K 8563:2018
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 1
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 一般事項 ······················································································································ 2
6.2 純度[Pb(NO3)2] ·········································································································· 2
6.3 水溶状 ························································································································· 3
6.4 塩化物(Cl) ················································································································ 4
6.5 ナトリウム(Na),カリウム(K)及びカルシウム(Ca)······················································ 4
6.6 銅(Cu)及び鉄(Fe) ··································································································· 5
6.7 銅(Cu),カルシウム(Ca)及び鉄(Fe) ········································································· 6
7 容器······························································································································· 8
8 表示······························································································································· 8
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8563:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成30年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8563:1995によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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硝酸鉛(II)(試薬)
Lead (II) nitrate (Reagent)
Pb(NO3)2 FW:331.21
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる硝酸鉛(II)について規定する。
警告1 硝酸鉛(II)は有害なので,粉じんを吸入しないようにし,粘膜,皮膚及び目に付着しない
ようにする。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,SDS(安全データシート)などを参考にして,各自の責任に
おいて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 0970 ピストン式ピペット
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8121 塩化カリウム(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8617 炭酸カルシウム(試薬)
JIS K 8847 ヘキサメチレンテトラミン(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 9563 キシレノールオレンジ(試薬)
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
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性質
4.1
性状
硝酸鉛(II)は,白色の結晶又は結晶性粉末で,水に溶けやすく,エタノール(99.5)にほとんど溶けな
い。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水20 mLを加えて溶かす(A液)。A液5 mLに硫酸5 mLを加えた後,硫酸鉄(II)溶液(100
g/L)2 mLを積層させたとき,二つの液の境界面に褐色の輪帯が生じる。
b) A液5 mLに硫化ナトリウム溶液(5 g/L)1 mLを加えると,黒の沈殿が生じる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度[Pb(NO3)2]
質量分率 %
99.5以上
6.2
水溶状
−
試験適合
6.3
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.001以下
6.4
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.005以下
6.5
カリウム(K)
質量分率 %
0.005以下
6.5
銅(Cu)
質量分率 %
0.001以下
6.6又は6.7
カルシウム(Ca)
質量分率 %
0.005以下
6.5又は6.7
鉄(Fe)
質量分率 %
0.001以下
6.6又は6.7
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度[Pb(NO3)2]
純度[Pb(NO3)2]の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+10) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積10
とを混合したもの。
2) ヘキサメチレンテトラミン溶液(100 g/L) JIS K 8847に規定するヘキサメチレンテトラミン10 g
をはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLとしたもの。
3) キシレノールオレンジ溶液 JIS K 9563に規定するキシレノールオレンジ0.10 gをはかりとり,水
を加えて溶かし,水を加えて100 mLとしたもの。
4) 0.01 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.01 mol/L EDTA2Na溶液) JIS K
8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を用い,JIS K 8001のJA.6.4
c) 4)(0.01 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液)に従って調製,標定及び計算
する。
b) 装置 主な装置は,次による。
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− pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料1.0 gを全量フラスコ250 mLに0.1 mgの桁まではかりとり,水50 mLを加えて溶かし,更に
水を標線まで加えて混合する。
2) その25 mLを200 mLビーカーなどに正確にとり,ヘキサメチレンテトラミン溶液(100 g/L)10 mL
及び水を加え,約100 mLとした後,pH計を用い,硝酸(1+10)でpH 5.2〜5.4に調整する。
3) 指示薬としてキシレノールオレンジ溶液2,3滴を加え,0.01 mol/L EDTA2Na溶液で滴定する。
4) 終点は,液の色が赤紫から黄に変わった点とする。
d) 計算 純度[Pb(NO3)2]は,次の式によって算出する。
100
1
312
003
.0
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 純度[Pb(NO3)2](質量分率 %)
V: 滴定に要した0.01 mol/L EDTA2Na溶液の体積(mL)
f: 0.01 mol/L EDTA2Na溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.003 312 1: 0.01 mol/L EDTA2Na溶液1 mLに相当するPb(NO3)2の
質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ
ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加え混合する。この液10 mLを全量
フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)
参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて20 mL
とし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
− 共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて20 mLにす
る。
2) 試料溶液を溶かした直後に濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共
通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
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2) ごみ,浮遊物などの異物は,ほとんど認めない。
6.4
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2)による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3)による。
b) 器具 主な器具は,次による。
− 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を
加えて20 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)2.0 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,
水を加えて20 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に硝酸(1+2)5 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて30 mL
にして振り混ぜた後,15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側方から観察して濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃
くないとき,“塩化物(Cl):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
6.5
ナトリウム(Na),カリウム(K)及びカルシウム(Ca)
ナトリウム(Na),カリウム(K)及びカルシウム(Ca)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) カリウム標準液(K:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,カリウム標準液(K:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8121に規定する塩化カリウ
