K 8621:2011
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法 ························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度(KHCO3) ············································································································ 3
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 塩化物(Cl) ················································································································ 5
6.5 硝酸塩 ························································································································· 6
6.6 りん酸塩(PO4) ··········································································································· 6
6.7 けい酸塩(SiO2として) ································································································· 7
6.8 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 8
6.9 ナトリウム(Na) ·········································································································· 9
6.10 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe) ··················································································· 11
6.11 マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca) ····································································· 13
7 容器······························································································································ 14
8 表示······························································································································ 14
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これに
よって,JIS K 8621:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成23年12月21日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJIS
マーク表示認証において,JIS K 8621:1992によることができる。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格
JIS
K 8621:2011
炭酸水素カリウム(試薬)
Potassium hydrogen carbonate(Reagent)
KHCO3 FW:100.12
序文
この規格は,1952年に制定され,その後6回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる炭酸水素カリウムについて規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8060 亜硫酸ナトリウム七水和物(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8092 インジゴカルミン(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬)
JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬)
JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8532 L(+)−酒石酸(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8617 炭酸カルシウム(試薬)
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JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8810 1-ブタノール(試薬)
JIS K 8844 ブロモフェノールブルー(試薬)
JIS K 8885 二酸化けい素(試薬)
JIS K 8905 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 8995 硫酸マグネシウム七水和物(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
炭酸水素カリウムは,白色の結晶で,水に溶けやすく,エタノールにほとんど溶けない。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料5 gに水50 mlを加えて溶かす(A液)。A液10 mlに酒石酸溶液(100 g/l)20 mlを加えると気泡
が発生し,白色の結晶性の沈殿が生じる。A液のpHは約8である。
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線を先端から約30 mmまで塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120 mm,
内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に,内炎の最上部から約10 mmの位置に水
平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,A液に白金線の先
端約5 mmを浸し,ガスバーナーの無色炎中に入れ,炎をコバルトガラスで透かして見るとき紫が現
れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
3
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表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(KHCO3)
質量分率 %
99.5〜100.3
6.2
水溶状
試験適合
6.3
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.001以下
6.4
硝酸塩
試験適合
6.5
りん酸塩(PO4)
質量分率 ppm
5以下
6.6
けい酸塩(SiO2として) 質量分率 %
0.002以下
6.7
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.002以下
6.8
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.03以下
