K 8603:2011
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 種類······························································································································· 1
4 性質······························································································································· 1
4.1 性状 ···························································································································· 1
4.2 定性方法 ······················································································································ 1
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法 ························································································································· 2
6.1 一般事項 ······················································································································ 2
6.2 乾燥減量(105 ℃) ········································································································ 2
6.3 二酸化炭素吸収量 ·········································································································· 2
7 容器······························································································································· 3
8 表示······························································································································· 3
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきと
の申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これに
よって,JIS K 8603:1992は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成23年12月21日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJIS
マーク表示認証において,JIS K 8603:1992によることができる。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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ソーダ石灰(試薬)
Soda lime(Reagent)
序文
この規格は,1953年に制定され,その後5回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1992年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いるソーダ石灰1) について規定する。
注1) 別名:ソーダライム
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 1106 液化二酸化炭素(液化炭酸ガス)
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8125 塩化カルシウム(水分測定用)(試薬)
JIS K 8251 ガラスウール(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
3
種類
種類は,二酸化炭素吸収用(1号,2号)及び元素分析用とする。
4
性質
4.1
性状
ソーダ石灰は,白又はやや着色した粒で,水酸化カルシウム及び/又は酸化カルシウムと水酸化ナトリ
ウム及び/又は水酸化カリウムとの混合物である。粒の大きさは,1号は約1.5〜3.5 mm,2号は約3.5〜
5.5 mm,元素分析用は約1.5〜2.5 mmである。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに塩酸10 mlを加えて溶かし,水40 mlを加える(A液)。A液20 mlにアンモニア水3 mlを
加え,更に,しゅう酸アンモニウム溶液(100 g/l)5 mlを加えると,白い沈殿が生じる。
2
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b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線を先端から約30 mmまで塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120 mm,
内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に,内炎の最上部から約10 mmの位置に水
平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,A液に白金線の先
端約5 mmを浸し,ガスバーナーの無色炎中に入れると黄色又は炎をコバルトガラスを透かして見る
とき,紫が現れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
二酸化炭素吸収用
元素分析用
1号
2号
乾燥減量(105 ℃)
質量分率 %
12〜19
12〜19
12〜19
6.2
二酸化炭素吸収量
質量分率 %
25以上
20以上
30以上
6.3
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
乾燥減量(105 ℃)
乾燥減量(105 ℃)は,JIS K 0067の4.1.4 (1)(第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法)による。この
場合,試料1 gを0.1 mgの桁まではかりとり,2時間乾燥する。
6.3
二酸化炭素吸収量
二酸化炭素吸収量の試験方法は,次による。
a) 試薬及びガス 試薬及びガスは,次のものを用いる。
1) 塩化カルシウム(水分測定用) JIS K 8125に規定するもの。
2) ガラスウール JIS K 8251に規定するもの。
3) 二酸化炭素 JIS K 1106に規定するもの。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせU字管(U字管) JIS R 3503に規定するもの(呼び寸法15 mm,共通すり合わせ
記号15/25のもの。)。
2) 二酸化炭素吸収装置 例を図1に示す。
3) 精密ニードルバルブ付流量計 二酸化炭素の流速を約10 ml/minに調節できるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) あらかじめ乾燥した図1のU字管Aの底部にガラスウールを詰める。その片側に塩化カルシウム(水
分測定用)約5 gを詰め,両側の栓を閉じてその質量を1 mgの桁まではかる(W3 g)。次に,U字
管Aの他の側に試料約10 gを詰め,再び両側の栓を閉じてその質量を1 mgの桁まではかる(W2 g)。
2) あらかじめ乾燥した図1のU字管Bに塩化カルシウム(水分測定用)を詰め,両側の栓を閉じてお
く。
3) U字管Aの側管Cと塩化カルシウム(水分測定用)を詰めた塩化カルシウム管Hとをシリコーン
ゴム管で連結し,U字管Aの側管DとU字管Bの側管Eとをシリコーンゴム管で連結する。
3
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4) U字管Bの側管Fと精密ニードルバルブ付流量計Jの出口側とをシリコーンゴム管で連結し,精密
ニードルバルブ付流量計Jの入口側と二酸化炭素ボンベLとをシリコーンゴム管で連結する。
5) U字管A及びBの全ての栓を開き,二酸化炭素ボンベLのバルブを開き,精密ニードルバルブ付流
量計Jの流量調節バルブKで調節して二酸化炭素をU字管Aに流速約10 ml/minで通じる。
6) 3時間後にU字管Aの両側の栓を閉じた後,塩化カルシウム管H,U字管B及びシリコーンゴム管
を取りはずし,U字管Aの質量を1 mgの桁まではかる。
7) 再び3) のとおりに連結し,U字管Aの両側の栓を開き,二酸化炭素を流速約10 ml/minで通じる。
8) 1時間後に6) と同様にしてU字管Aの質量を1 mgの桁まではかる。
9) 7) 及び8) の操作をU字管Aの質量の増加が1.0 %以下になるまで繰り返した後,U字管Aの両側の
栓を閉じて放冷し,U字管Aの質量を1 mgの桁まではかる(W1 g)。
d) 計算 二酸化炭素吸収量は,次の式によって算出する。
100
3
2
2
1
×
−
−
=
W
W
W
W
A
ここに,
A: 二酸化炭素吸収量(質量分率 %)
W1: 試料,ガラスウール及び塩化カルシウム(水分測定用)
を詰めたU字管Aの二酸化炭素吸収後の質量(g)
W2: 試料,ガラスウール及び塩化カルシウム(水分測定用)
を詰めたU字管Aの二酸化炭素吸収前の質量(g)
W3: ガラスウール及び塩化カルシウム(水分測定用)を詰め
たU字管Aの質量(g)
A: U字管
E: 側管
J: 精密ニードルバルブ付流量計
B: U字管[塩化カルシウム
F: 側管
K: 流量調節バルブ
(水分測定用)用]
G: 栓
L: 二酸化炭素ボンベ
C: 側管
H: 塩化カルシウム管
M: ヒーター付圧力調整器
D: 側管
I: シリコーンゴム管
図1−二酸化炭素吸収装置の例
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
4
K 8603:2011
a) 日本産業規格番号
b) 名称 “ソーダ石灰”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 二酸化炭素吸収量
e) 内容量
f)
製造番号
g) 製造業者名又はその略号