K 8549:2017
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度[Ca(NO3)2・4H2O] ·································································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 4
6.4 エタノール溶状 ············································································································· 5
6.5 pH(50 g/L,25 ℃) ······································································································ 5
6.6 塩化物(Cl) ················································································································ 5
6.7 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 6
6.8 ナトリウム(Na),カリウム(K)及びマグネシウム(Mg) ·················································· 7
6.9 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)······················································································ 8
6.10 銅(Cu),鉛(Pb),鉄(Fe)及びバリウム(Ba) ···························································· 10
6.11 ひ素(As) ················································································································· 11
6.12 アンモニウム(NH4) ·································································································· 13
7 容器······························································································································ 16
8 表示······························································································································ 16
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8549:2011は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成29年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8549:2011によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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硝酸カルシウム四水和物(試薬)
Calcium nitrate tetrahydrate
Ca(NO3)2・4H2O FW:236.15
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる硝酸カルシウム四水和物について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0116 発光分光分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 0970 ピストン式ピペット
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8012 亜鉛(試薬)
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8044 三酸化二ひ素(試薬)
JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8121 塩化カリウム(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8374 酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬)
JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬)
2
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JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8580 すず(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8776 2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸(試薬)
JIS K 8777 ピリジン(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 8995 硫酸マグネシウム七水和物(試薬)
JIS K 9512 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
硝酸カルシウム四水和物は,白い結晶又は結晶性粉末で,潮解しやすく,水に極めて溶けやすく,エタ
ノール(99.5)に溶けやすい。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水20 mLを加えて溶かす(A液)。A液10 mLに硫酸10 mLを加えて冷却した後,硫酸鉄
(II)溶液(100 g/L)10 mLを積層させると,二つの境界面に褐色の輪帯が現れる。
b) A液10 mLにしゅう酸アンモニウム溶液(40 g/L)1 mLを加えると,白い沈殿が生じる。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
3
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表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度[Ca(NO3)2・4H2O]
質量分率 %
98.5 以上
6.2
水溶状
−
試験適合
6.3
エタノール溶状
−
試験適合
6.4
pH(50 g/L,25 ℃)
−
4.0〜6.0
6.5
塩化物(Cl)
質量分率 ppm
5 以下
6.6
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.001 以下
6.7
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.01 以下
6.8
カリウム(K)
質量分率 %
0.005 以下
6.8
銅(Cu)
質量分率 ppm
5 以下
6.9又は6.10
マグネシウム(Mg)
質量分率 %
0.01 以下
6.8
バリウム(Ba)
質量分率 %
0.005 以下
6.10
鉛(Pb)
質量分率 ppm
5 以下
6.9又は6.10
ひ素(As)
質量分率 ppm
1 以下
6.11
鉄(Fe)
質量分率 ppm
1 以下
6.9又は6.10
アンモニウム(NH4)
質量分率 %
0.002 以下
6.12
6
試験方法
6.1
一般事項
一般事項は,次による。
a) 試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
b) 使用するガラス器具は,特に規定がない場合は,JIS R 3503及びJIS R 3505による。
