K 8530:2007
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 一般事項 ························································································································· 1
4 種類······························································································································· 2
5 性質······························································································································· 2
5.1 性状 ···························································································································· 2
5.2 定性方法 ······················································································································ 2
6 品質······························································································································· 2
7 試験及び検査方法 ············································································································· 2
7.1 試験及び検査方法の条件並びに結果 ··················································································· 2
7.2 純度 (KBrO3) ················································································································ 2
7.3 水溶状 ························································································································· 3
7.4 乾燥減量 (105 ℃) ·········································································································· 3
7.5 pH (50 g/l,25 ℃) ·········································································································· 3
7.6 臭化物 (Br)··················································································································· 3
7.7 硫酸塩 (SO4) ················································································································· 3
7.8 窒素化合物(Nとして)·································································································· 3
7.9 重金属(Pbとして) ······································································································ 3
7.10 ナトリウム (Na) ··········································································································· 4
7.11 鉄 (Fe) ······················································································································· 4
8 記録······························································································································· 4
9 容器······························································································································· 4
10 表示 ····························································································································· 4
11 取扱い上の注意事項 ········································································································ 4
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································· 5
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(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬
協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申
出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS K 8530:1995は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
K 8530:2007
臭素酸カリウム(試薬)
Potassium bromate (Reagent)
KBrO3 FW:167.00
序文
この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 6353-3,Reagents for chemical analysis−Part 3:
Specifications−Second seriesを基に作成した日本工業規格であるが,対応国際規格の規定の一部に市場の実
態を反映していない部分があるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,試薬として用いる臭素酸カリウムについて規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second series (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを示
す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0067 化学製品の減量及び残分試験方法
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8506 臭化カリウム(試薬)
JIS K 8913 よう化カリウム(試薬)
3
一般事項
試験及び検査方法の一般的な事項は,JIS K 8001による。
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4
種類
種類は,特級とする。
5
性質
5.1
性状
臭素酸カリウムは,白い結晶又は結晶性粉末で,水にやや溶けやすく,エタノールにほとんど溶けない。
5.2
定性方法
定性方法は,次による。
a) 試料1 gに水50 mlを加えて溶かす(A液)。A液20 mlに亜硫酸水1 mlを加えると黄色が現れ,更に
亜硫酸水5 mlを加えると黄色が消える。
b) A液を用いてJIS K 8001の5.29(炎色試験)(1)(アルカリ金属及びアルカリ土類金属試験法)による
と,紫が現れる。
6
品質
品質は,箇条7によって試験及び検査したとき,表1に適合しなければならない。
表1−品質
項目
規格値
純度 (KBrO3)
質量分率 %
99.8以上
水溶状
試験適合
乾燥減量 (105 ℃)
質量分率 %
0.2以下
pH (50 g/l,25 ℃)
5.0〜8.0
臭化物 (Br)
質量分率 %
0.02以下
硫酸塩 (SO4)
質量分率 %
0.005以下
窒素化合物(Nとして)
質量分率 %
0.001以下
重金属(Pbとして)
質量分率 ppm
5以下
ナトリウム (Na)
質量分率 %
0.01以下
鉄 (Fe)
質量分率 ppm
5以下
7
試験及び検査方法
7.1
試験及び検査方法の条件並びに結果
試験及び検査方法の環境は,JIS K 8001の3.7(試験操作など)(1)(試験の環境)による。湿度管理は,
必要に応じて実施する。また,表1で規定する各品質項目の試験及び検査は,次の各試験及び検査方法に
よって行い,得られる測定値の計算方法及び規格値に対する判定は,JIS K 8001の3.5(測定値)による。
7.2
純度 (KBrO3)
試料0.7 gを0.1 mgのけたまではかりとり,全量フラスコ250 mlに入れ,水を加えて溶かした後,水を
標線まで加える。その25 mlを正確によう素フラスコ200 mlにとり,水50 ml,JIS K 8913に規定するよ
う化カリウム2 g及び硫酸 (1+5) 5 mlを加え,直ちに栓をして穏やかに振り混ぜ暗所に10分間放置した
後,0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。終点間際で,液の色が薄い黄色になったときに,指示
薬としてでんぷん溶液約0.5 mlを加えて,滴定を続ける。終点は,液の色が無色になる点とする。
別に,同一条件で空試験を行い,滴定量を補正する。この場合,0.1 mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液1 ml
は,0.002 783 5 g KBrO3に相当する。
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7.3
水溶状
JIS K 8001の5.2(溶状)による。この場合,試料は1 gを用い,濁りの程度の適合限度標準は,JIS K 8001
の5.2の(1)(濁りの程度の適合限度標準)の(a)(澄明)を用いる。
7.4
乾燥減量 (105 ℃)
乾燥減量は,JIS K 0067の4.1.4(操作)(1)(第1法 大気圧下で加熱乾燥する方法)による。この場合,
試料1.0 gを0.1 mgのけたまではかり,105 ℃で2時間乾燥する。
7.5
pH (50 g/l,25 ℃)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料溶液 試料5.0 gに二酸化炭素を含まない水を加えて溶かし100 mlにする。
b) 操作 JIS K 8001の5.5 (pH)の(2)(操作)による。
7.6
臭化物 (Br)
溶液の調製,操作及び判定は,次による。
a) 試料側溶液 試料5.0 gに水を加えて溶かし60 mlにする。
b) 標準側溶液 試料2.0 g,臭化物標準液 (Br:0.1 mg/ml)1) 6.0 ml及び水を加えて溶かし60 mlにする。
注1) 臭化物標準液 (Br:0.1 mg/ml) の調製は,JIS K 8506に規定する臭化カリウム0.149 gを水で
溶かして1 000 mlにする。
c) 操作 試料側溶液,標準側溶液それぞれに,0.5 mol/l硫酸0.5 mlを加え,1時間放置する。
d) 判定 試料側の色は,標準側の黄色より濃くない。
7.7
