K 8554:2020
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 一般事項 ······················································································································ 2
6.2 純度[Sr(NO3)2] ··········································································································· 2
6.3 水溶状 ························································································································· 3
6.4 pH(50 g/L,25 ℃) ······································································································ 4
6.5 塩化物(Cl) ················································································································ 4
6.6 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 5
6.7 ナトリウム(Na),カリウム(K),マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca) ························ 5
6.8 バリウム(Ba) ············································································································· 6
6.9 マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),バリウム(Ba),鉛(Pb)及び鉄(Fe) ····················· 7
6.10 鉛(Pb)及び鉄(Fe) ·································································································· 8
7 容器······························································································································ 10
8 表示······························································································································ 10
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS K 8554:2017は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,令和2年9月22日までの間は,産業標準化法第30条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8554:2017を適用してもよい。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
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硝酸ストロンチウム(試薬)
Strontium nitrate (Reagent)
Sr(NO3)2 FW:211.63
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる硝酸ストロンチウムについて規定する。
警告1 硝酸ストロンチウムは,有機溶剤などの酸化されやすい物質と接触すると,激しい反応を生
じ,発火及び激しい燃焼が起きることがある。
警告2 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の実験室での作業に精通していることを前提とす
る。この規格は,その使用に関連して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするもので
はない。この規格の利用者は,安全データシート(SDS)などを参考にして各自の責任にお
いて安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 0970 ピストン式ピペット
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬)
JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬)
JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 9552 メチルチモールブルー(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8802 pH測定方法
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3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
硝酸ストロンチウムは,白い結晶又は粉末で,水に溶けやすく,エタノール(99.5)にほとんど溶けな
い。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料0.5 gに水20 mLを加えて溶かし,硫酸(1+9)5 mLを加える。生じた沈殿をろ過し,ろ液10 mL
に硫酸5 mLを加え,硫酸鉄(II)溶液(100 g/L)2 mLを積層させると二つの液の境界面に褐色の輪
帯が現れる。
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線を先端から約30 mmまで塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120 mm,
内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に,内炎の最上部から約10 mmの位置に水
平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,白金線の先端約5 mm
を水で浸し,少量の試料を付着させたものをガスバーナーの無色炎中に入れると赤が現れる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度[Sr(NO3)2]
質量分率 %
98.0〜102.0
6.2
水溶状
−
試験適合
6.3
pH(50 g/L,25 ℃)
−
5.0〜7.0
6.4
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.001 以下
6.5
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.003 以下
6.6
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.01 以下
6.7
カリウム(K)
質量分率 %
0.01 以下
6.7
マグネシウム(Mg)
質量分率 %
0.005 以下
6.7又は6.9
カルシウム(Ca)
質量分率 %
0.02 以下
6.7又は6.9
バリウム(Ba)
質量分率 %
0.5 以下
6.8又は6.9
鉛(Pb)
質量分率 ppm
5 以下
6.9又は6.10
鉄(Fe)
質量分率 ppm
5 以下
6.9又は6.10
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度[Sr(NO3)2]
純度[Sr(NO3)2]の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) メチルチモールブルー JIS K 9552に規定するもの。
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2) ジエチルアミン 純度が質量分率98.0 %以上のもの。
