K 8536:2017
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 種類······························································································································· 3
4 性質······························································································································· 3
4.1 性状 ···························································································································· 3
4.2 定性方法 ······················································································································ 3
5 品質······························································································································· 4
6 試験方法························································································································· 4
6.1 一般事項 ······················································································································ 4
6.2 純度(C4H4O6KNa・4H2O) ······························································································ 4
6.3 水溶状 ························································································································· 5
6.4 pH(50 g/L,25 ℃) ······································································································ 6
6.5 塩化物(Cl) ················································································································ 6
6.6 りん酸塩(PO4) ··········································································································· 7
6.7 硫黄化合物(SO4として) ······························································································· 8
6.8 銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)······················································································ 9
6.9 カルシウム(Ca) ········································································································· 10
6.10 アンモニウム(NH4) ·································································································· 11
6.11 還元糖(C6H12O6として) ····························································································· 14
7 容器······························································································································ 14
8 表示······························································································································ 15
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 16
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
試薬協会(JRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8536:2006は改正され,この規格に置き換えられた。
なお,平成29年8月19日までの間は,工業標準化法第19条第1項等の関係条項の規定に基づくJISマ
ーク表示認証において,JIS K 8536:2006によることができる。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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(+)-酒石酸ナトリウムカリウム四水和物(試薬)
Potassium sodium(+)-tartrate tetrahydrate
C4H4O6KNa・4H2O FW:282.22
序文
この規格は,1983年に第1版として発行されたISO 6353-2:1983,Reagents for chemical analysis−Part 2:
Specifications−First series R27 Potassium sodium tartrate tetrahydrateを基とし,技術の進歩を反映し,技術的
内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる(+)-酒石酸ナトリウムカリウム四水和物について規定する。