c) 使用する標準液は,計量計測トレーサビリティが確保された標準液を,使用用途に合致することを確
認し,必要ならば希釈して使用する。このような標準液がない場合,使用用途に合致することを確認
して市販の標準液を用いるか,又は調製したものを用いる。
注記1 計量計測トレーサビリティが確保された標準液としては,計量標準供給制度[JCSS(Japan
Calibration Service System)]に基づく標準液,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標
準総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST),ドイツ連邦材料試験研究所
(BAM)などが供給する標準液及びこれらへの計量計測トレーサビリティが確保された市
販の認証標準液がある。
d) 滴定用溶液の調製及び標定は,JIS K 8001の附属書JA(試験用溶液類の調製方法及び滴定用溶液類の
調製及び標定)による。市販品を用いる場合は,使用用途に合致することを確認する。
注記2 計量計測トレーサビリティが確保された滴定用溶液としては,ISO/IEC 17025に基づく認
定試験所が認定の範囲で値付けした市販の滴定用溶液がある。
6.2
純度[Ca(NO3)2・4H2O]
純度[Ca(NO3)2・4H2O]の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 水酸化カリウム溶液(100 g/L) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム11.8 gを水に溶かして100 mL
にする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に密栓して保存する。
2) 2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸希釈粉末(HSNN希釈粉末)
JIS K 8776に規定する2-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシ-4-スルホ-1-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸0.20
4
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g及びJIS K 8962に規定する硫酸カリウム10 gを混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 0.01 mol/L エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.01 mol/L EDTA2Na溶液)
JIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を用い,6.1 d)による。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料1.0 gをビーカー200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,水50 mLを加えて溶かし,全量フ
ラスコ500 mLに洗い入れて,水を標線まで加えて混合する。その25 mLをコニカルビーカー250 mL
などに正確にとり,水75 mL,水酸化カリウム溶液(100 g/L)12 mL及び指示薬としてHSNN希釈粉
末0.05 gを加え,0.01 mol/L EDTA2Na溶液で滴定する。終点は,液の色が赤から青に変わる点とする。
c) 計算 純度[Ca(NO3)2・4H2O]は,次の式によって算出する。
100
500
/
25
5
361
002
.0
×
×
×
×
=
m
f
V
A
ここに,
A: 純度[Ca(NO3)2・4H2O](質量分率 %)
V: 滴定に要した0.01 mol/L EDTA2Na溶液の体積(mL)
f: 0.01 mol/L EDTA2Na溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.002 361 5: 0.01 mol/L EDTA2Na溶液1 mLに相当する
Ca(NO3)2・4H2Oの質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合する。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ
ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[6.3
c)参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,水を加えて20
mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 例えば,容量50 mL,直径約23 mmで目盛のあるもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,20 mL
にする。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の
有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
5
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2) 試料溶液に,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
エタノール溶状
エタノール溶状の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
3) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2)による。
4) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3)による。
b) 濁りの程度の適合限度標準 6.3 b)による。
c) 器具 主な器具は,次のものを用いる。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,エタノール(95)を加え
て溶かし,エタノール(95)を加えて20 mLにする。
2) 試料を溶かした直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の
有無を共通すり合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“エタノール溶状:試験適合(規格値)”と
する。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液に,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.5
pH(50 g/L,25 ℃)
pH(50 g/L,25 ℃)の試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) 恒温水槽 25 ℃±0.5 ℃に調節できるもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ 100 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え
て溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカーにと
る。
2) pHの測定は,JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温25 ℃±0.5 ℃の恒温水槽につ
けた試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。
6.6
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2)による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3)による。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 mL及び硝酸(1+
2)3 mLを加えて溶かし,水を加えて20 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)1.0 mL及び硝酸(1+2)3 mLを共通すり合わ