硫酸塩 (SO4)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料2.0 gに水10 ml,炭酸ナトリウム溶液 (100 g/l) 0.5 ml及び塩酸 (2+1) 10 mlを加え,
水浴上で蒸発乾固し,再び水10 ml及び塩酸 (2+1) 5 mlを加え,水浴上で蒸発乾固する。放冷後,水
を加えて25 mlにする。
b) 標準側溶液 炭酸ナトリウム溶液 (100 g/l) 0.5 mlに塩酸 (2+1) 15 mlを加え水浴上で蒸発乾固する。
放冷後,硫酸塩標準液 (SO4:0.01 mg/ml) 10 ml及び水を加えて25 mlにする。
c) 操作 JIS K 8001の5.15[硫酸塩 (SO4)](1)(比濁法)による。
7.8
窒素化合物(Nとして)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料2 gに水を加えて溶かし140 mlにする。
b) 標準側溶液 窒素標準液 (N:0.01 mg/ml) 2.0 mlに水を加えて140 mlにする。
c) 操作 JIS K 8001の5.12[窒素化合物(Nとして)](4)(蒸留−インドフェノール青法)による。
7.9
重金属(Pbとして)
溶液の調製,操作及び判定は,次による。
a) 試料側溶液 試料4.0 gに水20 ml及びJIS K 8180に規定する塩酸10 mlを加え水浴上で蒸発乾固した
後,加熱板上で10分間加熱し,水10 ml及びJIS K 8180に規定する塩酸10 mlを加え水浴上で蒸発乾
固する。この操作を臭素の色がなくなるまで繰り返した後,水を加えて40 mlにする(B液)。B液25
ml(試料量2.5 g)を試料側溶液とする。
b) 標準側溶液 試料側で用いたJIS K 8180に規定する塩酸の1/2量を水浴上で蒸発乾固し,これに,B
液5 ml(試料量0.5 g),鉛標準液 (Pb:0.01 mg/ml) 1.0 ml及び水を加えて25 mlにする。
c) 操作 試料側溶液,標準側溶液それぞれに,塩酸 (2+1) 0.5 mlを加え,更に酢酸ナトリウム溶液 (200
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g/l) を加えてpH約4に調節した後,水を加えて40 mlにし,硫化ナトリウム・グリセリン溶液1滴を
加え,5分間放置する。
d) 判定 試料側の色は,標準側の色より暗くない。
7.10 ナトリウム (Na)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料1.0 gに水を加えて溶かし100 mlにする。
b) 標準側溶液 試料1.0 gにナトリウム標準液 (Na:0.1 mg/ml) 1.0 ml及び水を加えて溶かし100 mlにす
る。
c) 操作 JIS K 8001の5.30(炎光光度法)による。
7.11 鉄 (Fe)
溶液の調製及び操作は,次による。
a) 試料側溶液 試料2.0 gに水20 ml及び塩酸(2+1) 20 mlを加え水浴上で蒸発乾固し,再び水20 ml及
び塩酸 (2+1) 20 mlを加え水浴上で蒸発乾固し,水を加えて溶かし10 mlにする。
b) 標準側溶液 塩酸 (2+1) 30 mlを水浴上で蒸発乾固し,鉄標準液 (Fe:0.01 mg/ml) 1.0 mlを加え,更
に水を加えて溶かし10 mlにする。
c) 操作 JIS K 8001の5.22[鉄 (Fe)](2)(1,10-フェナントロリン法)による。
8
記録
記録は,JIS K 0050の12.(記録)による。
9
容器
容器は,気密容器とする。
10 表示
容器には,次の事項を表示する。
a) 名称“臭素酸カリウム”及び“試薬”の文字
b) 種類
c) 化学式及び式量
d) 純度
e) 内容量
f)
製造番号
g) 製造業者名又はその略号
11 取扱い上の注意事項
臭素酸カリウムは,酸化性が強いので衝撃及び火気を避けて取り扱い,被酸化性物質から隔離して保存
する。
警告 この規格の使用者は,試験室での作業に精通するように努めなければならない。また,この規
格の使用に関連して起こるすべての安全上の問題は記載していないので,MSDS(化学物質等
安全データシート)などを参考にして,安全及び健康に留意した適切な措置をとらなければな
らない。
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附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS K 8530 : 2007 臭素酸カリウム(試薬)
ISO 6353-3 : 1987 Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second
series
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との差異の箇条ごとの
評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号及
び名称
内容
箇条番
号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
試薬として用いる臭
素酸カリウムについ
て規定。
1
化学分析用試薬57品
目の仕様について規
定。
変更
JISは1品目1規格。
試薬の規格使用者が各規格を多く引
用しやすくするために1品目1規格
としている。
なお,対応国際規格は20年以上見
直しが行われていないため市場の実
態に合わない。国際規格の改正提案
を検討する。
2 引用規格
3 一般事項
JIS K 8001による。
追加
項目を追加。
編集上の差異であり,技術的な差異
ではない。
4 種類
追加
種類の項目を追加。
JISでは種類として“特級”だけなの
で,ISO規格と技術的な差異はない。
5 性質
追加
性質の項目を追加。
一般的な説明事項であり,技術的な
差異はない。
6 品質
R75.1
変更
1) 品質に差異のある項目:純
度,pH。
2) 追加した項目:水溶状,乾
燥減量。
ISO規格は,長期間内容の見直しが
行われず国際市場でISO規格品が用
いられることはほとんどない。また,
技術的差異も軽微1) 2) 3)である。
R75.2
試験溶液の調製方法
変更
JISは,試験方法の該当項目で
個別に規定。
編集上の差異であり,技術的な差異
ではない。
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(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との差異の箇条ごとの
評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号及び