注記1 別名:ロッシェル塩,セニエット塩
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 6353-2:1983,Reagents for chemical analysis−Part 2: Specifications−First series R27
Potassium sodium tartrate tetrahydrate(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 6202 化学分析用白金皿
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0068 化学製品の水分測定方法
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0115 吸光光度分析通則
JIS K 0117 赤外分光分析方法通則
JIS K 0121 原子吸光分析通則
JIS K 1107 窒素
JIS K 8001 試薬試験方法通則
2
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JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8042 アニリン(試薬)
JIS K 8051 3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JIS K 8085 アンモニア水(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8107 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JIS K 8116 塩化アンモニウム(試薬)
JIS K 8136 塩化すず(II)二水和物(試薬)
JIS K 8150 塩化ナトリウム(試薬)
JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8223 過塩素酸(試薬)
JIS K 8264 ぎ酸(試薬)
JIS K 8355 酢酸(試薬)
JIS K 8377 酢酸ブチル(試薬)
JIS K 8454 N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(試薬)
JIS K 8541 硝酸(試薬)
JIS K 8550 硝酸銀(試薬)
JIS K 8563 硝酸鉛(II)(試薬)
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS K 8617 炭酸カルシウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8637 チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS K 8798 フェノール(試薬)
JIS K 8810 1-ブタノール(試薬)
JIS K 8824 D(+)-グルコース(試薬)
JIS K 8886 無水酢酸(試薬)
JIS K 8905 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
JIS K 8951 硫酸(試薬)
JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬)
JIS K 8982 硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JIS K 8983 硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製体積計
JIS Z 8802 pH測定方法
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3
種類
種類は,特級とする。
4
性質
4.1
性状
(+)-酒石酸ナトリウムカリウム四水和物は,白い結晶又は粉末で,水に溶けやすく,エタノール(99.5)
及びジエチルエーテルにほとんど溶けない。水溶液(100 g/L)の比旋光度[]20
D
αは,約+22°である。
4.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水20 mLを加えて溶かす(A液)。A液10 mLに酢酸(2+1)2 mLを加え,更にヘキサニ
トロコバルト(III)酸ナトリウム溶液(200 g/L)0.5 mLを加えると黄の沈殿が生じる。
b) 炎色試験は,直径約0.8 mmの白金線を先端から約30 mmまで塩酸(1+1)に浸し,炎の長さ約120 mm,
内炎の長さ約30 mm程度としたガスバーナーの無色炎中に,内炎の最上部から約10 mmの位置に水
平に入れた後,放冷する。この操作を炎に色が現れなくなるまで繰り返す。次に,A液に白金線の先
端約5 mmを浸し,静かに引き上げて,ガスバーナーの無色炎中に入れると黄が炎に現れ,コバルト
ガラスを透かして見ると紫が炎に現れる。
c) 試料の赤外吸収スペクトルをJIS K 0117によって測定すると,波数3 400 cm-1,1 603 cm-1,1 405 cm-1,
1 345 cm-1,1 070 cm-1及び919 cm-1付近に主な吸収を認める。この場合,試料調製はJIS K 0117の5.3
(粉体)のa)(錠剤法)による。錠剤の調製に臭化カリウムを用いたときの赤外吸収スペクトルの例
を,図1に示す。
図1−赤外吸収スペクトルの例
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5
品質
品質は,箇条6によって試験したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
試験方法
純度(C4H4O6KNa・4H2O)
質量分率 %
99.5〜102.0
6.2
水溶状
−
試験適合
6.3
pH(50 g/L,25 ℃)
−
6.5〜8.5
6.4
塩化物(Cl)
質量分率 %
0.001以下
6.5
りん酸塩(PO4)
質量分率 %
0.001以下
6.6
硫黄化合物(SO4として)
質量分率 %
0.005以下
6.7
銅(Cu)
質量分率 ppm
2以下
6.8
カルシウム(Ca)
質量分率 %
0.005以下
6.9
鉛(Pb)
質量分率 ppm
2以下
6.8
鉄(Fe)
質量分率 ppm
5以下
6.8
アンモニウム(NH4)
質量分率 %
0.002以下
6.10
還元糖(C6H12O6として)
質量分率 %
0.2以下
6.11
6
試験方法
6.1
一般事項
一般事項は,次による。
a) 試験方法の一般的な事項は,JIS K 0050及びJIS K 8001による。
b) 使用するガラス器具は,特に規定がない場合は,JIS R 3503及びJIS R 3505による。
c) 使用する標準液は,計量計測トレーサビリティが確保された標準液を,使用用途に合致することを確
認し,必要ならば希釈して使用する。このような標準液がない場合,使用用途に合致することを確認
して市販の標準液を用いるか,又は調製したものを用いる。
注記1 計量計測トレーサビリティが確保された標準液としては,計量標準供給制度[JCSS(Japan