ム1.91 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合
する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエ
チレン製瓶などに保存する。
3) カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8617に規定する炭酸カル
シウム2.50 gに水50 mL及び塩酸(2+1)15 mLを加え,沸騰しない程度に加熱して溶かし,更に
二酸化炭素を除き,冷却する。これを全量フラスコ1 000 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン
製瓶などに保存する。
4) ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナト
リウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合
する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエ
チレンなどの樹脂製瓶に保存する。
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b) 装置 主な装置は,次による。
− フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
ナトリウム(Na)
589.0
カリウム(K)
766.5
カルシウム(Ca)
422.7
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料20 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸(1+2)10 mL及び水を
加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(S液)[(S液)は6.6の試験にも用いる]。S液10 mL
(試料量2.0 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,S液10 mL(試料量2.0 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,ナトリウム
標準液(Na:0.01 mg/mL)10 mL,カリウム標準液(K:0.01 mg/mL)10 mL及びカルシウム標準液
(Ca:0.01 mg/mL)10 mLを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液からの指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d)によって操作し,n1がn2−n1より大きくないとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.005 %以
下(規格値),カリウム(K):質量分率0.005 %以下(規格値),カルシウム(Ca):質量分率0.005 %
以下”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によっておおよその参考値を求めることができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.6
銅(Cu)及び鉄(Fe)
銅(Cu)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム
鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸
(1+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水
和物3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水
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を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25
mLを加え,水を標線まで加えて混合する。
b) 装置 主な装置は,次による。
− フレーム原子吸光分析装置 6.5 b)による。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表3に示す。
表3−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
銅(Cu)
324.8
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,6.5のS液25 mL(5 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,水を標線まで加
えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,S液25 mL(5 g)を全量フラスコ100 mLに正確にとり,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)
5.0 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)5.0 mLを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表3に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液からの指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d)によって操作し,n1がn2−n1より大きくないとき,“銅(Cu):質量分率0.001 %以下(規格
値),鉄(Fe):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,6.5 e)の注記によって求めることができる。
6.7
銅(Cu),カルシウム(Ca)及び鉄(Fe)
銅(Cu),カルシウム(Ca)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) イットリウム標準液(Y:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
なお,イットリウム標準液(Y:0.01 mg/mL)を調製する場合は,次のいずれかを用いる。
1.1) 硝酸イットリウム(III)六水和物(質量分率99.9 %以上)4.31 gを全量フラスコ1 000 mLにはか
りとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mL
を全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
1.2) 酸化イットリウム(III)(質量分率99.99 %以上)1.27 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,JIS
K 8541に規定する硝酸75 mLを加えて,熱板(ホットプレート)上で加熱し溶解させ,全量フラ
スコ1 000 mLに移し,ビーカー200 mLなどを洗い,洗液を全量フラスコ1 000 mLに加えた後,
水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線ま
で加えて混合する。
注記 イットリウム標準液は,ICP発光分光分析法で発光強度を補正するための内標準である。
市販のイットリウム標準液(Y:1 mg/mL)は,使用目的に合致した場合には,市販のも
のを用いてもよい。
2) カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL) 6.5 a) 3)による。
3) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.6 a) 1)による。
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4) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 6.6 a) 2)による。
b) 装置 主な装置は,次による。
1) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。
2) ICP発光分光分析装置 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。
c) 分析種及び内標準イットリウムの測定波長 分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例を表4に
示す。
なお,別の条件でも同等の試験結果が得られる場合には,その条件を用いてもよい。
表4−分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例
測定元素
測定波長 nm
銅(Cu)
327.395
カルシウム(Ca)
317.933
鉄(Fe)
238.204
イットリウム(Y)
360.074
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸(1+2)0.5 mL,イット
リウム標準液(Y:0.01 mg/mL)1.0 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(X
液)。
2) 標準溶液の調製は,3個の全量フラスコ100 mLに標準液を表5に示す3段階の体積をとり,硝酸(1
+2)0.5 mL,イットリウム標準液(Y:0.01 mg/mL)1.0 mL及び水を標線まで加えて混合する(そ
れぞれY1液,Y2液及びY3液とする)。
表5−採取する標準液の体積
標準液
mg/mL
採取量 mL
Y1
Y2
Y3
銅標準液(Cu)
0.01
0.5
1.0
2.0
カルシウム標準液(Ca)
0.01
2.5
5.0
10
鉄標準液(Fe)
0.01
0.5
1.0
2.0
3) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ100 mLに硝酸(1+2)0.5 mL,イットリウム標準液(Y:0.01
mg/mL)1.0 mL及び水を標線まで加えて混合する(Z液)。
4) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の箇条4(ICP発光分光分析)による。
5) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に
する。
6) 同一分析種ごとに複数波長を選択し,Y1液,Y2液及びY3液を用いて,関係線を作成し,関係線の
y切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件を満たせない場合,分析結果に
対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。
7) Z液,X液,Y1液,Y2液及びY3液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,分析種及び内標準イットリウ
ム(Y)の発光強度を測定する。
e) 計算 JIS K 0116の4.7.3 a) 2)[強度比法(内標準法)]によって検量線を作成し,分析種の含有率を
計算する。
f)
判定 d)によって操作し,e)によって計算し得られた含有率が,規格値を満足しているとき,“銅(Cu):
8
K 8563:2018
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
質量分率0.001 %以下(規格値),カルシウム(Ca)質量分率0.005 %以下(規格値),鉄(Fe):質量
分率0.001 %以下(規格値)”とする。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“硝酸鉛(II)”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号