K 8544:2014
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 2
4 性質······························································································································· 2
4.1 性状 ···························································································································· 2
4.2 定性方法 ······················································································································ 2
5 品質······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 純度[Al(NO3)3・9H2O] ·································································································· 3
6.3 水溶状 ························································································································· 5
6.4 pH(50 g/l,25 ℃) ······································································································· 6
6.5 塩化物(Cl) ················································································································ 7
6.6 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 7
6.7 ナトリウム(Na)及びカリウム(K)················································································ 8
6.8 銅(Cu)及び鉛(Pb) ·································································································· 10
6.9 鉄(Fe) ····················································································································· 11
6.10 アンモニウム(NH4) ·································································································· 13
7 容器······························································································································ 16
8 表示······························································································································ 16
K 8544:2014
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8544:1993は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成26年9月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8544:1993によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 8544:2014
硝酸アルミニウム九水和物(試薬)
Aluminium nitrate nonahydrate (Reagent)
Al(NO3)3・9H2O FW:375.13
序文
この規格は,1953年に制定され,その後4回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は1993年に
行われたが,その後の試験・研究開発などの技術進歩に対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる硝酸アルミニウム九水和物について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8121 塩化カリウム(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8284 くえん酸水素二アンモニウム(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8356 酢酸亜鉛二水和物(試薬)
JIS K 8359 酢酸アンモニウム(試薬)
JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬)
2
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8490 ジチゾン(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8603 ソーダ石灰(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8736 エリオクロムブラックT(試薬)
JIS K 8780 ピロガロール(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS Z 8802 pH測定方法
3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
硝酸アルミニウム九水和物は,白い結晶又は結晶性粉末で,潮解性がある。水及びエタノールに極めて
溶けやすい。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水20 mlを加えて溶かす(A液)。A液10 mlに硫酸10 mlを加え冷却した後,硫酸鉄(II)
溶液(100 g/l)10 mlを積層させると,二つの液の境界面に褐色の輪帯が現れる。
b) A液10 mlに水酸化ナトリウム溶液(100 g/l)1 mlを加えると,白い沈殿が生じ,この沈殿に水酸化
ナトリウム溶液(100 g/l)5 mlを加えると,沈殿が溶ける。さらに,塩化アンモニウム溶液(100 g/l)
10 mlを加えると,沈殿が再び析出する。
5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
3
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度[Al(NO3)3・9H2O]
質量分率 %
98.0以上
6.2
水溶状
試験適合
6.3
pH(50 g/l,25 ℃)
2.0〜4.0
6.4
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.001以下
