K 8663:2013
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度[N(CH2CH2OH)3](GC),2-アミノエタノール(H2NCH2CH2OH)(GC)及び
2,2'-イミノジエタノール[HN(CH2CH2OH)2](GC) ····························································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 屈折率n20D ····················································································································· 5
6.5 水分 ···························································································································· 5
6.6 強熱残分(硫酸塩) ······································································································· 5
6.7 鉛(Pb)及び鉄(Fe) ···································································································· 5
7 容器······························································································································· 6
8 表示······························································································································· 6
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8663:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成25年9月20日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8663:1994によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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2,2',2"-ニトリロトリエタノール(試薬)
2,2',2"-Nitorilotriethanol (Reagent)
N(CH2CH2OH)3 FW:149.19
序文
この規格は,1959年に制定され,その後5回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1994年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる2,2',2"-ニトリロトリエタノール1) について規定する。
注1) 別名:トリエタノールアミン
警告 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とする。
この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。
この規格の利用者は,SDS(安全データシート),MSDS(化学物質等安全データシート:JIS Z
7250‐2012年廃止,猶予期間2016年まで)などを参考にして各自の責任において安全及び健
康に対する適切な措置をとらなければならない。
なお,2,2',2"-ニトリロトリエタノールは,引火性があるので火気に注意する。また,有害な
ので,蒸気の吸入,粘膜・皮膚への付着などを避ける。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0062 化学製品の屈折率測定方法
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
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JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
3 種類
種類は,特級とする。
4 性質
4.1 性状
2,2',2"-ニトリロトリエタノールは,無色から薄い黄色の粘性のある液体で,吸湿性があり,二酸化炭素
を吸収する。寒冷時には凝固することがある。水及びエタノールに極めて溶けやすい。
密度は約1.12 g/ml,凝固点は約20 ℃,沸点は約360 ℃である。水溶液は,アルカリ性である。
4.2 定性方法
試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117に従って測定すると,波数3 358 cm-1,2 950 cm-1,2 880 cm-1,
1 455 cm-1,1 359 cm-1,1 282 cm-1,1 153 cm-1,1 073 cm-1,1 036 cm-1,883 cm-1及び571 cm-1付近に主な
吸収ピークを認める。試料調製をJIS K 0117の5.4 a)(液膜法)によって行い,窓板に臭化カリウムを用
いたときの赤外吸収スペクトルの例を図1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
注記 図1は,独立行政法人産業技術総合研究所のSDBSから引用したものである。
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品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度[N(CH2CH2OH)3](GC)
質量分率 %
98.0以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
屈折率 n20D
1.482〜1.487
6.4
水分
質量分率 %
0.3以下
6.5
強熱残分(硫酸塩)
質量分率 %
0.01以下
6.6
鉛(Pb)
質量分率 %
0.001以下
6.7
鉄(Fe)
質量分率 ppm
5 以下
6.7
2-アミノエタノール
(H2NCH2CH2OH)(GC)
質量分率 %
0.3以下
6.2
2,2'-イミノジエタノール
[HN(CH2CH2OH)2](GC)
質量分率 %
0.3以下
6.2
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2 純度[N(CH2CH2OH)3](GC),2-アミノエタノール(H2NCH2CH2OH)(GC)及び2,2'-イミノジ
エタノール[HN(CH2CH2OH)2](GC)
純度[N(CH2CH2OH)3](GC),2-アミノエタノール(H2NCH2CH2OH)(GC)及び2,2'-イミノジエタノー
ル[HN(CH2CH2OH)2](GC)の試験方法は,次による。
a) 試薬 主な試薬は,次のとおりとする。
エタノール(99.5) JIS K 8101に規定するもの。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) マイクロシリンジ又は試料導入装置 少量の定容量の測定溶液をガスクロマトグラフのカラムに導
入するマイクロシリンジ又は装置。
2) ガスクロマトグラフ JIS K 0114に規定するもの。
c) 分析条件 分析条件は,次による。
なお,別の分析条件でも同等の試験結果が得られることが確認されている場合には,その条件を用
いてもよい。
1) 検出器の種類 水素炎イオン化検出器
2) 固定相液体名 ジメチルポリシロキサン
3) 固定相液体の膜厚 5 μm
4) カラム用キャピラリーの材質,内径及び長さ 石英ガラス,0.32 mm,30 m
5) 設定温度 カラム槽 初期温度50 ℃から,毎分20 ℃で250 ℃まで昇温し,10分間保持する。