Calibration Service System)]に基づく標準液,国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標
準総合センター(NMIJ),米国国立標準技術研究所(NIST),ドイツ連邦材料試験研究所
(BAM)などが供給する標準液及びこれらへの計量計測トレーサビリティが確保された市
販の認証標準液がある。
d) 滴定用溶液の調製及び標定は,JIS K 8001の附属書JA(試験用溶液類の調製方法及び滴定用溶液類の
調製及び標定)による。市販品を用いる場合は,使用用途に合致することを確認する。
注記2 計量計測トレーサビリティが確保された滴定用溶液としては,ISO/IEC 17025に基づく認
定試験所が認定の範囲で値付けした市販の滴定用溶液がある。
6.2
純度(C4H4O6KNa・4H2O)
純度(C4H4O6KNa・4H2O)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) ぎ酸(質量分率98 %以上) JIS K 8264に規定するもの。
2) 酢酸(非水滴定用) 非水滴定に用いる酢酸は,次の試験に適合したものを用いる。
JIS K 8042に規定するアニリン1 gをJIS K 8355に規定する酢酸で溶かし,酢酸で100 mLにし
たものをA液とする。A液25 mLを正確にとり,0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶媒)で電位差滴定し
5
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たときの滴定量をV1 mLとする。また,A液25 mLを正確にとり,酢酸75 mLを加え0.1 mol/L 過
塩素酸(酢酸溶媒)で電位差滴定したときの滴定量をV2 mLとする。V2−V1は,0.1 mL以下である。
なお,酢酸(非水滴定用)の水分測定は,JIS K 0068の6.3.5 a)(直接滴定)による。試料10 g
を用いる。この場合,滴定溶媒はメタノールに代えて,クロロホルムとアルキレンカルボネートと
を主成分とするカールフィッシャー用脱水溶剤40 mLを用いる。
3) 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶媒)(HClO4:10.05 g/L) JIS K 8223に規定する過塩素酸(質量分率70.0 %
〜72.0 %)及びJIS K 8886に規定する無水酢酸を用い,6.1 d)による。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
電位差滴定装置 電位差滴定の機能をもち,最小吐出量が0.01 mL以下のもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
試料0.3 gをビーカー200 mLなどに0.1 mgの桁まではかりとり,ぎ酸(質量分率98 %以上)3 mL
を加えて溶かす。これに酢酸(非水滴定用)50 mLを加え,0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶媒)でJIS K
0113の5.(電位差滴定方法)によって,指示電極にガラス電極,参照電極に銀−塩化銀電極を用いる
か,又はそれらを組み合わせた複合電極を用いるか,若しくは金属電極を用い,電位差滴定を行う。
終点は,変曲点とする。
別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
d) 計算 純度(C4H4O6KNa・4H2O)は,次の式によって計算する。
100
)
(
111
014
.0
2
1
×
×
−
×
=
m
f
V
V
A
ここに,
A: 純度(C4H4O6KNa・4H2O)(質量分率 %)
V1: 滴定に要した0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶媒)の体積
(mL)
V2: 空試験の滴定に要した0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶媒)
の体積(mL)
f: 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶媒)のファクター
m: はかりとった試料の質量(g)
0.014 111: 0.1 mol/L 過塩素酸(酢酸溶媒)1 mLに相当する
C4H4O6KNa・4H2Oの質量を示す換算係数(g/mL)
6.3
水溶状
水溶状の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %〜61 %,特級)の体積1と水の体積2と
を混合する。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) JIS K 8550に規定する硝酸銀2 gをはかりとり,水を加えて溶かし,水を加
えて100 mLにする。褐色ガラス製瓶に保存する。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8150に規定する塩化ナトリウ
ム1.65 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 濁りの程度の適合限度標準 濁りの程度の適合限度標準は,“澄明”を用いる。
澄明の限度標準の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)0.2 mLを共通すり合わせ平底試験管[6.3
6
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c)参照]にとり,水10 mL,硝酸(1+2)1 mL及び硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加え,更に水を加え
て20 mLとし,振り混ぜてから15分間放置する。
c) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 例として,容量50 mL,直径約23 mmのもの。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を
加えて20 mLにする。
2) 直後に,試料溶液の濁りの程度をb)と比較する。また,ごみ,浮遊物などの異物の有無を共通すり
合わせ平底試験管の上方又は側方から観察する。
e) 判定 d)によって操作し,次の1)及び2)に適合するとき,“水溶状:試験適合(規格値)”とする。
1) 試料溶液の濁りは,b)の濁りより濃くない。
2) 試料溶液には,ごみ,浮遊物などの異物をほとんど認めない。
6.4
pH(50 g/L,25 ℃)
pHの試験方法は,次による。
a) ガス及び試験用溶液類 ガス及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 窒素 JIS K 1107に規定するもの。
2) 二酸化炭素を除いた水 JIS K 8001の5.8 c)(二酸化炭素を除いた水)による。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
1) 恒温水槽 25 ℃±0.5 ℃に調節できるもの。