6.5
硫酸塩(SO4)
質量分率 %
0.005以下
6.6
ナトリウム(Na)
質量分率 %
0.02以下
6.7
カリウム(K)
質量分率 %
0.002以下
6.7
銅(Cu)
質量分率 ppm
5以下
6.8
鉛(Pb)
質量分率 ppm
5以下
6.8
鉄(Fe)
質量分率 %
0.002以下
6.9
アンモニウム(NH4)
質量分率 %
0.005以下
6.10
6
試験方法
6.1
一般事項
試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
6.2
純度[Al(NO3)3・9H2O]
純度[Al(NO3)3・9H2O]の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) アンモニア性塩化アンモニウム溶液 JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム7 gにJIS K 8085に
規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)57 ml及び水を加えて溶かし,水で100 mlにす
る。ポリエチレンなどの樹脂製の瓶に密栓して保存する。
2) エリオクロムブラックT希釈粉末 JIS K 8736に規定するエリオクロムブラックT 0.10 gにJIS K
8150に規定する塩化ナトリウム10 gを混合する。 褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩酸(1+3) JIS K 8180に規定する塩酸の体積1と水の体積3とを混合する。
4) 酢酸(1+1) JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
5) 酢酸-酢酸アンモニウム溶液 酢酸(1+1)11.4 mlに水80 mlを加え,更にJIS K 8359に規定する
酢酸アンモニウム7.7 gを加えて溶かし,水で100 mlにする。
6) ジチゾン・エタノール溶液(0.25 g/l) JIS K 8490に規定するジチゾン0.025 gをJIS K 8102に規
定するエタノール(95)に溶かして100 mlにする。使用時に調製する。
7) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %)の体積1と水の体積2とを混合
する。
8) 0.01 mol/l 亜鉛溶液(Zn:0.653 8 g/l) 0.01 mol/l 亜鉛溶液の調製及び計算は,次による。
注記1 0.01 mol/l 亜鉛溶液の調製及び計算は,JIS K 8001のJA.5.2(滴定用溶液の調製,標定及
び計算)a) 3) と同じである。
8.1) 調製 調製は,認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質の亜鉛を用い,次
のとおり行う。
8.1.1) 認証標準物質1) の亜鉛を用いる場合は,認証書に定める方法で使用する。
8.1.2) 容量分析用標準物質の亜鉛を用いる場合は,試験成績書などに従って乾燥する。
8.1.3) 認証標準物質1) 又は容量分析用標準物質の亜鉛0.33 gを0.1 mgの桁まではかりとり,共通すり
合わせ冷却管が付けられる三角フラスコ300 mlに移し,水25 ml及び硝酸(1+2)25 mlを加え,
4
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
冷却管を付けて水浴上で加熱して溶かす。次に,穏やかに煮沸して窒素酸化物を除いた後,放冷
し,全量フラスコ500 mlに移し,溶かすのに使用した三角フラスコ及び冷却管を水洗し,洗液
を先の全量フラスコ500 mlに加え,水を標線まで加えて混合した後,気密容器に入れて保存す
る。
注1) 認証標準物質を供給する者として,独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合セン
ター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST)などの国家計量機関及び認証標準物質
生産者がある。
8.2) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
100
90
326
.0
A
m
f
×
=
ここに,
f: 0.01 mol/l 亜鉛溶液のファクター
m: はかりとった亜鉛の質量(g)
A: 亜鉛の純度(質量分率 %)
0.326 90: 0.01 mol/l 亜鉛溶液500 ml中の亜鉛の相当質量(g)
9) 0.01 mol/l エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(0.01 mol/l EDTA2Na溶液)
(C10H14O8N2Na2・2H2O:3.722 g/l) 0.01 mol/l エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液の
調製,標定及び計算は,次による。
注記2 0.01 mol/l EDTA2Na溶液は,JIS K 8001のJA.5.2(滴定用溶液の調製,標定及び計算)
c) 4) と同じである。
9.1) 調製 JIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(EDTA2Na)
3.8 gをはかりとり,水1 000 mlを加えて溶かした後,ポリエチレンなどの樹脂製の気密容器に入
れて保存する。
9.2) 標定 0.01 mol/l 亜鉛溶液25 mlをコニカルビーカー200 mlなどに正確にはかりとり,水75 mlを
加えて,アンモニア性塩化アンモニウム溶液5 ml及び指示薬としてエリオクロムブラックT希釈
粉末0.02 g〜0.03 gを加え,8.1) で調製した0.01 mol/l EDTA2Na溶液で滴定する。終点は,液の色
が赤から青に変わった点とする。
9.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
V
f
f
25
1
×
=
ここに,
f1: 0.01 mol/l EDTA2Na溶液のファクター
f: 0.01 mol/l 亜鉛溶液のファクター
V: 滴定に要した0.01 mol/l EDTA2Na溶液の体積(ml)
10) 0.01 mol/l 酢酸亜鉛溶液[Zn(CH3COO)2・2H2O:2.195 g/l] 0.0l mol/l 酢酸亜鉛溶液の調製,標定
及び計算は,次による。
注記3 0.0l mol/l 酢酸亜鉛溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.5.2(滴定用溶液の
調製,標定及び計算)i) と同じである。
10.1) 調製 JIS K 8356に規定する酢酸亜鉛二水和物2.2 gをはかりとり,JIS K 8355に規定する酢酸2
ml及び水1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に入れて保存する。
10.2) 標定 10.1) で調製した0.01 mol/l 酢酸亜鉛溶液25 mlをコニカルビーカー200 mlに正確にはかり
とり,水75 ml及びアンモニア性塩化アンモニウム溶液2 mlを加え,指示薬としてエリオクロム
ブラックT希釈粉末0.05 gを加え,0.01 mol/l EDTA2Na溶液で滴定する。終点は,液の色が赤か
5
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ら青に変わった点とする。
10.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
25
1
2
V
f
f
×
=
ここに,
f2: 0.01 mol/l 酢酸亜鉛溶液のファクター
f1: 0.01 mol/l EDTA2Na溶液のファクター
V: 滴定に要した0.01 mol/l EDTA2Na溶液の体積(ml)
