2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 8738-1994
ヒドロキノン(試薬)
Hydroquinone
C6H6O2 FW : 110.11
1. 適用範囲 この規格は,試薬として用いるヒドロキノンについて規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
2. 共通事項 この規格に共通する事項は,JIS K 8001による。
3. 種類 特級
4. 性質 ヒドロキノンは,次の性質を示す。
(1) 性状 ヒドロキノンは,白〜わずかに灰白色の結晶で,空気中で次第に着色する。熱水,エタノール
及びジエチルエーテルに溶けやすく,冷水にやや溶けやすい。
(2) 定性方法 試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数1 510cm−1,
1 450cm−1,1 350cm−1,1 240cm−1,1 190cm−1,820cm−1及び760cm−1付近に主な吸収を認める。この
場合,試料調製はJIS K 0117の6.2(1)(錠剤法)による。赤外吸収スペクトルの一例を図1に示す。
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図1 赤外吸収スペクトルの一例
5. 品質 品質は,6.によって試験し,表1に適合しなければならない。
表1 品質
項目
規格値
純度
99.0%以上
希酢酸溶状
試験適合
融点
171〜174℃
強熱残分(硫酸塩)
0.02%以下
塩素化合物(Clとして)
0.001%以下
硫酸塩 (SO4)
0.01%以下
鉛 (Pb)
0.001%以下
鉄 (Fe)
0.001%以下
カテコール (C6H6O2)
0.3%以下
6. 試験方法 試験方法は,次のとおりとする。
(1) 純度 99.0%以上
試料0.2g(0.1mgのけたまではかる)+0.05mol/l硫酸10ml+水90ml→0.1mol/l硝酸二アンモニウム
セリウム (IV) 溶液で滴定(指示薬:フェロイン溶液。終点は液の色が赤からうすい青に変わる点)。
0.1mol/l硝酸二アンモニウムセリウム (IV) 溶液1mlは,0.005 506g C6H5O2に相当する。
(2) 希酢酸溶状
試料1g+酢酸 (1+19) (→20ml) ……澄明。
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(3) 融点 171〜174℃
JIS K 8001の5.4(融点及び溶融範囲)による。
(4) 強熱残分(硫酸塩) 0.02%以下
JIS K 0067の4.4.4(4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。試料5gを用い,残分1mg以
下。
(5) 塩素化合物(Clとして) 0.001%以下
試料側溶液:試料2g→白金皿にとる+炭酸ナトリウム溶液 (100g/l) 3ml→水浴上で蒸発乾固。
標準側溶液:炭酸ナトリウム溶液 (100g/l) 3ml+塩化物標準液 (0.01mgCl/ml) 2.0ml→水浴上で蒸発
乾固。
操作:JIS K 8001の5.8による。
(6) 硫酸塩 (SO4) 0.01%以下
試料側溶液:試料0.5g+塩酸 (2+1) 0.3ml±水 (→25ml)。
標準側溶液:硫酸塩標準液 (0.01mgSO4/ml) 5.0ml+塩酸 (2+1) 0.3ml+水 (→25ml)。
操作:JIS K 8001の5.15(1)(比濁法)による。
(7) 鉛 (Pb) 0.001%以下
試料側溶液:試料2.0g+塩酸 (2+1) 3ml+水 (→50ml) (X液)[(8)の試験にも用いる]。
標準側溶液:試料2.0g+鉛標準液 (0.01mgPb/ml) 2.0ml+鉄標準液 (0.01mgFe/ml) 2.0ml+塩酸 (2+
1) 3ml+水 (→50ml) (Y液)[(8)の試験にも用いる]。
操作:JIS K 8001の5.31(原子吸光法)(1)(直接噴霧法)(d)による。測定波長283.3nm。
(8) 鉄 (Fe) 0.001%以下
試料側溶液:(7)のX液。
標準側溶液:(7)のY液。
操作:JIS K 8001の5.31(1)(d)による。測定波長248.3nm。
(9) カテコール (C6H6O2) (HPLC) 0.3%以下
JIS K 8001の5.34(高速液体クロマトグラフ法)による。
(a) 検出器の種類 紫外吸光光度計(測定波長:276nm)
(b) 試料溶液の調製 試料5g+溶離液 (→100ml) 。
(c) 被検成分追加試料溶液の調製 試料5g+カテコール15mg+溶離液 (→100ml)。
(d) 分析条件
カラム充てん剤の種類及び粒子径 液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲル,3
〜10μm。
カラム用管の内径及び長さ ステンレス鋼,約4mm,15〜30cm
カラム槽の温度 室温
溶離液の種類 水750ml+メタノール250ml+酢酸1.5ml。
流量 1.0ml/min(1)
注(1) ヒドロキノンの保持時間が約7分になるように調節する。
試料溶液及び被検成分追加試料溶液の注入量 10μl
(e) 操作 高速液体クロマトグラフを用いて試料溶液及び被検成分追加試料溶液を測定し,試料溶液の
カテコールのピーク面積をn1,被検成分追加試料溶液のカテコールのピーク面積をn2とすると,
n1≦n2−n1
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K 8738-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7. 容器 遮光した気密容器とする。
8. 表示 容器には,次の事項を表示しなければならない。
(1) 名称 “ヒドロキノン”及び“試薬”の文字
(2) 種類
(3) 化学式,式量
(4) 品質(純度)
(5) 内容量
(6) 製造番号
(7) 製造年月又はその略号
(8) 製造業者名又はその略号
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
久保田 正 明
物質工学工業技術研究所計測化学部
細 川 幹 夫
通商産業省基礎産業局生物化学産業課
津 田 博
通商産業省機械情報産業局計量行政室
地 崎 修
工業技術院標準部繊維化学規格課
喜多川 忍
通商産業検査所化学部化学標準課
野々村 誠
都立工業技術センター無機化学部
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
石 橋 無味雄
厚生省国立衛生試験所
川 瀬 晃
社団法人日本分析化学会
柳 瀬 斉 彦
社団法人日本化学工業協会
藤 貫 正
社団法人日本分析化学会
並 木 昭
財団法人化学品検査協会
鶴 田 利 行
硫酸協会
中 村 靖
日本鉱業協会
大 槻 孝
社団法人日本鉄鋼協会
日 暮 喜八郎
第一化学薬品株式会社
北 田 佳 伸
和光純薬工業株式会社
高 野 虞美子
東京化成工業株式会社
中 村 穣
森田化学工業株式会社
山 岡 宏
片山化学工業株式会社
飯 岡 寛 一
柳島製薬株式会社
山 田 和 夫
関東化学株式会社
(事務局)
平 井 信 次
日本試薬連合会