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K 8741:2018  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 種類······························································································································· 2 

4 性質······························································································································· 2 

4.1 性状 ···························································································································· 2 

4.2 定性方法 ······················································································································ 2 

5 品質······························································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 3 

6.1 一般事項 ······················································································································ 3 

6.2 濃度(遊離SO3) ··········································································································· 3 

6.3 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 4 

6.4 塩化物(Cl) ················································································································ 4 

6.5 硝酸塩 ························································································································· 5 

6.6 重金属(Pbとして) ······································································································ 5 

6.7 ひ素(As) ··················································································································· 6 

6.8 セレン(Se) ················································································································ 8 

6.9 鉄(Fe) ······················································································································ 9 

6.10 過マンガン酸還元性物質 ································································································ 9 

7 容器······························································································································ 10 

8 貯蔵方法························································································································ 10 

9 表示······························································································································ 10 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正

すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS K 8741:2012は改正され,この規格に置き換えられた。 

なお,平成30年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ

ーク表示認証において,JIS K 8741:2012によることができる。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

K 8741:2018 

発煙硫酸(試薬) 

Sulfuric acid,fuming (Reagent) 

H2SO4・xSO3 

適用範囲 

この規格は,試薬として用いる発煙硫酸について規定する。 

警告1 発煙硫酸は有害なため,蒸気を吸入しないようにし,粘膜,皮膚及び目への付着を避ける。

取扱いには必ず保護具を着用し,発煙したガスにばく(曝)露しないように局所排気施設内

などで,試料の取扱いを行う。 

なお,発煙硫酸は,有機物,可燃物及び水との接触を避ける必要がある。水と混合する必

要が生じた場合は,先に水を容器にとり,これに発煙硫酸を少量ずつかき混ぜながら加えて

混合する。 

警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす

る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので

はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート)などを参考にして,各自の責任に

おいて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法 

JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則 

JIS K 0115 吸光光度分析通則 

JIS K 8001 試薬試験方法通則 

JIS K 8012 亜鉛(試薬) 

JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬) 

JIS K 8102 エタノール(95)(試薬) 

JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬) 

JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8180 塩酸(試薬) 

JIS K 8201 塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬) 

JIS K 8202 塩化1,10-フェナントロリニウム一水和物(試薬) 

JIS K 8247 過マンガン酸カリウム(試薬) 

JIS K 8295 グリセリン(試薬) 

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JIS K 8355 酢酸(試薬) 

JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬) 

JIS K 8371 酢酸ナトリウム三水和物(試薬) 

JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬) 

JIS K 8487 ジフェニルアミン(試薬) 

JIS K 8541 硝酸(試薬) 

JIS K 8550 硝酸銀(試薬) 

JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬) 

JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬) 

JIS K 8580 すず(試薬) 

JIS K 8588 アミド硫酸アンモニウム(試薬) 

JIS K 8777 ピリジン(試薬) 

JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬) 

JIS K 8913 よう化カリウム(試薬) 

JIS K 8949 硫化ナトリウム九水和物(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8978 硫酸鉄(II)七水和物(試薬) 

JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬) 

JIS K 9005 りん酸(試薬) 

JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬) 

種類 

種類は,特級とする。 

性質 

4.1 

性状 

発煙硫酸は,無色から僅かに黄の液体又は固体である。空気中で発煙し,水と激しく反応して強く発熱

する。 

4.2 

定性方法 

水20 mLを冷却しながら試料1 mLを振り混ぜながら徐々に加え,塩化バリウム溶液(100 g/L)1 mLを

加えると白い沈殿が生じる。 

品質 

品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。 

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表1−品質 

項目 

規格値 

試験方法 

濃度(遊離SO3) 

質量分率 % 

表示濃度以上で,表示
濃度との差は5.0以下 

6.2 

強熱残分(硫酸塩) 

質量分率 % 

0.002以下 

6.3 

塩化物(Cl) 

質量分率 ppm 

2以下 

6.4 

硝酸塩 

− 

試験適合 

6.5 

重金属(Pbとして) 

質量分率 ppm 

3以下 

6.6 

ひ素(As) 

質量分率 ppm 

0.1以下 

6.7 

セレン(Se) 

質量分率 ppm 

5以下 

6.8 

鉄(Fe) 

質量分率 ppm 

4以下 

6.9 

過マンガン酸還元性物質 

− 

試験適合 

6.10 

試験方法 

6.1 

一般事項 

試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。 

6.2 

濃度(遊離SO3) 