せ平底試験管にとり,水を加えて20 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,15分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.7
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gをはかりとり,
水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。
4) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム
1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) ガラス製蒸発皿 JIS R 3503に規定するもの。
3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gをガラス製蒸発皿にはかりとり,水10 mL及び塩酸(2+1)9 mLを
加えて溶かし,水浴上で蒸発乾固し,再び水5 mL及び塩酸(2+1)3 mLを加えて,水浴上で蒸発
乾固する。水10 mL及び塩酸(2+1)0.3 mLを加えて溶かし,少量の水を用いて共通すり合わせ平
底試験管に移し入れ,水を加えて25 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,塩酸(2+1)12 mLをガラス製蒸発皿にとり,水浴上で蒸発乾固する。水10 mL
及び塩酸(2+1)0.3 mLを加え,少量の水を用いて共通すり合わせ平底試験管に移し入れ,硫酸塩
標準液(SO4:0.01 mg/mL)5.0 mL及び水を加えて25 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて
振り混ぜた後,1時間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.001 %以下(規格値)”とす
7
K 8549:2017
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.8
ナトリウム(Na),カリウム(K)及びマグネシウム(Mg)
ナトリウム(Na),カリウム(K)及びマグネシウム(Mg)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,ナトリウム標準液(Na:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナト
リウム2.54 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合
する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエ
チレンなどの樹脂製瓶に保存する。
3) カリウム標準液(K:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,カリウム標準液(K:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8121に規定する塩化カリウ
ム1.91 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン
などの樹脂製瓶に保存する。
4) マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,マグネシウム標準液(Mg:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8995に規定する硫酸マ
グネシウム七水和物10.1 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,塩酸(2+1)15 mL及び水を加
えて溶かし,更に水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にと
り,塩酸(2+1)15 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。ポリエチレンなどの樹脂製瓶
に保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
ナトリウム(Na)
589.0
カリウム(K)
766.5
マグネシウム(Mg)
285.2
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸(1+2)2 mL及び水を加
えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸(1+2)2 mL,ナトリウ
ム標準液(Na:0.01 mg/mL)10 mL,カリウム標準液(K:0.01 mg/mL)5.0 mL,マグネシウム標準
液(Mg:0.01 mg/mL)10 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を
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測定し,X液の指示値n1及びY液の指示値n2を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.01 %以下(規格値),
カリウム(K):質量分率0.005 %以下(規格値),マグネシウム(Mg):質量分率0.01 %以下(規格値)”
とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.9
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
2) アンモニア水(2+3)(必要な場合に用いる。) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率 28.0 %
〜30.0 %)の体積2と水の体積3とを混合する。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
3) 塩酸(2+1) 6.7 a) 3)による。
4) くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
10 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
5) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/L)[NaDDTC溶液(10 g/L)] JIS K 8454
に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gをはかりとり,水を加えて
溶かし,水を加えて100 mLにする。使用時に調製する。
6) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水
和物3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水
を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25
mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
7) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g
を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mLを加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,更に
水を標線まで加えて混合する。
8) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム
鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸
(1+2)25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。
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b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 水浴 6.7 b) 3)による。
2) pH計 6.5 b) 2)による。