2) pH計 JIS Z 8802に規定する形式II以上の性能のもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料5.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,二酸化炭素を除いた水を加え
て溶かし,二酸化炭素を除いた水を標線まで加えて混合する。この液を適切な容量のビーカーにと
る。
2) JIS Z 8802の8.2(測定方法)による。この場合,液温25 ℃±0.5 ℃の恒温水槽につ(浸)けた試
料溶液の液面上に窒素を流し,かき混ぜながらはかる。
6.5
塩化物(Cl)
塩化物(Cl)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
2) 硝酸銀溶液(20 g/L) 6.3 a) 2)による。
3) 塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL) 6.3 a) 3)による。
b) 器具 主な器具は,次のとおりとする。
共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料1.0 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水10 mL及び硝酸(1+
2)3 mLを加えて溶かし,水を加えて20 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,塩化物標準液(Cl:0.01 mg/mL)1.0 mL及び硝酸(1+2)3 mLを共通すり合わ
せ平底試験管にとり,水を加えて20 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,硝酸銀溶液(20 g/L)1 mLを加えて振り混ぜた後,15分間放置する。
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4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を,共通すり合わせ平底試験
管の上方又は側方から観察して,濁りを比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“塩化物(Cl):質量分率0.001 %以下(規格値)”とす
る。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.6
りん酸塩(PO4)
りん酸塩(PO4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩化すず(II)溶液(りん酸定量用) JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物40 gをはかり
とり,JIS K 8180に規定する塩酸(ひ素分析用)60 mLを加えて溶かす。この液1 mLをとり,硫酸
(1+30)を加えて250 mLにする。
なお,硫酸(1+30)の調製は,水の体積30を冷却してかき混ぜながら,これにJIS K 8951に規
定する硫酸の体積1を徐々に加える。
2) 七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用) JIS K 8905に規定する七モリブデン酸六アン
モニウム四水和物10.6 gをはかりとり,水70 mL及びJIS K 8085に規定するアンモニア水7 mLを
加え,加熱せずに溶かし,水を加えて100 mLにする。ろ過後,ろ液に水を加え200 mLにする。さ
らに,硫酸(1+5)10 mLを加える。洗浄は,これを分液漏斗に移し,JIS K 8810に規定する1-ブ
タノール30 mLを加え,1〜2分間激しく振り混ぜる。放置後,上層(1-ブタノール相)と下層(水
相)とを分離する(水相を保存する。)。確認試験は,洗浄操作で分離した上層(1-ブタノール相)
を硫酸(1+5)15 mLで洗い,下層(硫酸相)を除去する操作を2回行った後,上層(1-ブタノー
ル相)に塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)15 mLを加え,30秒間振り混ぜて放置し,上層(1-
ブタノール相)が青くならない。
なお,確認試験で上層(1-ブタノール相)が青くなった場合は,保存水相の洗浄及び確認試験を
繰り返す。
なお,硫酸(1+5)の調製は,水の体積5を冷却してかき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫
酸の体積1を徐々に加える。
3) 硫酸(1+5) 6.6 a) 2)による。
4) りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 9007に規定するりん酸二水
素カリウム1.43 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて
混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 水浴 沸騰水浴として使用することができ,蒸発皿,ビーカーなどを載せられるもの。
2) 白金皿 JIS H 6202に規定するもの。
3) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
4) 電気炉 600 ℃±50 ℃に調節できるもの。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを白金皿にはかりとり,熱板(ホットプレート)上で徐々に加熱し,
電気炉中で強熱灰化した後,放冷する。硫酸(1+5)2.5 mLを加えて溶かし,共通すり合わせ平底
試験管に移し,水を加えて30 mLにする。
8
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2) 比較溶液の調製は,りん酸塩標準液(PO4:0.01 mg/mL)2.0 mLを共通すり合わせ平底試験管にと
り,硫酸(1+5)2.5 mLを加え,水を加えて30 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液に,七モリブデン酸六アンモニウム溶液(りん酸定量用)1 mLを加えて振り
混ぜて3分間放置する。これに塩化すず(II)溶液(りん酸定量用)1 mLを加え,振り混ぜて10
分間放置する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側方から観察して色を比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“りん酸塩(PO4):質量分率0.001 %以下(規格値)”と
する。
試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の青より濃くない。
6.7
硫黄化合物(SO4として)
硫黄化合物(SO4として)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
2) 塩化バリウム溶液(100 g/L) JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物11.7 gをはかりとり,