名称
内容
箇条番
号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7 試験及び検
査方法
7.1 試験及び
検査方法の条
件並びに結果
追加
一般的な試験及び試験方法の条件並
びに結果に関する事項であり,技術
的な差異はない。
7.2 純度
(KBrO3)
滴定法
R75.3.1 滴定法
変更
試料量,操作方法などを変更。 技術的な差異は軽微であり,対策は
考慮しない。
7.3 水溶状
追加
項目を追加。
品質確保のために必要。
ISO規格の見直し時に,提案の検討
を行う予定。
7.4 乾燥減量
(105 ℃)
追加
項目を追加。
7.5 pH
(50 g/l,25 ℃)
溶液濃度はg/lで規
定。
R75.3.2 溶液濃度は質量分
率 %で規定
変更
1) ISO規格は溶液濃度を質量
分率 %で規定,JISは溶液濃度
をg/lで規定。
2) JIS K 8001の5.5を引用。
JISは操作性から溶液濃度をg/lで規
定。ISO規格の見直し時に,改正提
案の検討を行う予定。
7.6 臭化物
(Br)
R75.3.3
一致
7.7 硫酸塩
(SO4)
比濁法
R75.3.4 種晶添加比濁法
変更
1) 前処理方法などを変更。
2) JIS K 8001の5.15を引用。
技術的な差異は軽微であり,対策は
考慮しない。
7.8 窒素化合
物(Nとして)
蒸留―インドフェノ
ール青法
R75.3.5 蒸留―ネスラー法
変更
1) ISO規格は蒸留−ネスラー
法,JISは蒸留−インドフェノ
ール青法。JISは有害な水銀試
薬を有害性の少ない試薬に変
更。
2) JIS K 8001の5.12を引用。
ISO規格のネスラー法は環境・安全
上,変更が必要。ISO規格の見直し
時に,改正提案の検討を行う予定。
7.9 重金属(Pb
として)
硫化ナトリウム法
R75.3.6 硫化水素法
変更
試料量,試薬などを変更。
技術的な差異は軽微であり,対策は
考慮しない。
7.10 ナトリウ
ム (Na)
炎光光度法
R75.3.8 炎光光度法
変更
1) 試料量を変更。
2) JIS K 8001の5.30を引用。
技術的な差異は軽微であり,対策は
考慮しない。
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(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との差異の箇条ごとの
評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号及
び名称
内容
箇条番
号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7.11 鉄 (Fe)
1,10-フェナントロリ
ン法
R75.3.7 5-スルホサリチル酸
法
変更
1) 試料量,試薬を変更。
2) JIS K 8001の5.22を引用。
技術的な差異は軽微であり,対策は
考慮しない。
8 記録
―
追加
項目を追加。
規格適合性を評価する関係で必要な
項目を追加。
9 容器
―
追加
項目を追加。
10 表示
―
追加
項目を追加。
11 取扱い上
の注意事項
―
追加
項目を追加。
注1) 理由:軽微な技術的差異。箇条6(品質)の(Ⅳ)欄の1)及び2)は,いずれも一般用途の試薬としては軽微な技術的差異であり,この差が取引上の障害にな
る可能性はほとんどない。ISO規格,JISとも品質項目の設定・品質水準の設定は,市場での長い使用実績・経験を踏まえたものである。ISO規格とJIS
との質量分率ppm〜質量分率pptレベルの不純物のごくわずかの差異は,経験上,一般用途の試薬としては実用上差し支えないものと考えられる。
なお,不純物のごくわずかの差異がどのような影響を及ぼすか,あらゆる用途を想定して検証することは現実的ではない。この(Ⅳ)の1)及び2)の品質項
目及び品質水準が不満足な場合は,通常,JIS試薬,ISO規格試薬とも対応できない。この場合,対応策としては,目的にあった高純度試薬など特殊用途
の試薬を使用することになる。
2) ISO試薬規格の状況:ISO規格の試薬は,規格の維持管理が行われていない(規格制定後約20年経過)。このため,ISO規格の内容が現在の市場の要求に
こたえているかどうかの検討が行われていない(JISとの差)。また,ISO規格の試薬は,我が国だけではなく,国際市場でも商取引がほとんどなく国際
規格としての存在意義が乏しい。
3) 今後の対策:注1)及び注2)の理由から,当面,対策を考慮しない。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 6353-3:1987,MOD
被引用法規
生物学的製剤基準(平成5年厚生省告示第217号)
飼料及び飼料添加物の成分規格(昭和51年農林省令第35号)
第十四改正日本薬局方(平成13年厚生労働省告示第111号)
食品・添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)
関連する法規
労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)−第18条 名称等を表示すべき有害物質
化学物質危険有害性等の表示に関する指針(平成4年労働省告示第60号)[MSDS]
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関連する外国規格
アメリカ REAGENT CHEMICALS/Ninth Edition (American Chemical Society Specifications) ACS (2000)
中国 国家標準 (Guojia Biaozhum) GB/T 2305 (2000)
韓国 韓国産業規格 (Korean Standards) KS M 8295 (1997),KS M ISO 6353-3 (2002)
イギリス British Standards BS 6376-3 (1989)
フランス Norme Française NF ISO 6353-3 (1988)
ロシア Gosdarstvennye Standarty(国家標準) GOST 4457 (1974)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致……………… 技術的差異がない。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
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