濃度(遊離SO3)の試験方法は,排気に注意して次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) フェノールフタレイン溶液 JIS K 8799に規定するフェノールフタレイン1.0 gをはかりとり,JIS 

K 8102に規定するエタノール(95)90 mLを加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。 

2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。 

3) 1 mol/L水酸化ナトリウム溶液(NaOH:40.00 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用

い,JIS K 8001のJA.6.4 r) 1)(1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)に従って調製,標定及び計算する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 筒形はかり瓶 容量5 mL程度の栓付きで,すり合わせが気密なもの。共通すり合わせ三角フラス

コ500 mLに入るもの。 

2) 自動滴定装置(必要な場合に用いる。) 電位差滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のも

の。 

c) 操作 操作は,有害な三酸化硫黄が発生するため,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) 筒形はかり瓶を0.1 mgの桁まではかった後,試料1.0 g〜2.0 gを入れ,手早く栓をして再び0.1 mg

の桁まではかる。 

2) 二酸化炭素を除いた水150 mLを入れた共通すり合わせ三角フラスコ500 mLなどに,この筒形はか

り瓶の栓を少しずらして入れ,直ちに栓をして,氷を入れた水に約1時間放置し,振り混ぜて発生

する白煙を完全に溶かす。 

3) 共通すり合わせ三角フラスコの栓及び内壁を少量の二酸化炭素を除いた水で洗い入れる。指示薬と

してフェノールフタレイン溶液を数滴加え,1 mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定する。 

4) 終点は,液の色がうすい紅色を30秒間保つ点とする。又は,JIS K 0113の5.(電位差滴定方法)に

よって,指示電極にガラス電極,参照電極に銀−塩化銀電極を用いるか,若しくは指示電極と参照

電極とを組み合わせた複合電極を用いて,指示薬を加えずに1 mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定

を行う。終点は変曲点とする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

なお,電位差滴定を行う場合は,電極を損傷しないように,筒形はかり瓶を取り出して少量の水

で洗い,洗液は滴定に用いる共通すり合わせ三角フラスコ500 mLなどに合わせてから滴定を行う。 

d) 計算 濃度(遊離SO3)は,次の式によって算出する。 

100

04

049

.0

1

2

×

×

×

=

m

m

f

V

B

A=4.444×(B−100) 

ここに, 

A: 濃度(遊離SO3)(質量分率 %) 

B: 硫酸(H2SO4)(質量分率 %) 

V: 滴定に要した1 mol/L水酸化ナトリウム溶液の体積(mL) 

f: 1 mol/L水酸化ナトリウム溶液のファクター 

m2: 試料の入った筒形はかり瓶の質量(g) 

m1: 筒形はかり瓶の質量(g) 

0.049 04: 1 mol/L水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当するSO3の質量

を示す換算係数(g/mL) 

4.444: SO3の分子量をH2Oの分子量で除した値 

6.3 

強熱残分(硫酸塩) 

強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4 (4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。

この場合,試料50 gをはかりとり,硫酸約0.2 mLを加えず,強熱温度は600 ℃±50 ℃とする。強熱残分

は,0.1 mgの桁まではかる。 

なお,試料は蒸発皿などの大きさに合わせ,数回に分割して加えてよい。 

6.4 

塩化物(Cl) 

塩化物(Cl)の試験方法は,排気に注意して次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と

を混合したもの。 

2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加

えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。 

3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム

1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。

この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

− 共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。 

c) 操作 操作は,有害な三酸化硫黄が発生するため,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管に水15 mLをとり,冷却しながら試料10 gを振り混

ぜながら徐々に加える。冷却後,硝酸(1+2)3 mLを加え,水を加えて30 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管に水15 mLをとり,冷却しながら試料5.0 gを振り

混ぜながら徐々に加える。冷却後,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)1.0 mL及び硝酸(1+2)3 mL

を加え,水を加えて30 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液それぞれに,硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,15分間放置

する。 

4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃

くないとき,“塩化物(Cl):質量分率2 ppm以下(規格値)”とする。 

6.5 

硝酸塩 

硝酸塩の試験方法は,排気に注意して次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。 

2) ジフェニルアミン・硫酸溶液 水20 mLを冷却しながら硫酸100 mLを加えた後,冷却する(A液)。

A液にJIS K 8487に規定するジフェニルアミン0.5 gを加えて溶かしたもの。遮光して保存する。 

b) 器具 主な器具は,次による。 

− 共通すり合わせ平底試験管 6.4 b)による。 

c) 操作 操作は,有害な三酸化硫黄が発生するため,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,試料7 gに硫酸を加える。ただし,加える硫酸の体積は,遊離SO3が質量分率