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料1.0 gを0.1 mgの桁まではかりとり,全量フラスコ250 mlに入れ,水を標線まで加えて混合す
る。その25 mlをコニカルビーカー300 mlなどに正確にはかりとり,0.01 mol/l EDTA2Na溶液40 ml
を正確にはかりとって加える。その液を煮沸し,冷却後,酢酸-酢酸アンモニウム溶液10 ml及びジチ
ゾン・エタノール溶液(0.25 g/l)3 mlを加え,0.01 mol/l 酢酸亜鉛溶液で滴定する。終点は,液の色
が灰褐色から赤みの灰褐色に変わった点とする。
別に,同一条件で空試験を行う。
c) 計算 純度[Al(NO3)3・9H2O]は,次の式を用いて計算する。
100
250
25
)
(
3
751
003
.0
2
1
2
×
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度[Al(NO3)3・9H2O](質量分率 %)
V2: 空試験の滴定に要した0.01 mol/l 酢酸亜鉛溶液の体積
(ml)
V1: 試料の滴定に要した0.01 mol/l 酢酸亜鉛溶液の体積
(ml)
f2: 0.01 mol/l 酢酸亜鉛溶液のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.003 751 3: 0.01 mol/l 酢酸亜鉛溶液1 mlに相当するAl(NO3)3・
9H2Oの質量を示す換算係数(g/ml)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.2 a) 7) による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gを水に溶かして100 mlにする。褐色ガラス
製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液
3.1) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) 計量標準供給制度[JCSS 2)]に基づく標準液で,酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致し
た場合に用い,必要な場合は,適切な方法で希釈して使用する(以下,“JCSSに基づく標準液”
という。)。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液で酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,必要な
場合は,適切な方法で希釈して使用する。ただし,JCSS以外の認証標準液がない場合は,市販
の標準液を用いる(以下,JCSS以外の認証標準液及び市販の標準液を合わせて,“JCSS以外の
認証標準液など”という。)。
6
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.1.3) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム1.65 gを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,水を加えて
溶かし,水を標線まで加えて混合する。
注2) JCSSは,Japan Calibration Service Systemの略称である。
3.2) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 塩化物標準液(Cl:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準“澄明”は,次による。
塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)0.2 mlを共通すり合わせ平底試験管[c) 参照]にはかりとり,水
10 ml,硝酸(1+2)1 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え,更に水を加えて20 mlとし,振り混
ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 濁り,ごみなどの有無が確認しやすい大きさで,目盛のあるもの。例
として,容量50 ml,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水で
20 mlにする。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb) と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通す
り合わせ平底試験管の上方又は側面から観察する。
e) 判定 d) によって操作し,次の1) 及び2) に適合するとき,“水溶状:試験適合”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b) の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
pH(50 g/l,25 ℃)
pH(50 g/l,25 ℃)の試験方法は,次による。
a) 試薬,ガス及び試験用溶液類 試薬,ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ソーダ石灰 JIS K 8603に規定するもの(必要な場合に用いる。)。
2) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
3) 水酸化カリウム溶液(250 g/l) JIS K 8574に規定する水酸化カリウム29.4 gを水に溶かして100 ml
にする(必要な場合に用いる。)。高密度ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
4) 二酸化炭素を除いた水 次の4.1)〜4.4) のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを
用い,使用時に調製する。
4.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶に水酸化カリ
ウム溶液(250 g/l)を入れたもの,又はソーダ石灰管を連結して空気中の二酸化炭素を遮り,冷却
したもの。
4.2) 水をフラスコに入れ,水の中に窒素を15分間以上通じたもの。
4.3) 二酸化炭素分離膜をもつガス分離管を用いて,水から二酸化炭素を除いたもの。
4.4) 新鮮な18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取
したもの。ただし,採水後速やかに用いる。
5) pH標準液 pH標準液は,JIS Z 8802の箇条7(pH標準液)による。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) 恒温水槽 (25.0±0.5)℃に調節できるもの。
7
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え
て溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカーにと
る。
2) pHの測定は,JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温(25.0±0.5)℃の恒温水槽に
つ(浸)けた試料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。
6.5
