2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 8566-1994
硝酸ビスマス五水和物(試薬)
Bismuth nitrate pentahydrate
Bi (NO3) 3・5H2O
FW : 485.07
1. 適用範囲 この規格は,試薬として用いる硝酸ビスマス五水和物について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 8001 試薬試験方法通則
2. 共通事項 この規格に共通する事項は,JIS K 8001による。
3. 種類 特級
4. 性質 硝酸ビスマス五水和物は,次の性質を示す。
(1) 性状 硝酸ビスマス五水和物は,無色の結晶で,水及びエタノールにほとんど溶けない。希硝酸に溶
け,この溶液に多量の水を加えると白色の硝酸水酸化ビスマス (III) を沈殿する。
(2) 定性方法
(a) 試料1gに硝酸 (1+2) 5mlを加えて溶かし,水15mlを加える。その1mlにシンコニン−よう化カリ
ウム溶液 (1) 1mlを加えると,黄みの赤の沈殿が生じる。
(b) 試料0.5gを丸底試験管にとり,加熱すると,赤褐色の刺激性のガスが発生する。
注(1) シンコニン−よう化カリウム溶液の調製 (+)−シンコニン塩酸塩n水和物1g+水100ml+よ
う化カリウム2g。
5. 品質 品質は,6.によって試験し,表1に適合しなければならない。
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K 8566-1994
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表1 品質
項目
規格値
純度
99.5%以上
希硝酸溶状
試験適合
塩化物 (Cl)
0.001%以下
硫酸塩 (SO4)
0.005%以下
ナトリウム (Na)
0.002%以下
カリウム (K)
0.002%以下
銅 (Cu)
0.002%以下
銀 (Ag)
0.001%以下
マグネシウム (Mg)
0.001%以下
カルシウム (Ca)
0.001%以下
亜鉛 (Zn)
0.001%以下
鉛 (Pb)
0.005%以下
ひ素 (As)
5ppm以下
鉄 (Fe)
0.002%以下
6. 試験方法 試験方法は,次のとおりとする。
(1) 純度 99.5%以上
試料1g(0.1mgのけたまではかる)→全量フラスコ200mlにとる+硝酸 (1+1) 10ml→水を標線まで加
える→その20ml(正確にとる)+水180ml→0.01mol/lEDTA2Na溶液で滴定(指示薬:キシレノールオ
レンジ溶液。終点は液の色が赤紫から黄に変わる点)。
0.01mol/lEDTA2Na溶液1mlは,0.004 851gBi (NO3) 3・5H2Oに相当する。
(2) 希硝酸溶状
試料1g+[硝酸 (1+2) 5ml+水15ml]……澄明。
(3) 塩化物 (Cl) 0.001%以下
試料側溶液:試料1.0g+硝酸 (1+2) 5ml+水 (→25ml)。
標準側溶液:塩化物標準液 (0.01mgCl/ml) 1.0ml+硝酸 (1+2) 5ml+水 (→25ml)。
操作:JIS K 8001の5.7(1)(比濁法)による。
(4) 硫酸塩 (SO4) 0.005%以下
試料側溶液:試料3.0g+温めた塩酸 (1+2) 6ml→溶かす+水100ml+アンモニア水 (2+3) を滴加して
中和+水 (→150ml) →ろ過→ろ液100ml(試料量2g)→水浴上蒸発(約15mlになるまで)+炭酸ナ
トリウム0.6g→水浴上蒸発乾固→弱く加熱→冷却+熱水15ml+塩酸 (1+3) 滴加(中和)→ろ過→水
洗→(ろ液+洗液) (→50ml) →その25ml(試料量1g)。
標準側溶液:塩酸 (2+1) 2ml+アンモニア水 (2+3) (中和に要した量の1/3)+炭酸ナトリウム0.3g
→水浴上蒸発乾固→弱く加熱→冷却+硫酸塩標準液 (0.01mgSO4/ml) 5.0ml+水10ml+塩酸 (1+3) (中
和)+水 (→25ml)。
操作:JIS K 8001の5.15(1)(比濁法)による。
(5) ナトリウム (Na) 0.002%以下
試料側溶液:試料2.0g+硝酸 (1+2) 30ml+水 (→100ml) (X液)[(6),(7),(8),(9),(10),(11),(12)
及び(14)の試験にも用いる]。
標準側溶液:試料2.0g+硝酸 (1+2) 30ml+ナトリウム標準液 (0.01mgNa/ml) 4.0ml+カリウム標準液
(0.01mgK/ml) 4.0ml+銅標準液 (0.01mgCu/ml) 4.0ml+銀標準液 (0.01mgAg/ml) 2.0ml+マグネシウム標
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準液 (0.01mgMg/ml) 2.0ml+カルシウム標準液 (0.01mgCa/ml) 2.0ml+亜鉛標準液 (0.01mgZn/ml) 2.0ml