10 %以上から質量分率30 %未満の場合は5 mL,質量分率30 %以上から質量分率50 %未満の場合は

10 mL,又は質量分率50 %以上の場合は15 mLとする。さらに,ジフェニルアミン・硫酸溶液5 mL

を加える。 

2) 白の背景を用いて,試料溶液の色を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から色を観察する。 

d) 判定 c)によって操作し,試料溶液に青の色が現れないとき,“硝酸塩:試験適合(規格値)”とする。 

6.6 

重金属(Pbとして) 

重金属(Pbとして)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。 

2) 酢酸ナトリウム溶液(200 g/L) JIS K 8371に規定する酢酸ナトリウム三水和物33.2 gを水に溶か

して100 mLにしたもの。 

3) 硝酸(1+2)(必要な場合に用いる。) 6.4 a) 1)による。 

4) 硫化ナトリウム・グリセリン溶液 JIS K 8295に規定するグリセリン30 mLに水10 mLを加えた溶

液にJIS K 8949に規定する硫化ナトリウム九水和物5 gを加えて溶かしたもの。放置後,上澄み液

を用いる。冷所に保存し,3か月以内に使用する。 

5) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g

を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで

加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,

水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具 主な器具は,次による。 

1) 共通すり合わせ平底試験管 6.4 b)による。 

2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。 

c) 操作 操作は,有害な三酸化硫黄が発生するため,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) 試料20 gをとり,熱板(ホットプレート)上で蒸発乾固した後,放冷する。塩酸(2+1)1 mLを

加え,水で20 mLにする(B液)(6.9の試験にも用いる。)。 

2) 試料溶液の調製は,B液10 mL(試料量10 g)を共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて15 

K 8741:2018  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

mLにする。 

3) 比較溶液の調製は,塩酸(2+1)0.5 mL及び鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)3.0 mLを共通すり合わせ

平底試験管にとり,水を加えて15 mLにする。 

4) 試料溶液及び比較溶液に,酢酸ナトリウム溶液(200 g/L)を加えてpH約3.5に調節し,水を加え

て30 mLにする。硫化ナトリウム・グリセリン溶液0.05 mLを加えて振り混ぜた後,5分間放置す

る。 

5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管

の上方又は側方から観察して色を比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の色が,比較溶液から得られた液の暗色より濃く

ないとき,“重金属(Pbとして):質量分率3 ppm以下(規格値)”とする。 

6.7 

ひ素(As) 

ひ素(As)の試験方法は,排気に注意して次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150 µm〜1 400 μmのもの。 

2) 硝酸 JIS K 8541に規定する特級のもの。 

3) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。 

4) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法

用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをはかりとり,JIS K 8180に規定する塩

酸(ひ素分析用)に溶かし,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)を加えて100 mLにしたも

の。JIS K 8580に規定する小粒のすず2,3個を加えて保存する。褐色ガラス製瓶に保存する。これ

を,使用時に水で10倍にうすめる。 

5) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを

混合したもの。 

6) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/L) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gをはかりとり,水

を加えて溶かし,水を加えて100 mLにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mLを加えたもの。 

7) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規

定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをはかりとり,JIS K 8777に規定するピリジンに

溶かし,JIS K 8777に規定するピリジンで100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に入れ,冷所に保

存する。 

8) よう化カリウム溶液(200 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gをはかりとり,水を加

えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。使用時に調製する。 

9) ひ素標準液(As:0.001 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8044に規定する特級又は1級の

三酸化二ひ素1.32 gをはかりとり,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)6 mLを加えて溶かし,水500 

mLを加える。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した後,水で全量フラスコ1 000 mL

に移し,水を標線まで加えて混合する。この液25 mLを全量フラスコ250 mLに正確にとり,水を

標線まで加えて混合する。さらに,この10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線ま

で加えて混合する。 

また,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)及び塩酸(ひ素分析用)(1+3)を調製する場合は,次

による。 

K 8741:2018  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)の調製は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gをは

かりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存

する。 

− 塩酸(ひ素分析用)(1+3)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の

体積3とを混合する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) 吸収セル(必要な場合に用いる。) 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,