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.2 a) 7) による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/l) 6.3 a) 2) による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml) 6.3 a) 3.2) による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を
加えて20 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/ml)1.0 mlを共通すり合わせ平底試験管にはかりと
り,水を加えて20 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸(1+2)5 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加え振り混ぜた後,15
分間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率0.001 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.6
硫酸塩(SO4)
硫酸塩(SO4)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次による。
1) アンモニア水 JIS K 8085に規定する質量分率が28.0 %〜30.0 %のもの。
2) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
3) 塩化バリウム溶液(100 g/l) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gを水に溶かして
100 mlにする。
4) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸の体積2と水の体積1とを混合する。
5) 硫酸塩標準液
5.1) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
5.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
5.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
5.1.3) JIS K 8962に規定する硫酸カリウム1.101 gを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,水を加えて
8
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
溶かし,水を標線まで加えて混合する。
5.2) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml) 硫酸塩標準液(SO4:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 ml
に正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
2) ろ紙(5種C) JIS P 3801に規定するもの。
3) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの,又は試験管
などを浸せきできるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gをはかりとり,塩酸(2+1)10 mlを加えて,水浴上で蒸発乾固する。
塩酸(2+1)10 mlを加えて,再び水浴上で蒸発乾固した後,水40 mlを加えて溶かす(B液)。水
50 mlにアンモニア水10 mlを加えた液の中に,B液をかき混ぜながら徐々に加えた後,アンモニア
臭がほとんどなくなるまで煮沸後,冷却し,水で100 mlにする。ろ紙(5種C)でろ過し,そのろ
液50 ml(試料量1 g)を約20 mlになるまで蒸発させ[必要ならば,ろ紙(5種C)でろ過し,水
で洗浄し,ろ液と洗液を合わせる。],少量の水を用いて共通すり合わせ平底試験管に移し,塩酸(2
+1)0.3 mlを加え,水で25 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,塩酸(2+1)10 ml及びアンモニア水5 mlを水浴上で蒸発乾固し,少量の水を
用いて共通すり合わせ平底試験管に移し,塩酸(2+1)0.3 ml及び硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/ml)
5.0 mlを加え,水で25 mlにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,エタノール(95)3 ml及び塩化バリウム溶液(100 g/l)2 mlを加えて振
り混ぜた後,1時間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側面から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“硫酸塩(SO4):質量分率0.005 %以下(規格値)”と
する。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.7
ナトリウム(Na)及びカリウム(K)
ナトリウム(Na)及びカリウム(K)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.2 a) 7) による。
2) ナトリウム標準液及びカリウム標準液
2.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)及びカリウム標準液(K:1 mg/ml) 次のいずれかのものを
用いる。
2.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
2.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
2.1.3) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)及びカリウム標準液(K:1 mg/ml)を調製する場合
2.1.3.1) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml) JIS K 8150に規定する塩化ナトリウム2.54 gを全量フラ
スコ1 000 mlにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレン
などの樹脂製の瓶に保存する。
2.1.3.2) カリウム標準液(K:1 mg/ml) JIS K 8121に規定する塩化カリウム1.91 gを全量フラスコ1 000
9
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
mlに正確にはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレンなど
の樹脂製の瓶に保存する。
2.2) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml)及びカリウム標準液(K:0.01 mg/ml) 次のものを用いる。
2.2.1) ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml) ナトリウム標準液(Na:1 mg/ml)100 mlを全量フラスコ
1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレンなどの樹脂製の瓶に
保存する。
2.2.2) カリウム標準液(K:0.01 mg/ml) カリウム標準液(K:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000
mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。ポリエチレンなどの樹脂製の瓶に保存