水を加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
3) 塩酸(2+1) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積2と水の体積1とを混合する。
4) 硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8962に規定する硫酸カリウム
1.81 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。
この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) ろ紙(5種C) JIS P 3801に規定するもの。
3) 白金皿 6.6 b) 2)による。
4) 水浴 6.6 b) 1)による。
5) 電気炉 6.6 b) 4)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを白金皿にはかりとり,水10 mLを加える。
2) 比較溶液の調製は,硫酸塩標準液(SO4:0.01 mg/mL)10.0 mLを白金皿にはかりとる。
3) 試料溶液及び比較溶液は,それぞれ水浴上で蒸発乾固した後,熱板(ホットプレート)上に移し,
徐々に加熱して炭化させ放冷する。水約2 mLを加え再び水浴上で蒸発乾固した後,熱板(ホット
プレート)上に移し,徐々に加熱した後,電気炉に入れ600 ℃±50 ℃で強熱し,放冷する。水10 mL
及び過酸化水素1 mLを加え,数分間煮沸後,塩酸(2+1)5 mLを加え,水浴上で蒸発乾固し,水
を加えて40 mLにする。乾いたろ紙(5種C)を用いてろ過し,初めのろ液10 mLを捨て,次のろ
液20 mLを共通すり合わせ平底試験管にとり,塩酸(2+1)0.3 mL及び水を加えて25 mLにする。
次に,エタノール(95)3 mL及び塩化バリウム溶液(100 g/L)2 mLを加えて振り混ぜた後,30分
間放置する。
4) 黒の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側方から観察して濁りを比較する。
9
K 8536:2017
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“硫黄化合物(SO4として):質量分率0.005 %以下(規
格値)”とする。
試料溶液から得られた液の濁りは,比較溶液から得られた液の白濁より濃くない。
6.8
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)
銅(Cu),鉛(Pb)及び鉄(Fe)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
2) アンモニア水(2+3) JIS K 8085に規定するアンモニア水(質量分率28.0 %〜30.0 %)の体積2と
水の体積3とを混合する。ポリエチレンなどの樹脂製瓶に保存する。
3) 塩酸(1+10) JIS K 8180に規定する塩酸(特級)の体積1と水の体積10とを混合する。
4) N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム溶液(10 g/L)[NaDDTC溶液(10 g/L)] JIS K 8454
に規定するN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物1.3 gを水に溶かして100 mLにす
る。
5) 硝酸(1+2) 6.3 a) 1)による。
6) 銅標準液(Cu:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,銅標準液(Cu:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8983に規定する硫酸銅(II)五水
和物3.93 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水
を標線まで加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25
mLを加え,更に水を標線まで加えて混合する。
7) 鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8563に規定する硝酸鉛(II)1.60 g
を全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,硝酸(1+2)25 mL及び水を加えて溶かし,水を標線まで
加えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+2)25 mLを加え,
更に水を標線まで加えて混合する。
8) 鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8982に規定する硫酸アンモニウム
鉄(III)・12水8.63 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,塩酸(2+1)3 mL及び水を加えて溶
かし,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保存する。この液10 mLを全量フラスコ1 000
mLに正確にとり,塩酸(2+1)3 mLを加え,水を標線まで加えて混合する。褐色ガラス製瓶に保
存する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) pH計 6.4 b) 2)による。
2) フレーム原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。
c) 分析種の測定波長 分析種の測定波長の例を表2に示す。
表2−分析種の測定波長の例
分析種
測定波長 nm
銅(Cu)
324.8
鉛(Pb)
283.3
鉄(Fe)
248.3
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K 8536:2017
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料10 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,水80 mL及び塩酸(1+10)で,
pH計を用いてpH 5.5に調節し,更に水を加えて100 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,試料10 gをビーカー100 mLなどにはかりとり,水70 mL,銅標準液(Cu:0.01
mg/mL)2.0 mL,鉛標準液(Pb:0.01 mg/mL)2.0 mL及び鉄標準液(Fe:0.01 mg/mL)5.0 mLを加
え,塩酸(1+10)で,pH計を用いてpH約5.5に調節し,更に水を加えて100 mLにする。
3) 空試験溶液の調製は,水5 mLをとる。
4) 試料溶液及び比較溶液にNaDDTC溶液(10 g/L)5 mLを加え,水を加えて400 mLにする。
5) これらの溶液それぞれを分液漏斗500 mLに入れ,酢酸ブチル20 mLを加えた後,1分間激しく振り