6.9
銅(Cu)
質量分率 ppm
2以下
6.10
マグネシウム(Mg)
質量分率 ppm
2以下
6.11
カルシウム(Ca)
質量分率 %
0.001以下
6.11
鉛(Pb)
質量分率 ppm
2以下
6.10
鉄(Fe)
質量分率 ppm
5以下
6.10
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度(KHCO3)
純度(KHCO3)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ブロモフェノールブルー溶液 JIS K 8844に規定するブロモフェノールブルー0.10 gをJIS K 8102
に規定するエタノール(95)50 mlに溶かし,水で100 mlにする。
2) 0.5 mol/l塩酸(HCl:18.23 g/l) 0.5 mol/l塩酸の調製,標定及び計算は,次による。
2.1) 調製 JIS K 8180に規定する塩酸45 mlをはかりとり,水を加えて1 000 mlとし,混合した後,
気密容器に入れて保存する。
2.2) 標定 標定は,認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム
を用い,次のとおり行う。
2.2.1) 認証標準物質1) の炭酸ナトリウムを用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
2.2.2) 容量分析用標準物質の炭酸ナトリウムを用いる場合は,必要量を白金るつぼに入れて600±
10 ℃ 2) で約60分間加熱した後,デシケーターに入れて放冷する。
2.2.3) 認証標準物質1) 又は容量分析用標準物質の炭酸ナトリウム0.6〜0.7 gを0.1 mgの桁まではかり
とり,コニカルビーカー200 mlに移し,水20 mlを加えて溶かす。指示薬としてブロモフェノー
ルブルー溶液数滴を加え,2.1)で調製した液で滴定する。この場合,終点付近で煮沸して二酸化
炭素を除き,冷却した後に滴定を行う。終点は,液の色が青紫から青みの緑になる点とする。
注1) 容量分析に用いることが可能な認証書の付いた標準物質で,不確かさが算出され国際単
位系(SI)へのトレーサビリティが保証されたもの。ただしこれらが入手できない場合
には,含有率が明らかな市販の標準物質も用いることができ,その説明書に従って使用
する。
なお,認証標準物質を供給する者として,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準
総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証
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標準物質生産者がある。
注2) 600±50 ℃で加熱した場合は,含量率(認証値)が±0.02 %程度変化することが予想さ
れる。最終的に必要とする精度によっては,不確かさを考慮する必要がある。
2.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
497
026
.0
A
V
m
f
×
×
=
ここに,
f: 0.5 mol/l 塩酸のファクター
m: はかりとった炭酸ナトリウムの質量(g)
A: 炭酸ナトリウムの純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.5 mol/l 塩酸の体積(ml)
0.026 497: 0.5 mol/l 塩酸1 mlに相当する炭酸ナトリウムの質量(g)
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料1.5 gを0.1 mgの桁まではかりとり,コニカルビーカー200 mlなどに移し,水20 mlを加えて
溶かす。指示薬としてブロモフェノールブルー溶液数滴加え,0.5 mol/l塩酸で滴定する。この場合,
終点付近で煮沸して二酸化炭素を除き,冷却した後,引き続き滴定を行う。終点は,液の色が青紫か
ら青みの緑になる点とする。
c) 計算 純度(KHCO3)は,次の式によって算出する。
100
06
050
0
×
×
×
=
m
f
V
.
A
ここに,
A: 炭酸水素カリウムの純度(質量分率 %)
V: 滴定に要した0.5 mol/l 塩酸の体積(ml)
f: 0.5 mol/l 塩酸のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.050 06: 0.5 mol/l 塩酸1 mlに相当する炭酸水素カリウムの質量(g)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合す
る。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 3)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要
な場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市
販の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外
の認証標準液など”という。)。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
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注3) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに
正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準(“澄明”)は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管にとり,水10 ml,硝酸(1+2)
1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混ぜてから15分間放置
する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 ml,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにする。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を上方又は
側方から観察する。
e) 判定 d) によって操作し,次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1) による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 2) による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 6.3 a) 3.2) による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gをビーカー100 mlなどにとり,水30 ml及び硝酸(1+2)5 mlを加え,
二酸化炭素の気泡が発生しなくなるまで穏やかに煮沸する。これを冷却し,水で共通すり合わせ平
底試験管に移し,水を加えて40 mlにする。その20 ml(試料量1.0 g)を共通すり合わせ平底試験
管に入れる。
2) 比較溶液の調製は,ビーカー100 mlなどに塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)2.0 mlをとり,水30 ml
及び硝酸(1+2)5 mlを加え,穏やかに煮沸する。これを冷却し,水で共通すり合わせ平底試験管
に移し,水を加えて40 mlにする。その20 mlを共通すり合わせ平底試験管に入れる。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸(1+2)5 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加えて振り混ぜた後,
