K 8681:2019
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(C7H8O3S・H2O)(乾燥後) ······················································································ 3
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 融点 ···························································································································· 4
6.5 乾燥減量 ······················································································································ 4
6.6 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 4
6.7 塩化物(Cl) ················································································································ 5
6.8 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 5
6.9 ナトリウム(Na),銅(Cu)及び鉄(Fe) ········································································· 6
6.10 ナトリウム(Na),銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe) ·························································· 7
6.11 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe) ···················································································· 8
7 容器······························································································································ 10
8 表示······························································································································ 10
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8681:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成31年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8681:1995を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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p-トルエンスルホン酸一水和物(試薬)
p-Toluenesulfonic acid monohydrate (Reagent)
C7H8O3S・H2O FW:190.22
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるp-トルエンスルホン酸一水和物について規定する。
注記 別名:4-メチルベンゼンスルホン酸一水和物,トルエン-4-スルホン酸一水和物,トシル酸
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0064 化学製品の融点及び溶融範囲測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 0970 ピストン式ピペット
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬)
JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬)
JIS K 8454 N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
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JIS K 8842 ブロモチモールブルー(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
p-トルエンスルホン酸一水和物は,無色から白の結晶又は結晶性粉末で,潮解性がある。水に溶けやす
く,エタノール(99.5)にやや溶けやすい。
4.2
定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数1 178 cm-1,1 114 cm-1,1 015 cm-1,
996 cm-1,805 cm-1,706 cm-1及び559 cm-1付近に主な吸収を認める。この場合,試料調製は,JIS K 0117
の5.2 b)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例を図1に
示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
3
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品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C7H8O3S・H2O)(乾燥後)
質量分率 %
99.0以上
6.2
水溶状
−
試験適合
6.3
融点
℃
104〜107
6.4
乾燥減量
質量分率 %
2.0以下
6.5
強熱残分(硫酸塩)
質量分率 %
0.05以下
6.6
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.001以下
6.7
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.1以下
6.8
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.002以下
6.9又は6.10
銅(Cu)
質量分率 %
0.001以下
6.9,6.10又は6.11
鉛(Pb)
質量分率 %
0.001以下
6.10又は6.11
鉄(Fe)
質量分率 %
0.001以下
6.9,6.10又は6.11
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(C7H8O3S・H2O)(乾燥後)
純度(C7H8O3S・H2O)(乾燥後)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ブロモチモールブルー溶液 JIS K 8842に規定するブロモチモールブルー0.10 gをはかりとり,JIS
K 8102に規定するエタノール(95)50 mLを加えて溶かし,水を加えて100 mLにしたもの。
2) 0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液(NaOH:4.000 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを用
い,JIS K 8001のJA.6.4 r) 4)(0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液)に従って,調製,標定及び計算し
たもの。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ 自動滴定装置 電位差滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 6.5の残分0.5 gをコニカルビーカー100 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,水25 mLを加えて
溶かし,指示薬としてブロモチモールブルー溶液数滴を加え,0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で滴
定する。
2) 終点は,液の色が黄から青みの緑に変わる点とする。
3) または,JIS K 0113の5.(電位差滴定方法)によって,指示薬を用いず,指示電極にガラス電極,
参照電極に銀−塩化銀電極を用いて,又は指示電極と参照電極とを組み合わせた複合電極を用いて
0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で滴定する。
4) 終点は変曲点とする。
d) 計算 純度(C7H8O3S・H2O)(乾燥後)は,次の式によって算出する。
100
022
019
.0
×
×
×
=
m
f
V
A
4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに,
A: 純度(C7H8O3S・H2O)(乾燥後)(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液の体積
(mL)
f: 0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.019 022: 0.1 mol/L 水酸化ナトリウム溶液1 mLに相当する