する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を,表2に示す。
表2−分析種の測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
ナトリウム
Na
589.0
カリウム
K
766.5
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,硝酸(1+2)1 ml及び水を加
えて溶かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料1.0 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,硝酸(1+2)1 ml及び水を加
えて溶かし,ナトリウム標準液(Na:0.1 mg/ml)2.0 ml及びカリウム標準液(K:0.01 mg/ml)2.0 ml
を加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液及びY液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を
測定し,X液の指示値(n1)及びY液の指示値(n2)を読み取る。
4) 測定結果は,X液の指示値n1をY液の指示値からX液の指示値を引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“ナトリウム(Na):質量分率0.02 %以下(規格値),
カリウム(K):質量分率0.002 %以下(規格値)”とする。
n1は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)を求める場合は,次の式によって計算する。
100
000
1
1
2
1
×
×
−
×
=m
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
10
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.8
銅(Cu)及び鉛(Pb)
銅(Cu)及び鉛(Pb)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
2) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積2
と水の体積3とを混合する。ポリエチレンなどの樹脂製の瓶に保存する。
3) 塩酸(2+1) 6.6 a) 4) による。
4) くえん酸水素二アンモニウム溶液(200 g/l) JIS K 8284に規定するくえん酸水素二アンモニウム
20 gを水に溶かして100 mlにする。
5) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/l)[NaDDTC溶液(10 g/l)] JIS K 8454
に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gを水に溶かして100 mlにす
る。使用時に調製する。
6) 硝酸(1+2) 6.2 a) 7) による。
7) 銅標準液及び鉛標準液
7.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml)及び鉛標準液(Pb:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
7.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
7.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
7.1.3) 銅標準液(Cu:1 mg/ml)及び鉛標準液(Pb:1 mg/ml)を調製する場合
7.1.3.1) 銅標準液(Cu:1 mg/ml) JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水和物3.93 gを全量フラスコ
1 000 mlにはかりとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合す
る。
7.1.3.2) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml) JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 gを全量フラスコ1 000 ml
にはかりとり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
7.2) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml)及び鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 次のものを用いる。
7.2.1) 銅標準液(Cu:0.01 mg/ml) 銅標準液(Cu:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確
にはかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,水を標線まで加えて混合する。
7.2.2) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml) 鉛標準液(Pb:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確に
はかりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 分液漏斗200 ml JIS R 3503に規定するもの。
2) pH計 6.4 b) 2) による。
3) フレーム原子吸光分析装置 6.7 b) による。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を,表3に示す。
表3−分析種の測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
銅
Cu
324.8
鉛
Pb
283.3
11
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料4.0 gをビーカー100 mlなどにはかりとり,水25 ml及び塩酸(2+1)1 ml
を加えて溶かし,水で60 mlにする。
2) 比較溶液の調製は,試料4.0 gをビーカー100 mlなどにはかりとり,水25 ml及び塩酸(2+1)1 ml
を加えて溶かし,銅標準液(Cu:0.01 mg/ml)2.0 ml及び鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)2.0 mlを加え,
水で60 mlにする。
3) 空試験溶液の調製は,塩酸(2+1)1 mlに水を加えて5 mlにする。
4) 試料溶液及び比較溶液に,くえん酸水素二アンモニウム溶液(200 g/l)10 mlを加え,アンモニア水
(2+3)でpH 約5.5に調節し,更に,NaDDTC溶液(10 g/l)5 mlを直ちに加え,水を加えて100 ml
にする。
5) これらの溶液それぞれを,分液漏斗200 mlに入れ,酢酸ブチル20 mlを加えた後,1分間激しく振
り混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分離してとる。試料溶液から
の酢酸ブチル相をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの酢酸ブチル相をY液とし,
下層(水相)は捨てる。
6) 試料溶液からの水相を分液漏斗200 mlに入れ,酢酸ブチル20 mlを加えて1分間激しく振り混ぜ,
二層に分かれるまで放置して,下層(水相)を分離する。この場合の上層(酢酸ブチル相)は捨て