15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率0.001 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
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6.5
硝酸塩
硝酸塩の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
2) インジゴカルミン溶液(1.8 g/l) JIS K 8092に規定するインジゴカルミン0.18 g(質量分率100 %
としての相当量)に塩酸(2+1)15 ml及び水を加えて溶かし,水で100 mlにする。褐色ガラス製
瓶に保存し,30日以内に使用する。
3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にとり,水を加えて溶かし20 mlにする。
2) 試料溶液にインジゴカルミン溶液(1.8 g/l)0.05 mlを加える。これに硫酸10 mlを振り混ぜながら
徐々に加え,10分間放置する。
3) 白の背景を用いて,共通すり合わせ平底試験管の上方又は側面から色の変化を観察する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硝酸塩:試験適合”とする。
試料溶液から得られた液は青を保つ。
6.6
りん酸塩(PO4)
りん酸塩(PO4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩化すず(II)溶液(りん酸定量用) JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180
に規定する塩酸(ひ素分析用)60 mlに溶かす。その1 mlを硫酸(1+30)で250 mlにする。使用
時に調製する。
2) 塩酸(2+1) 6.5 a) 3) による。
3) 七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用) JIS K 8905に規定する七モリブデン酸六アン
モニウム四水和物10.6 gに水70 ml及びJIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0〜30.0 %)
7 mlを加えて加熱しないで溶かし,水で100 mlにする。これをろ過後,ろ液に水を加え200 mlに
する。さらに,硫酸(1+5)10 mlを加える。洗浄は,これを分液漏斗に移し,JIS K 8810に規定
する1-ブタノール30 mlを加え1〜2分間激しく振り混ぜる。放置後,上層(1-ブタノール相)と下
層(水相)とを分離する(水相を保存する。)。
洗浄操作で分離した1-ブタノール相を硫酸(1+5)15 mlで洗い,下層(硫酸相)を除去する操
作を2回行った後,1-ブタノール相に塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)15 mlを加え30秒間振
り混ぜて放置し,1-ブタノール相に青が現れないことを確認する。
なお,1-ブタノール相に青が現れた場合は,保存した水相の洗浄及び確認を繰り返す。ポリエチ
レン製瓶などに保存する。
4) 硫酸(1+5) 水の体積5を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加える。
5) 硫酸(1+30) 水の体積30を冷却し,かき混ぜながら,硫酸の体積1を徐々に加える。
6) りん酸塩標準液
6.1) りん酸塩標準液(PO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
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6.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
6.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
6.1.3) JIS K 9007に規定するりん酸二水素カリウム1.43 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。
6.2) りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/ml) りん酸塩標準液(PO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gをビーカー200 mlなどにとり,水60 ml及び塩酸(2+1)3 mlを徐々
に加える。これを水浴上で加熱して蒸発乾固する。少量の水を加えて溶かした後,共通すり合わせ
平底試験管に移し,水で20 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/ml)1.0 mlをビーカー100 mlなどにとり,塩酸
(2+1)3 mlを加える。これを水浴上で加熱して蒸発乾固する。少量の水を加えて溶かした後,共
通すり合わせ平底試験管に移し,水で20 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硫酸(1+5)2.5 ml及び七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定
量用)1 mlを加えて振り混ぜて3分間放置する。これに塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)1 ml
を加えて振り混ぜた後,10分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側面から観察して青を比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“りん酸塩(PO4):質量分率5 ppm以下(規格値)”と
する。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の青より濃くない。
6.7
けい酸塩(SiO2として)
けい酸塩(SiO2として)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 亜硫酸ナトリウム溶液(170 g/l) JIS K 8060に規定する亜硫酸ナトリウム七水和物34 gを水に溶
かして100 mlにする。使用時に調製する。
2) 塩酸(1+11) JIS K 8180に規定する塩酸の体積1と水の体積11とを混合する。ポリエチレン製瓶
などに保存する。
3) 酒石酸溶液(100 g/l) JIS K 8532に規定するL(+)−酒石酸10 gを水に溶かして100 mlにする。
4) 七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用) 6.6 a) 3) による。
5) けい酸塩標準液
5.1) けい酸塩標準液(SiO2:1 mg/ml) JIS K 8885に規定する二酸化けい素0.100 g(900〜1 000 ℃で
強熱後)にJIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム1 gを加え白金るつぼ中で加熱融解する。冷却
後,水を加えて溶かし,全量フラスコ100 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレ
ン製瓶などに保存する。
5.2) けい酸塩標準液(SiO2:0.01 mg/ml) けい酸塩標準液(SiO2:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
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b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
2) ポリエチレン製ビーカー 100 ml
3) pH試験紙 pHの測定に用いる,ろ紙に酸塩基指示薬を染みこませた試験紙。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gをポリエチレン製ビーカー100 mlにとり,水を加えて溶かし20 ml
にする。