3) フレーム原子吸光分析装置 6.8 b)による。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表3に示す。
表3−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
銅(Cu)
324.8
鉛(Pb)
283.3
鉄(Fe)
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料10 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,水30 mL及び塩酸(2+1)1 mL
を加えて溶かし,水を加えて80 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,試料10 gをビーカー200 mLなどにはかりとり,水30 mL,塩酸(2+1)1 mL,
銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)5.0 mL,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)5.0 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)
1.0 mLを加えて溶かし,水を加えて80 mLにする。
3) 空試験溶液の調製は,塩酸(2+1)1 mLに水を加えて5 mLにする。
4) 試料溶液及び比較溶液に,くえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L)2 mlを加え,pH計を用い
て,塩酸(2+1)又はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節し,更にNaDDTC溶液(10 g/L)5 mL
を直ちに加え,水を加えて100 mLにする。
5) これらの溶液それぞれを,分液漏斗200 mLに入れ,酢酸ブチル20 mLを加えた後,1分間激しく振
り混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分離してとる。試料溶液から
の酢酸ブチル相をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの酢酸ブチル相をY液とし,
下層は捨てる。
6) 試料溶液からの水相を分液漏斗200 mLにとり,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,
二層に分かれるまで放置して下層(水相)を分離する。この場合の上層(酢酸ブチル相)は捨てる。
再び,水相に酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して下層
(水相)を分離し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た水相に3)の空試験溶液を加え,更
にくえん酸水素二アンモニウム溶液(100 g/L)2 mLを加えた後,pH計を用いて,塩酸(2+1)又
はアンモニア水(2+3)でpH 5.5に調節する。さらに,NaDDTC溶液(10 g/L)5 mLを直ちに加え,
酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置し,上層(酢酸ブチル
相)を分離してZ液とする。
7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してフレームの状態を最適にしておき,
Y液をフレーム中に噴霧し,表3に示す測定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液,
Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1,Y液の
指示値n2及びZ液の指示植n3を読み取る。
8) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3をY液の指示値からX液の指示値を
引いたn2−n1と比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率5 ppm以下(規格値),鉛(Pb):
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質量分率5 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率1 ppm以下(規格値)”とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)は,次の式によって求めることができる。
6
1
2
3
1
10
000
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 ppm)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.10 銅(Cu),鉛(Pb),鉄(Fe)及びバリウム(Ba)
銅(Cu),鉛(Pb),鉄(Fe)及びバリウム(Ba)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸 JIS K 8541に規定する60 %〜61 %で,特級のもの。
2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 6.9 a) 6)による。
3) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.9 a) 7)による。
4) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.9 a) 8)による。
5) バリウム標準液(Ba:0.1 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,バリウム標準液(Ba:0.1 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8155に規定する塩化バリウム
二水和物1.78 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,
水を標線まで加えて混合する。この液100 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)
25 mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) ピストン式ピペット JIS K 0970に規定するもの。
2) ICP発光分光分析装置 装置の構成は,JIS K 0116に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表4に示す。
なお,別の条件でも同等の試験結果が得られる場合には,その条件を用いてもよい。
表4−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
銅(Cu)
327.395
鉛(Pb)
220.353
鉄(Fe)
238.204
バリウム(Ba)
455.403
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,硝酸1.0 mL及び水を加えて溶
かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,3個の全量フラスコ100 mLに試料2.0 gをはかりとり,硝酸1.0 mL及び各標準
液をピストン式ピペットなどで表5に示す各標準液の体積を3段階とり,水を標線まで加えて混合
する(それぞれ,Y1液,Y2液及びY3液とする。)。
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表5−採取する標準液の体積
標準液
mg/mL
採取量 μL
Y1
Y2
Y3
銅(Cu)
0.01
500
1 000
1 500
鉛(Pb)
0.01
500
1 000
1 500
鉄(Fe)
0.01
100
200
300
バリウム(Ba)
0.1
500
1 000
1 500
3) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ100 mLに硝酸1.0 mLをとり,水を標線まで加えて混合する(Z
液)。
4) ICP発光分光分析装置の一般事項は,JIS K 0116の箇条4(ICP発光分光分析)による。