混ぜ,二層に分かれるまで放置する。この上層(酢酸ブチル相)を分取する。試料溶液からの酢酸
ブチル相をX液とし,下層(水相)は保存する。比較溶液からの酢酸ブチル相をY液とし,下層(水
相)は捨てる。
6) 保存していた試料溶液からの水相を分液漏斗500 mLにとり,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激
しく振り混ぜ,二層に分かれるまで放置して下層(水相)を分取する。この場合の上層(酢酸ブチ
ル相)は捨てる。再び,水相に酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれる
まで放置して下層(水相)を分取し,上層(酢酸ブチル相)は捨てる。ここで得た水相に3)の空試
験溶液を加え,pH計を用いて,塩酸(1+10)でpH約5.5に調節する。さらに,NaDDTC溶液(10
g/L)5 mLを直ちに加え,酢酸ブチル20 mLを加えて1分間激しく振り混ぜ,二層に分かれるまで
放置し,上層(酢酸ブチル相)を分取してZ液とする。
7) フレーム原子吸光分析装置は,あらかじめ酢酸ブチルを噴霧してフレームの状態を最適にしておき,
Y液をフレーム中に噴霧し,表2に示す測定波長付近で吸光度が最大となる波長を設定する。X液,
Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,分析種の吸光度を測定し,X液の指示値n1,Y液の
指示値n2及びZ液の指示値n3を読み取る。
8) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3とY液の指示値からX液の指示値を
引いたn2−n1を比較する。
e) 判定 d)によって操作し,次に適合するとき,“銅(Cu):質量分率2 ppm以下(規格値),鉛(Pb):
質量分率2 ppm以下(規格値)及び鉄(Fe):質量分率5 ppm以下(規格値)”とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 分析種の含有率(質量分率 ppm)は,次の式によって求めることができる。
6
1
2
3
1
10
000
1
×
×
−
−
×
=m
n
n
n
n
B
A
ここに,
A: 分析種の含有率(質量分率 ppm)
B: 用いた標準液中の分析種の質量(mg)
m: はかりとった試料の質量(g)
6.9
カルシウム(Ca)
カルシウム(Ca)の試験方法は,次による。
a) 試薬及び試験用溶液類 試薬及び試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) 塩酸(2+1) 6.7 a) 3)による。
2) カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
なお,カルシウム標準液(Ca:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8617に規定する炭酸カル
シウム2.50 gをはかりとり,水50 mL及び塩酸(2+1)15 mLを加え,沸騰しない程度に加熱して
溶かし,更に二酸化炭素を除き,冷却する。これを全量フラスコ1 000 mLに移し,水を標線まで加
えて混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,塩酸(2+1)15 mLを加え,
更に水を標線まで加えて混合する。カルシウム系の可塑剤を含まないポリエチレンなどの樹脂製瓶
に保存する。
b) 装置 主な装置は,次のとおりとする。
フレーム原子吸光分析装置 6.8 b) 2)による。
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,塩酸(2+1)1 mLを加え,水
を標線まで加えて混合する(X液)。
2) 比較溶液の調製は,試料2.0 gを全量フラスコ100 mLにはかりとり,カルシウム標準液(Ca:0.01
mg/mL)10 mL及び塩酸(2+1)1 mLを加え,水を標線まで加えて混合する(Y液)。
3) 空試験溶液の調製は,全量フラスコ100 mLに水を標線まで加える(Z液)。
4) フレーム原子吸光分析装置を用いて,Y液をフレーム中に噴霧し,測定波長422.7 nm付近でX液,
Y液及びZ液をそれぞれフレーム中に噴霧し,カルシウムの吸光度を測定し,X液の指示値n1,Y
液の指示値n2及びZ液の指示値n3を読み取る。
5) 測定結果は,X液の指示値からZ液の指示値を引いたn1−n3を,Y液の指示値からX液の指示値を
引いたn2−n1と比較する。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“カルシウム(Ca):質量分率0.005 %以下(規格値)”
とする。
n1−n3は,n2−n1より大きくない。
注記 カルシウムの含有率(質量分率 %)は,6.8 e)の注記に準じて求めることができる。
なお,質量分率 ppmから質量分率 %を求める場合は,Aに10-4を乗じる。
6.10
アンモニウム(NH4)
アンモニウム(NH4)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次のものを用いる。
1) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム溶液(インドフェノール青法用)[EDTA2Na溶液(イ
ンドフェノール青法用)] JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム1 gを水60 mLに溶かす。これ
にJIS K 8107に規定するエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物5 gを加えて溶かし,
水で100 mLにする。
2) 吸収液 試験に必要な数の図2の受器Hに硫酸(1+15)2 mLに水18 mLを加える。
なお,硫酸(1+15)は,水の体積15を冷却してかき混ぜながら,硫酸の体積1を徐々に加えて
調製する。
3) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の有効塩素を使用時に定量し,有効塩素が質量分率約1 %になるように水でう
すめる。冷暗所に保存し,30日以内に使用する。
有効塩素の定量方法 次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜12 %)10 gを0.1 mg
の桁まではかりとり,全量フラスコ200 mLに移し,水を標線まで加えて混合する。その20 mLを
共通すり合わせ三角フラスコ300 mLに正確にとり,水100 mL,JIS K 8913に規定するよう化カリ
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ウム2 g及び酢酸(1+1)6 mLを加えて栓をして振り混ぜる。約5分間暗所に放置後,指示薬とし
てでんぷん溶液を用い,0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。この場合,でんぷん溶液は,
終点間際で液の色がうすい黄になったときに約0.5 mLを加える。終点は,液の青が消えた点とする。