2) 比較溶液の調製は,けい酸塩標準液(SiO2:0.01 mg/ml)2.0 mlをポリエチレン製ビーカー100 ml
にとり,水を加えて20 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,pH試験紙を用いて塩酸(1+11)でpH 5〜6に調節した後(pHが5未満
になったときは試験をやり直す。),塩酸(1+11)2 mlを速やかに加えて,共通すり合わせ平底試験
管に少量の水で洗い入れ,水を加えて30 mlにした後,液温を約30 ℃にする。これに約30 ℃にし
た七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用)2 mlを加えて振り混ぜ約30 ℃で10分間放
置する。これに酒石酸溶液(100 g/l)2 mlを加えて振り混ぜた後,亜硫酸ナトリウム溶液(170 g/l)
5 mlを加えて約30 ℃で30分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側面から観察して青を比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“けい酸塩(SiO2として):質量分率0.002 %以下(規格
値)”とする。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の青より濃くない。
6.8
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩化バリウム溶液(100 g/l) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして100
mlにする。
3) 塩酸(2+1) 6.5 a) 3) による。
4) 硫酸塩標準液
4.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
4.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
4.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
4.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.81 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。
4.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
2) 水浴 6.6 b) 2) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gをビーカー100 mlなどにとり,水20 ml及び塩酸(2+1)4 mlを徐々
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K 8621:2011
に加える。これを水浴上で加熱して蒸発乾固する。少量の水を加えて溶かした後,共通すり合わせ
平底試験管に移し,水で20 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml)4.0 mlをビーカー100 mlなどにとり,塩酸(2
+1)4 mlを加える。これを水浴上で加熱して蒸発乾固する。少量の水を加えて溶かした後,共通
すり合わせ平底試験管に移し,水で20 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 ml及び塩化バリウム溶液(100 g/l)2 mlを加えて振
り混ぜた後,1時間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.002 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.9
ナトリウム(Na)
ナトリウム(Na)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.5 a) 3) による。
2) ナトリウム標準液
2.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
2.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
2.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
2.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mlにとり,水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
2.2) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)100 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) 炎光光度計 励起源に炎を用いて分析種の発光スペクトル強度を測定する機器。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gをポリエチレン製ビーカー200 mlにとり,水50 mlを加えて溶かし,
塩酸(2+1)10 mlを徐々に加え,これを水で全量フラスコ100 mlに移し,水を標線まで加えて混
合する(S液)。S液10 ml(試料量0.2 g)を全量フラスコ100 mlにとり,水を標線まで加えて混合
する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,S液10 mlを全量フラスコ100 mlにとり,ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml)
0.6 mlを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) 炎光光度計による測定 次のいずれかによる。
3.1) バックグラウンドの補正を自動で行う場合
3.1.1) 炎光光度計の分析条件は,取扱説明書による。この場合,測定波長のバックグラウンドの補正は,
自動で行えるように設定する。
3.1.2) 測定波長の設定は,炎光光度計のフレームの中に標準液を噴霧して発光強度を測定したときに,
あまり感度を上げないで発光強度の指示値が,50〜100 %を示す濃度のものを用いて波長589.0
nmを設定し,更にその感度を変えないで発光強度が最も大きくなるような波長に微調整する。
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ただし,波長が自動設定される場合は,この操作を行わない。
3.1.3) 感度の設定は,炎光光度計のフレームの中にY液を噴霧して発光強度を測定し,3.1.2) で設定し
た波長における炎光光度計の発光強度の指示値が50〜100 %になるように,また,記録計のフル
スケールの50〜100 %になるように感度を設定する。
3.1.4) 測定は,この状態で,フレーム中に水・X液・水・Y液・水の順にそれぞれの液を噴霧して発光
強度を測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)をそれぞれ読み取る。
3.1.5) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
3.2) バックグラウンドの補正を手動で行う場合
3.2.1) 測定波長の設定は,あまり感度を上げないで,炎光光度計のフレームの中に標準液を噴霧して発
光強度を測定したときに,発光強度の指示値が50〜100 %を示す濃度のものを用いて波長589.0
nmを設定し,更にその感度を変えないで発光強度が最も大きくなるような波長に微調整する。
3.2.2) 感度の設定は,炎光光度計のフレームの中にY液を噴霧して発光強度を測定し,3.2.1) で設定し
た波長における炎光光度計の発光強度の指示値が50〜100 %になるように,また,記録計のフル
スケールの50〜100 %になるように感度を設定する。
3.2.3) 測定は,この状態で,フレーム中に水・X液・水・Y液・水の順にそれぞれの液を噴霧して発光