5) ICP発光分光分析装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,発光強度を測定できる状態に
する。
6) 同一分析種ごとに複数波長を選択し,Y1液,Y2液及びY3液を用いて,関係線を作成し,関係線の
y切片が低く,感度及び直線性が良好な波長を選択する。この条件を満たせない場合,分析結果に
対する影響(定量限界,再現精度)を考慮して選択する。
7) Z液,X液,Y1液,Y2液及びY3液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,分析種の発光強度を測定する。
e) 計算 JIS K 0116の4.7.3 b)(標準添加法)によって検量線を作成し,含有率を計算する。
f)
判定 d)によって操作し,e)によって計算し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率5 ppm以下(規
格値),鉛(Pb):質量分率5 ppm以下(規格値),鉄(Fe):質量分率1 ppm以下(規格値),バリウ
ム(Ba):質量分率0.005 %以下(規格値)”とする。
計算して得られた含有率が,規格値を満足している。
6.11 ひ素(As)
ひ素(As)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 亜鉛(ひ素分析用) JIS K 8012に規定する粒径150 μm〜1 400 μmのもの。
2) ピリジン JIS K 8777に規定するもの。
3) 硫酸 JIS K 8951に規定するもの。
4) 塩化すず(II)溶液(N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法用)[塩化すず(II)溶液(AgDDTC法
用)] JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをJIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析
用)に溶かし,塩酸(ひ素分析用)を加えて100 mLにする。JIS K 8580に規定する粒状のすず2,
3個を加えて,褐色ガラス製瓶に保存する。これを,使用時に水で10倍にうすめる。
5) 塩酸(ひ素分析用)(1+1) JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の体積1とを
混合する。
6) 酢酸鉛(II)溶液(100 g/L) JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物11.6 gをはかりとり,水
を加えて溶かし,水を加えて100 mLにした後,JIS K 8355に規定する酢酸0.1 mLを加える。
7) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀・ピリジン溶液(AgDDTC・ピリジン溶液) JIS K 9512に規
定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀0.5 gをはかりとり,JIS K 8777に規定するピリジンに
溶かし,ピリジンで100 mLにする。褐色ガラス製瓶に入れ,冷所に保存する。
8) よう化カリウム溶液(200 g/L) JIS K 8913に規定するよう化カリウム20 gをはかりとり,水を加
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えて溶かし,水を加えて100 mLにする。使用時に調製する。
9) ひ素標準液(As:0.001 mg /mL) 6.1 c)による。
なお,ひ素標準液(As:0.001 mg /mL)を調製する場合は,JIS K 8044に規定する特級又は1級
の三酸化二ひ素1.32 gをはかりとり,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)6 mLを加えて溶かした後,
水500 mLを加える。塩酸(ひ素分析用)(1+3)でpH 3〜5に調節した後,水で全量フラスコ1 000
mLに移し,水を標線まで加えて混合する。この液25 mLを全量フラスコ250 mLに正確にとり,水
を標線まで加えて混合する。さらに,この10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線
まで加えて混合する。
なお,水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)及び塩酸(ひ素分析用)(1+3)の調製は,次による。
水酸化ナトリウム溶液(100 g/L)の調製は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム10.3 gをは
かりとり,水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存す
る。
塩酸(ひ素分析用)(1+3)の調製は,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)の体積1と水の
体積3とを混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル(必要な場合に用いる。) 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,
光路長が10 mmのもの。
2) ひ素試験装置 例を図1に示す。
3) 分光光度計(必要な場合に用いる。) 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gをはかりとり,水10 mL及び硫酸3 mLを加えて溶かし,熱板(ホッ
トプレート)上で硫酸の白煙が発生するまで加熱した後,冷却する。再び水10 mLを加えて熱板(ホ
ットプレート)上で硫酸の白煙が発生するまで加熱した後,冷却し,水10 mLを加えてよくかき混
ぜた後に沈殿を含めて,水素化ひ素発生瓶100 mLに移し入れる。
2) 比較溶液の調製は,ひ素標準液(As:0.001 mg/mL)2.0 mL及び硫酸3 mLを熱板(ホットプレート)
上で硫酸の白煙が発生するまで加熱した後,冷却し,水10 mLを加えて,水素化ひ素発生瓶100 mL
に移し入れる。
3) 空試験溶液の調製は,硫酸3 mLを熱板(ホットプレート)上で硫酸の白煙が発生するまで加熱し
た後,冷却し,水10 mLを加えて,水素化ひ素発生瓶100 mLに移し入れる(吸光度を測定する場
合に調製する。)。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に,塩酸(ひ素分析用)(1+1)5 mLを加え,水で40 mLにす
る。これらによう化カリウム溶液(200 g/L)15 mL及び塩化すず(II)溶液(AgDDTC法用)5 mL
を加えて振り混ぜ,10分間放置する。次に,亜鉛(ひ素分析用)3 gを加え,直ちに水素化ひ素発
生瓶100 mLと導管B(あらかじめ水素化ひ素吸収管CにAgDDTC・ピリジン溶液5 mLを入れ,
導管Bと水素化ひ素吸収管Cとを連結しておく。)とを連結して約25 ℃の水中で約1時間放置し
た後,水素化ひ素吸収管Cを離し,ピリジンを5 mLの標線まで加える。
5) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,水素化ひ素吸収管Cの上
方又は側方から観察して赤を比較する。
なお,必要があれば吸収セルを用い,分光光度計で波長519 nm付近の吸収極大の波長における吸
光度を空試験溶液からのAgDDTC・ピリジン溶液を対照液として,JIS K 0115の6.(特定波長にお
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ける吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“ひ素(As):質量分率1 ppm以下(規格値)”
とする。
1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。
2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
水素化ひ素発生瓶100 mL
導管
水素化ひ素吸収管
ゴム栓又はすり合わせ
酢酸鉛(II)溶液(100 g/L)で
湿したガラスウール
40 mLの標線
5 mLの標線
図1−ひ素試験装置の例
6.12 アンモニウム(NH4)
アンモニウム(NH4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gをはかりとり,水60 mLを