+鉛標準液 (0.01mgPb/ml) 10ml+鉄標準液 (0.01mgFe/ml) 4.0ml+水 (→100ml) (Y液)[(6),(7),(8),
(9),(10),(11),(12)及び(14)の試験にも用いる]。
操作:JIS K 8001の5.30(炎光光度法)による。測定波長λ1 589.0nm,λ2 580nm。
(6) カリウム 0.002%以下
試料側溶液:(5)のX液。
標準側溶液:(5)のY液。
操作:JIS K 8001の5.30による。測定波長λ1 766.5nm,λ2 760nm。
(7) 銅 (Cu) 0.002%以下
試料側溶液:(5)のX液。
標準側溶液:(5)のY液。
空試験溶液:硝酸 (1+2) 30ml→+水 (→100ml) (Z液)。[(8),(9),(10),(11),(12)及び(14)の試験
にも用いる]。
操作:JIS K 8001の5.31(1)(直接噴霧法)(d)による。測定波長324.7nm。
(8) 銀 (Ag) 0.001%以下
試料側溶液:(5)のX液。
標準側溶液:(5)のY液。
空試験溶液:(7)のZ液。
操作:JIS K 8001の5.31(1)(d)による。測定波長328.1nm。
(9) マグネシウム (Mg) 0.001%以下
試料側溶液:(5)のX液。
標準側溶液:(5)のY液。
空試験溶液:(7)のZ液。
操作:JIS K 8001の5.31(1)(d)による。測定波長285.2nm。
(10) カルシウム (Ca) 0.001%以下
試料側溶液:(5)のX液。
標準側溶液:(5)のY液。
空試験溶液:(7)のZ液。
操作:JIS K 8001の5.31(1)(d)による。測定波長422.7nm。
(11) 亜鉛 (Zn) 0.001%以下
試料側溶液:(5)のX液。
標準側溶液:(5)のY液。
空試験溶液:(7)のZ液。
操作:JIS K 8001の5.31(1)(d)による。測定波長213.9nm。
(12) 鉛 (Pb) 0.005%以下
試料側溶液:(5)のX液。
標準側溶液:(5)のY液。
空試験溶液:(7)のZ液。
操作:JIS K 8001の5.31(1)(d)による。測定波長283.3nm。
(13) ひ素 (As) 5ppm以下
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
試料側溶液:試料1.0g+水10ml+硫酸5ml→加熱板上加熱(硫酸の白煙が発生するまで)→冷却+水
5ml→加熱板上で再び加熱(硫酸の白煙が発生するまで)→冷却+水 (→15ml) 水素化ひ素発生瓶100ml
に入れる。
標準側溶液:水10ml+硫酸5ml→加熱板上加熱(硫酸の白煙が発生するまで)→冷却+ひ素標準液
(0.001mgAs/ml) 5.0ml+水 (→15ml) →水素化ひ素発生瓶100mlに入れる。
操作:JIS K 8001の5.19(3)(AgDDTC法)による。
(14) 鉄 (Fe) 0.002%以下
試料側溶液:(5)のX液。
標準側溶液:(5)のY液。
空試験溶液:(7)のZ液。
操作:JIS K 8001の5.31(1)(d)による。測定波長248.3nm。
7. 容器 遮光した気密容器とする。
8. 表示 容器には,容易に消えない方法で次の事項を表示しなければならない。
(1) 名称 “硝酸ビスマス五水和物”及び“試薬”の文字
(2) 種類
(3) 化学式,式量
(4) 品質(純度)
(5) 内容量
(6) 製造番号
(7) 製造業者名又はその略号
参考 取扱い上の注意事項 硝酸ビスマス五水和物は火気及び衝撃を避け,又,可燃性物との接触に
は十分注意して取り扱うこと。
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K 8566-1994
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原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
久保田 正 明
物質工学工業技術研究所計測化学部
細 川 幹 夫
通商産業省基礎産業局生物化学産業課
津 田 博
通商産業省機械情報産業局計量行政室
地 崎 修
工業技術院標準部繊維化学規格課
喜多川 忍
通商産業検査所化学部化学標準課
野々村 誠
都立工業技術センター無機化学部
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
石 橋 無味男
厚生省国立衛生試験所
川 瀬 晃
社団法人日本分析化学会
柳 瀬 斉 彦
社団法人日本化学工業協会
藤 貫 正
社団法人日本分析化学会
並 木 昭
財団法人化学品検査協会
鶴 田 利 行
硫酸協会
中 村 靖
日本鉱業協会
大 槻 孝
社団法人日本鉄鋼協会
日 暮 喜八郎
第一化学薬品株式会社
北 田 佳 伸
和光純薬工業株式会社
高 野 虞美子
東京化成工業株式会社
中 村 穣
森田化学工業株式会社
山 岡 宏
片山化学工業株式会社
飯 岡 寛 一
柳島製薬株式会社
山 田 和 夫
関東化学株式会社
(事務局)
平 井 信 次
日本試薬連合会