光路長が10 mmのもの。 

2) ひ素試験装置 例を図1に示す。 

3) 分光光度計(必要な場合に用いる。) 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。 

c) 操作 操作は,有害な三酸化硫黄が発生するため,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,局所排気装置の下などで,試料20 gをとり,硝酸3 mLを壁に沿って滴下しな

がら振り混ぜ,熱板(ホットプレート)上で約5 mLになるまで蒸発させた後,放冷する。水20 mL

を加え,再び熱板(ホットプレート)上で約5 mLになるまで蒸発させて,完全に硝酸を除き放冷

する。これを少量の水で水素化ひ素発生瓶100 mLに移す。 

2) 比較溶液の調製は,硝酸3 mLをとり,熱板(ホットプレート)上で蒸発乾固後,放冷する。水10 mL

を加え,少量の水で水素化ひ素発生瓶100 mLに移し,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)2.0 mLを加

える。 

3) 空試験溶液の調製は,硝酸3 mLをとり,熱板(ホットプレート)上で蒸発乾固後,放冷する。水

10 mLを加え,少量の水で水素化ひ素発生瓶100 mLに移す(吸光度を測定する場合に調製する。)。 

4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mLを加え,水で40 mLにす

る。それぞれによう化カリウム溶液(200 g/L)15 mL及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mL

を加えて振り混ぜ,10分間放置する。次に,亜鉛(ひ素分析用)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発

生瓶100 mLと導管B(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mLを入れ,

導管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)とを連結して約25 ℃の水中で約1時間放置し

た後,水素化ひ素吸収管Cを離し,ピリジンを5 mLの標線まで加える。 

5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を水素化ひ素吸収管Cの上方

又は側方から観察して赤を比較する。 

なお,必要であれば吸収セルを用い,分光光度計で波長510 nm付近の吸収極大の波長における吸

光度を空試験溶液からのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液としてJIS K 0115の6.(特定波長におけ

る吸収の測定)によって測定する。 

d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“ひ素(As):質量分率0.1 ppm以下(規格

値)”とする。 

1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。 

2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。 

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K 8741:2018  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A: 

B: 
C: 

D: 

E: 

F: 

G: 

水素化ひ素発生瓶100 mL 
導管 
水素化ひ素吸収管 
ゴム栓又はすり合わせ 
酢酸鉛(II)溶液(100 g/L)で
湿したガラスウール 
40 mLの標線 
5 mLの標線 

図1−ひ素試験装置の例 

6.8 

セレン(Se) 

セレン(Se)の試験方法は,排気に注意して次による。 

a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 硫酸 JIS K 8951に規定する硫酸7 mLにアミド硫酸溶液(100 g/L)0.5 mLを加えて,ときどき振

り混ぜながら40 ℃〜50 ℃で15分間加熱する。硫酸鉄(II)溶液(100 g/L)2 mLを加えて,15分

間放置しても,硫酸は着色しないことを確認したもの。 

2) りん酸(必要な場合に用いる。) JIS K 9005に規定するりん酸7 mLにアミド硫酸溶液(100 g/L)

0.5 mLを加えて,ときどき振り混ぜながら40 ℃〜50 ℃で15分間加熱する。硫酸鉄(II)溶液(100 

g/L)2 mLを加えて,15分間放置して,りん酸が着色しないことを確認したもの。 

3) アミド硫酸溶液(100 g/L) JIS K 8588に規定するアミド硫酸アンモニウム10 gを水に溶かして100 

mLにしたもの。使用時に調製する。 

4) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却してかき混ぜながら,硫酸の体積1を徐々に加えたもの。 

5) 硫酸鉄(II)溶液(100 g/L) JIS K 8978に規定する硫酸鉄(II)七水和物18.3 gに硫酸(1+5)30 

mL及び水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。 

6) セレン標準液(Se:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,セレン標準液(Se:0.1 mg/mL)を調製する場合,亜セレン酸ナトリウム2.19 g(質量分率

100 %としての相当量)を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで

加えて混合する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合

する。 

b) 器具 主な器具は,次による。 

− 共通すり合わせ平底試験管 6.4 b)による。 

c) 操作 操作は,有害な三酸化硫黄が発生するため,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,冷水2 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,冷却しながら試料10 gを振り

混ぜながら徐々に加える。 

2) 比較溶液は,共通すり合わせ平底試験管に硫酸1) 7 mL及びセレン標準液(Se:0.1 mg/mL)0.50 mL

を入れる。 

注1) 着色しない硫酸が得られない場合は,代わりにりん酸7 mLを用いてもよい。この場合も着

色しないことを確認する。 

K 8741:2018  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,アミド硫酸溶液(100 g/L)0.5 mLを加えて,ときどき振り混ぜながら40 ℃