加えて溶かす。これにJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物
5 gを加えて溶かし,水で100 mLにする。
2) 吸収液 図2に示す受器Hに,硫酸(1+15)2 mLを入れ,水18 mLを加える(吸収液を入れた受
器Hは,試験に必要な数を準備する。)。
硫酸(1+15)は,水の体積15を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1
を徐々に加える。
3) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう
すめる。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
有効塩素の定量方法 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを0.1 mg
の桁まではかりとり,全量フラスコ200 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mLを
共通すり合わせ三角フラスコ300 mLに正確にとり,水100 mL,JIS K 8913に規定するよう化カリ
ウム2 g及び酢酸(1+1)6 mLを加えて栓をして振り混ぜる。約5分間暗所に放置後,指示薬とし
てでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,
終点間際で液の色がうすい黄色になったときに約0.5 mLを加える。終点は,液の青が消える点とす
る。
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別に,同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
100
/200
20
3
545
0.003
)
(
2
1
×
×
×
×
−
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(mL)
V2: 空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
f: 0.1 mol/ L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するCl
の質量を示す換算係数(g/mL)
なお,酢酸(1+1),でんぷん溶液及び0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,次による。
酢酸(1+1)の調製は,JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
でんぷん溶液の調製は,JIS K 8659に規定する特級又は1級のでんぷん(溶性)1.0 gをはかりと
り,水 10 mLを加えてかき混ぜながら熱水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後
に冷却する。冷所に保存し,10日以内に使用する。
0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物,
及びJIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム又はJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタノールを用
い,6.1 d)による。
4) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム30.9 gをはかりとり,
水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
5) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)18 mLをビーカー200 mLにとる。
冷水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K
8034に規定するアセトン4 mLを加え,水で100 mLにする。使用時に調製する。
6) アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8116に規定する塩化ア
ンモニウム2.97 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混
合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 6.11 b) 1)による。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
3) 沸騰石 液体を沸騰させるとき突沸を防ぐために入れる多孔質の小片。
4) 恒温水槽 20 ℃〜25 ℃に調節できるもの。
5) 蒸留装置 例として図2に示す装置,又は自動ケルダール蒸留装置。
6) 分光光度計 6.11 b) 3)による。
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K 8549:2017
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
L:
蒸留フラスコ500 mL
連結導入管
すり合わせコックK-16
注入漏斗
ケルダール形トラップ球(E':小孔)
球管冷却器300 mm
逆流止め(約50 mL)
受器(有栓形メスシリンダー100 mL)
共通すり合わせ
共通テーパー球面すり合わせ
押さえばね
ヒーター
図2−蒸留装置の例
c) 操作 操作は,次のとおり行う。ただし,自動ケルダール蒸留装置を用いる場合,各機器に適した操
作を行う。
1) 試料溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料2.0 gをはかりとり,水140 mLを加えて溶かす。
2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料1.0 g及びアンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL)2 mL
をとり,水140 mLを加えて溶かす。
3) 空試験溶液は,蒸留フラスコAに水140 mLを入れる。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に沸騰石2,3片を入れる。受器Hに吸収液を入れ,逆流止め
Gの先端を浸し,蒸留装置に連結する。水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)10 mLを注入漏斗Dから
加える。注入漏斗Dを水10 mLで洗い,すり合わせコックCを閉じる。蒸留フラスコを徐々に加
熱して蒸留し,初留約75 mLをとり,水を加えて100 mLにして混合する。試料溶液から得られた
液をX液,比較溶液から得られた液をY液及び空試験溶液から得られた液をZ液とする。
5) X液10 mL,Y液10 mL及びZ液10 mLをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管にとり,EDTA2Na
溶液(インドフェノール青法用)1 mL及びナトリウムフェノキシド溶液4 mLを加えてよく振り混
ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mLを加え,水を加えて
25 mLにして混合し,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽で約15分間放置する。
6) X液及びY液から得られた液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,分光光度
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
計で波長630 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定
する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“アンモニウム(NH4):質量分率0.002 %以下(規格値)”
とする。
試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“硝酸カルシウム四水和物”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号