μl,2.0 ml,10 ml,20 mlをと
り3),水を標線まで加えて混合する(それぞれ,Y1〜Y5液とする)。
注3) 1.0 ml以下はプッシュボタン式液体用微量体積計を用い,1.0 mlを超える場合は全量ピペッ
トを用いる。
3) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ50 mlに硝酸(1+2)1 ml及びイットリウム標準液(Y:0.01 mg/ml)
1.0 mlをとり,水を標線まで加えて混合する(Z液)。
4) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の5.(ICP発光分光分析)による。
5) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に
する。
6) Y1〜Y5液を噴霧し,発光線及び各標準液から作成される検量線の直線性を確認した後,最適な波
長を選択する。
7) Z液,X液,Y1〜Y5液を噴霧し,分析種の発光強度を測定する。
e) 計算 JIS K 0116の5.8.3(定量法)2)(強度比法)によって検量線を作成し,分析種の含有率を計算
する。
f)
判定 d)によって操作し,e)によって計算し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率2 ppm以下(規
格値),マグネシウム(Mg):質量分率0.001 %以下(規格値),鉛(Pb):質量分率2 ppm以下(規格
値),鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
計算して得られた含有率が,規格値を満足している。
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6.9 ひ素(As)
ひ素(As)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150〜1 400 μmのもの。
2) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
3) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法
用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分
析用)に溶かし,塩酸(ひ素分析用)で100 mlにする。小粒のJIS K 8580に規定する粒状のすず2
〜3個を加えて保存し, 使用時に水で10倍にうすめる。褐色ガラス製瓶に保存する。
4) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) 塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを混合する。
5) 塩酸(ひ素分析用)(1+3) 塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積3とを混合する(必要な場合
に用いる。)。
6) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/l) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gを水に溶かして100
mlにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mlを加える。
7) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規
定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをピリジンに溶かし,ピリジンで100 mlにする。
褐色ガラス製瓶に入れ,冷所に保存する。
8) 水酸化ナトリウム溶液(100 g/l) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gを水に溶かして
100 mlにする(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
9) よう化カリウム溶液(200 g/l) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gを水に溶かして100 ml
にする。使用時に調製する。
10) ひ素標準液
10.1) ひ素標準液(As:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
10.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
10.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
10.1.3) JIS K 8044に規定する三酸化二ひ素1.32 gに水酸化ナトリウム溶液(100 g/l)6 mlを加えて溶か
し,水500 mlを加える。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した後,水で全量フラス
コ1 000 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。
10.2) ひ素標準液(As:0.001 mg /ml) ひ素標準液(As:1 mg/ml)25 mlを全量フラスコ250 mlに正確
にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。その10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確にはかり
とり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 6.6 b) 1)による。
2) ひ素試験装置 例を図2に示す。
3) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料3.0 gを水素化ひ素発生瓶100 mlにとり,水20 mlを加えて溶かす。
2) 比較溶液の調製は,ひ素標準液(As:0.001 mg/ml)3.0 mlを水素化ひ素発生瓶100 mlにとり,水
20 ml加える。
3) 空試験溶液の調製は,水20 mlを水素化ひ素発生瓶100 mlにとる(空試験溶液は,吸光度を測定す
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る場合に調製する。)。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mlを加え,水で40 mlにする。
これらによう化カリウム溶液(200 g/l)15 ml及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mlを加え
て振り混ぜ,10分間放置する。次に亜鉛(ひ素分析用)(粒径 150〜1 400 µmのもの)3 gを加え,
直ちに水素化ひ素発生瓶100 mlと導管B(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン
溶液5 mlを入れ,導管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)とを連結する。水素化ひ素発
生瓶を約25 ℃の水中で約1時間放置した後,水素化ひ素吸収管Cを離しピリジンを5 mlの標線ま
で加える。
5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,水素化ひ素吸収管Cの上
方又は側面から観察して,赤を比較する。
なお,必要があれば吸収セルを用い,分光光度計で波長510 nm付近の吸収極大の波長における吸
光度を,空試験溶液からのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液として,JIS K 0115の6.(特定波長に
おける吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“ひ素(As):質量分率1 ppm以下(規格値)”
とする。
1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。
2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
単位 mm
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
水素化ひ素発生瓶100 ml
導管
水素化ひ素吸収管
ゴム栓又はすり合わせ
酢酸鉛(II)溶液(100 g/l)で
湿したガラスウール
40 mlの標線
5 mlの標線
図2−ひ素試験装置の例
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “二硫酸カリウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
20
K 8783:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 化学式及び式量
e) 純度
f ) 内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号