る。再び,水相に酢酸ブチル20 mlを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して
下層(水相)を分離し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た水相に3) の空試験溶液を加
えた後,NaDDTC溶液(10 g/l)5 mlを直ちに加え,酢酸ブチル20 mlを加えて1分間激しく振り混
ぜ,二層に分かれるまで放置し上層(酢酸ブチル相)を分離してZ液とする。
7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してフレームの状態を最適にしておき,
Y液をフレーム中に噴霧し,表3に示す測定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液,
Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値(n1),Y液
の指示値(n2)及びZ液の指示値(n3)を読み取る。
8) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3をY液の指示値からX液の指示値を
引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率5 ppm以下(規格値),鉛(Pb):
質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)を求める場合は,次の式によって求めることができる。
6
1
2
3
1
10
000
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 ppm)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.9
鉄(Fe)
鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.6 a) 4) による。
12
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) 硝酸(1+2) 6.2 a) 7) による。
3) 鉄標準液
3.1) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
3.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
3.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
3.1.3) JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mlにはかり
とり,硝酸(1+2)25 ml及び水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製
瓶に保存する。
3.2) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml) 鉄標準液(Fe:1 mg/ml)10 mlを全量フラスコ1 000 mlに正確には
かりとり,硝酸(1+2)25 mlを加え,更に水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存
する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 6.7 b) による。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を,表4に示す。
表4−鉄の測定波長の例
単位 nm
分析種
測定波長
鉄
Fe
248.3
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,塩酸(2+1)1 mlを加えて溶
かし,水を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mlにはかりとり,塩酸(2+1)1 mlを加えて溶
かし,鉄標準液(Fe:0.01 mg/ml)10 mlを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) 空試験溶液の調製は,塩酸(2+1)1 mlを全量フラスコ100 mlにはかりとり,水を標線まで加えて
混合する(Z液)。
4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,表4に示す測定波長付近で吸光
度が最大となる波長を設定する。X液,Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,鉄の吸光度
を測定し,X液の指示値(n1),Y液の指示値(n2)及びZ液の指示値(n3)を読み取る。
5) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3をY液の指示値からX液の指示値を
引いたn2−n1とを比較する。
e) 判定 d) によって操作し,次に適合するとき,“鉄(Fe):質量分率0.002 %以下(規格値)”とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 %)は,次の式によって求めることができる。
100
000
1
1
2
3
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: 鉄の含有率(質量分率 %)
B: 用いた標準液中の鉄の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
13
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.10 アンモニウム(NH4)
アンモニウム(NH4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mlに溶かす。これ
にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,
水で100 mlにする。
2) 吸収液 図1の受器Hに硫酸(1+15)2 mlに水18 mlを加える(吸収液を調製した受器Hは,試
験に必要な数を準備する。)。
2.1) 硫酸(1+15) 水の体積15を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を
徐々に加える。
3) 酢酸(1+1) 6.2 a) 4) による。
4) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水で薄
める。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
有効塩素の定量方法 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを0.1 mg
の桁まではかりとり,全量フラスコ200 mlに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mlを共
通すり合わせ三角フラスコ300 mlに正確にはかりとり,水100 ml,JIS K 8913に規定するよう化カ
リウム2 g及び酢酸 (1+1)6 mlを加えて栓をして振り混ぜる。約5分間暗所に放置後,指示薬と
してでんぷん溶液を用い,0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液
は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mlを加える。終点は,液の青が消える点と
する。
別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
有効塩素の濃度は,次の式によって求める。
(
)
100
200
/
20
3
545
003
0
2
1
×
×
×
−
×
=
m
f
V
V
.