〜50 ℃で15分間加熱する。硫酸鉄(II)溶液(100 g/L)2 mLを加えて,15分間放置する。 

4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管

の上方又は側方から観察して色を比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の色が,比較溶液から得られた液の赤より濃くな

いとき,“セレン(Se):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。 

6.9 

鉄(Fe) 

鉄(Fe)の試験方法は,次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

1) 塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8201に規定する塩化ヒドロキシルアンモニ

ウム10 gを水に溶かして100 mLにしたもの。 

2) 塩酸(2+1) 6.6 a) 1)による。 

3) 酢酸アンモニウム溶液(250 g/L) JIS K 8359に規定する酢酸アンモニウム25 gを水に溶かして100 

mLにしたもの。 

4) 1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L) JIS K 8202に規定する塩化1,10-フェナントロリニウム一水和

物0.28 gを,水に溶かして100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。 

5) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。 

なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム

鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて

溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸

(1+2)25 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ100 mLに正

確にとり,硝酸(1+2)2.5 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。 

b) 器具 主な器具は,次による。 

− 共通すり合わせ平底試験管 6.4 b)による。 

c) 操作 操作は,次のとおり行う。 

1) 試料溶液の調製は,6.6 c) 1)のB液2.0 mL(試料量2 g)及び塩酸(2+1)0.9 mLを共通すり合わせ

平底試験管にとり,水を加えて15 mLにする。 

2) 比較溶液の調製は,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)0.80 mL及び塩酸(2+1)1 mLを共通すり合わせ

平底試験管にとり,水を加えて15 mLにする。 

3) 試料溶液及び比較溶液に,塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液(100 g/L)1 mLを加えて,5分間放

置後,1,10-フェナントロリン溶液(2 g/L)1 mL,酢酸アンモニウム溶液(250 g/L)5 mL及び水を

加えて25 mLにする。振り混ぜた後,20 ℃〜30 ℃で15分間放置する。 

4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管

の上方又は側方から観察して色を比較する。 

d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の色が比較溶液から得られた液の黄みの赤より濃

くないとき,“鉄(Fe):質量分率4 ppm以下(規格値)”とする。 

6.10 過マンガン酸還元性物質 

過マンガン酸還元性物質の試験方法は,排気に注意して次による。 

a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。 

− 0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液(KMnO4:3.161 g/L) JIS K 8247に規定する過マンガン酸

10 

K 8741:2018  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

カリウムを用い,JIS K 8001のJA.6.4 g)(0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液)に従って調製,

標定及び計算する。 

b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。 

1) メスピペット 最小目盛が0.01 mLのもの。 

2) 恒温水槽 20 ℃±5 ℃に調節できるもの。 

c) 操作 操作は,有害な三酸化硫黄が発生するため,排気に注意して,次のとおり行う。 

1) ビーカー200 mLなどに水40 mLをとり,5 ℃以下に冷却し,5 ℃以下に冷却した試料15 gを,40 ℃

を超えないように振り混ぜながら徐々に加える。約25 ℃に冷却して,0.02 mol/L過マンガン酸カリ

ウム溶液0.50 mLを加えて栓をして振り混ぜ,光を遮り,液温約20 ℃±5 ℃で10分間放置する。 

ただし,0.02 mol/L過マンガン酸カリウム溶液のファクターが1.00でない場合は,加える体積を

補正する。 

2) 白の背景を用いて,試料溶液の色をビーカー200 mLなどの上方又は側方から観察する。 

d) 判定 c)によって操作し,試料溶液の液が1分間以上紅色を保つとき,“過マンガン酸還元性物質:試

験適合(規格値)”とする。 

注記 0.02 mol/L 過マンガン酸カリウム溶液1 mLは,0.003 203 2 g SO2に相当する。紅色を保つ場

合,質量分率約0.01 %以下に相当する。 

容器 

容器は,気密容器とする。 

貯蔵方法 

製品は,直射日光を避けて,できるだけ冷所に保存する。 

表示 

容器には,次の事項を表示する。 

a) 日本工業規格番号 

b) 名称“発煙硫酸”及び“試薬”の文字 

c) 種類 

d) 化学式 

e) 濃度(遊離SO3) 

f) 

内容量 

g) 製造番号 

h) 製造業者名又はその略号