3) 0.1 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.1 mol/L EDTA2Na溶液) JIS K 8107
に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を用い,JIS K 8001のJA.6.4 c) 1)
(0.1 mol/Lエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液)に従って,調製,標定及び計算した
もの。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ 自動滴定装置 光度滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料0.8 gをコニカルビーカー200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,水50 mLを加えて溶かし,
ジエチルアミン5 mLを加える。
2) 滴定操作は,次のいずれかによる。
2.1) 指示薬としてメチルチモールブルー約1 mgを加え,0.1 mol/L EDTA2Na溶液で滴定する。終点は,
液の色が青から無色又はうすい灰色に変わる点とする。
2.2) 指示薬として,用いる装置に適切な量(2 mg〜30 mg)のメチルチモールブルーを加え,自動滴定
装置によって,波長610 nm〜660 nm付近で0.1 mol/L EDTA2Na溶液で光度滴定を行う。終点は,
変曲点とする。
d) 計算 純度[Sr(NO3)2]は,次の式によって算出する。
0
541
.1
100
163
021
.0
Ba
1
×
−
×
×
×
=
w
m
f
V
A
ここに,
A: 純度[Sr(NO3)2](質量分率 %)
V: 滴定に要した0.1 mol/L EDTA2Na溶液の体積(mL)
f: 0.1 mol/L EDTA2Na溶液のファクター
m1: はかりとった試料の質量(g)
wBa: 6.8又は6.9で求めたバリウム(Ba)の量(質量分率 %)
0.021 163: 0.1 mol/L EDTA2Na溶液1 mLに相当するSr(NO3)2の質量
を示す換算係数(g/mL)
1.541 0: Baの含有量をSr(NO3)2に換算する係数
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合したもの。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,更に水
を加えて100 mLにしたもの。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[c)
参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加えて
20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 容量50 mL,直径約24 mmで目盛のあるもの。
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d) 操作 操作は,次による。
1) 試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,更に水を加えて20 mL
にする。
2) 試料を溶かした直後に,濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通
すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 試料溶液の濁りが,b)の濁りより濃くなく,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めないとき,
“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
6.4
pH(50 g/L,25 ℃)
pH(50 g/L,25 ℃)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次による。
1) 窒素 純度がJIS K 1107に規定する2級以上のもの。
2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
b) 装置 主な装置は,次による。
1) 恒温水槽 25 ℃±0.5 ℃に調節できるもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え
て溶かし,更に二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカー
にとる。
2) pHの測定は,JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温25 ℃±0.5 ℃の恒温水槽につ
けた試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。
6.5
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2)による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3)による。
b) 器具 主な器具は,次による。
・ 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,更に
水を加えて20 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)2.0 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,
水を加えて20 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に硝酸(1+2)5 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,
15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃くないとき,“塩化物
(Cl):質量分率0.001 %以下(規格値)”とする。
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6.6
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩酸 JIS K 8180に規定する特級のもの。
3) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gをはかりとり,
水を加えて溶かし,更に水を加えて100 mLにしたもの。
4) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合したもの。
5) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
3) ガラス製蒸発皿 JIS R 3503の付図22又は付図23に規定するもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gをガラス製蒸発皿100 mLなどにはかりとり,水10 mL及び塩酸5 mL
を加え,沸騰水浴上でほとんど蒸発乾固し,水5 mL及び塩酸2 mLを加えて沸騰水浴上でほとんど
蒸発乾固する。冷却後,水15 mLを加えて溶かし,共通すり合わせ平底試験管に移し,塩酸(2+1)
0.3 mLを加え,水を加えて25 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,ガラス製蒸発皿100 mLに塩酸7 mLをとり,沸騰水浴上で蒸発乾固する。冷却
後,水15 mLを加えて溶かし,共通すり合わせ平底試験管に移し,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)
6.0 mL及び塩酸(2+1)0.3 mLを加え,更に水を加えて25 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて
振り混ぜた後,30分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 試料溶液から得られた液の濁りが,比較溶液から得られた液の白濁より濃くないとき,“硫酸塩
(SO4):質量分率0.003 %以下(規格値)”とする。
6.7
ナトリウム(Na),カリウム(K),マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)
ナトリウム(Na),カリウム(K),マグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