A
ここに,
A: 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(ml)
f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとった次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の質量(g)
0.003 545 3: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するCl
の質量を示す換算係数(g/ml)
5) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l) 水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして100 mlにする。高密度
ポリエチレンなどの樹脂製の瓶に保存する。
6) でんぷん溶液 JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mlを加えてかき混ぜながら熱
水200 ml中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却する。冷所に保存し,10日以内に
使用する。
14
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)18 mlをビーカー200 mlにとる。冷
水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K 8034
に規定するアセトン4 mlを加え,水で100 mlにする。使用時に調製する。
8) ピロガロール・水酸化ナトリウム溶液 JIS K 8780に規定するピロガロール10 gを水酸化ナトリウ
ム溶液(300 g/l)80 mlに溶かし,更に水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)を加えて全量を100 mlにす
る(必要な場合に用いる。)。使用時に調製する。
9) 溶存酸素を除いた水 次の9.1)〜9.5) のいずれか,又はそれらの二つ以上を組み合わせたものを用
い,使用時に調製する。
9.1) 水をフラスコに入れ,加熱し,沸騰が始まってから5分間以上その状態を保つ。加熱を止め,フ
ラスコの口を時計皿で軽く蓋をして少し放置して沸騰が止まった後に,ガス洗浄瓶にピロガロー
ル・水酸化ナトリウム溶液を入れたものを連結するなどして空気中の酸素を遮り,冷却したもの。
9.2) 水をフラスコに入れ,水の中にJIS K 1107に規定する窒素を15分間以上通じたもの。
9.3) 酸素分離膜をもつガス分離管を用いて,水から溶存酸素を除いたもの。
9.4) 水を超音波振動装置で十分に脱気を行ったもの。
9.5) 18 MΩ・cm以上の抵抗率のある水を,窒素を通じた三角フラスコに泡立てないように採取したも
の。ただし,採水後速やかに用いる。
10) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却してかき混ぜながら,硫酸の体積1を徐々に加える。
11) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液(Na2S2O3・5H2O:24.82 g/l) 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液
の調製,標定及び計算は,次による。
注記 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.5.2(滴定用
溶液の調製,標定及び計算)t) 2) と同じである。
11.1) 調製 JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸
ナトリウム0.2 gをはかりとり,溶存酸素を除いた水1 000 mlを加えて溶かした後,気密容器に
入れて保存する。調製後2日間放置したものを用いる。
11.2) 標定 標定は,認証標準物質1) 又はJIS K 8005に規定する容量分析用標準物質のよう素酸カリウ
ムを用い,次のとおり行う。
11.2.1) 認証標準物質1) のよう素酸カリウムは,認証書に定める方法で使用する。
11.2.2) 容量分析用標準物質のよう素酸カリウムを用いる場合は,試験成績書などに従って乾燥する。
11.2.3) 認証標準物質1) 又は容量分析用標準物質のよう素酸カリウム0.9 g〜1.1 gを全量フラスコ250 ml
に0.1 mgの桁まではかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。その25 ml
を共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに正確にはかりとり,水100 mlを加える。次に,よう化
カリウム2 g及び硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分
間放置する。指示薬としてでんぷん溶液を用い,11.1) で調製した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウ
ム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,終点間際で液の色がうすい黄になったときに
約0.5 mlを加える。終点は,液の青が消える点とする。
別に,共通すり合わせ三角フラスコ200 mlに水125 ml及びよう化カリウム2 gをはかりとり,
硫酸(1+1)2 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜて,暗所に5分間放置し,同一条
件で空試験を行って滴定量を補正する。