別に同一条件で空試験を行って滴定量を補正する。
100
200
/
20
3
545
003
.0
)
(
2
1
×
×
×
×
−
=
m
f
V
V
A
ここに,
A:次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率5 %〜
12 %)の有効塩素濃度(Cl)(質量分率 %)
V1:滴定に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体積
(mL)
V2:空試験に要した0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の体
積(mL)
f:0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
m:はかりとった次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質
量分率5 %〜12 %)の質量(g)
0.003 545 3:0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するCl
の質量を示す換算係数(g/mL)
なお,酢酸(1+1),でんぷん溶液及び0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液の調製は,次による。
酢酸(1+1)の調製は,JIS K 8355に規定する酢酸の体積1と水の体積1とを混合する。
でんぷん溶液の調製は,JIS K 8659に規定するでんぷん(溶性)1.0 gに水10 mLを加えてかき混
ぜながら熱水200 mL中に入れて溶かす。これを約1分間煮沸した後に冷却して調製し,冷所に保
存し,10日以内に使用する。
0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液は,JIS K 8637に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物,JIS K
8625に規定する炭酸ナトリウム又はJIS K 8051に規定する3-メチル-1-ブタノールを用いて,6.1 d)
による。
4) 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L) 水酸化ナトリウム30.9 gを水に溶かして100 mLにする。ポリエ
チレンなどの樹脂製瓶に保存する。
5) ナトリウムフェノキシド溶液 水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)18 mLをビーカー200 mLにとる。
冷水中で冷却しながらJIS K 8798に規定するフェノール12.6 gを少量ずつ加えた後,更にJIS K
8034に規定するアセトン4 mLを加え,水で100 mLにする。使用時に調製する。
6) アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL) 6.1 c)による。
なお,アンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL)を調製する場合は,JIS K 8116に規定する塩化
アンモニウム2.97 gを全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加え
て混合する。この液10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次のとおりとする。
1) 吸収セル 光の吸収を測定するために試料,対照液などを入れる容器で,光路長が10 mmのもの。
2) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
3) 沸騰石 液体を沸騰させるとき突沸を防ぐために入れる多孔質の小片。
4) 恒温水槽 20 ℃〜25 ℃に調節できるもの。
5) 蒸留装置 例を図2に示す。
6) 分光光度計 JIS K 0115に規定するもの。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A:
B:
C:
D:
E:
F:
G:
H:
I:
J:
K:
L:
蒸留フラスコ500 mL
連結導入管
すり合わせコックK-16
注入漏斗
ケルダール形トラップ球(E':小孔)
球管冷却器300 mm
逆流止め(約50 mL)
受器(有栓形メスシリンダー100 mL)
共通すり合わせ
共通テーパー球面すり合わせ
押さえばね
ヒーター
図2−蒸留装置の例
c) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) 試料溶液の調製は,蒸留フラスコAに試料1.0 gをはかりとり,水約140 mLを加える。
2) 比較溶液の調製は,蒸留フラスコAにアンモニウム標準液(NH4:0.01 mg/mL)2.0 mLをとり,水
約140 mLを加える。
3) 空試験溶液の調製は,蒸留フラスコAに水約140 mLを加える。
4) 試料溶液,比較溶液及び空試験溶液に沸騰石2,3粒を入れる。吸収液20 mLを入れた受器Hに逆
流止めGの先端を浸し,蒸留装置に連結する。加熱蒸留して初留約75 mLをとり,水を加えて100
mLにする(試料溶液から得られた液をX液,比較溶液から得られた液をY液及び空試験溶液から
得られた液をZ液とする。)。
5) X液10 mL,Y液10 mL及びZ液10 mLをそれぞれ共通すり合わせ平底試験管にとり,EDTA2Na
溶液(インドフェノール青法用)1 mL及びナトリウムフェノキシド溶液4 mLを加えてよく振り混
ぜる。これらに次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素 質量分率約1 %)2.5 mLを加え,更に水を加
えて25 mLにし,20 ℃〜25 ℃の恒温水槽で15分間放置する。
6) X液及びY液から得られた液は,Z液から得られた液を対照液とし,吸収セルを用いて,分光光度
計を用い,波長630 nmにおける吸光度をJIS K 0115の6.(特定波長における吸収の測定)によっ
て測定し,比較する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 判定 c)によって操作し,次に適合するとき,“アンモニウム(NH4):質量分率0.002 %以下(規格値)”
とする。
X液から得られた液の吸光度は,Y液から得られた液の吸光度より大きくない。
6.11
還元糖(C6H12O6として)
還元糖(C6H12O6として)の試験は,次による。
a) 試薬溶液類
1) D(+)-グルコース標準液(C6H12O6:1 mg/mL) JIS K 8824に規定するD(+)-グルコース1.00 gを
全量フラスコ1 000 mLにはかりとり,水を加えて溶かし,水を標線まで加えて混合する。この液
10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合する。
2) 3,5-ジニトロサリチル酸溶液 3,5-ジニトロサリチル酸(純度:質量分率98 %以上)1) 1 gをはかり
とり,水酸化ナトリウム溶液(80 g/L)20 mL及び水50 mLを加えて溶かす。さらに,本品15 gを
加えて溶かし,水を加えて100 mLにする。