3) カリウム標準液(K:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
4) マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
5) カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。
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表2−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
ナトリウム(Na)
589.0
カリウム(K)
766.5
マグネシウム(Mg)
285.2
カルシウム(Ca)
422.7
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸(1+2)2 mL及び水を加
えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸(1+2)2 mL,ナトリウ
ム標準液(Na:0.1 mg/mL)1.0 mL,カリウム標準液(K:0.1 mg/mL)1.0 mL,マグネシウム標準
液(Mg:0.01 mg/mL)5.0 mL,カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL)2.0 mL及び水を加えて溶かし,
更に水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表2に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値及びY液の指示値を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値とY液の指示値からX液の指示値を引いた値とを比較する。
e) 判定 X液の指示値が,Y液の指示値からX液の指示値を引いた値より大きくないとき,“ナトリウ
ム(Na):質量分率0.01 %以下(規格値),カリウム(K):質量分率0.01 %以下(規格値),マグネシ
ウム(Mg):質量分率0.005 %以下(規格値),カルシウム(Ca):質量分率0.02 %以下(規格値)”と
する。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって,おおよその値を求めることが可能であ
る。
100
000
1
2
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
C
B
ここに,
B: 分析種の含有率(質量分率 %)
C: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m2: はかりとった試料の質量(g)
n1: X液の指示値
n2: Y液の指示値
6.8
バリウム(Ba)
バリウム(Ba)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) バリウム標準液(Ba:1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
b) 装置 主な装置は,次による。
・ フレーム原子吸光分析装置 6.7 b)による。
c) バリウム(Ba)の測定波長 バリウム(Ba)の測定波長の例を表3に示す。
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表3−バリウム(Ba)の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
バリウム(Ba)
553.6
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ25 mLにはかりとり,硝酸(1+2)1 mL及び水を加
えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ25 mLにはかりとり,硝酸(1+2)1 mL,バリウム
標準液(Ba:1 mg/mL)5.0 mL及び水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をアセチレン−空気フレーム中に噴霧し,表3に示す測
定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれアセチレン−空気フレ
ーム中に噴霧し,バリウムの吸光度を測定し,X液の指示値及びY液の指示値を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値とY液の指示値からX液の指示値を引いた値とを比較する。
e) 判定 X液の指示値が,Y液の指示値からX液の指示値を引いた値より大きくないとき,“バリウム
(Ba):質量分率0.5 %以下(規格値)”とする。
注記 バリウム(Ba)の含有率(質量分率 %)は,6.7 e)の注記によって求めることができる。
6.9
マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),バリウム(Ba),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),バリウム(Ba),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次によ
る。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) マグネシウム標準液(Mg:0.1 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)に規定するマグネシウム標
準液(Mg:1 mg/mL)10 mLを全量フラスコ100 mLに正確にとり,塩酸(2+1)25 mLを加え,水
を標線まで加えて混合したもの。
3) カルシウム標準液(Ca:0.1 mg/mL) 6.7 a) 5)による。
4) バリウム標準液(Ba:1 mg/mL) 6.8 a) 2)による。
5) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
6) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)による。
7) イットリウム標準液(Y:1 mg/mL) 次のいずれかの方法で調製されたもの。
なお,使用目的に合致した場合には,市販のものを用いてもよい。
7.1) 硝酸イットリウム(III)六水和物(質量分率99.9 %以上)4.31 gを全量フラスコ1 000 mLにはか
りとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合する。
7.2) 酸化イットリウム(III)(質量分率99.99 %以上)1.27 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,JIS
K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)75 mLを加えて,熱板(ホットプレート)
上で加熱し溶解させ,全量フラスコ1 000 mLに移し,ビーカー200 mLなどを洗い,洗液を先の全
量フラスコ1 000 mLに加えた後,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。
1) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。
2) ICP発光分光分析装置 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。
c) 分析種及び内標準イットリウムの測定波長 分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例を表4に
示す。
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なお,別の条件でも同等の試験結果が得られる場合には,その条件を用いてもよい。
表4−分析種及び内標準イットリウムの測定波長の例
分析種
測定波長 nm
マグネシウム(Mg)
279.533
カルシウム(Ca)
393.366
バリウム(Ba)
230.424
鉛(Pb)
220.353
鉄(Fe)
238.204
イットリウム(Y)
360.074
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,全量フラスコ100 mLに試料1.0 gをはかりとり,水10 mLを加えて溶かし,硝
酸(1+2)2 mL,イットリウム標準液(Y:1 mg/mL)100 μL及び水を標線まで加えて混合する(X
液)。