11.3) 計算 ファクターは,次の式によって算出する。
15
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(
)100
7
566
003
.0
250
/
25
2
1
A
V
V
m
f
×
−
×
×
=
ここに,
f: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m: はかりとったよう素酸カリウムの質量(g)
A: よう素酸カリウムの純度(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(ml)
V2: 空試験に要した0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液の
体積(ml)
0.003 566 7: 0.1 mol/l チオ硫酸ナトリウム溶液1 mlに相当するよ
う素酸カリウムの質量を示す換算係数(g/ml)
12) アンモニウム標準液
12.1) アンモニウム標準液(NH4:1 mg/ml) 次のいずれかのものを用いる。
12.1.1) JCSSに基づく標準液 6.3 a) 3.1.1) に準じる。
12.1.2) JCSS以外の認証標準液など 6.3 a) 3.1.2) に準じる。
12.1.3) JIS K 8116に規定する塩化アンモニウム2.97 gを全量フラスコ1 000 mlにはかりとり,水を加
えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
12.2) アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/ml) アンモニウム標準液(NH4:1 mg/ml)10 mlを全量フ
ラスコ1 000 mlに正確にはかりとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
2) 沸騰石 液体を沸騰させるとき突沸を防ぐために入れる多孔質の小片。
3) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c) による。
4) 恒温水槽 20 ℃〜25 ℃に調節できるもの。
5) 蒸留装置 例を図1に示す。
6) 分光光度計 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,蒸留フラスコA(図1参照)に試料1.0 gをはかりとり,水約140 mlを加える。
2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコA(図1参照)にアンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/ml)5.0 ml
をはかりとり,水約140 mlを加える。
3) 空試験溶液の調製は,蒸留フラスコA(図1参照)に水約140 mlを加える。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に沸騰石2,3片を入れる。吸収液を入れた受器Hに,逆流止
めGの先端を浸し,蒸留装置に連結する。これに水酸化ナトリウム溶液(300 g/l)10 mlを注入漏
斗Dから加える。注入漏斗Dを水10 mlで洗い,すり合わせコックCを閉じる。加熱蒸留して初留
約75 mlをとり,水を加えて100 mlにする(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られ
た液をY液及び空試験溶液から得られた液をZ液とする。)。
5) X液10 ml,Y液10 ml及びZ液10 mlをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管等にはかりとり,
EDTA2Na溶液(インドフェノール青法用)1 ml及びナトリウムフェノキシド溶液4 mlを加えてよ
く振り混ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mlを加え,更
に水を加えて25 mlにし,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽で15分間放置する。
6) X液及びY液から得られた液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,分光光度
計で波長630 nm付近の吸収極大の波長における吸光度を,JIS K 0115の6.(特定波長における吸収
16
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
の測定)によって測定し,比較する。
d) 判定 c) によって操作し,次に適合するとき,“アンモニウム(NH4):質量分率0.005 %以下(規格
値)”とする。
X液から得られた液の吸光度は,Y液から得られた液の吸光度より大きくない。
単位 mm
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
L:
蒸留フラスコ500 ml
連結導入管
すり合わせコックK-16
注入漏斗
ケルダール形トラップ球(E':小孔)
球管冷却器300 mm
逆流止め(約50 ml)
受器(有栓形メスシリンダー100 ml)
共通すり合わせ
共通テーパー球面すり合わせ
押さえばね
ヒーター
図1−蒸留装置の例
7
容器
容器は,気密容器とする。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称 “硝酸アルミニウム九水和物”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
17
K 8544:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i)
製造業者名又はその略号