試料気化室 200 ℃
検出器槽 250 ℃
6) キャリヤーガスの種類及び流量 ヘリウム,3 ml/min
7) 試料溶液の導入方式 スプリット注入法(スプリット比 1:45)
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8) 試料溶液の導入量 1 μl
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製 試料1 gをエタノール(99.5)で溶かし,エタノール(99.5)で10 mlとする。
2) 試料溶液の導入及び記録 試料をマイクロシリンジ又は試料導入装置を用いてガスクロマトグラフ
に導入してクロマトグラムを記録する。
なお,あらかじめ,2-アミノエタノール,2,2'-イミノジエタノール,エタノール(99.5)及び2,2',2"-
ニトリロトリエタノールの保持時間を確認しておく。
3) ピーク面積の測定 クロマトグラムのピーク面積の測定は,JIS K 0114の11.3 a)(データ処理ソフ
ト又はデータ処理装置を用いる方法)による。
e) 定量法 純度[N(CH2CH2OH)3](GC),2-アミノエタノール(H2NCH2CH2OH)(GC)及び2,2'-イミ
ノジエタノール[HN(CH2CH2OH)2](GC)の各ピーク面積から,分析種ごとにJIS K 0114の11.5(面
積百分率法)によって含有率を求める。
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“ほとんど澄明”)は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.5 mlを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 ml,硝酸
(1+2)1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15
分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 ml,直径約23 mmのもの。
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d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし20 ml
にする。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通すり
合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
屈折率n20D
屈折率n20Dの試験方法は,JIS K 0062による。
6.5
水分
水分の試験方法は,JIS K 0068の6.3(容量滴定法)又は,6.4(電量滴定法)による。容量滴定法の場
合,溶媒はメタノール25 mlにJIS K 8355に規定する酢酸5.0 mlを加えて,カールフィッシャー試薬で終
点まで滴定し,20 ℃を超えないように冷却しながら試料5.0 g(4.5 ml)をはかりとる。電量滴定法の場合,
試料2.0 g(1.8 ml)をはかりとる。
6.6
強熱残分(硫酸塩)
強熱残分(硫酸塩)は,JIS K 0067の4.4.4 (4)(第4法 硫酸塩として強熱する方法)による。この場
合,試料10 gを0.1 mgの桁まではかりとる。
6.7
鉛(Pb)及び鉄(Fe)
鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) 鉛標準液及び鉄標準液
2.1) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
2.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1)に準じる。
2.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2)に準じる。
2.1.3) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml)を調製する場合
2.1.3.1) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 ml
にはかりとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
2.1.3.2) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全
量フラスコ1 000 mlにはかりとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで
加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
2.2)
鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg /ml) 次のものを用いる。
2.2.1) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
2.2.2) 鉄標準液(Fe:0.01 mg /ml) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に
保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 JIS K 0121に規定するもの。
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c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種及び測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
鉛
Pb
283.3
鉄
Fe
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料20.0 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,水20 ml及び硝酸(1+2)35
mlを加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(S液)。S液25 ml(試料量5.0 g)を全量フラス
コ50 mlに正確にとり,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,S液25 ml,鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)5.0 ml及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)
2.5 mlを全量フラスコ50 mlにはかりとり,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ50 mlに硝酸(1+2)8.8 mlを入れ,水を標線まで加えて混合
する(Z液)。
4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,銅の吸光度
を測定し,X液の指示値(n1),Y液の指示値(n2)及びZ液の指示値(n3)を読み取る。
5) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3をY液の指示値からX液の指示値を
引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“鉛(Pb):質量分率0.001 %以下(規格値),鉄(Fe):
質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)を求める場合は,次の式によって求める。
100
000
1
1
2
3
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
7
容器
容器は,遮光した気密容器とする。ただし,合成樹脂製容器は用いない。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“2,2',2"-ニトリロトリエタノール”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号