なお,水酸化ナトリウム溶液(80 g/L)の調製は,JIS K 8576に規定する水酸化ナトリウム8.2 g
をはかりとり,水を加えて100 mLとし,溶かす。
注1) 3,5-ジニトロサリチル酸は,爆発することもあり,取扱いに十分注意する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は次による。
1) 共通すり合わせ平底試験管 6.3 c)による。
2) 吸収セル(必要な場合に用いる。) 6.10 b) 1)による。
3) 水浴 6.6 b) 1)による。
4) 分光光度計(必要な場合に用いる。) 装置の構成は,JIS K 0115に規定するもの。
c) 操作 操作は,次による。
1) 試料溶液の調製は,試料2.5 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,水を加えて溶かし,水を
加えて10 mLにする。
2) 比較溶液の調製は,試料1.5 gを共通すり合わせ平底試験管にはかりとり,D(+)-グルコース標準液
(C6H12O6:1 mg/mL)2.0 mL及び水を加えて溶かし,水を加えて10 mLにする。
3) 試料溶液及び比較溶液それぞれに,3,5-ジニトロサリチル酸溶液1 mLを加えて沸騰水浴中で10分
間加熱し,冷却する。
4) 白の背景を用いて,試料溶液及び比較溶液から得られたそれぞれの液を共通すり合わせ平底試験管
の上方又は側方から観察して色を比較する。
なお,必要があれば吸収セルを用い,波長540 nmにおける吸光度を,水を対照液として,JIS K 0115
の6.(特定波長における吸収の測定)によって測定する。
d) 判定 c)によって操作し,次の1)又は2)に適合するとき,“還元糖(C6H12O6として):質量分率0.2 %
以下(規格値)”とする。
1) 試料溶液から得られた液の色は,比較溶液から得られた液の赤より濃くない。
2) 試料溶液から得られた液の吸光度は,比較溶液から得られた液の吸光度より大きくない。
7
容器
容器は,気密容器とする。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8
表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 日本工業規格番号
b) 名称“(+)-酒石酸ナトリウムカリウム四水和物”及び“試薬”の文字
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 純度
f)
内容量
g) 製造番号
h) 製造業者名又はその略号
16
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS K 8536:2017 (+)-酒石酸ナトリウムカリウム四水和物(試薬)
ISO 6353-2:1983,Reagents for chemical analysis−Part 2: Specifications−First series
R27 Potassium sodium tartrate tetrahydrate
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
試薬として用いる
(+)-酒石酸ナトリ
ウムカリウム四水
和物について規定。
R27
化学分析用試薬40品目
の仕様について規定。
変更
JISは1品目1規格。
試薬の規格使用者が各規格を多く
引用しやすくするために1品目1
規格としている。
なお,対応国際規格は,30年以上
見直しがされていないため,市場
の実態に合わない。国際規格の改
正案件を検討する。
2 引用規格
3 種類
追加
種類の項目を追加。
JISは種類として“特級”だけな
ので,ISO規格と技術的な差異は
ない。
4 性質
追加
性質の項目を追加。
一般的な説明事項であり,技術的
な差異はない。
5 品質
R27.1
変更
1) 品質に差異のある項目:純度,
りん酸塩,銅及び鉛
2) 追加した項目:水溶状及び還元
糖
ISO規格は,長期間内容の見直し
が行われず国際市場でISO規格品
が用いられることはほとんどな
い。また,技術的差異も軽微であ
る。
−
R27.2
試料溶液
変更
JISは,該当項目ごとに規定。
編集上の差異であり,技術的な差
異は軽微。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
6 試験方法
6.1 一般事
項
JIS K 0050,JIS K
8001,JIS R 3503及
びJIS R 3505を引
用。
追加
項目を追加。
編集上の差異であり,技術的な差
異はない。
6.2 純度
(C4H4O6KN
a・4H2O)
非水滴定
R27.3.1
非水滴定
変更
試料量,酸の種類を変更。
技術的な差異は軽微であり,対策
は考慮しない。
6.3 水溶状
追加
項目を追加。
6.4 pH(50
g/L,25 ℃)
R27.3.2
一致
6.5 塩化物
(Cl)
塩化銀比濁法
R27.3.4
塩化銀比濁法
変更
液量,標準液などを変更。
技術的な差異は軽微であり,対策
は考慮しない。
6.6 りん酸
塩(PO4)
りんモリブデン青
法
R27.3.5
りんモリブデン青法
変更
試料量,酸,試薬などを変更。
6.7 硫黄化
合物(SO4
として)
硫酸バリウム比濁
法
R27.3.6
硫酸バリウム比濁法
変更
JISは,ISO規格の硫酸塩を硫黄化
合物に変更。
6.8 銅(Cu),
鉛(Pb)及
び鉄(Fe)
原子吸光法
R27.3.8
R27.3.9
原子吸光法(Cu,Pb)
o-フェナントロリン比
色法
変更
JISは,鉄を原子吸光法に変更。Pb
は,ISOの測定波長217.0 nm又は
283.3 nmを283.3 nm単一に変更。
6.9 カルシ
ウム(Ca)
原子吸光法
R27.3.8
原子吸光法
変更
試料量及び試薬量を変更。
6.10 アンモ
ニ
ウ
ム
(NH4)
蒸留−インドフェ
ノール青法
R27.3.7
蒸留−ネスラー比色法
変更
試薬を変更。
ISO規格は,有害な水銀化合物を
用いており,これを安全性の高い
方法に変更した。国際規格の改正
提案を検討する。
6.11 還元糖
(C6H12O6と
して)
比色法
追加
項目を追加。
JISでは,当試薬の使用用途に合
わせた保証項目を追加。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7 容器
追加
項目を追加。
8 表示
追加
項目を追加。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6353-2:1983,MOD
関連する外国規格
Reagent Chemicals−American Chemical Society Specifications 10th Edition ACS (2005)
the United States Pharmacopeia (USP)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致 ················ 技術的差異がない。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
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