強度を測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)をそれぞれ読み取る。
3.2.4) バックグラウンドの補正は,3.2.2) で設定した感度を変えないで,波長580 nmを設定し,フレー
ムの中にX液を噴霧して発光強度を測定し,指示値(n3)を読み取る。
3.2.5) 測定結果は,X液の指示値からバックグラウンドの指示値を引いたn1−n3と,Y液の指示値から
X液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.03 %以下(規格値)”
とする。
1) バックグラウンドの補正を自動で行う場合
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 ナトリウムの含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: ナトリウムの含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中のナトリウムの質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
2) バックグラウンドの補正を手動で行う場合
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 ナトリウムの含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
なお,含有率(質量分率 %)を質量分率 ppmに換算する場合は,Aに10 000を乗じる。
100
000
1
1
2
3
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: ナトリウムの含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中のナトリウムの質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
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6.10 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
2) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0〜30.0 %)の体積2と水
の体積3とを混合する(必要な場合に用いる。)。ポリエチレン製瓶などに保存する。
3) 塩酸(2+1) 6.5 a) 3)による(必要な場合に用いる。)。
4) くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/l) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
10 gを水に溶かして100 mlにする。
5) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/l)[NaDDTC溶液(10 g/l)] JIS K 8454に
規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gを水に溶かして100 mlにする。
使用時に調製する。
6) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1) による。
7) 銅標準液,鉛標準液及び鉄標準液
7.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれ
かのものを用いる。
7.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
7.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
7.1.3) 銅標準液(Cu:1 mg/ml),鉛標準液(Pb:1 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:1 mg/ml)を調製する
場合
7.1.3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml) JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物3.93 gを全量フラスコ
1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
7.1.3.2) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 ml
にとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
7.1.3.3) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全
量フラスコ1 000 mlにとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
7.2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml),鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 次の
ものを用いる。
7.2.1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml) 銅標準液(Cu:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
7.2.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
7.2.3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に
保存する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 分液漏斗200 ml JIS R 3503に規定するもの。
2) 水浴 6.6 b) 2) による。
3) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
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4) フレーム原子吸光分析装置 JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種及び測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
銅
Cu
324.8
鉛
Pb
283.3
鉄
Fe
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gをビーカー200 mlなどにとり,水25 ml及び塩酸(2+1)8 mlを徐々
に加えて,1分間煮沸する。これを冷却した後,水を加えて80 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,試料5.0 gをビーカー200 mlなどにとり,水25 ml,銅標準液(Cu:0.01 mg/ml)
1.0 ml,鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)1.0 ml及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)2.5 mlを加える。さらに,
塩酸(2+1)8 mlを徐々に加えて,1分間煮沸する。これを冷却した後,水を加えて80 mlにする。
3) 空試験溶液の調製は,塩酸(2+1)8 mlを水浴上で加熱して蒸発乾固し,水を加えて5 mlにする。
4) 試料溶液及び比較溶液に,くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/l)2 mlを加え,pH計を用いて
塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)を用いてpH 5.5に調節し,更に,NaDDTC溶液(10 g/l)5