C7H8O3S・H2Oの質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mLにしたもの。褐色
ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム
1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合す
る。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)
参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて20 mL
とし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし20 mL
にする。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通す
り合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
融点
融点の試験方法は,JIS K 0064の3.(融点測定方法)による。
6.5
乾燥減量
乾燥減量の試験方法は,JIS K 0067の4.1.4 (2)(第2法 大気圧下で乾燥剤を用いて乾燥する方法)に
よる。この場合,試料1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,硫酸デシケーター中で18時間乾燥する(残分
は6.2の試験に用いる。)。
6.6
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)の試験方法は,JIS K 0067の4.4.4 (4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)によ
る。
5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
この場合,試料5.0 gをはかりとる。試料を500 ℃以下で炭化後にJIS K 8951に規定する硫酸0.5 mLを
用い,強熱温度は,500 ℃±50 ℃とする。強熱残分は,0.1 mgの桁まではかる。残分は,6.9の試験に用
いる。
6.7
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1) による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2) による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3) による。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 mL及び硝酸(1+
2)5 mLを加えて溶かし,水を加えて25 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)1.0 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,
硝酸(1+2)5 mLを加え,水を加えて25 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃くないとき,“塩化物
(Cl):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
6.8
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。
3) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして
100 mLにしたもの。
4) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム
1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線
まで加えて混合する(A液)。A液10 mL(試料量0.1 g)を共通すり合わせ平底試験管にとり,水
10 mL及び塩酸(2+1)0.3 mLを加え,水を加えて25 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,共通すり合わせ平底試験管に硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)10 mLをとり,
塩酸(2+1)0.3 mLを加え,水を加えて25 mLにする。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて
振り混ぜた後,30分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃くないとき,“硫酸塩
(SO4):質量分率0.1 %以下(規格値)”とする。
6.9
ナトリウム(Na),銅(Cu)及び鉄(Fe)
ナトリウム(Na),銅(Cu)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.8 a) 2) による。
2) ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナト
リウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合
する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエ
チレン製瓶などに保存する。
3) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水
和物3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水
を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25
mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
4) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム
鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸
(1+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
ナトリウム(Na)
589.0
銅(Cu)
324.8
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 6.6の残分(試料量5.0 g)に塩酸(2+1)5 mLを加え,沸騰水浴上でほとんど蒸発乾固する。水10
mLを加えて溶かし,全量フラスコ50 mLに移し,水を標線まで加えて混合する(X液)(6.10の試
験に用いる。)。
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2) 比較溶液の調製は,塩酸(2+1)5 mLをビーカー50 mLなどにとり,沸騰水浴上でほとんど蒸発乾
固する。水10 mLを加えて溶かし,全量フラスコ50 mLに移す。ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/mL)
10 mL,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)5.0 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)5.0 mLを加え,水を
標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値n2とを比較する。
e) 判定 n1が,n2より大きくないとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.002 %以下(規格値),銅(Cu):
質量分率0.001 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を求めることができる。
100
000
1
2
1
×
×
×
=a
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
a: X液に含まれる試料の質量(g)
6.10
ナトリウム(Na),銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
ナトリウム(Na),銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.8 a) 2) による。
2) ナトリウム標準液(Na:1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,ナトリウム標準液(Na:1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリ
ウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合す
る。
3) 銅標準液(Cu:1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,銅標準液(Cu:1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物
3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標
線まで加えて混合する。
4) 鉛標準液(Pb:1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,鉛標準液(Pb:1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを
全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて混
合する。
5) 鉄標準液(Fe:1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,鉄標準液(Fe:1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄
(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶
かし,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。
2) 水浴 6.9 b) 2) による。
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K 8681:2019
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3) ICP発光分光分析装置 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表3に示す。
表3−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
ナトリウム(Na)
588.995
銅(Cu)
324.754
鉛(Pb)
220.353
鉄(Fe)
238.204
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液は,6.9の試料溶液を用いる(X液)。
2) ビーカー100 mLなどを3個準備し,塩酸(2+1)5 mLを加え,沸騰水浴上でほとんど蒸発乾固す
る。水10 mLを加えて溶かし,全量フラスコ50 mLに移し,表4に示す各標準液の体積をピストン
式ピペットなどを用い,3段階加え,水を標線まで加えて混合する(それぞれ,Y0液,Y1液及び
Y2液とする。)。
表4−採取する標準液の体積
標準液
mg/mL
採取量 µL
Y0
Y1
Y2
ナトリウム標準液(Na)
1
0
100
200
銅標準液(Cu)
1
0
50
100
鉛標準液(Pb)
1
0
50
100
鉄標準液(Fe)
1
0
50
100
3) ICP発光分光分析装置は,アルゴンプラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態
にする。
4) 同一分析種ごとに複数波長を選択し,Y0液,Y1液及びY2液を用いて,関係線を作成し,関係線の
y切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件を満たせない場合,分析結果に
対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。
5) X液,Y0液,Y1液及びY2液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,分析種の発光強度を測定する。
e) 計算 JIS K 0116の4.7.3 a) 1)(発光強度法)によって検量線を作成し,分析種の含有率を計算する。
f)
判定 計算して得られた含有率が,規格値を満足しているとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.002 %
以下(規格値),銅(Cu):質量分率0.001 %以下(規格値),鉛(Pb):質量分率0.001 %以下(規格値),
鉄(Fe):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
6.11
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
2) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積2と
水の体積3とを混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3) 塩酸(2+1) 6.8 a) 2) による。
4) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/L)[NaDDTC溶液(10 g/L)] JIS K 8454
に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gを水に溶かして100 mLにす
る。
5) くえん酸水素二アンモニウム溶液(200 g/L) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
20 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
6) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 6.9 a) 3) による。
7) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g
を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,更に
水を標線まで加えて混合する。
8) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.9 a) 4) による。
b) 装置 主な装置は,次による。
1) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
2) フレーム原子吸光分析装置 6.9 b) 1) による。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表5に示す。
表5−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
銅(Cu)
324.8
鉛(Pb)
283.3
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,塩酸(2+1)1 mL及び水を加
えて溶かし,水を加えて80 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,試料5.0 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)
5.0 mL,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)5.0 mL,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)5.0 mL,塩酸(2+1)1
mL及び水を加えて溶かし,水を加えて80 mLにする。
3) 空試験溶液の調製は,塩酸(2+1)1 mLに,水を加えて5 mLとする。
4) 試料溶液及び比較溶液にくえん酸水素二アンモニウム溶液(200 g/L)2 mLを加え,pH計を用いて,
塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節し,更にNaDDTC溶液(10 g/L)5 mLを
直ちに加え,水を加えて100 mLにする。
5) これらの溶液それぞれを,分液漏斗200 mLに入れ,酢酸ブチル20 mLを加えた後,1分間激しく振
り混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分取する。試料溶液からの酢
酸ブチル相をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの酢酸ブチル相をY液とし,下層
(水相)は捨てる。
6) 保存していた試料溶液からの水相を分液漏斗200 mLに入れ,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激
しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して下層(水相)を分取する。この場合の上層(酢酸ブチ
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ル相)は捨てる。再び,水相に酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれる
まで放置して下層(水相)を分取し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た水相に3) の空
試験溶液を加え,pH計を用いて,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節する。
さらに,NaDDTC溶液(10 g/L)5 mLを直ちに加え,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り
混ぜ,二層に分かれるまで放置し,上層(酢酸ブチル相)を分取してZ液とする。
7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してアセチレン−空気フレームの状態
を最適にしておき,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表5に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれアセチレン−空気フレーム中に噴
霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1,Y液の指示値n2及びZ液の指示値n3を読み取
る。
8) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3とY液の指示値からX液の指示値を
引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 n1−n3が,n2−n1より大きくないとき,“銅(Cu):質量分率0.001 %以下(規格値),鉛(Pb):
質量分率0.001 %以下(規格値),鉄(Fe):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を求めることができる。
100
000
1
1
2
3
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“p-トルエンスルホン酸一水和物”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号