2) 全量フラスコ100 mLを3個準備する。それぞれに硝酸(1+2)2 mL,イットリウム標準液(Y:1
mg/mL)100 μL及び水10 mLをとり,表5に示す各標準液の体積を3段階に加え,水を標線まで加
えて混合する(それぞれ,Y1液,Y2液及びY3液とする。)。
表5−採取する標準液の体積
標準液
mg/mL
採取量 μL
Y1
Y2
Y3
マグネシウム(Mg)
0.1
250
500
1000
カルシウム(Ca)
0.1
1000
2000
3000
バリウム(Ba)
1
2500
5000
7500
鉛(Pb)
0.01
250
500
1000
鉄(Fe)
0.01
250
500
1000
3) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ100 mLに硝酸(1+2)2 mL及びイットリウム標準液(Y:1
mg/mL)100 μLをとり,水を標線まで加え混合する(Z液)。
4) ICP発光分光分析装置を用いて,Z液,X液,Y1液,Y2液及びY3液を噴霧し,分析種の発光強度を
測定する。
e) 計算 JIS K 0116の4.7.3 a) 2)[強度比法(内標準法)]によって検量線を作成し,分析種の含有率を
算出する。
f)
判定 計算して得られた含有率が,規格値を満足しているとき,“マグネシウム(Mg):質量分率
0.005 %以下(規格値),カルシウム(Ca):質量分率 0.02 %以下(規格値),バリウム(Ba):質量分
率0.5 %以下(規格値),鉛(Pb):質量分率 5 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率 5 ppm以下(規
格値)”とする。
6.10 鉛(Pb)及び鉄(Fe)
鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
2) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積2と
水の体積3とを混合したもの。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
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3) 塩酸(2+1) 6.6 a) 4)による。
4) くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
10 gを水に溶かして100 mLにしたもの。使用時に調製する。
5) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/L)[NaDDTC溶液(10 g/L)] JIS K 8454
に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gを水に溶かして100 mLにし
たもの。
6) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.9 a) 5)による。
7) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.9 a) 6)による。
b) 装置 主な装置は,次による。
1) フレーム原子吸光分析装置 6.7 b)による。
2) pH計 6.4 b) 2)による。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表6に示す。
表6−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
鉛(Pb)
283.3
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料10 gをビーカー200 mLにはかりとり,水40 mL及び塩酸(2+1)1 mLを
加えて溶かし,更に水を加えて80 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,試料10 gをビーカー200 mLにはかりとり,水40 mL及び塩酸(2+1)1 mLを
加えて溶かす。鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)5 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)5 mLを加え,
更に水を加えて80 mLにする。
3) 空試験溶液の調製は,塩酸(2+1)1 mLに水を加えて5 mLにする。
4) 試料溶液及び比較溶液に,くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L)2 mLを加え,pH計を用い
て,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH約5.5に調節し,更にNaDDTC溶液(10 g/L)5 mL
を直ちに加え,水を加えて100 mLにする。
5) これらの溶液それぞれを,分液漏斗200 mLに入れ,酢酸ブチル20 mLを加えた後,1分間激しく振
り混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分離してとる。試料溶液から
の上層(酢酸ブチル相)をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの上層(酢酸ブチル
相)をY液とし,下層(水相)は捨てる。
6) 試料溶液からの下層(水相)を分液漏斗200 mLにとり,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく
振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して下層(水相)を分離する。この場合の上層(酢酸ブチル相)
は捨てる。再び,下層(水相)に酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれ
るまで放置して下層(水相)を分離し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た下層(水相)
に3)の空試験溶液を加え,更にくえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L)2 mLを加えた後,pH
計を用いて,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH約5.5に調節する。さらに,NaDDTC
溶液(10 g/L)5 mLを直ちに加え,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分か
れるまで放置し,上層(酢酸ブチル相)を分離してZ液とする。
7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してフレームの状態を最適にしておき,
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Y液をフレーム中に噴霧し,表6に示す分析種の測定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定す
る。X液,Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,測定対象分析種の吸光度を測定し,X液
の指示値,Y液の指示値及びZ液の指示値を読み取る。
8) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いた値と,Y液の指示値からX液の指示値を引い
た値とを比較する。
e) 判定 X液の指示値からZ液の指示値を引いた値が,Y液の指示値からX液の指示値を引いた値より
大きくないとき,“鉛(Pb):質量分率5 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”
とする。
注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)は,次の式によって,おおよその値を求めることが可能で
ある。
6
3
3
4
5
3
10
000
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
E
D
ここに,
D: 分析種の含有率(質量分率 ppm)
E: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m3: はかりとった試料の質量(g)
n3: X液の指示値
n4: Y液の指示値
n5: Z液の指示値
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“硝酸ストロンチウム”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号