mlを直ちに加え,水を加えて100 mlにする。
5) これらの溶液それぞれを,分液漏斗200 mlに入れ,酢酸ブチル20 mlを加えた後,1分間激しく振
り混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分離してとる。試料溶液から
の酢酸ブチル相をX液とし,水相は保存する。比較溶液からの酢酸ブチル相をY液とし,下層は捨
てる。
6) 試料溶液からの水相を分液漏斗200 mlにとり,酢酸ブチル20 mlを加えて1分間激しく振り混ぜ,
二層に分かれるまで放置して下層(水相)を分離する。この場合の上層(酢酸ブチル相)は捨てる。
再び,水相に酢酸ブチル20 mlを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して下層
(水相)を分離し,上層は捨てる。ここで得た水相に3) の空試験溶液を加え,更に,くえん酸水素
二アンモニウム溶液(100 g/l)2 mlを加えた後,pH計を用いて,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2
+3)を用いてpH 5.5に調節する。さらに,NaDDTC溶液(10 g/l)5 mlを直ちに加え,酢酸ブチル
20 mlを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置し上層(酢酸ブチル相)を分離し
て空試験用に用い,Z液とする。
7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してフレームの状態を最適にしておき,
Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液,
Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値(n1),Y液
の指示値(n2)及びZ液の指示値(n3)を読み取る。
8) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3とY液の指示値からX液の指示値を
引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率2 ppm以下(規格値),鉛(Pb):
質量分率2 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
13
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注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)は,6.9 d) 2) の注記に準じて求めることができる。
6.11 マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)
マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.5 a) 3) による。
2) マグネシウム標準液及びカルシウム標準液
2.1) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml)及びカルシウム標準液(Ca:1 mg/ml) 次のいずれかのも
のを用いる。
2.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
2.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
2.1.3) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml)及びカルシウム標準液(Ca:1 mg/ml)を調製する場合
2.1.3.1) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml) JIS K 8995に規定する硫酸マグネシウム七水和物10.1 g
を全量フラスコ1 000 mlにとり,塩酸(2+1)15 mlを加えて溶かし,水を標線まで加えて混
合する。
2.1.3.2) カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml) JIS K 8617に規定する炭酸カルシウム2.50 gに水50 ml及
び塩酸(2+1)15 mlを加え,沸騰しない程度に加熱して溶かし,更に,二酸化炭素を除き,
冷却する。これを全量フラスコ1 000 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン
製瓶などに保存する。
2.2) マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/ml)及びカルシウム標準液(Ca:0.01 mg/ml) 次のものを用
いる。
2.2.1) マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/ml) マグネシウム標準液(Mg:1 mg/ml)10 mlを全量フラ
スコ1 000 mlに正確にはかりとり,塩酸(2+1)15 mlを加え,更に,水を標線まで加えて混合
する。ポリエチレン製瓶などに保存する。
2.2.2) カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/ml) カルシウム標準液(Ca:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,塩酸(2+1)15 mlを加え,更に,水を標線まで加えて混合する。
ポリエチレン製瓶などに保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) フレーム原子吸光分析装置 6.10 b) 4) による。
2) 水浴 6.6 b) 2) による。
c) 分析種及び測定波長 分析種及び測定波長の例を表3に示す。
表3−分析種及び測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
マグネシウム Mg
285.2
カルシウム
Ca
422.7
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gをポリエチレン製ビーカー200 mlにとり,水50 ml及び塩酸(2+1)
10 mlを徐々に加える。これを水浴上で約10分間加熱し,冷却した後,全量フラスコ100 mlに移し,
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水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料2.0 gをポリエチレン製ビーカー200 mlにとり,水50 ml及び塩酸(2+1)
10 mlを徐々に加える。これを水浴上で約10分間加熱し,冷却した後,全量フラスコ100 mlに移し,
マグネシウム標準液(0.01 mg/ml)0.4 ml及びカルシウム標準液(0.01 mg/ml)2.0 mlを加え,水を
標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,2) のY液をフレーム中に噴霧し,表3に示す測定波長付近で
吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光
度を測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1とY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“マグネシウム(Mg):質量分率2 ppm以下(規格値),
カルシウム(Ca):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,6.9 d) 2) の注記に準じて求めることができる。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本産業規格番号
b) 名称 “炭酸水素カリウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号